富士登山5回目



●概要

・単独
・御殿場口新五合目発着
・日帰り(公共交通機関のみ使用)
・日本最高点に三度目の到達。お鉢巡りも7年ぶりに実行

●動機、感想

富士登山の動機
富士登山の準備
富士登山の感想

●登山日記:目次

日付概要
2015.8.22(Sat)富士登山 〜御殿場口日帰り〜


富士登山の動機

筆者にとって、富士登山は五度目である。2008年には
須走口、2009年には富士宮口、2012年には吉田口、2013年には御殿場口から登頂した。但し、特に2年前の御殿場口では中盤でシャリバテからへばってしまい、大幅減速という醜態を晒した。従って、対策を万全にした上でリベンジしたかった。また、翌週には吉田口ゼロ合目からの往復を決行する予定であり、そのための事前訓練という目的もあった。

御殿場口ルートは登山口(五合目)の標高が約1440mと最も低いため、特に初心者からは敬遠されている。このため、夏休み中の土曜日であっても混雑は軽微であり、自分のペースで快適な登山が楽しめると考えた。

さらに、前回と同様、公共交通機関のみを使用して日帰りという要素を組み込んだ。自家用車やバイクで新五合目に到達し、夜明け前から登り始めて日帰りする人は多いようだ。だが、公共交通機関のみを使用する場合は時間制限がのしかかってくる。御殿場駅と御殿場口新五合目を結ぶバスは、始発に乗っても登山口に8:15着である。終発は登山口18:05発なので、9時間50分以内に戻ってこなくてはならない。なお、これは夏季の登山シーズンに限った話である。他の季節では始発が遅く、終発が早くなるため、さらに時間制限が厳しくなる。


富士登山の準備

●日程

今回は思い立ったのが決行2日前の20日(木)である。登山計画は2年前のものを流用した。もちろん電車やバスの時刻に関しては最新の情報を再確認した。また、前回は下山後に妻の実家に向かったのに対して、今回は自宅に戻る。この辺を勘案して、マイナーチェンジを加えた。

なお、始発バスに乗るには御殿場駅に7:35までに到着する必要がある。これは、自宅からでも始発に乗れば間に合う範囲であり、新幹線を使う必要も無い。また、他の登山口と違って、混雑により始発バスに乗れない可能性はほとんど無いと予測していた。

日帰りできなかった場合の対策は、深く考えていなかった。標準コースタイムは登り7時間30分、下り3時間である。これに日本最高点往復1時間(写真撮影待ち行列含む)を加えると11時間30分。一方、日帰りを成功させるには、9時間50分で戻らなくてはならない。つまり1時間40分、約15%短縮すれば良い。高山病さえ出なければ、このタイムを達成する自信はあった。また、2年前の経験により、多少の遅れは大砂走りで取り戻せると分かっていたのも大きかった。

●装備・持ち物

前回挑戦時と同様。同じ条件で、自分がどれだけ成長したか(あるいは退化したか)を確認したかった。例えば、前回挑戦時にあった方が良かったと思った「ストック」「スパッツ」は敢えて持参しなかった。

一方、水は2.8リットルに留めた。前回よりも0.2リットルだけ少ない。不足分は山小屋で買えば良いとはいえ、ややギリギリだったかもしれない。高山病対策や傷口洗浄用も踏まえて、ある程度の余裕を持つことは欠かせない。

●高山病対策

「事前に十分な休憩を取らず、夜通し登山すること」を弾丸登山と言うらしい。御殿場口日帰りは、「事前に十分な休憩を取り、昼間に登山すること」なので、弾丸登山には該当しないのだろうか。確かに夜間行動は無くなる。だが、高山病の危険性は変わらないと考えた。

