丹沢塔ノ岳5回目+丹沢山



●概要

・大倉発着の「バカ尾根」ルートからさらに奥へ
・単独
・丹沢塔ノ岳(1491m)、丹沢山(1567m)に登頂
・蛭ヶ岳(1673m)は悪天候と準備不足のため断念

●動機、準備、感想

丹沢山登山の動機
丹沢山登山の準備
丹沢山登山の感想


丹沢山登山の動機

2013年に入り、シーズン初の登山として、昨年11月の
剣山+石鎚山以来なまりまくった肉体を覚醒させようと考えた。2013.1.26の北横岳は、登山としては負荷が不足すぎた。3月初あたりから、何となく行きたいなーと考えていた。直前になって登山欲が急激に高まり、16日に計画を立案して19日に実行した。

丹沢塔ノ岳には過去に4回登った。今回はそれに加えて、少し奥にある丹沢山まで足を伸ばそうと考えた。同時に、塔ノ岳からの下りで毎回苦戦していた状況から、どれだけ進歩したか確認したかった。

週末を待たず敢えて金曜日に実行したのは、天気予報からの判断だ。18日までは暖かさが続くが、19日から冷たい空気が入り込み、週末は真冬並みに寒くなるという予報が出ていた。19日の天気予報は曇時々晴、最高気温17度、最低気温10度、降水確率30%と比較的良い。一方、20〜21日は雨、最高気温14度、最低気温6度だった。このような時に山に入るべきではない。


丹沢山登山の準備

今シーズン初の本格的な登山であり、かつ体がなまりまくっているため、登り・下りともに余裕のある計画を立案した。塔ノ岳に予定通りに到着できなかった場合や、雨が降った場合には、丹沢山を諦めて下山する予定だった。一方、仮に予定を大幅に上回るペースで丹沢山に到達できたとしても、その先の蛭ヶ岳への特攻はしないつもりだった。

また、当初は「ヤビツ峠から二ノ塔、三ノ塔経由」というルートも検討したが、登りの負荷が軽いと思われたため廃案とした。こちらのルートは、いずれタイパー登山部の訓練で行こうと考えている。

今回気をつけたことは、寒さ対策だ。前日の天気予報で「冷たい空気が流れ込んできて冷える」という情報を得たためだ。さらに、尊仏便りによると、塔ノ岳では11日に雪が降ったとのこと! 従って、以下を持参した。

・Thermosに湯を1リットルほど
・ダウン
・インナー手袋

一方、膝対策としては右膝サポーターのみを持参し、着用した。ストックは不要と判断し、持参しなかった。


2013.4.19(Fri)

丹沢塔ノ岳〜丹沢山

●登山口到着まで

昨年11月の引っ越しにより、大倉がかなり近くなった。自宅を5:50に出発すれば、8時台に登山を開始できる。ルートも変更となり、行程のほぼすべての区間で悠々座ることができた。小田急に乗り換えた直後に一時的に通勤・通学ラッシュに巻き込まれたが、基本的には睡眠に充て、無駄な消耗を防ぐことができた。渋沢からのバスもスイスイ進み、予定より8分も早く大倉に到着した。

なお、このバスの車窓から丹沢山塊を眺めたところ、山頂付近はことごとく雲に覆われていた。ということは、雨に降られる可能性が高い。小雨で済んでくれれば良いのだが。

朝の大倉バス停。空にはどんよりと雲が

●登り:予定と実績

予定実績高度場所備考
8:057:57300m大倉バス停発 
8:258:15 観音茶屋通過
8:458:28 見晴茶屋休憩2分
9:158:55 駒止茶屋休憩3分。雨具上とザックカバーを装備
9:409:12 堀山の家通過
10:309:461300m花立山荘休憩2分
10:559:58 金冷シ通過
11:1510:121491m塔ノ岳休憩5分。自分では大休憩のつもり
12:2011:021567m丹沢山休憩5分。写真撮影など

