富士登山6回目



●概要

・5人パーティ(れえる、れえるの友人3名、筆者)
・吉田口零合目(富士山駅)発着
・1泊2日(徹夜)
・悪天候のため、吉田口山頂まで。日本最高点到達やお鉢巡りは断念

●動機、感想

富士登山の動機
富士登山の準備
富士登山の感想

●登山日記:目次

日付概要
2015.9.5(Sat)富士登山1日目 〜八合目東洋館まで〜
2015.9.6(Sun)富士登山2日目 〜吉田口山頂に登頂、吉田口零合目まで下山〜


富士登山の動機

筆者にとって、富士登山は六度目である。今回は、2012年の
吉田口(一合目からの往復)をベースに、さらに極めて零合目からの往復をテーマとした。

富士山駅の標高は809mであり、2週間前に登った御殿場口の新五合目(1440m)よりもさらに低い。吉田口山頂との標高差は約2900mもあり、チャレンジングなルートだ。

本来は、ここ数回の登山で条件として付与している公共交通機関のみを使用して日帰りという要素を組み込みたかった。だが、標準コースタイムやここ数回の登山の実績を勘案すると、順調に進行した場合でも登り8時間、下り6時間はかかることが想定された。何らかのアクシデントがあれば即失敗であり、ぶっつけ本番で挑むのはリスクが大きすぎると考えた。一方、れえるがちょうど同じ時期に吉田口零合目からの往復を弾丸登山で決行しようとしていることを知り、練習としてこのプランに乗ってみた。


富士登山の準備

●日程

今回はれえると彼の友人3名を含む5名パーティである。必然的に、日程は土日に限定される。当初は8/29-30の土日に予定していた。だが、天候の悪化が予測された(天気図を参照したところ低気圧2つに前線!)ため翌週に延ばした。9月に入ったため、学生の夏休みも終了し、登山者は少なくなるだろうという見通しを立てていた。この見通しが激甘だったことを、後で嫌というほど思い知らされることになる。

富士山駅までは、都内から出ているバスを利用した。もちろん、乗り換えの手間を省き、移動中に睡眠時間を確保するためだ。

●装備・持ち物

2012年の挑戦時と同様。水は2.5リットル持参した。前回よりも1.0リットル多い。不足分は山小屋で買えば良いとはいえ、9月に入った上に夜間行動が多く、スムーズに買えるとは限らないと考えたためだ。高山病対策や傷口洗浄用も踏まえて、ある程度の余裕を持つことは欠かせない。

●高山病対策

「事前に十分な休憩を取らず、夜通し登山すること」を弾丸登山と言うらしい。今回は零合目から登るとはいえ、特に五合目までは短時間で高度を上げるわけだから、高山病の危険性は変わらないと考えた。

そこで、高山病対策として、頭痛薬「バファリン」を持参した。筆者の過去の富士登山では、行動を続けている限り高山病の症状は頭痛だけで済んだ。吐き気や下痢、悪寒といった症状が追加されるのは、山小屋で横になった時だ。そこで、頭痛が出た時点で(目安として七合目)頭痛薬を投与して頭痛を封じ込める。その後体調を見ながら一気に日本最高点まで到達し、即下山すれば、高山病そのものを抑え込めるという見通しを立てていた。この対策が効かなかった場合は、言うまでもなく即下山するしかない。また、他に下山を決断する条件として、「天候が悪化した場合」「ペースが遅すぎる場合」を検討していた。

●訓練

2週間前の御殿場口日帰りがとても良い訓練になった。足の筋肉の訓練に加えて、高度順応の獲得という点でも、富士山に短期間で連続して登ったのは良かったと思う。


2015.9.5(Sat)

富士登山1日目 〜八合目東洋館まで〜

●登り1(五合目佐藤小屋まで):予定と実績

場所高度前回予定実績コメント
富士山駅810m16:0016:00 
浅間神社 5:5016:3016:36付近のコンビニに寄る
中の茶屋1100m6:5217:3017:33休憩5分
一合目(馬返し)1450m7:4818:3518:19休憩7分
二合目1700m8:3419:1518:53 
三合目1840m8:5819:4519:08 
四合目2000m?9:1520:1519:23休憩3分
五合目佐藤小屋2230m10:1521:1519:58休憩77分
五合目佐藤小屋発2230m10:1521:1521:15 
五合目河口湖口発2300m12:40 
六合目2400m13:1821:5521:42 
七合目花小屋2700m14:4122:5522:33 
八合目東洋館2900m16:22/23:000:2523:43 