そこで、高山病対策として、頭痛薬「バファリン」を持参した。筆者の過去の富士登山では、行動を続けている限り高山病の症状は頭痛だけで済んだ。吐き気や下痢、悪寒といった症状が追加されるのは、山小屋で横になった時だ。そこで、頭痛が出た時点で(目安として七合目)頭痛薬を投与して頭痛を封じ込める。その後体調を見ながら一気に日本最高点まで到達し、即下山すれば、高山病そのものを抑え込めるという見通しを立てていた。この対策が効かなかった場合は、言うまでもなく即下山するしかない。また、他に下山を決断する条件として、「天候が悪化した場合」「ペースが遅すぎる場合」を検討していた。

●訓練

特に実施せず。本当は実施したかったのだが、残業、育児、悪天候等に阻まれ続けた。むしろ、今回の富士登山を来週予定している「吉田口ゼロ合目からの弾丸登山」の訓練と位置付けていた。


2015.8.22(Sat)

富士登山 〜御殿場口日帰り〜

●登り:予定と実績

場所高度前回予定実績コメント
新五合目1440m8:158:208:21 
次郎坊1900m9:039:059:12通過
六合目小屋2590m10:2710:2510:28休憩6分
七合目日ノ出館3030m11:5011:4011:27休憩5分
赤岩八合館3300m12:5112:4012:07休憩24分
見晴館3400m13:3413:3012:46休憩2分
御殿場口山頂3720m14:4214:3513:42休憩4分
日本最高点3776m15:1215:1014:17写真撮影待ち行列19分

※前回とは、2013.8.30の実績を指す。
※高度はビミョウに違うかも。以下同様
※時刻は腕時計で計測。デジカメのファイル作成時間も参考とした。
※六合目小屋、日ノ出館、見晴館は閉鎖されていた。

●新五合目(1440m)〜六合目小屋(2590m)

電車とバスを乗り継いで、新五合目には予定通り到着した。同じ日に自衛隊の火力演習場の見学ツアーがあったらしく、電車では1時間立ちっぱなし。御殿場駅も大混雑で、7:35の始発バスに乗れないのではないかとマジ焦った。だが結局、御殿場口から登ろうという酔狂な人は20人もいなかった。しかも約半数は外国人だった。なお今回は、前回の失敗(シャリバテ)を踏まえ、空いた時間でおにぎりを3個ほど食しておいた

準備運動をしたり日焼け止めを塗ったりした後、8:21に登山口を出発した。高度は約1440mで、2012年に登った吉田口一合目(馬返し)とほぼ同様だ。

御殿場駅から見た富士山御殿場口から見た富士山

砂礫の道を、やや速度を落としつつ着実に進む。やがて見えてきた大石茶屋では2分だけ休憩を入れた。日焼け止めを塗り漏らしたところに塗り直した。また、今回唯一新たに採用したアイテム、メガネストッパーを装備した。これは眼鏡が次第に緩くなってきたことに伴い、ランニングや登山の時に限り装着するようにしている。汗をかいた時や激しい運動をした時に、眼鏡がずり落ちるのを防ぐことができ、重宝している。

引き続き、次のチェックポイントである次郎坊を目指す。御殿場口は山の東側であるのに加えて、高度が低い割に樹林が少ない。従って、午前中は直射日光を遮る物が無く、日に焼かれ続ける。日焼け止めは必須だ。

砂礫の道をまったりと七合目へ約4時間

登山開始から9分後、「七合目へ約4時間」の看板を見た。前回と違って、そんなにかかるわけねーよ、3時間で登ってやる! ……と意気込むことはしなかった。結果的には序盤にペースを抑えたことで、七合目付近で余裕が生まれ、3時間06分で到達することになる。

また、登山道と下山道、ブルドーザー道が交わりながら続いているため、うっかり下山道を登っていた! ということもあり得る。確かに下山道は直線コースで分かりやすいし、傾斜も緩そうに見える。このため、短時間で楽に高度を稼げそうに見える。だが、登山道と比較すれば傾斜はきつく、しかも砂礫が深いため進みにくい。