●登り

登り始めは速度を抑える。前に人がいると抜きたくなるが、決してペースを速めない。むしろ減速し、自然に追いつき追い越す。指標にしたのは、自らの感覚だ。心拍数が上がりすぎている、あるいはペースが速くて苦しいと感じる前に、減速を心掛けた。登山は久々だったこともあり、観音茶屋までの18分の間で幾度かこういう感覚があった。しかし、この区間を抜けると徐々に体が慣れてきたようで、苦しさは無くなった。その後見晴茶屋で最初の休憩を取るまでは、淡々と登り続けた。

見晴茶屋からの眺望ほぼ中間点。桜も咲いていた

見晴茶屋〜駒止茶屋の区間で、ガレ場や階段を含む本格的な登りが始まる。ここでも、基本方針は減速とした。何しろ今回は、塔ノ岳登頂がゴールではない。その後丹沢山までの登りと、最大の難関である大倉尾根の下山が控えているのだ。

駒止茶屋に到達する少し前から、小雨がパラついてきた。駒止茶屋は通過する予定だったが、仕方なくここで雨具上とザックカバーを装備した。ここで会った人も丹沢山まで行くと言っていたが、筆者は雨が降ったら塔ノ岳までかなと考えた。

駒止茶屋で予定外の休憩を取り、以後もペースを抑えていたため、過去の塔ノ岳登山と比較しても余裕があった。従って、堀山の家では休憩せずに通過した。

堀山の家〜花立山荘の区間は、毎回50分程度を要している。しかし今回は、34分で通過した。前半で体力を温存したため、本来なら最も苦しいはずのこの区間でもまだ余裕があった。また、それは筆者だけに当てはまるわけではなかった。堀山の家までは、一度抜いた人はどんどん離れていった。ところが、堀山の家以降は、抜くのは難しくないが、抜いた後もピッタリついてこられることが増えた。これがプレッシャーとなり、花立山荘付近の階段ではややオーバーペースに陥った。レインウェアを着用していると暑いと感じたくらいだ。

花立山荘への登り花立山荘からの眺望

とはいえ、まだへばるほどではない。花立山荘前で小休憩を入れた後、塔ノ岳までの区間を24分で淡々と登頂した。前回は花立山荘までで脚力や心肺能力を温存しすぎたため、その後23分で一気に登った。今回はその記録にこそ及ばないが、全く無理せず、むしろ減速して24分という点を評価して良いと思う。金冷シから先の階段でやや苦しさを感じたが、本格的にへばる前に塔ノ岳に登頂した。

大倉から2時間15分。これまでの自己ベストは2008.7.18の2時間52分だから、37分もの大幅更新である。しかも、更新しようと意気込んでしゃかりきに登ったわけではなく、ほぼ一定のペースを淡々と刻み続けたことに意義がある。背景として、膝の痛みがほとんど出なかった(右膝にやや違和感はあった)ことと、直射日光や高温による消耗が無かったことが挙げられる。また、通勤中に計45分の早歩きを毎日するようになったことも、持久力の強化につながっていると思う。

塔ノ岳に到着引き続き丹沢山へ

とはいえ、今回は塔ノ岳がゴールではない。まだ先があるのだ。ウィダー1個目を投与し、約5分と自分の中では長めの休憩を取った後、当初予定通り先に進む。天候は相変わらず時々小雨がパラつく程度で、本降りの雨ではない。さらに、予定を大幅に上回るペースで、しかも疲弊せずにここまで来ている。丹沢山登頂をためらう理由は全く無かった。

塔ノ岳から先は、しばらくの間は下りが続く。帰り道にこれを登り返すのは大変だろうなーと思いつつ、膝に負担がかからないようにクッションを使って下っていく。この時点で、小雨はほぼ止んでいた。しかし雲が多く、眺望は全く期待できなかった。従って、写真を撮影するような場所もほとんど無く、淡々と進み続けた。その後は幾つかアップダウンを繰り返す。途中一カ所だけ萎えたのは、「丹沢山まであと1.1km」の標識の後、500mくらい歩いたと思われるところで「丹沢山まであと0.9km」の標識を見た時だ。どちらかが間違っているのだろうか。それとも、筆者の距離感覚がおかしくなっていたのだろうか。だが、最後の0.9kmは塔ノ岳までの道のりに比べれば楽勝だった。そして11:02、丹沢山に登頂した。

