後方羊蹄山登山



●概要

・倶知安(比羅夫)コース往復
・単独
・日帰り(7:45登山開始、14:57下山完了)
・最高点である後方羊蹄山(1898m)に登頂

●動機、感想

後方羊蹄山登山の動機
後方羊蹄山登山の感想

●登山日記:目次

日付概要
2011.8.27(Thu)函館経由で倶知安へ!
2011.8.29(Sat)後方羊蹄山登山
2011.8.30(Sun)札幌経由で東京に帰還


後方羊蹄山登山の動機

後方羊蹄山(しりべしやま、こうほうようていざん)とは、北海道南西部にある日本百名山の一つである。標高は2000mに満たないが、その美しく堂々とした山容から蝦夷富士と呼ばれている。とはいえ、北海道の他の百名山から離れた位置にあり、かつ主要都市からも離れている(函館から3時間、札幌から2時間)。従ってタイパー登山部のメンバーで登ることは恐らく無いだろう。一方、タイパー登山部が分担して百名山を登るという観点からすれば、函館と札幌に拠点を持つ筆者が登っておくのがリーズナブルと考えた。今回は夏休みを利用して函館と札幌を旅行したついでに、ほぼ中間点にある倶知安に寄り、後方羊蹄山に登頂した。


2011.8.27(Sat)

函館経由で倶知安へ!

前日に実に慌しく準備を終え、6:40の飛行機に乗って夫婦で函館へ向かった。登山装備は夏の富士山装備と同様である。結果的に雨具とストック、アイシング用具、三脚は使わなかったが、アクシデントに備えてこれらの準備は欠かせない。

函館には8時過ぎに到着し、市バスと市電を乗り継いで祖母宅に向かう。8月下旬にしては日差しが強く暑かったが、湿気は少なく、東京の狂ったような蒸し暑さとは無縁である。以後、寿司や懐石料理を堪能したり、金森倉庫群や大沼公園(遊覧船、散策)を観光したりしつつ2日間の滞在を楽しんだ。そして28日夕方、いよいよ倶知安に向けて出発した。

カニ三昧♪大沼公園の遊覧船から駒ケ岳を望む

函館から長万部まで1時間17分。長万部で乗り換えて倶知安まで1時間45分。長万部以降は2両編成の車両であり、しかもほとんど乗客がいない。4人掛けのボックス席を夫婦で占領し、ゆったりと過ごすことができた。

倶知安着が21:31。予想はしていたが既に開いている店が1軒もない。タクシーもいなかったら2km歩いてホテルに向かうつもりだったが、幸いなことにタクシーが見つかった。宿泊先はくっちゃん温泉 ホテルようてい。到着後、翌日の登山口までの送迎を手配し、温泉に入ってゆっくり睡眠〜♪ ちなみに温泉もほぼ独占状態で、無茶苦茶快適でした!


2011.8.29(Mon)

後方羊蹄山登山

この日は夫婦で別行動とした。即ち、筆者は後方羊蹄山に登り、妻は温泉を満喫する。筆者は7:25にホテルの送迎車に乗せてもらって倶知安コースの登山口へ。本当はもっと早く出発したかったが、ホテルの朝食が7:00開始なので仕方ない。標準的なコースタイムが往復10時間とのことなので、日没までには下山できるという見通しを立てた。

ちなみに、倶知安駅からバスを使って「羊蹄登山口」バス停まで到達し、そこから徒歩で登山口に向かうという選択肢もあった。だが、ホテルから倶知安駅まで2kmあり、徒歩だと30分を要する。駅周辺で朝食を入手できる当てもないことから、ホテルの送迎車を利用するのが最善と判断した。

登山口はテント場を兼ねており、5張りほどのテントと5台ほどの車があった。しかし雲取山とは異なり、混雑とは無縁である。天候は晴れ時々曇りといい感じで、朝の山は清々しい!

比羅夫登山口清々しい林道!

●登山:予定と実績

予定実績高度場所
8:007:45350m登山口
8:10???m風穴
8:23600m二合目
8:41700m三合目
10:008:52800m四合目
9:141000m五合目
11:009:361200m六合目
10:021400m七合目
10:261600m八合目
12:0010:411700m九合目
12:3011:051844m北山
13:0011:251898m山頂

●登山

登山口からしばらくの間はほぼ直線であり、傾斜も緩い。登山というよりも森林浴だ。準備運動のつもりで、ゆっくりと歩く。やがて少しずつ傾斜がきつくなり、風穴と書かれた場所に到着した。残念ながら、近づいてみても風は感じられなかったが。なお、スタート時点では長袖シャツと帽子を装備していたが、すぐに暑くなった。日差しを浴びる場所も限られていたため、即座にザックに放り込まれることとなった。

風穴らしきもの二合目は休憩に最適

二合目には休憩に適した切り株があった。小休憩を取りつつ、三合目、四合目と順調に到達した。なお、Web上からダウンロードした地図には「四合目半」なる場所が記されていたが、結局それを見つけられないまま五合目に到達してしまった。