右の方が序盤のペースメーカーさん次郎坊に到着

登山道を登るだけでもそれなりに消耗する。下山道ほどではないが、砂礫が深い部分が多く、登りづらい。杖は必須に近いと思う。筆者は今回も杖を使わずに登ったが、前回の教訓を活かし、歩き方を変えたためさほど苦戦せずに済んだ。即ち、歩幅を狭くし、足の運びを速くする。ペースは抑えめにして、心拍数を上げないように心掛けた。それでも、序盤は快調に進み、9時過ぎには次郎坊に到着した。と言っても、単に登山道と下山道が交差しているポイントの一つに過ぎない。休憩するような場所でもなかったため、さっさと通過した。なお、登山開始からここまでで13人抜く一方、2人に抜かれた。うち1人はペースが似通っていたため、しばらくの間ペースメーカーにさせて頂いた。

標高2000m! 9:16に通過早くも雲海がいい感じに

なお、前回六合目小屋と勘違いした廃屋は、既に撤去されていた。今回は引っ掛からないよう警戒していたのだが。そしてこの区間でもペースを抑えて進む。ペースメーカーとの距離が詰まってきたタイミングで、小休憩を入れ、ウィダーや水を摂取した。それでも、結局ペースメーカーを抜き返しつつ、六合目小屋には前回と大して変わらない時間に到達した

砂礫の深い道は相変わらず歩き辛い。ブルドーザー道との交差地点では特に消耗する。だが、歩き方を変えたため、1歩進んで1/3歩戻るということがほぼなくなった。これは肉体的にも精神的にも疲労を防ぐ効果があった。なお、次郎坊から六合目小屋までの区間では5人抜いたが、トレイルランナー1人に抜かれた。これは仕方ない。

砂礫の深い道では特に歩幅を狭く六合目小屋の手前からロープが登場した

●六合目小屋(2590m)〜赤岩八合館(3300m)

10:28に六合目小屋に到着した。既に標高は2600mに迫り、雲海は常にいい感じだ。登山道周辺には少しずつ石が増えてきた。気温は下界より約15度下がるはずだが、まだ暑い。天気予報によれば、下界(東京)は33度まで上がるとのことだった。従って、15度下がってもまだ18度ある。休憩中はともかく、登っている間はまだまだ暑い。上は速乾性Tシャツ1枚で充分だ。

六合目小屋。閉ざされている少しずつ石が増えてきた

六合目到着!雲が出るとやや肌寒い

11:03、六合目到着。前回の実績をついに上回った。標高は2830mとある。新六合目と240mも違う。しばらく後に、宝永山に向かうルートとの分岐があった。これがプリンスルートか。標高の高い富士宮口から出発し、途中から御殿場口に合流して混雑を回避し、帰りは大砂走りを満喫する。登山口と下山口が違うことによる移動の問題は発生するものの、快適な富士登山を追求する、贅沢なルートだ。

標高3000m! 11:22に通過七合目らしき建物が見えた!

11:22に標高3000mに到達した。相変わらず歩幅を小さくして登っており、前回よりも格段に消耗が少ない。速度を緩めることはあっても、立ち止まることは無かった。なお、七合目らしき建物はだいぶ前から見えていたが、すぐに辿り着けないことは十分すぎるほど分かっていた。このため、むしろ目標タイム等を気にしないようにして、一歩一歩確実に登っていった。その結果、七合目日の出館には割とあっさり到着した。この時点で前回実績を23分上回り、かつ余力を残している。いい感じだ。なお、この辺で風が冷たく感じられるようになってきたため、夏山用フリースを装備した。

七合目砂走館の灰皿? 1000円だそうな八合目らしき建物が見えた!

前回の教訓を踏まえ、七合目でバテていたら先に昼食にしても良いと考えていた。だが、余力があるためそのまま進んで赤岩八号館を目指す。わらじ館、砂走館の前で座り込んで休憩する必要も無かった。前回1時間を要した区間を40分で登り、正午を少し過ぎた頃に赤岩八号館に到着した。なお、七合目日の出館まで12人、赤岩八合館まで18人を新たに抜き去った。次郎坊手前で抜かれた人も前回の筆者と同じようにへばっていたため、抜き返すこととなった。

赤岩八合館にも余裕をもって到着お待ちかね、ラーメンで補給!

