丹沢塔ノ岳登山の動機
タイパー登山部が待望の新入部員を迎えたため、夏の富士山登頂に向けて本格的な訓練を開始した。その第一弾として選定したのが、丹沢塔ノ岳である。標高こそ1500mにわずかに満たないが、登山口からの高低差は約1200mあり、延々と続くガレ場や木製階段など、最初の訓練として十分な負荷がある。加えて、東京から手軽にアクセスできるのも魅力である。筆者にとっても、今シーズン初の登山として、昨年11月の那須岳以来なまりまくった肉体を覚醒させるために最適な山である。
丹沢塔ノ岳登山の準備
今回特に気を配ったのは、計7人もの新入部員を連れて行くにあたり、2008年当時の筆者のように、膝を痛める人が出ないようにすることである。このため、特に下りでは折に触れて注意を促すとともに、万一に備えて予備のストックや応急処置セットを持参した。幸いなことにこれらの道具を使う場面は無かったが。
また個人的には、登山靴の中身を改善した(というよりも今までが悪すぎた)。従来は膝の痛みへの対策としてソールを2つ重ねていたが、これを1つにした。即ち、もともと登山靴に備わっていたソールを外し、別途購入した硬めのソールだけを入れた。これにより、毎回痛い目に遭っていた両足親指の内出血がほぼ完全に抑えられた。
Jinさんに懐く猫 | 出発地点の地図の前で(撮影:ぽかたん) |
予定 | 実績 | 高度 | 場所 |
---|---|---|---|
9:05 | 9:23 | 300m | 大倉バス停 |
9:30 | 10:00 | 観音茶屋 | |
9:50 | 10:32 | 見晴茶屋 | |
10:25 | 11:21 | 駒止茶屋 | |
10:50 | 11:54 | 堀山の家 | |
11:50 | 13:08 | 1300m | 花立山荘 |
12:10 | 13:27 | 金冷シ | |
12:30 | 13:40 | 1491m | 塔ノ岳 |
※スケジュールからは遅れ気味。人数が増えれば止むを得ない。
観音茶屋 | この辺はまだまったりとした道 |
一方、筆者は約1/3の区間で最後尾についていた。それ以外の区間でも、中央よりも後ろにいることが多かった。これには理由が二つある。
第一の理由は、筆者は登りで先頭に立つと速く歩きすぎる傾向があるためだ。これによりオーバーペースに陥ると、初心者の皆さんに無用な疲れを強いることになる。実際、筆者が先頭に立った見晴茶屋〜駒止茶屋の区間では、抑え気味のペースで登ったのにもかかわらず、後続との差がみるみる開いていった。ぽかたんはこの点に気を配っており、心拍数測定器を駆使して、オーバーペースに陥らないように調整していた。また、後半では直線状に登るよりもジグザグに登った方が楽であることを解説していた。
見晴茶屋の直後に始まる本格的な登り |
第二の理由は、リーダークラスの責任として最後尾につき、しんどそうな人や怪我をした人をサポートするためだ。今回は主にJinさんと筆者がこの役を担った。今回は幸いなことに怪我人は出なかったが、呼吸が苦しくなったり、股関節を痛めたりした人は存在した。このため、堀山の家〜花立山荘の区間ではザックを二つ持って歩いてみたり。二つ同時に背負うことは難しいため、一つは前に抱える形になる。普段の登山ではあまり疲労しない肩や上腕の筋肉に負荷を与えることができ、いい訓練になった。
見晴茶屋以降は、延々と続くガレ場や階段により、個々人のペースに差が出てくるのは止むを得ない。多人数のパーティではなおさらだ。堀山の家を出発した時点で12時に達しており、「今日は花立山荘までかな」と考えた。加えて、空模様も怪しくなってきた。下界の天気予報は晴時々曇、降水確率20%だったが、山の天気は変わりやすい。だが、若者たちを中心に、山頂まで行きたいという人も多かった。これは、今回の勧誘時に「山頂の尊仏山荘で食べるカップラーメンが魅力的」と謳ったためでもあるだろう。
花立山荘への登り | 花立山荘からの絶景をバックに(撮影:ぽかたん) |
以上を勘案した結果、花立山荘到達時点でパーティを分割することとした。余力のある人はさくさくっと山頂まで行き、そうでない人は花立山荘で疲れを癒すという具合である。山頂までは(金冷しを除いて)一本道であり、迷う余地も無い。そこで、眼下の絶景をバックに全員で記念撮影を終えた後、筆者は再び先頭に立ってひたすらガチ登りを開始した。毎回40分前後かかったこの区間を、何と23分で完了!(花立山荘出発13:17、塔ノ岳到着13:40) 花立山荘までの間、脚力や心肺能力を温存しすぎたか。
花立山荘から先の登り。一気に行く | 金冷しはノンストップで通過 |
3人で5個のカップラーメンを食す | いずれは蛭ヶ岳、丹沢山にも登るぞ! |
昼食中、かなり激しい雨とひょうが降り注いだ。ここまで天候が悪化する前に全員が山小屋に到達したのは幸いだった。さらに幸いだったのは、レインウェア上下とザックカバーを装備して外に出たら雨がほとんど止んでいたことだ。山頂の標識をバックに全員で記念撮影! なお、レインウェアは防寒具を兼ねてしばらく着用していた。実際、登りでも休憩中はかなり冷えたし、下りでも曇っていると寒く感じた。
山頂で記念撮影(撮影:ぽかたん) | 雨も止み、いざ下山開始! |
そういえば今回は、鹿に遭遇したことは無かった。登山者が多すぎて出てこなかったのだろうか。
予定 | 実績 | 高度 | 場所 |
---|---|---|---|
13:30 | 14:34 | 1491m | 塔ノ岳 |
13:50 | 14:48 | 金冷シ | |
14:10 | 15:01 | 1300m | 花立山荘 |
15:00 | 15:57 | 堀山の家 | |
15:25 | 16:26 | 駒止茶屋 | |
16:00 | 17:08 | 見晴茶屋 | |
16:30 | 17:30 | 観音茶屋 | |
17:00 | 18:04 | 300m | 大倉バス停 |
絶景を見ながら気持ち良く下山 | 絶景を見ながら気持ち良く下山2 |
一方、下りではまっどさんが恐るべきポテンシャルを発揮していた。遥か前方で階段やガレ場を華麗に駆け下りているメンバーがいるな〜と思ったら、何とスーパーマリオの動きを真似て飛び跳ねながら下山していたらしい。次回のガチ登山でゆぞとどちらが速く駆け下るか楽しみだ。但し、くれぐれも膝を痛めないように!