アップダウンが続く丹沢山に登頂

登りでは計17人抜いたが、うち1人とは堀山の家から丹沢山まで抜いたり抜かれたりを繰り返していた。行動中に抜き、休憩中に抜かれる感じで。彼は休憩時間を極限まで抑え込み、丹沢山頂のみやま山荘以外ではほとんど休憩していないようだった。ある意味すげえ。

山頂は相変わらず曇っていて、ガスで覆われていた。先に登頂していた初老の男性と少し会話。話の流れで「今日はどちらまで行かれるんですか?」と尋ねてみたところ、筆者の知らない奥丹沢の山名が次々と挙がり、「渡渉」という単語も出てきた。筆者などよりもよほどハードな山行を楽しんでいるらしい。また、週末は家でのんびり過ごし、平日に山に入るというお話も印象的だった。筆者もとっとと定年退職し、そのような日々を迎えたいものだ。

蛭ヶ岳(1673m)への特攻は、次の理由からやめておいた。今回無理をする必要は全く無い。

・悪天候(時々小雨、しかも寒い)
・雨で地面が濡れており、下山時の苦戦が予想された
・右膝に微妙に違和感があった
・微妙に頭痛があった(高山病というよりは風邪?)

●下り:予定と実績

予定実績高度場所備考
12:2511:071567m丹沢山発 
13:2511:491491m塔ノ岳昼食
13:5512:081491m塔ノ岳発 
14:1012:19 金冷シ通過
14:2512:281300m花立山荘通過
15:1512:54 堀山の家休憩3分。雨具上とザックカバーを装備解除
15:4013:11 駒止茶屋通過
16:2013:29 見晴茶屋休憩3分
16:4513:44 観音茶屋通過
17:1013:59300m大倉バス停 

※日没は18:15頃

●下り

下山すると決めたら素早く行動する。ウィダー2個目を投与し、必要な休憩を済ませた後、即出発した。メンバーを待つ必要が無く、自分のペースで行動できるというのが、単独登山の最大の利点だ。塔ノ岳までは来た道を戻るだけであり、しかも高低差が逆になる。時々登り返す必要はあるが、基本的に楽勝だ。登りの時よりは視界が良かったため、時々写真を撮影しつつ、塔ノ岳までは42分で到達した。

眺望は幾分マシになった最後に塔ノ岳まで登り返す

尊仏山荘では待望のカップラーメン! これを楽しみに、腹を空かせておいたのだ。今回はシーフードヌードルを大変おいしく頂いた。もちろんスープも含め完食だ。神懸り的に美味すぎた! なお、ザックを軽くする意図もあって、持参した湯をここで少し飲んで体を温めておいた。

なお、この時点で屋外の気温は約4度。この気温が山登りにちょうどいいと話している方もいた。汗で冷えない程度に、速度を抑えて歩くのがいいらしい。筆者はそれなりに汗をかいており、ややオーバーペースだったのかなと考えた。

その後、山頂付近に居た鹿を撮影しつつ、下山を開始した。

今回はシーフードヌードルを食す山頂付近に居た鹿

塔ノ岳からの下山は、今回のメインテーマの一つだ。天候は2008.4.26とほぼ同様であり、本格的に冷える前に素早く下山したかった。だが、それで膝を痛めたら本末転倒だ。そこで、ペースを抑え、膝のクッションで衝撃を軽減しつつ下っていく

絶景を見ながら気持ち良く下山登りで見たものとは別の桜

堀山の家で最初の休憩を入れた。ここまでの区間で少し消耗していたためだ。既に小雨も止んでいたため、雨具上とザックカバーを装備解除する。休憩している間に、登りで競っていた男性がスイスイと通過していった。また、尊仏山荘で居合わせた女性が、筆者より後に堀山の家に到達したのに、休憩を短時間で済ませて先に出発していった。実際には、堀山の家までの区間で少し離れて絶えず足音が聞こえており、どちらかの方にピッタリつかれていたのだと思う。