時間もいい感じだし、予定通り昼飯! ここで食べた800円のラーメンがうますぎた!! 塩分、水分に加えて、炭水化物を補給できたのが非常に大きかった。ついでに、持参したバファリンを2錠投与し、七合目付近から何となく感じていた微頭痛も封じ込めた。

なお、赤岩八合館では前回の日記を読んだことがあるという方と少し会話した。御殿場口日帰りの情報は少ないとのことで、何らかのご参考になったのであれば幸いだ。今回は前回よりもいいペースなのでお鉢巡りにも挑戦することを伝え、お互い頑張りましょうと言って別れた。

●赤岩八合館(3300m)〜日本最高点(3776m)

体力・気力・判断力が回復したため、山頂を目指す。赤岩八合館から山頂まで1時間半との表示があった。前回は1時間27分を要したが、今回はどうか。前回と違ったのは、下山してくる人とのすれ違いが予想外に多かったことだ。これは土曜日なのに加えて、前回よりも時間が早いためか。

登山道に岩が増えてきた上に行くほど岩が増える

一方、天気はずっと快晴であり、風も弱かった。従って、基本的には一定のペースで登ることができた。また、前回と違って視界が開けていたのは良いのだが、意外と遠い山頂が嫌でも目に入り、消耗の原因となった。見晴館までは快調に進んだが、その後は酸素の薄さもあり、次第に太ももが上がらなくなってきた。そしてついに、立ち止まって呼吸を整える場面が出てきた。

雲海いい感じ!視界は良いが、山頂は遠い!

13:24、疲労が耐え難くなってきたため、座り込んでの休憩を入れた。後で振り返れば山頂まであと14分という場所だった。だが、その時は山頂到達などとても見えなかった。今回の登りで体力的に一番キツかったのは、八・五合目〜山頂だった。これが本来の富士登山の姿だと思うが。

九合目付近。ここにきて足が上がらない山頂の鳥居が見えた!

それでも13:42、本格的にへばる前に山頂に辿り着いた。山頂まで標準コースタイム7時間30分、前回6時間27分かかったところを5時間21分で(休憩含む)。前回よりも1時間06分速い。八合目まででへばらないだけでこんなに違うのか!

また、前回予定の5時間15分にはわずかに及ばなかったが、これに近いタイムを出すことができた。この時点で約1時間の余裕ができたため、予定通り日本最高点+お鉢巡りを実行しようと考えた。

御殿場口山頂に到着ギアガの大穴を想起させる火口。残雪もあり

日本最高点直前のラスボス、馬の背では、非常に滑りやすかった。左端に登り行列ができていたため、それを回避しつつ右側から抜き去ろうとした。だが、途中で滑り落ちて進めない状況に陥った。前回はキックステップで登ることができたのに、ここ2年で砂が減ったのだろうか。それとも、既に7年半使っている登山靴の底が摩耗したためだろうか。

日本最高点方面には長蛇の列が写真撮影行列。19分待ちでした

止むを得ず途中からは左端の土嚢の道を進む。行列の歩みは遅々としていたが、お陰で消耗することも無かった。日本最高点手前では写真撮影行列ができていて、ここで19分も待たされた。相変わらず快晴であり、フリース装備だとむしろ暑い。途中で装備解除してしまった。そして14:17、2年ぶりの日本最高点に到達した。前回よりも55分早い。

2年ぶりの日本最高点火口と雲海と

●下り:予定と実績

場所高度前回予定実績コメント
日本最高点発3776m15:1515:1514:17 
御殿場口山頂3720m15:2715:3014:53休憩3分
赤岩八合館3300m16:1216:1015:28休憩2分
七合目日ノ出館3030m16:3616:3515:48休憩3分
次郎坊1900m17:2017:2016:25休憩6分
新五合目1440m17:5017:5016:58 

※前回とは、2013.8.30の実績を指す。
※前回は日本最高点から即戻ったが、今回はお鉢巡りを完遂した。
※高度はビミョウに違うかも。以下同様
※時刻は腕時計で計測。デジカメのファイル作成時間も参考とした。

