トレッキングオフ弐:日光男体山



●概要

・4人パーティ(ぽかたん、A.Yuzo、Jinさん、筆者)
・頂上(2486m)まで到達
・全員登頂&無事下山万歳!
・筆者は下山時に膝を痛めた

●動機、日記、感想

日光男体山登山の動機
日光男体山登山の日記
日光男体山登山の感想


日光男体山登山の動機

8月の富士登山に向けた訓練の一環として、4月末に丹沢塔ノ岳に登頂した。今回はさらにステップアップして2000m峰への登頂を行い、高山慣らしをすることとした。関東地方からアクセスの良い山として、日光男体山を選択した。この山には岩登りも存在するため、富士山に向けて良い訓練になると考えた。

訓練は前回と同様、関東組と関西組に分けて実施することとした。つまり今回のメンバーは主に関東組であり、関西組は関西の山で訓練を実施する。


2008.6.7(Sat)

トレッキングオフ弐:日光男体山

●前泊〜登山口到達

行きは昔から乗ってみたいと思いつつ一度も乗っていなかった東武線特急で。極めて快適である。カードゲームがあると暇潰しにも最適だが、今回はなかったのでいろいろと話す。そういえばタイピングの話は全くと言っていいほど出なかった。

今回は、日帰りは厳しいだろうということで、日光駅付近で前泊することにした(実際にはプチホテルが満室だったら日帰りで行くつもりだったが)。ネット上で見つけたプチホテルがいい感じ! 駅から徒歩3分だし、1人あたり5500Gまで抑えられたし。目の前にコンビニがあるのも良い。水、POCARI、チョコレート、サンド、おにぎりはすべてここで調達した。

登山当日、東武日光駅からはバスで行く予定だったが、付近で展開されていた乗り合いタクシーの勧誘があまりにも魅力的だったため、そちらで行くことにした。バスと同じ運賃で、30分で到着してしまうのは魅力だ(バスだと1時間弱かかる)。勧誘は東武線の電車が到着するタイミングを見計らって一気に行う。こういう商売もあるんだなー、と妙なところで感動を覚えた。それにしても、結果としてバスの乗客を奪うのは確かだよな。摩擦にならないんだろうか。それとも住み分けができているんだろうか。

出発点の二荒山神社前これから登るべき山頂も見える

●登り(スケジュール)

チェックポイント予定実績
二荒山神社前8:358:35
一合目8:558:40
二合目9:15不明
三合目9:359:05
四合目9:559:30
五合目10:159:45
六合目10:3510:00
七合目10:5510:30
七・五合目10:45
八合目11:1511:10
九合目11:3511:25
頂上11:5512:00

1合あたり20分という読みはほぼ当たったかと。ゆっくりゆっくり登っても、休憩によるタイムロスが減るので結局一定のペースを刻める。一番きつかったのが七・五合目〜八合目(岩場後半戦)とラストの砂礫場。ここで時間がかかるのはしゃーない。

●登り(詳細)

まず三合目までが結構急な山道。前回(丹沢塔ノ岳)飛ばしすぎた反省を踏まえ、ゆっくりゆっくりと登る。恐らく前回の半分くらいのペースだったと思う。このペースだと心拍数上昇も激しくなく、マラソン式呼吸すら不要! 確かに楽だ。速い人には道を譲って先に行ってもらえばいいのだ。中には日光男体山に1109回登頂を果たした83歳の御方もいるし、富士登山レースの練習と称して1時間30分で登頂してしまう人もいる。初心者である我々とはベース速度がまるで違う。

一合目付近の山道二合目付近。結構急な山道

三合目から四合目が舗装された車道。傾斜も非常になだらかであり、ここだけはハイキングの趣だった。四合目に登山道入口と大書してある鳥居があり、ここから本格的な登山開始。急な階段! 三合目までとは一味違う山道! こうでなくてはな! と思っていたのはここまでだった。四合目を過ぎて5分ほど経過したあたりで、ありえなさすぎる事態が発生した。

