蛭ヶ岳登山の動機
2013.4.19の挑戦では丹沢山まで到達したが、蛭ヶ岳は悪天候と準備不足が理由で断念した。従って、蛭ヶ岳への大倉発着日帰りでの挑戦は、天候や体調等の条件に恵まれれば是非とも実行したかった。加えて、今年は富士山の主要ルートのうち唯一登っていない御殿場口を日帰りで狙っており、事前に練習が必要と判断した。標準コースタイムは登り7時間30分、下り3時間。これに加えて日本最高点まで狙うとなると、それなりの体力に加えて、山歩きの勘を取り戻す必要がある。2013.5.26の丹沢塔ノ岳を最後に登山をしていない状況で、このガチ登山に挑むのは、無謀以外の何物でもないだろう。
丹沢塔ノ岳には過去に6回登った。このうち大倉尾根の登山は5回、下山は6回すべてである。従って、既にルートをある程度知っているという安心感は確かにあった。一方で、塔ノ岳〜丹沢山〜蛭ヶ岳の往復により疲弊した状況で、毎回苦戦していた大倉尾根の下りに対応できるのか、確認したかった。このコースの日帰りができなければ、富士山御殿場ルートの下山のメインとなる大砂走りには到底対応できないと考えたためだ。
他には、日焼け対策を試すという目的もあった。御殿場口は富士山の東側にあるため、特に午前中の登りでは日に焼かれ続けると想定される。そこで、丹沢の約10時間で真夏の日差しに対して日焼け止めがどのくらい有効か、試しておくべきと考えた。
週末を待たず敢えて金曜日に実行したのは、天気予報からの判断だ。3日までは比較的涼しい(下界で最高気温30度以下)日が続くが、4日以降は暑さが戻るという予報が出ていた。加えて、丸々2カ月も登山に行っていない状況で往復10時間もの山歩きを実行すると、翌日と翌々日は筋肉痛その他で使い物にならないと想定された。従って、決行は金曜日とするのが賢明と判断した。
蛭ヶ岳登山の準備
基本的には、2013.4.19の挑戦をベースとした計画を立案した。今回は、登りでは蒸し暑さ、下りでは疲労が原因で速度が低下すると予測したため、前回の実績よりもゆとりを持ったスケジュールとした。また、始発に乗車することで登山開始時刻を約25分早め、ゆっくり歩いた場合でも日没までに下山できるようにした。さらに、塔ノ岳や丹沢山に予定通りに到着できなかった場合や、天候が急変した場合、そして膝に痛みを感じた場合には、蛭ヶ岳を諦めて下山する予定とした。
今回留意したことは、熱中症対策だ。夏の丹沢が暑いことは、2008.7.18に経験済みである。従って、水3リットルとアクエリアスパック1個、ウィダー類3個を持参した。不足分は山小屋で塩分を含む食事(カップラーメン等)を摂取して調達するつもりだった。
一方、荷物を最小限とすることにも気を配った。下山時の膝へのダメージを可能な限り軽減するためだ。そこで、膝対策としては右膝サポーターのみを持参し、着用した。ストックは不要と判断し、持参しなかった。また、低山であることから夏山用フリースも削った。天気予報は曇り時々雨であり、しかも台風や低気圧、停滞前線は付近に存在しない。従って、稜線上で風雨に叩かれる事態はほとんど無く、あったとしても夏山用雨具で充分に対応可能と判断した。
朝の大倉バス停。空にはどんよりと雲が | 登山道も雨に濡れている |
予定 | 実績 | 高度 | 場所 | 備考 |
---|---|---|---|---|
7:40 | 7:35 | 300m | 大倉バス停発 | |
7:55 | 7:53 | 観音茶屋 | 通過 | |
8:10 | 8:06 | 見晴茶屋 | 休憩1分 | |
8:35 | 8:31 | 駒止茶屋 | 休憩2分 | |
9:00 | 8:47 | 堀山の家 | 休憩3分 | |
9:40 | 9:16 | 1300m | 花立山荘 | 休憩3分。ザックカバーを装備 |
10:00 | 9:30 | 金冷シ | 通過 | |
10:15 | 9:45 | 1491m | 塔ノ岳 | 休憩7分。自分では大休憩のつもり |
11:15 | 10:35 | 1567m | 丹沢山 | 休憩7分。写真撮影など。ザックカバーを装備解除 |
12:00 | 11:06 | 不動の峰休憩所 | 休憩3分 | |
12:35 | 11:31 | 鬼が岩 | 休憩2分 | |