昼に降り注いだ雨の影響で、ぬかるんでいて滑りやすい区間が多かった。だが、筆者は常にゆっくり歩いていたため、第2回までのように転倒することは無かった。ガレ場で足首をひねったこともほとんど無かった(第2回までは、幾度となく足首をひねっており、登山靴に助けられていた)。
日没は常に心配だった。堀山の家出発時点で16時を過ぎていた。ヘッドランプを持っているメンバーが11人中3人しかいなかったため、ここでもパーティ分割を検討した。つまり、下山の得意な人や体力の有り余っている人には先に下りてもらい、後方集団にヘッドランプを集めて日没に備えるということだ。
そろそろ見晴茶屋が近い | 日は傾き、少しずつ暗くなる |
だが、幸いなことに怪我や事故が発生することもなく、17時過ぎには見晴茶屋に到着した。ここまで来ればもうガチな下り(ガレ場、階段)は無いため、一安心だ。その後、大倉高原山の家には寄り道せず、最短ルートで下った。意外と消耗するのが最後のコンクリートの道だ。後方集団は、後ろ向きに歩くことで足への負担を軽減していた。
大倉バス停到着直後、トイレを済ませ、水場で靴を洗っておく。タワシが用意してあるのがいい感じだ。ここで泥を落としておくと帰宅後の処理が段違いに楽になる。そして最後にレストハウス前で記念撮影!
下山完了フォト(撮影:ぽかたん) |
焼肉祭り! | アイスクリーム+杏仁豆腐 |
一方、今回初参加の人(非タイパー)にタイプウェルを勧め、周囲の人たちがタイピングに関していかに人外レベルかをわかりやすく伝えるという面白い経験をすることに。タイピングはともかく、登山には次回も参加したいとのことなので、企画した人間として嬉しく思う。
夕食終了が21:40頃。この時間だと電車も空いていて、ほとんどの区間で悠々座ることができた(唯一の例外は新宿→御茶ノ水の区間)。が、帰宅したら余裕で午前様だった。猛烈に気持ちいいシャワーを浴びた後、爆睡!
また、よすの発案による行軍中のBGMは素晴らしかった! 懐かしいDQ1〜4の音楽を駆使して、「なだらかな登り」「休憩」「最後の急登」にふさわしいBGMが流れていた。外部の人にまでウケている場面もあった。今回はDQを知らない人もいたため、次回は他の趣向も取り入れてみるのも良いだろう。全員に共通するものとなるとなかなか難しいかもしれないが。
登山自体は、半分以上の区間で最後尾についていたこともあり、ものすご〜〜〜く楽だった。当日は膝の痛みどころか、筋肉痛さえも出なかった。但し翌日からふくらはぎに筋肉痛が出始め、2日後にピークに。遅れて筋肉痛が出るのは、年齢による衰えとかいうやつか(注:筋肉に与える負荷が低い場合や、普段から運動不足の場合に、筋肉痛が遅れて来るらしい)。
丹沢は財布に優しいという点も良い。交通費は2020円(電車、バス含む)、昼食は350円。その分、夕食は豪勢に喰いまくったが。
まず、スケジュールに無理があった。今回は大人数となるため、下りで大減速した第二回を念頭に、さらにゆったりとした計画を立案した。それでも見通しが甘く、特に登りでは予定からどんどん遅れていった。次回は先頭集団と後方集団に分けてスケジュールを立てるなど、さらに工夫する必要があるだろう。
次に、パーティ全体のヘッドランプの数が少なかった。今回は日の長い季節であり、かつ当初の計画では17時前後に下山予定だったため、日没には悠々間に合うと想定していた。このため、新入部員には持参を呼び掛けなかった。実際、結果的には日没前に全員が下山できた。とはいえ、怪我や事故、悪天候等が発生した場合は、日没前に下山を完了できない可能性もあった。ヘッドランプ持参者が11人中3人という状況は次回改善すべきかと。
次の山行は来月だ。富士山に備えた訓練の第二弾として、2000m級の山を予定している。
丹沢塔ノ岳登山の感想
最後に今回の収穫と反省をまとめて記しておく。●今回の収穫
総勢11名もの参加! タイパー登山部も大きくなったものだ。しかも、結果的に全員登頂無事下山。初心者にとってはガチに近い山だが、皆さんよく頑張った!●今回の反省
危険度が高いものから挙げていく。●総括と今後
丹沢は東京からアクセスしやすいため、今後もたびたび登ることだろう。塔ノ岳からさらに先の、丹沢山や蛭ヶ岳にもいずれは登りたい。
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