……丹沢塔ノ岳の下りでやられた右膝に違和感が。

マジかよ! まだ登りの半分も来てねえのに何でだよ! しかーし登りはまだ誤魔化しが効く。さほど右膝をかばう必要もなく、そのまま進む。五合目を過ぎたあたりから岩がちらほらと混ざり始め、足場が不安定になってきたため杖も使い始める。

ここからが本番五合目付近。急な登りが続く

六合目あたりからは登山道がほぼすべて岩と化す。軍手を装備し、ひたすらよじ登りまくる。登りでは、杖は1本あればいい。片手を空けておいて岩をつかむ方が安定する。ちなみに、この辺からは岩に文字が書いてあることが多い。「六合目」「七合目」等の標識や、「落石注意」、それに登山ルートを表す矢印など。そういえば五・七・八合目に避難小屋があるという情報を得ていたが、まさに文字通りの「避難用小屋」だった。むしろ物置みたいな感じ。フジヤマや丹沢にある山小屋と違って、宿泊・休憩・食事・水補給等は一切できない。あくまでも天候変化時や急病人が出た時等の避難用だ。

岩また岩! ここを登るんです七・五合目付近。岩登りはまだまだ続く

よう〜やく岩登りが終了したのは九合目付近になってからだった。ここからは木製の階段が整備されている(丸太で枠を作って土で埋めているタイプ)。驚くべきことに、6月に入ったこの時期に残雪があったりする(!) この辺になると右膝がいよいよヤバくなってくる。普通に登るだけなら問題ないが、無理な力がかかると脳天に突き抜ける激痛が。杖を駆使して衝撃を緩和しながら登っていく。ラストの階段を登りきると赤土っつーか礫をひたすら登ることになるが、この辺であからさまにペースが落ち始めた。

九合目付近の残雪木製の階段が整備されている

膝以外は何ともないんですよ。心拍数はいい感じにキープできているし(むしろ心地良いくらい)、呼吸も乱れていない。筋肉痛もなければ高山病もない。丹沢頂上付近のあの苦しさは一体なんだったんだというくらい楽だった。休憩中に座り込むこともほとんどなく、コンスタントにペースを保って登ったと思う。

●頂上

眼下に広がる中禅寺湖こちらは戦場ヶ原

そして! 12:00、何とか頂上に到達!

絶 景 哉 ! !

眼下に広がる中禅寺湖に戦場ヶ原! それに周囲の低山! 雲! 心地よい冷風! いずれも、前回登山(丹沢)では味わうことのないものだった。晴天時の登山がこれほど爽快なものだったとは!

神像やら2486m標識やら最高点の剣やらを記念撮影しつつ、昼食。疲労があまりないので冷たい固形物を喰うのも全く苦にならない。むしろ美味すぎる。コンビニおにぎり+コンビニサンドイッチがこれほど美味いものだったとは!

海抜二、四八六米の標識最高点の剣

●下り(スケジュール)

チェックポイント予定実績
頂上12:3512:35
九合目12:5012:50
八合目13:0513:10
七合目13:2013:40
六合目13:3514:10
五合目13:5014:20
四合目14:0514:40
三合目14:2015:00
二合目14:35不明
一合目14:5015:35
二荒山神社前15:0515:45

1合あたり15分という読みだったが、結局登りと同程度の時間を要してしまった。原因は、ひとえに右膝をかばいながらの下山だったため。ほぼすべての行程でカニ歩きみたいな降り方をしていた。特に三合目〜二荒山神社前が一番の苦行だった。

●下り(詳細)