13:05 | 11:54 | 1673m | 蛭ヶ岳 | 休憩58分。昼食、写真撮影など |
前回と同様、登り始めは速度を抑える。前に人がいると抜きたくなるが、決してペースを速めない。むしろ減速し、自然に追いつき追い越す。指標にしたのは、自らの感覚だ。心拍数が上がりすぎている、あるいはペースが速くて苦しいと感じる前に、減速を心掛けた。登山は久々だったこともあり、観音茶屋までの18分の間で幾度かこういう感覚があった。しかし、この区間を抜けると徐々に体が慣れてきたようで、苦しさは無くなった。その後見晴茶屋で最初の休憩を取るまでは、淡々と登り続けた。相変わらず小雨が降ったり止んだりの天候が続いており、見晴茶屋からの眺望もガスで覆われていた。
見晴茶屋からの眺望も無し |
見晴茶屋〜駒止茶屋の区間で、ガレ場や階段を含む本格的な登りが始まる。ここでも、基本方針は減速としたため、余裕があった。何しろ今回は、塔ノ岳登頂がゴールではない。その後丹沢山経由で蛭ヶ岳までの登りと、最大の難関である大倉尾根の下山が控えているのだ。
ところが、堀山の家〜花立山荘の区間で速い人に後ろにつかれた。熊鈴の音が次第に近付いた後、一定の距離を保ってついてくる。抜きたければとっとと抜いてくれれば良いのに、なかなか抜いてくれない。これがプレッシャーとなり、特に後半の「天まで続く」と形容される階段では、かなりのオーバーペースに陥った。その結果、この区間は29分と確かに自己ベストだったが、花立山荘到着時点でバテバテに。この疲労が、以後の区間で大きく響いた。ちなみに、花立山荘で休憩したタイミングであっさり置いていかれた。なお、登りでは計12人抜き、1人に抜かれた。抜いた人はいずれも塔ノ岳までの区間であり、その先では人と会うことはほとんど無かった。
花立山荘前で雨がやや強くなってきたため、ザックカバーを装着した。ここで小休憩を入れても回復せず、塔ノ岳までの区間で26分を要した。特に金冷シ以降の階段では一気にペースが鈍った。塔ノ岳登頂時点でも相当へばっていた。
大倉から2時間10分。2013.4.19の記録を5分更新である。要因として、膝の痛みがほとんど出なかった(右膝にやや違和感はあった)ことと、直射日光や高温による消耗が無かったことが挙げられる。また、通勤中に計45分の早歩きを毎日継続していることも、持久力の強化につながっていると思う。とはいえ、この時点でバテバテという状況では、先が思いやられた。
なお、花立山荘で筆者を抜いていった人が、先着して休憩していた。筆者と同様、蛭ヶ岳までの日帰りに挑戦しているとのことだった。筆者はこの時点で相当バテていたため、場合によっては丹沢山までかなーと考えていた。
塔ノ岳に到着 | 尊仏山荘もガスの中 |
とはいえ、塔ノ岳にはスケジュールより約30分も早く到着しており、次の目標である丹沢山登頂をためらう理由は全く無い。7分と長めの休憩を取り、アクエリアスパックと水で補給することで、体力もある程度回復した。また、日焼け止めが汗と雨で流れてしまった可能性に思い当たり、塗り直しておいた。この日焼け止めには一応ウォータープルーフと記述してあるが、相変わらずの汗と雨である。天候は相変わらず時々小雨がパラつく程度で、本降りの雨ではない。
塔ノ岳から先は、しばらくの間は下りが続く。帰り道にこれを登り返すのは大変だろうなーと思いつつ、膝に負担がかからないようにクッションを使って下っていく。この時点で、小雨はほぼ止んでいた。雲は多かったが、視界は前回ほど悪くない。要所で写真を撮影しつつ、淡々と進み続けた。
癒される区間 | 癒される区間2 |
前回は「丹沢山まであと1.1km」「丹沢山まであと0.9km」の標識で萎えたが、今回は前者の標識が「丹沢山1.5km 塔ノ岳1.1km」となっていた。筆者の見間違いだったのだろうか。最後の0.9kmは、塔ノ岳までの道のりに比べれば楽勝だった。そして10:35、予定より40分早く丹沢山に登頂した。
アップダウンもガスの中 | 丹沢山に登頂 |
丹沢山到着に前後して、晴れ間も出てきた。ザックカバーを装備解除しつつ、日焼け止めを塗り直す。また、ここでタオルを首に巻き、追加の日焼け対策とした。ウィダーを摂取しつつ、水分を補給しておく。