三合目は林の中四合目も林の中

五合目から先は、滑りやすい土の道だった。大雨の時に水の通り道になったような道だ。蜂や虻、蝿といった虫どもにも閉口した。奴らは眼鏡と耳を狙って飛んでくるとしか思えない。眼鏡の外側にしつこく止まり、耳のそばでしつこく羽音を立てまくる。ま、それだけ自然豊かだということだろう。

五合目も林の中六合目も林の中

なお、登山中に出会った人は10人に満たなかった。そのうち登りの人は1人だけで、他の人はすべて下山中だった。恐らく、避難小屋に前泊して山頂で御来光を拝み、下山してくる人たちだろう。一方、火口をお鉢巡りをしている人は計15人ほどいた。また、下山中に会った人はさらに少なく、計5人くらいだった。

七合目。樹木がトンネルのようだ八合目。樹木の丈がだいぶ低くなった

七合目付近で、シマリスを見かけた。下山途中にも九合目の下と七合目付近で見かけたが、残念ながらカメラを向ける前に草の中に姿を消してしまった。

八合目までは、たまに見晴らしの良い場所に出るものの、基本的に林の中か、樹木のトンネルを抜ける感じである。特に六合目〜八合目の区間は距離も長く、ややへばり気味だった。だが、八合目〜九合目の区間は距離が短く、比較的楽だった。九合目になってようやく森林限界に達したらしく、一気に見通しが良くなった。後方羊蹄山の爽快感を満喫できるのはここからだ。

九合目。ようやく森林限界爽快感を満喫できるルート

まずは標識に従い、避難小屋や旧避難小屋跡には向かわず一直線に山頂を目指す。やや雲が出てきたこともあり、そしてデジカメの電池が切れかかっていたためほとんど写真を撮らなかったこともあり、ほとんど休憩せずにひたすら登り続けた。

標識は大変分かりやすいここからお鉢巡り開始!

火口のふちに到着したのが11:00頃だった。ここから最高点を目指し、お鉢巡りを開始した。まずは北山と呼ばれるピークにあっさり到達! その後も快調に足を進める。京極ピークとやらは面倒なのでスルーしたが、最高点である喜茂別ピーク(後方羊蹄山山頂)にはあっさりと到達した。ちょうど岩の上にカメラをセットして写真を撮ろうとしている人がいたため、「写真撮りましょうか」と声をかけてお互いに写真を撮影した。単独登山だったので三脚を用意していたが、幸運なことに結果的に不要だった。

後方羊蹄山に登頂!最高点付近から火口を見下ろした図

その後、反対側(真狩ピーク方面)から団体さんが続々と登ってきた。そこで、火口側に少し降りて平らな岩の上に場所を確保し、雄大な火口を眺めながらしばし休憩した。少し早めの昼食はウィダー1個と水のみ。ちなみに、登りでかなり消耗したため、持参した水1.5リットルのうち1.0リットルがここまでになくなっていた。もう少し余裕を見て2.0リットル持参した方が良かったかもしれない。

●下山:予定と実績

予定実績高度場所
13:0011:351898m山頂
14:0012:441700m九合目
12:541600m八合目
13:091400m七合目
15:0013:271200m六合目
13:401000m五合目
16:0013:58800m四合目
14:12700m三合目
14:24600m二合目
14:37???m風穴
17:3014:57350m登山口

●下山

昼食(というよりも行動食)後、即座に下山を開始した。真狩ピークと思われる場所を通過しつつ、お鉢巡り後半に入る。前半が富士山のお鉢巡りと同様の楽な道だったため、後半も大したことはないだろうと軽く考えていた。しかーし! 急峻な岩場が連続し、バランスを崩したら火口の底まで転落しそうな場所もあり、意外と気を抜けなかった。巻き道を行くのかと思いきや、岩の上を歩く場所もあった。また、巻き道が正解ルートと分かっていたが、登り返しが面倒なので岩の上を直進したこともあった。この岩場を抜けるのに約30分を要した

眼下には洞爺湖が!お鉢巡り後半は岩場の連続

ようやく岩場を抜けると、眼下の洞爺湖を眺めながらのんびりと食事中の老夫婦に出会った。地元の方であり、後方羊蹄山を含む周辺の山々に時々登っているとのことだった。しかも、有機農法で栽培したキュウリをご馳走になった。登山中のキュウリが美味い上に栄養補給にもなることは漢拏山で実感済みだが、それにしてもこのキュウリは格別の味だった。筆者もとっととアーリーリタイアしてこのような人生を歩みたいものだ。60歳になっても70歳になっても登山を継続するのは素敵なことだと思う。もっとも、彼らの地元では過疎化が進んでおり、綺麗事だけでもないらしい。

岩陰にひっそりと咲く高山植物旧避難小屋跡。DQ8の隠しダンジョンの入口みたいだ

九合目付近にある避難小屋には結局行かなかった。お鉢巡りの途中にそれらしい建物は見えたが、一旦下りたら登り返す気にはなれそうになかったためだ。そこで、お鉢巡りを継続し、旧避難小屋跡を通過して比羅夫コースの下山路に向かった。九合目までは特に眺望が良く、非常に快適な下山だった。既に山頂での撮影を済ませ、デジカメの電池の残量を考える必要もなくなったため、心置きなく写真を撮りまくった。