下りの写真が無いのは、右膝の痛みが激しくて撮影どころではなかったためだ。

登山靴の紐を締め直し、軽くストレッチをしてから下山開始。杖もあるし、何とかなるかな〜などと考えたのは甘かった。元気はつらつ状態でガンガン降りていくYuzoやJinさんのペースからはひたすら遅れまくる。杖2本を使っているが膝の痛みは無かったというぽかたんからも遅れ気味。右膝をかばいながら降りていくのがマジ苦行! 頂上付近の砂礫を降りる時点で、一歩右足を踏み出すごとに凄まじい激痛が

九合目付近の階段もマジ地獄。基本的には、一段ずつ足踏みしながら降りるしかない。左足→右足の順に降りる方がきつい。右膝の曲げ伸ばしが入るからだ。よって右足→左足の順に降りるしかない。右足への衝撃は増すが、止むを得ない。杖は痛んでいる足とは逆の手(今回の場合は左手)で持った方が良いとよく言われるが、そうでもなかった。なぜなら、右足が完全に使い物にならなくなったら、右手に持った杖と左足で体重を支えるしかないからだ(松葉杖みたいな感じで)。

そしてついに来てしまった八〜六合目の岩場! が、実は階段よりこっちが楽だったりする。軍手を装備すれば全身を使えるからだ。もはやなりふり構ってはいられない。杖を駆使しつつ、岩場に手をついて体重を支え、全身で右膝をかばいまくる。大きな岩に対しては、両腕で全体重を支えつつ、そろりと両足を下ろす要領で。なるべく全身のバランスを崩さないように。

六〜四合目はほぼ全行程でカニ歩きを繰り返す。四〜三合目はほぼ平地に近い。ここは楽だった。ここでも杖の威力を文字通り痛感した。丹沢下山時には平地を歩くのさえ辛かったが、杖があると全然違う。

本当の苦行は三合目から先だった。まさに意地と根性と執念で足を運び続けての下山だった。肉体と精神の鍛錬にはなるかもしれないが。つかまるべき岩もなく、一段ごとに休憩できる階段もない。単純に斜めになっている山道というのが一番きつい。歩幅を小さくしつつカニ歩きを繰り返す。衝撃を最小限に抑えつつ、ゆっくりと着実に下山を続けていくしかない。三合目から二荒山神社前まで、休憩なしで45分かかった。わずか15分で駆け降りた(!)Yuzoには30分も待たせることになってしまった。申し訳ない。

●温泉

下山完了後、Jinさんの車で付近の温泉へ。最高。マジ最高。温泉は普段から好きだが、登山後の温泉はあまりにも快感すぎる。この快感は、山頂で飲むPOCARI以上かもしれない。各所に負ったダメージやら筋肉疲労やらの回復にも最適である。実際、温泉による治癒効果はそれなりにあるらしい。帰宅途中、下り階段は足踏みしつつ降りたが、平地に限っては杖なしでも普通に歩行できるまでに回復していた。

一方、温泉に入る時に毎回わずらわしく思うのが眼鏡だ。私は裸眼視力が0.01程度しかない。人の顔が見えないだけでも厳しいが、段差が見えないのは致命的すぎる。ってことで、毎回眼鏡を装備して入っている。確かに見えるようにはなるが、すぐ曇るので面倒なことこの上ない。コンタクト派の人も同じような悩みを抱えているのだろうか。そんな時にJinさんから聞いたレーシックの話が大変魅力的に思えてきた。いろいろとリスクがあるのは確かだが、最新情報を収集してみる価値はあると思う。

帰りはJinさんの車で。ありがとうございます。それにしても、もともと東京の実家に寄る予定だったとはいえ、名古屋からの運転→車中泊→登山という強行軍で疲労した後に全部運転を任せてしまうのは大変恐縮すぎた。車中で、フジヤマの日程もある程度固まった。タイパーキャンプ(タイパーに限る必要も無い)とかはまたそのうち。


日光男体山登山の感想

●全体を通しての感想

煩 悩 滅 却 !