※高度はビミョウに違うかも。以下同様
※前回は五合目佐藤小屋→五合目川口湖口→吉田口六合目と進行した。今回は直接六合目に登った。

※前回とは、2012.7.7の実績を指す。
※高度はビミョウに違うかも。以下同様
※時刻は腕時計で計測。デジカメのファイル作成時間も参考とした。

●富士山駅(809m)〜馬返し(1450m)

富士山駅まではバスの中で2時間ほど睡眠をとっておく。次に眠れるのは帰りのバスであり、約24時間後だ。富士山駅でれえると合流し、うどんを食べて腹ごしらえ。本来は浅間神社16:30発の予定だったが、富士山駅から浅間神社までは徒歩20分程度とのことなので、歩いていくことにした。ついでに富士山駅付近にある金鳥居を撮影してみたり。

腹ごしらえのうどん金鳥居

浅間神社まではなだらかな車道を登っていく。途中にコンビニがあるだろうと考えていたが、何と1軒も見当たらない。仕方なく、浅間神社の少し先まで歩く。往復10分程度のロスとなったが、ここでおにぎりと水を調達しておいた。次回は富士山駅なり自宅付近なりで買っておくべきか。

浅間神社吉田口遊歩道

浅間神社の境内を通過し、吉田口遊歩道に入る。開幕は速度を抑え、れえるといろいろ会話しつつまったりと進む。前回はこの辺からペースを上げすぎたという反省もあった。だが、中の茶屋が意外と遠い。やや不安になってきたため途中で少しペースを上げたところ、10分後に中の茶屋に到着した。

中の茶屋。意外と遠かった馬返しに着く頃には真っ暗

また、馬返しに向かう途中に日没を迎え、次第に暗くなってきた。既に9月であり、日没が18:10頃まで早まっている。このため、ここでもややペースを上げた。その結果、暗くなる直前に馬返しまで到達した。それでも、前回ほどオーバーペースではないため、体力的にキツくなることも無かった。

なお、五合目佐藤小屋までの装備は速乾性Tシャツ2枚で充分だった。そこから先はそうはいかなかったが。

●馬返し(1450m)〜五合目佐藤小屋(2230m)

馬返しにはその名の通り、馬止め用と思われる柵が設けられていた。練達した馬術の持ち主なら柵を飛び越えたり横をすり抜けたりできそうな気もするが、この先も登り続けるとどこかで馬がへばってしまうだろう。

馬返しから先は、ヘッドランプを点灯して進む。二合目までは意識的に速度を上げてみた。前回と違って夜間なので、トレイルランナーに遭遇することも無い。だが、想定外のタイムで次々と目標タイムをクリアしていったため、少しずつ速度を落とした。二合目から先は、れえるに先頭に立ってもらった。なお、筆者のヘッドランプの電池が二合目で切れた。また、ヘッドランプ自体も旧式のものであり、れえるのLEDランプと比較すると雲泥の差だ。お陰で足元が見えず、数回転倒した。他に転倒しかけたことも何度もあった。三合目の直前では水たまりにまともに突っ込み、靴下を濡らすことになった。

四合目で適度な休憩を取りつつ、五合目(佐藤小屋)に到着した。佐藤小屋には富士山駅から4時間以内に到着した。前回のタイムを大幅に上回っている。それに、ここから先はれえるの友人たちに合わせてゆっくり登るため、全く心配していなかった。正直、この時点で、今日の仕事は終わった!という感想すら抱いていた。実際には、決してそのようなことはなかったのだが。

佐藤小屋で1時間超の休憩

佐藤小屋ではカップラーメン(400円)で補給。キュウリのサービスまでついた。ありがとうございました! なお、少し早めではあるが、この時点で頭痛薬「バファリン」を2錠投与しておいた。落ち着いて投与できるのはここが最後だと考えたためだ。そしてこの判断は正しかった。

●五合目佐藤小屋(2230m)〜八合目東洋館(2900m)