火口を振り返るナナカマドっぽい植物の群生地

九合目付近で、登山中の家族連れに出会った。先行する子供2人に道を譲ろうとして谷側に寄ったところ、少しバランスを崩して滑落しそうになった。同じことが漢拏山でもあったような。

七合目付近。植生が復活してきた五合目付近から。山の西側はのどかな農村地帯

その後は何度か転倒したり、膝に違和感を覚えたりしつつも、淡々と下山を続けた。七合目と四合目、二合目で小休憩を取っただけで。後は単純作業を延々と続ける感じだった。五合目を境に、傾斜が緩くなり、滑る場所が少なくなったように感じた。しかし膝の疲労がかなりキていたため、慎重に下山を続けた。

当初は登山口到着を17:30と想定してその時間に送迎車を手配しておいた。だが、二合目到着時点で14:23だったため、ホテルに電話して15:00に変更してもらった。ちなみに二合目の時点でauの携帯はバッチリ通じた。風穴を過ぎてしばらく行くとようやく直線コースに戻ってきたため、以後はかなり楽だった。最後の方では一気にペースを上げ、登山口には14:57に到着した。

…… …… ……

ホテルに戻り、まずは温泉で汗を流した。温泉重視で選んだホテルだけあって、素晴らしく快適だった。夕方から夜にかけては日帰り入浴の客で混雑することもあるらしいが、筆者が入っている間は他に2人いただけだった。露天風呂からは後方羊蹄山の勇姿をバッチリ拝むことができた

釜飯が猛烈にうまかった部屋の広さはアメリカの宿並み

夕食は釜飯! 他にはカレーやうどん、そば等のメニューが並んでいたが、ひときわ異彩を放っていたのがこの釜飯だ。準備に30分かかるとのことだったため、予約しておいた。そして実にうまかった! 北海道最高!


2011.8.30(Tue)

札幌経由で東京に帰還

朝食後に送迎車で倶知安駅まで送ってもらい、その後小樽経由で札幌に移動した。今回選択したのは
白い恋人パークだ。これは妻の希望であり、製作体験を楽しんだり、近所で名物らしいスープカレーを食してみたり。その後は少し時間があったので北海道大学内をテキトウに散策していた。クラーク像やポプラ並木を見物したり、ソフトクリームを賞味してみたり。そして夕方の飛行機で東京に帰還した。

大変絵心のある(笑)白い恋猫札幌名物らしいスープカレー


後方羊蹄山登山の感想

最後に今回の収穫と反省をまとめて記しておく。

●今回の収穫

後方羊蹄山に予定通り登頂した。2週間後に迫った剱岳(早月尾根コース)向けのトレーニングとして、必要十分な負荷を与えられたと評価する。

今回は日帰りであり、しかも出発が7:45とやや遅めだったが、素早く行動したことで余裕を持って登頂・下山できた。

膝回りの痛みに関しては、まず登山序盤(四合目付近)で左足のひらめ筋のあたりに違和感を覚えた。また、下山で無理な動きを繰り返したため、左膝にかすかな痛み、右膝に笑う感じがあった。しかし本格的な痛みに変わる前に下山を完了した。従って、念のため持参した杖やアイシング用具は結局使わなかった。毎日欠かさず継続した膝トレーニングの効果が出ていると言えるだろう。但し、下山翌日から3日程度は太ももとすねに筋肉痛が残った。

次に食料について。今回もウィダーインゼリーと粉末Pocariが非常に役立った。筆者は高山病が出ると食欲が失せるため、固形物を受け付けなくなる。このため、ウィダーを計3個持参した。これはミネラル補給としても極めて有効だった。粉末Pocariの効果もてきめんだった。もっとも、今回は高度が2000mに満たないため、高山病とは無縁だったのかもしれない。

また、前回の反省を活かし、直射日光の当たる場所では帽子を装備した。このため、下山後に微頭痛に悩まされることもなかった。

●今回の反省

危険度が高いものから挙げていく。

まず、休憩を十分に取っていないこと。登りでは、○合目と書かれた場所で2分程度小休憩し、軽く呼吸を整えただけで先に進むことが多かった。背景には、天候が悪化しつつあったことが挙げられる。それに、飲み物を飲むだけならその場で少し立ち止まってザックのペットボトルポケットから取り出せば良いので、腰を下ろして休憩する必要が無かった。下りでは、腰を下ろして休憩できる場所が限られていたため、大休憩を取ることはほとんどなかった。満足に休憩したのは二合目だけだったと思う。

地図をろくに見ていないのも改善すべきだ。もっとも、今回はルートがはっきりしており、ガスに巻かれることも無く、迷う要素が無かったのは幸いだった。

●総括と今後

後方羊蹄山に再び登ることがあるとしたら、今回とは違うルート(真狩コース、喜茂別コース、京極コース)で登りたい。もっとも、北海道の他の百名山(例:利尻山、トムラウシ山)には全く登っていないので、そちらを優先することになるだろう。


登山ページに戻る
トップページに戻る