とっとと次の山に登りてえ! できればフジヤマの前にもう一山登りたい。が、梅雨を回避してとなると難しいかもしれない。

●持ち物

【杖】

今回の救世主だ。膝へのダメージが大幅に軽減された。仮に杖なしだったら、八合目あたりで登頂断念の決断を下したと思う。杖2本にするとさらにダメージが緩和されるらしい。他には膝サポーターやサポートタイツを要検討!

【新ザック】

まずペットボトルポケット。これが一番のヒットだった。また、今回は使わなかったがザックカバーも装備している。背中の汗がザック内に染み込まないような仕切りもいい感じだ。背負った時のフィット感も良い。フジヤマ本戦でも十分に使える見通しが立った。容量は26リットルあれば十分だ。荷物の総量を抑えれば、20リットルでもOKかもしれない。

【食料と飲料】

前回は水+チョコレートだったが、今回はそれに加えてPOCARIを持参した。アクエリアスやカラダバランス飲料等ではなく、POCARIにするのは仕様だ(笑)。行きは水+チョコレート中心、帰りはPOCARI中心。甘いものは短期的なエナジーを与えてくれる。POCARIは汗により蒸発した水分と塩分を非常に効率的に補給してくれる。フジヤマでも必須のアイテムだろう。食料はコンビニサンドとコンビニおにぎりのみ。フジヤマでは山小屋で調達できるので、食料を持ち込む必要はない。

そういえば二荒山神社の巫女さんからもらった「登拝者の皆様へ」なる紙には「水場がありませんので水は必ず御持参下さい」とあった。我々は水やら茶やらPOCARIやらを合わせて1人あたり1〜2リットル程度持ち込んでいたので、水分に関する問題はなかった。

【速乾性シャツ】

前回は木綿のシャツで行って壮絶に冷えた。登っている間は気にならないが、休憩時の冷えは想像を絶する。まして悪天候の場合はなおさらだ。上半身全体がガタガタと震えることになり、かなりヤバい。よって今回は速乾性シャツなるものを試してみた。何が違うかというと、汗を吸収せず外部に放出する点だ。確かに爽快だ。シャツは常に乾燥していて、全く冷えることがない。シャツの上に綿素材の服を着ているとそちらが濡れることになるが、肌に直接触れているわけではないのでほぼ問題なし! これも投資に見合う価値は十分にあったと思う。余談だが、この速乾性高機能シャツは夏の外歩きやコミケにも有用だと思う。

●後遺症

右膝以外の後遺症一覧。

・左すねに擦り傷(20mm×5mm×2mmくらい)
・左足親指外側に軽い痛み(靴による圧迫)
・右足親指爪の右側に内出血(同上)
・右足首に軽い靴擦れ(同上) → 一晩経過したら水ぶくれと化した
・腕・肩関連の筋肉痛(杖を駆使したため)
・足もそれなりに筋肉痛
・右手首外側と首の後ろに日焼け

いずれも軽傷/軽症であり、日常生活には全く支障無し。上4つは右膝をかばって無理な力がかかったのが原因だ。5〜6番目も似たようなものか。7番目は、帽子と服と軍手に覆われていなかった部分がピンポイントで焼けた。そーいえば高山病らしき症状は全く無かった。2486mという高度には十分に適応できるようだ。フジヤマは3776mなのでどうなるか分からないが。

●右膝の処遇

とっとと病院に行ってこよう。場合によっては整骨院や鍼治療も検討すべきかと。あの凄まじい激痛も、恐らく明日には完全に消える。以後、日常生活(階段昇降含む)には何ら支障が無い。従って、膝に水が溜まっているといった類の大袈裟な事態にはならないと思う。

だが、山に行くたびにあれほどの激痛に襲われるのは何とかしなければならぬ。遅れることでメンバーに迷惑をかけるし、自分も激痛に苛まれる。このままではフジヤマの下りで再発するのが目に見えている。登りはまだ誤魔化せるが、下りはヤバすぎる。


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