この時点でもまだ疲労が残っていたが、完全にへばっていたわけではない。このため、蛭ヶ岳まで行くか戻るかの判断は先延ばしとした。即ち、正午までに行けるところまで行き、ヤバそうならば潔く戻ることとした。何しろ、完全にへばってしまうと大倉尾根の下りが地獄と化すことが、容易に予測できたためだ。なお、古傷の右膝にはこの時点で微妙に違和感があった。さらに、大倉尾根は雨で地面が濡れており、下山時の苦戦が予想された。
アップダウンが激しくなる | 雲に隠れている蛭ヶ岳 |
丹沢山から先は未知の区間だ。ここではアップダウンが予想外に多く、大苦戦した。事前に地図を見ておかなかった報いだ。不動の峰休憩所と鬼が岩で少しずつ休憩を入れた。ウィダー2個目を3回に分けて摂取しながら、アップダウンを一つ一つクリアしていった。鬼が岩から先では、鎖場が登場した。とはいえ、鎖を持たないと通過できない場所は無かった。バランスを崩さないように注意しながら、慎重に下っていった。
鬼が岩付近の鎖場 | 蛭ヶ岳へ最後の登り |
最後は蛭ヶ岳まで一貫した登りとなる。この区間では何度か立ち止まって呼吸を整えつつ、一歩一歩着実に登っていった。時々木製の階段の上に10cmくらいの毛虫を見かけたので、踏まないように注意しつつ。
大きなフキがにゃんにゃん生えている | 毛虫を踏まないように! |
そして11:54、何とか正午前に蛭ヶ岳(1673m)に到着した。山頂の標識の近くに、デジカメのタイマー撮影のために用意されたと思われるレンガ大の石があったため、ありがたく使わせていただいた。
蛭ヶ岳に到着 | 蛭ヶ岳山荘 |
山頂の蛭ヶ岳山荘で、堀山の家〜花立山荘の区間で競った人と会話した。富士山に海抜0mから登ったり、冬季登山もバリバリこなすなど、体力も経験値も筆者なんぞより遥かに上とお見受けした。今日は大倉から蛭ヶ岳まで4時間でクリアし、帰路は走りながら3時間で下山するとのこと。そりゃーついていけないわけだ。今日の筆者のペースは往路4時間18分、復路3時間48分。ま、自分の限界を知るのも大切なことだと思う。
山小屋の人も饒舌で、結局1時間ほど滞在しつつ、いろいろと有意義な話を聞くことができた。もちろんエネルギー補給もしておいた。何か食べるものはありますかと尋ねたところ、カップヌードルしかないよ、とのこと。待ってましたとばかり、スープ含め完食したのは言うまでもない。なお、ここまででアクエリアスパック、ウィダー2個、水1.5リットルを消費した。残りはウィダー1個、水1.5リットル。ガチな登りはもう無いので、何とかなるだろうと考えていた。
予定 | 実績 | 高度 | 場所 | 備考 |
---|---|---|---|---|
13:40 | 12:52 | 1673m | 蛭ヶ岳発 | |
13:55 | 13:07 | 鬼が岩 | 休憩2分 | |
14:25 | 13:29 | 不動の峰休憩所 | 通過 | |
14:55 | 13:53 | 1567m | 丹沢山 | 休憩3分 |
15:50 | 14:41 | 1491m | 塔ノ岳 | 休憩6分 |
16:10 | 14:58 | 金冷シ | 通過 | |
16:25 | 15:06 | 1300m | 花立山荘 | 休憩1分 |
16:55 | 15:32 | 堀山の家 | 通過 | |
17:20 | 15:46 | 駒止茶屋 | 休憩2分。ザックカバーを装備 | |
17:40 | 16:09 | 見晴茶屋 | 休憩2分 | |
18:05 | 16:23 | 観音茶屋 | 通過 | |
18:30 | 16:40 | 300m | 大倉バス停 |
※日没は18:45頃
それでも、丹沢山まではトータルで見れば100m以上も高度を下げるため、往路ほどの時間がかかるはずもない。1時間ほどで丹沢山まで戻ってきた。この時点で両膝の違和感が強くなっており、大倉尾根の下山への影響が懸念された。基本方針として、歩幅を小さくして、膝への衝撃を緩和するしかない。とはいえ、膝のクッションが次第に働かなくなっていくのが、はっきりと分かった。
容赦ない登り返し | 階段は続くよどこまでも〜♪ |
丹沢山から1.5kmの地点で、問題の標識を再確認した。何と、「1.5km」「1.1km」の部分だけ張り替えられている! やはり、4月に訪れた時には逆になっていたのだろうか。