●日本最高点(3776m)〜七合目日ノ出館(3030m)

お鉢巡りを続けるには絶好の天候だった。ためらうことなく、残りの道を進む。馬の背を下るよりも傾斜が緩いため、膝にも優しい。途中で登り返すこともあるが、基本的には緩やかな下りが続くため、楽勝である。なお、白山岳に至る道はロープで封鎖されていた。このロープを乗り越えて登頂する気力も無かったため、とっとと通過した。その後は特に迷う場所も無く、36分で御殿場口山頂まで戻ってきた。後はひたすら下山するのみだ

お鉢巡り再開。まずは日本最高点からの下り雲海は常に綺麗でした

白山岳への道は封鎖されていた須走口下山道付近

七合目までは、登山道と一緒の道を下山していく。道は濡れていなかったが、砂礫の影響で確かに滑りやすい。膝への負担を最小限に抑えつつ、歩幅をなるべく小さくして下っていく。下山は心肺機能への負担こそ少ないが、足への衝撃を小さくするために制動をかける必要がある。このためすぐに暑くなる。その後も滑らないように注意を払ったが、それでも八合目までに2回転倒した。両方とも尻餅で済んだため、傷を負うことは無かったが。

お鉢巡り終了。下山開始!下山中もよく晴れ、雲海も見事

赤岩八合館までは40分と見積もっていたが、実際には35分で到達した。前回と違って、雲海をバックに撮影することもなく、かつ転倒による消耗が少なかったためだろう。赤岩八合館で小休憩を入れた。なお、下りでは行動中にトレイルランナーの集団に抜かれ、休憩中に抜き返すことを何度か繰り返した。グループの場合、基本的に行動が一番遅い人にペースを合わせる。このため、一番遅い人よりもこちらが少しでも速ければ、必然的にこういう結果になる。

七〜八合目には短い間隔で山小屋があるため、気分的に楽なところだ。前回よりもさらに軽快に下山していく。なお、一番下の日ノ出館に到達した時点で、前回からのリードは48分に拡大した。最終バスには悠々間に合う見通しだった。それどころか、一本前のバスに間に合う可能性すら出てきた

●七合目日ノ出館(3030m)〜新五合目(1440m)

七合目日ノ出館で小休憩を入れた後、さらに下山を続けた。5分ほど下ると、いよいよ大砂走りの始まりだ。最初のうちは岩がゴロゴロしていて、走るとやや危険だ。だが、今回は岩の少ないところを選んで走っていく。前回派手に転倒して負傷した教訓もあり、走り方を体が覚えていた。

大砂走り。最初のうちは岩ゴロゴロ富士宮口との分岐。左が正解

しばらく進むと、岩が少なくなってきた。そこで、膝が耐えられる限りの速度で走っていく。一歩につき3メートルというのは筆者の膝では困難だが、2メートルなら充分に可能だ。富士宮口への分岐を過ぎ、宝永山を右手に見ながらガンガン高度を下げていく。速度が出過ぎると転倒した時のダメージが大きくなるため、適当なところで制動をかけながら進む。

今回は砂走り区間の最初から走ってみた大砂走り開始! ガンガン走ります

先行する人たちをどんどん抜き去っていき、非常に気持ち良く下山を続けた。但し、今回もスパッツ類を準備していなかったため、靴の中には一歩ごとに確実に砂が蓄積されていった。だが、基本的に砂地だったため、さほど痛みを感じることもなく砂走りを続けた。

曇っているので風が心地良いたまに晴れると雄大な景色が現れる

そして16:25、次郎坊まで下ってきた。七合目日ノ出館からここまでの区間で、前回よりさらに7分短縮した。大砂走りで休まず走ったことと、それに先立つ小砂走りでもそこそこ走ったことで、短縮されたのだろう。転倒(尻餅)も1回で済んだ。

次郎坊周辺で、傾斜が緩くなってきた。さらに、新五合目の駐車場も見えた。一方、そろそろ靴の中に蓄積された砂利が足の裏に当たりまくって痛み始めていた。そこで、靴を脱いで砂利をかき出す作業を2回ほど実行しつつ下山する余裕も出てきた。

あり得ない速度で次郎坊まで下ってきた傾斜も緩くなった。もう少し!