21:15になり、れえるのお友達3名(Sさん、Tさん、Nさんとする)と合流した。だが、この時点で気温が10度まで低下していたのに加えて、1時間を超える休憩により体が冷えきっていた。外に出た瞬間、ガタガタブルブルと全身に震えが来た。夏山用フリースを装備してもまだ寒い。慌てて準備運動を開始しつつ、一旦トイレに避難する。ダウンを着用すべき寒さとは思えなかったため、素早く行動を開始した。

しばらくの間は、Sさんに先頭に立ってもらい、まったりペースで進む。幸いなことに、5分も登り続けると全身の震えは消えた。かえって暑くなり、夏山用フリースを装備解除したくらいだ。

吉田口の七合目では、少し歩くと次の山小屋に到着するため、休憩箇所が多い。基本的に、すべての山小屋で休憩していた。五合目までがややオーバーペースだったこともあり、筆者にとっては休憩を兼ねて登っているようなものだった。但し休憩も10分を超えると一気に冷えてくるため、温度調節が難しい。七合目花小屋では気温が8度まで低下していた。

八合目東洋館には23:43に到着した。予定を42分上回っており、極めて順調だ。パーティ全員の体力も問題なさそうだ。今回の登山はほぼ成功であり、後は日本最高点を含むお鉢巡りを完遂できればいいなー、などと甘い見通しを立てていた。ところが!


2015.9.6(Sun)

富士登山2日目 〜吉田口山頂に登頂、吉田口零合目まで下山〜

●登り2(山頂まで):予定と実績

場所高度前回予定実績
八合目東洋館発2900m16:22/23:000:250:00
本八合目トモエ館3400m0:542:252:44
八合五勺3500m1:412:553:05
九合目3600m2:333:253:59
吉田口山頂3720m3:153:554:51

八合目以降は渋滞が激しくなった。進みたいのに進めない。加えて、ご来光目的の登山者が各山小屋から大量に吐き出されてくるため、進めば進むほど渋滞が激しくなる。本八合目の富士山ホテルからトモエ館までのわずかな区間で18分を要した。これではご来光に間に合わないのではないかと思った。また、八合目でれえるとお友達とはぐれてしまった。渋滞中に割り込まれまくったのと、休憩のタイミングを共有できなかったためだ。筆者は基本的に休憩を取らずに進んだため、最終的には大きく引き離すこととなった。

九合目から上では転倒したり、這って進んだりと醜態を晒した。シャリバテなのかスタミナ切れか、酸素が薄いためか、はたまた眠いためか、足に力が入らない。この区間になると山小屋の人が交通整理をやっていた。早く進みたい人は右側、ゆっくりで構わない(というか速く登れない)人は左側として、前の人が進んだら確実に間を詰めるようにとの指示だった。筆者は最初のうちは右側を進んでいたが、足が上がらなくなってきたと自覚してからは左側に退避した。足が上がらなくなったのは、酸素の薄さもあるが、基本的には睡眠不足とトレーニング不足が原因だ。それでも4:51、日の出の直前に、吉田口山頂に到達した。

日の出は5:20頃であるため、しばらくの間は吉田口山頂に留まる。ご来光を待つとともに、れえるとお友達3名が追いついてくるかもしれないと考えたためだ。その結果、5:15頃にはご来光を鑑賞できた。とりあえずご来光の写真だけ撮影しておく。吉田口山頂の石碑の周辺は人でいっぱいであり、撮影する気も起きず。この撮影まで30分ほど吉田口山頂付近でれえる部隊を待っていたが、追いついてこなかった。

凍える中、御来光

混雑はますます激しくなり、体も冷えきっていたため、ご来光の写真撮影がまだピークにあるうちに付近の山小屋に入って熱い味噌汁を投与する。一杯600円の投資で、冷えきった体が中から温まった。なお、この時点でれえるの携帯に何度か連絡したが、通じなかった。

熱い味噌汁を飲み終えて外に出ようとした頃には、山小屋前に長蛇の列が形成され始めていた。というのも、天候が急速に悪化してきたためだ。濃霧に加えて、雨も降り始めた。気温も氷点下になろうかという低さだ。このまま外で動かずに待っていては、レインウェア+ダウンでも危険だ。冗談ではなく凍死すると直感した。となれば、速攻で下山するのが唯一の選択肢だ。日本最高点もお鉢巡りも即座に諦め、全力で下山を開始した。

●下り1(六合目まで):予定と実績

場所高度前回予定実績コメント
吉田口山頂3720m4:425:555:37 
本八合目富士山ホテル3400m6:167:055:58 
七合目公衆トイレ2550m7:168:256:47 
六合目2400m7:489:107:05 