これが問題の標識 | 最後に塔ノ岳まで登り返す |
トドメが、塔ノ岳への登り返しだ。無茶苦茶キツかった。果てしなく続く階段の途中で、少なくとも5回は止まった。今までに経験した登山の中でもトップクラスにキツい区間だった。塔ノ岳に戻った時点で14:41。予定より1時間以上早いとはいえ、この先の大倉尾根の下山にはかなりの不安を抱えていた。
塔ノ岳まで戻ってきた | 膝を痛めてのガレ場下りは厳しい |
塔ノ岳からの下山は、今回のメインテーマの一つだ。再び小雨が降り始めており、本降りになる前に素早く下山したかった。だが、それで膝を痛めたら本末転倒だ。そこで、ペースを抑え、膝のクッションで衝撃を軽減しつつ下っていく。
そして、れえるが以前指摘していたように、蛭ヶ岳〜塔ノ岳までのアップダウンで疲弊した後の大倉尾根の下りはヤバすぎた。れえるによると「7時間を超えたあたりから辛かった」とのことなので、ヤバイ区間(ガレ場、岩場、急な階段)を7時間以内に突破するつもりで、早め早めの行動を心がけた。昼食休憩を除けば、7時間で駒止茶屋付近まで下山できていたので、この戦略は奏功したと思う。一方、7時間を経過した後の「駒止茶屋〜見晴茶屋」の区間が異様に辛かった。
こういうまったり区間を励みに | 見晴茶屋からの視界は下山時も望めず |
このような無理な運動を継続し、筋肉に負荷を与え続けた結果、ついに古傷の右膝が痛み始めた。以前と違うのは、膝の中心ではなく、その周辺部が痛んだことだ。膝サポーターのお陰で、何とか耐えつつ下山した。さらに、右足親指が靴の内部に当たりまくり、こちらもそこそこ痛かった。帰宅後に確認したところ、案の定内出血していた。一方、前回やられた左足親指は無傷だった。靴紐の締め方にもよるようだ。右の靴は足首付近にも当たりまくり、靴擦れに近い症状になった。下山中は右膝の方が痛かったので気にならなかったが、帰宅後に改めてチェックすると水泡ができていた。
駒止茶屋到着が15:46。この時点で、16:52のバスに間に合う可能性がまだ残っていた。このため、休憩を必要最小限にしつつ、極力速度を落とさずに下山を続けた。何しろ、このバスを逃すと次は17:22であり、30分待ちとなるためだ。こういう邪念は事故の元なので、要注意だが。ちなみに、この時間になると下山する人は稀だった。塔ノ岳からの下山中に4人抜いたのみ。筆者を抜いていった人はいなかった。トレイルランナーも、真夏となるといないようだった。既に樹林帯の中では暗く、日没が迫っているという錯覚に陥る。実際には日没は18:45頃であり、まだまだ余裕がある。とはいえ、焦っていると冷静な判断ができず、不必要にペースアップした挙句に怪我をする羽目になりかねない。
見晴茶屋到着が16:09。ここまで来ればもうガチな下り(ガレ場、岩場、急な階段)は無いため、一安心だ。この時点で塔ノ岳からの下山タイムが2時間を切る可能性が出てきたため、大倉高原山の家には寄り道せず、最短ルートで下った。右膝と右足親指の痛みは継続していたが、歩行に支障を来たすほどではなかった。このため、引き続き一定のペースで淡々と下山を続けた。
大倉16:52発のバスに間に合った! | 靴洗い場がありがたい |
そして塔ノ岳→大倉の下山を1時間53分で完了。2013.4.19の自己ベストと2分しか違わないペースだ。右膝と右足親指に痛みを抱えながら、このペースで下山したのには自分でも驚いた。背景として、直射日光や高温による消耗が無かったことが挙げられる。また、一度も転倒しなかった点は評価できる。道が雨で濡れていると、一度や二度は必ず転倒するのだが。今回は、滑ったことは数回あったものの、手足の踏ん張りだけで持ちこたえた。大倉尾根の下山もこれで7回目であり、滑りそうな場所をある程度予測できていたのも大きい。
帰宅後に激しい脱水症状を自覚し、麦茶や水をガンガン飲みまくった。本来は山にいる間に飲んでおくべきだ。熱中症対策としてもザックの重量軽減対策としても。要反省。
熱中症対策は、ほぼ完璧に機能した。登りでは湿度が異様に高かったため、アクエリアスパックとウィダー2個、水1.5リットルを消費した。水分と電解質を摂取し続けないと、間違いなく熱中症にやられただろう。蛭ヶ岳山荘で注文したカップヌードルも、当然のようにスープ含め完食だった。下りではウィダー1個と水0.5リットルを消費した。結果的に、水1リットルを残しての下山だった。もっとも、これに関しては天候も味方した。曇り時々雨、気温もさほど高くなく(下界も30度無かったはず)、8月としてはあり得ないほどに快適な山行ができた。下界が快晴で35度という状況なら、もっと厳しい登山になっていたはずだ。