このうち女性は、その後しばらくの間は筆者の99%くらいの速度で下山を続けており、なかなか抜けなかった。そこで、これ幸いとペースメーカーにさせていただいた。無理に抜いて、後でへばって抜き返されるのは大変みっともないし。駒止茶屋まで、5mほど後ろにピッタリつく形に。俺はストーカーかw

駒止茶屋の少し先でようやく彼女が休憩してくれたので、抜くことができた。その先は、登りで競った男性をペースメーカーにさせていただいた。下山の速度は筆者の101%くらいで、相変わらずほとんど休憩しない。このため、少しだけオーバーペースに陥った。膝の違和感に加えて、左足の親指の爪が登山靴内に当たり、痛み始めた。止むを得ず見晴茶屋で休憩したが、そのタイミングであっさりと置いていかれた。ちなみに、他にトレイルランナー数名と、あと1人に抜かれた。まだまだ下山は苦手であるようだ。

見晴茶屋到着が13:29。ここまで来ればもうガチな下り(ガレ場、階段)は無いため、一安心だ。この時点で塔ノ岳からの下山タイムが2時間を切る可能性が出てきたため、大倉高原山の家には寄り道せず、最短ルートで下った。膝の違和感と左足親指の痛みは継続していたが、歩行に支障を来たすほどではなかった。このため、引き続き一定のペースで淡々と下山を続けた。

そして塔ノ岳→大倉の下山を1時間51分で完了。下山は苦手なはずなのに! あり得ねえ! これまでの自己ベストは2008.4.26の2時間25分だから、34分もの大幅更新である。ほぼ一定のペースで淡々と下ってきたことに意義がある。背景として、膝の痛みがほとんど出なかった(右膝にやや違和感はあった)ことと、直射日光や高温による消耗が無かったことが挙げられる。

●帰宅まで

全区間でスケジュールのタイムを上回った結果、予定より3時間も早いバスに乗ることができた。夕食は渋沢駅付近でまた焼肉でも喰おうかなと考えていたが、14時台で夕食はあり得ない。結局、予定より3時間早く帰宅し、自宅で夕食を貪り喰った。


丹沢塔ノ岳登山の感想

最後に今回の収穫と反省をまとめて記しておく。

●今回の収穫

当初予定を大きく上回るペースで、丹沢山まで登り、そして下ってきた。特に、塔ノ岳までの登りを2時間15分、塔ノ岳からの下りを1時間51分でクリアした点は、自信になった。無理のないペースを保ち続けることで、結果的にペースアップできたのは大きい。将来の蛭ヶ岳挑戦に向けて、手応えを感じた。

寒さ対策として持参したダウンとインナー手袋は、結局使う場面が無かった。ほとんどの区間を速乾性Tシャツ+長袖シャツで通していて、小雨が降った時と稜線に出た時、それに下りの前半で雨具上を着用していた。とはいえ、塔ノ岳の気温は昼間でも約4度。もっと冷えてみぞれや雪が降る可能性もあったわけで、ダウンとインナー手袋の持参は正解だったと思う。また、Thermosに入れておいた湯も有効に利用した。

丹沢は財布に優しいという点も良い。交通費は2140円(電車、バス含む)、昼食はシーフードヌードル350円、行動食はウィダー2個とアクエリアスパックで計259円。ペットボトル入りの水は、以前から冷蔵庫に入っていたものを利用した。費用は合計2749円に抑え込んだ。

●今回の反省

太ももとふくらはぎに猛烈な筋肉痛が来た。登山当日から始まって、2日後にピークを迎え、4日後まで続いた。普段の運動不足(特に下山訓練の不足)に加えて、いきなりハードな負荷を与えたのが原因だろう。この状況を改善するためには、少なくとも1カ月に1回は山に登るべきだ。下山のトレーニングは下山でしかできないからだ。

●総括と今後

丹沢は東京からアクセスしやすいため、今後もたびたび登ることだろう。今回登れなかった蛭ヶ岳にもいずれは登りたい


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