「駐車場まであと800m」の看板からは、大砂走り後半から抜きつ抜かれつしていた人と会話しながらサクサク下山した。既にリタイアされた年配の方だが、筆者よりも速い。対して筆者は、大石茶屋の階段で滑って今日四度目の尻餅をつくなど、そろそろ疲労も出てきた。それでも、17:00出発のバスにギリギリ間に合った!

下りの大砂走りのスピードは筆者の予想を遥かに上回った。七合目から新五合目まで1時間07分、日本最高点からだとお鉢巡り込みで2時間41分で下山完了!

●下山完了後

転倒4回はすべて尻餅で済んだため、前回のように体も服もザックも靴もすべてが砂まみれということはなかった。靴の中の砂も次郎坊から先の休憩である程度排除できていた。その後、バスと電車を乗り継いで、夕食を食べつつ、20:45に自宅に帰還した。「公共交通機関のみを使用して日帰り」は悠々成立した。


富士登山の感想

●今回の収穫

御殿場口からの日帰りで日本最高点まで到達した。前回できなかったお鉢巡りを完遂しただけでなく、新五合目からの往復の時間を1時間近く短縮した。山頂まで5時間21分(前回6時間27分)、日本最高点まで5時間56分(前回6時間57分)だった。下山には2時間41分(前回2時間35分)を要したが、お鉢巡りを完遂したことを考慮すると実質的に時間短縮だ。当初の目的は十分に達成されたと言えるだろう。

成功の要因は、前回の最大の失敗であるシャリバテを完璧に防いだことだ。即ち、登山開始直前におにぎり3個を補給しておくとともに、七合目までは消耗しない登り方を徹底した。赤岩八合館のラーメンで補給し、以後はウィダーと水でしのぎきった。

高山病対策もほぼ完璧に機能した。八合目の昼食の際に投与したバファリンのお蔭で、最も辛い症状である頭痛をほぼ完全に封じ込めた。さらに、その後素早く日本最高点に到達して即下山したことで、他の症状は全く出なかった。むしろ、下山後に頭痛が出た。こちらは熱中症の一種だろうか。

膝の痛みに関しては、今回もほとんど出なかった。登りでも下りでも、違和感を覚えることすら無かった。毎日の膝トレーニングに加えて、右膝に着用しているサポーターの効果が出ていると言えるだろう。また、下山の大砂走りの走り方を体で覚えたことにより、膝への負担が軽減されたのも大きい。基本的に前かがみにならず、後ろにそっくり返る体勢で腹筋を使って走っていた。これにより、前でなく後ろに転倒し、ザックで衝撃を和らげることができた。下山自体も3時間弱と短時間だったため、筋肉が本格的に壊れる前に下山できた。

装備・持ち物は特に問題なし。大砂走りではスパッツがほぼ必須という情報を事前に得ていたが、実際には無くても何とかなった。多少痛い思いはしたし、次郎坊から先では時々立ち止まって靴の中の砂利をかき出す必要はあったが。また、日焼け止めが期待通りの効果を発揮し、露出していた部分の日焼けはほぼ完璧に抑え込んだ。

●今回の反省

下山中に計4回転倒したのはいただけない。内訳は八合目から上で2回、大砂走りで1回、五合目で1回だ。いずれも尻餅で済んだため、ノーダメージだった。だが、これが奥穂高岳〜西穂独標の区間だったら、滑落に直結することもあり得る。転倒を予測して未然に防ぐような歩き方を、継続的に会得していく必要があるだろう。

●総括と今後

来週予定している吉田口ゼロ合目からの往復に備えて、とても良い練習になった。御殿場口新五合目の高度は、吉田口一合目(馬返し)とほぼ同じである。つまり、今回のルートに富士山駅と馬返しの間の往復という要素が新たに加わると考えて良いだろう。体力的には問題無いと考えている。


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