※前回とは、2012.7.8の実績を指す。
※高度はビミョウに違うかも。以下同様
※時刻は腕時計で計測。デジカメのファイル作成時間も参考とした。

2週間前の大砂走りの効果もあり、吉田口下山道の砂走りにも対応できた。後ろにそっくり返る姿勢を保ち、膝で制動をかけつつ、腹筋を駆使して下っていく。滑っても尻餅で済むので問題無い。団体さんを華麗に抜き去りつつ、人がいなくなったらどんどん攻める! 途中で天候がある程度回復し、暑くなってきたため、ダウン、雨具下を相次いで装備解除した。

長居は無用。全力で下山天候が回復し、危機を脱した

7:05には六合目まで下ってきた。ここまで1時間28分と、悪くないペースだ。ここでようやくれえると連絡が取れた。無事に下山中とのことで一安心だ。六合目で合流することとし、しばらく待ち。

さくさくっと六合目まで下る富士五湖らしき湖も見えた

●下り2(零合目まで):予定と実績

場所高度前回予定実績コメント
六合目発2400m7:489:159:38 
五合目佐藤小屋2230m8:239:429:53 
四合目2000m?9:0610:3010:18 
三合目1840m9:1910:5410:30 
二合目1700m9:3911:1810:42 
一合目(馬返し)1450m10:1211:5411:13休憩12分
中の茶屋1100m12:4211:50休憩18分
浅間神社 13:3012:53休憩3分
富士山駅810m13:16 

結局、お友達の一人が腰を痛めたとのことで、9:30まで待ったが合流できず。電話で相談した結果、れえるは河口湖口五合目からバスで下山することとなった。筆者は当初予定通り零合目を目指す。

六合目の気温は推定10度弱。休憩中はダウンを装備していたが、全身が冷えきっていた。準備運動を行い、体をある程度温めてから出発する。

四号五勺で休憩を入れた。ようやく気温が上がってきたため、六合目の待ち時間で装備したダウン、フリースを装備解除する。天候は小雨から霧雨に変わっていた。樹林帯の中を歩く分には大変気持ち良い。

その後も時々小休憩を入れつつ、馬返しまで1時間30分弱だった。

樹林帯をまったりと登りでハマったと思われる水たまり

一合目は近い中の茶屋の手前。遊歩道を進む

馬返しでは冷たいお茶とぶどうの接待を頂いた。また、富士登山証明書なるものを申請できるとのお話も。

中の茶屋到達時点で気温は19度まで上がっていた。ほうじ茶を頂いたり(ついでに約半日ぶりのトイレも済ませた)しつつ、富士山駅まで約2時間で到達した。

浅間神社まで戻ってきた富士山駅までは舗装道をひたすら進む

富士山駅で、富士山登山認定書を頂いた。山頂の写真が必要とのことだったため、デジカメで撮影したご来光の写真を提示した。

富士山駅到着! 締めもうどん!富士山登山認定書


富士登山の感想

●今回の収穫

吉田口零合目からの往復を完遂した。

高山病対策はほぼ完璧に機能した。五合目の夜食の際に投与したバファリンのお蔭で、最も辛い症状である頭痛をほぼ完全に封じ込めた。さらに、その後素早く山頂に到達し、長居せずに素早く下山したことで、他の症状は全く出なかった。

膝の痛みに関しては、今回もほとんど出なかった。登りでも下りでも、違和感を覚えることすら無かった。毎日の膝トレーニングの効果が出ていると言えるだろう。

装備・持ち物は特に問題なし。また、日焼け止めが期待通りの効果を発揮し、露出していた部分の日焼けはほぼ完璧に抑え込んだ。

●今回の反省

パーティから離脱したこと。

ヘッドランプ買い替え要。

筋肉痛は当日から出ていた。太ももを中心に。というよりも馬返しからの徒歩区間で既に足が痛かった(転倒による臀部へのダメージとか)。また、ザックを背負い続けたことにより右肩も痛かったが、これは負荷がなくなったら消えた。

翌日は主にすね。ふくらはぎは翌々日かな。と思ったら出なかった。太ももとすねの筋肉痛がそのまま残っただけ。

●総括と今後


登山ページに戻る
トップページに戻る