膝対策としては、膝周りの筋肉を鍛えるトレーニングをほぼ毎日実行している。このためか、大倉尾根の下りにも何とか耐えきって、ペースをさほど落とさずに下山できた。8時間も山を歩き続けるとどの程度膝に影響があるか、そして筆者の膝がこのレベルの山歩きに耐えられるか、知ることができたのは大きい。膝に負担をかけない下山のやり方が、ある程度身についてきたようだ。
丹沢は財布に優しいという点も良い。交通費は2140円(電車、バス含む)、昼食はカップヌードル500円、行動食はウィダー3個とアクエリアスパックで計500円弱。ペットボトル入りの水は、以前から冷蔵庫に入っていた0.5リットル×2本と、2リットル61円の「富士のおいしい天然水」を利用した。後者はザックの中に入れておき、前者を飲み切ったら随時移し替えていた。費用は合計約3500円に抑え込んだ。
次に、水と電解質の消費について。補給した水と電解質は、ほぼすべて汗で消えた。トイレに行ったのは、下山後の大倉バス停が最初で最後だった。これまた褒められたことではない。水は結果的に1リットル残ったのだから、ザックの重量を減らす意味でももっと飲んでおくべきだった。また、今回は標高2000m以下の山だったから幸いした。2000m以上の山であれば、高山病対策としてさらに大量に水を摂取し、尿を出すという戦略が必要となる。今月末に予定している富士登山に向けて、留意しておくべき反省点だ。
日焼け対策は、富士山やキリマンジャロで使った残りを使用した。「SPF 50+ PA+++」と書いてあるものだ。事前にさくらんとぽかたんに「アネッサの金」を勧められていたが、当日の天気予報を見て、この最終兵器を使うまでもないと判断した。その結果、塗った場所ではほぼノーダメージだった。だが、塗り漏れた場所(左手腕時計周辺)や塗り忘れた場所(シャツのV字の中)はそれなりに焼けた。曇り時々雨とはいえ、8月の太陽をナメてはいけない。この教訓は、8月末に予定している富士登山に活かすこととする。
最後に、ふくらはぎに猛烈な筋肉痛が来た。登山当日から始まって、2日後にピークを迎え、5日後まで続いた。普段の運動不足(特に下山訓練の不足)に加えて、いきなりハードな負荷を与えたのが原因だろう。この状況を改善するためには、少なくとも1カ月に1回は山に登るべきだ。下山のトレーニングは下山でしかできないからだ。一方、太ももの筋肉痛はほとんど無かった。ふくらはぎの筋肉痛がかなり重症だったため、相対的に痛みを感じなかったのかもしれない。また、普段から日常的に実行しているスクワットの効果も、少しは出たのかもしれない。
そして今年は、このトレーニングで得た教訓を活かしつつ、富士山の御殿場口日帰り往復を是非ともやってみたい。
蛭ヶ岳登山の感想
最後に今回の収穫と反省をまとめて記しておく。●今回の収穫
当初予定を大きく上回るペースで、蛭ヶ岳まで登り、そして下ってきた。特に、塔ノ岳までの登りを2時間10分、塔ノ岳からの下りを1時間53分でクリアした点は、自信になった。ペース配分には部分的に無理があったものの、将来予定しているより困難な登山に必要なスピードをある程度体感できたのは大きい。●今回の反省
まず、堀山の家〜花立山荘の区間でオーバーペースに陥ったこと。これは、決して褒められたことではない。確かにこの区間で約5分稼いだが、花立山荘以降の区間の減速や休憩時間増加につながり、トータルで見ればかえってマイナスになった。一定のペースを刻んで無理なく蛭ヶ岳に到達するはずだったのに、ヘロヘロのバテバテで辿り着くという失態だった。●総括と今後
丹沢は東京からアクセスしやすいため、今後もたびたび登ることだろう。特に、蛭ヶ岳日帰りは天候と体調が良ければトレーニングに最適だと思う。仮に悪天候でも、丹沢山あるいは塔ノ岳までで戻れば、それなりの負荷を与えることができる。
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