まずオンライン予選をe-typingで実施し、ローマ字入力13人、かな入力3人に絞り込む。次にWeatherTyping3.2.1を用いてこの16人でオフライントーナメントを実施する。
予選のランキングはこちら。
オフライントーナメントの結果はこちら(by エステーヌさん)。
オフライントーナメント:1回戦負け
唯一の救いは、10/7-9に第9回タイピングサミット(以下サミット)を控えた状況で、関東圏以外の人はオフライントーナメントに参加しない可能性が高いという見通しだった。会場が幕張メッセ(千葉県)であり、交通費や宿泊費も自己負担とされているためだ。以上により、予選についてはかな入力で全国トップ10前後のスコアを出し、後は上位陣の棄権に賭けるしかないという状況だった。
なお、この時点では、挑戦回数5回という条件を「事実上Esc禁止」と誤解していた。但し、e-typingの攻略に最低限必要なワード慣れと持久力を磨くには、Esc禁止の練習もある程度有効である。結果的に、Escを多用してスコアを狙う練習を封印したことが、プラスに働いた。
また、ワードは自力で109個まで集めた。だが、しろさんが先行して123ワードのリストを公開されたため、そちらを利用させて頂いた。一応、全ワードの最適化を検討して個別に練習する等、最低限の準備はした。例えば難関ワードの一つ[くすりよりようじょう]を標準運指で打つと、右手薬指に負荷が集中して減速を強いられる。そこで[りよりよ]を薬中薬中で最適化し、かつ[くす/りよりよ/うじょう]と脳内で分割することで、さほど速度を落とさず突破できるようにした。
ワード慣れがある程度進んだ8/11に再び本番に挑む。約20分間に数十回ものF5を繰り返した末、辛うじてノーミスで打ち切ることができた。しかもスコアも466(ミス0)と爆発! まさか練習より35も高いスコアが出るとは思わなかった。同時に、これ以上練習しても8/27までにこのスコアを上回るのは難しいと感じた。更新が見えなければモチベーションも上がらない。それに、「健康ことわざ」のみを練習し続けるのはコスパが悪すぎる。結果として、その後2週間以上も時間があったのに完全に放置した。実際にはこういう困難な状況を乗り越えていかないと500は出ないし、予選の確実な突破も難しいのだろうが。
一方、オフライントーナメントではWT3.2.1が使用される。しかも正確性95%以上を維持することが、勝ち残るためのほぼ必須の要件である。このため、正確性重視でWT3.2.1の練習をすることは、サミットと同時にRTCの対策にもなる。また、RTCではワード1だけでの闘いになるとは考えられなかった。ワード1ではかな入力勢が圧倒的に有利であるためだ(但し正確性95%以上をコンスタントに出せればの話)。このため、ローマ字入力勢とのバランスを取る方策として、ワード2,3,4が採用される可能性もそこそこあると考えた。他にはオリジナルワードが採用される可能性も考えた。もっとも、オリジナルワードが事前に公開された場合はその後練習するしかないし、当日初見となる場合は練習のしようがない。
この方針はTwitter上でも「サミットに向けた派遣標準記録」の一つとして公開した。RTCへの対策を兼ねていることは意図的に隠蔽した。オフライントーナメントへの対策を散々実施した挙句に予選を通過できなかったらこの上ない屈辱だからだ。一方で、e-typingを全く打たずにWTばかり打っている状況を前面に出せば、既に筆者が予選通過に充分なスコアを叩き出したというプレッシャーを与えることもできるかもしれない。500超を出せる人が多数いる状況ではもはや無意味かもしれないが。
●筆者の結果
オンライン予選:かな入力で466(ミス0)、第2位
●オンライン予選について
【事前の目論見】
オフライントーナメントの出場枠(ローマ字入力13名、かな入力3名)は非常に厳しい。もはやローマ字入力では勝負にならないため、かな入力で参戦することは早い段階で決めていた。さらに、予選で採用されるe-typingは、筆者にとって最も苦手な戦場である。初速と正確性の両立が必要な種目であり、WeatherTyping(以下WT)のように溜め打ちで速度と正確性を上げる攻略法は通用しない。実際、e-typingのかな入力部門での自己ベストは485であり、e-typingかな腕試しスコアランキングでトップ10にすら入らない。このため、今回の予選でも全国でトップ3に入るのは至難と考えていた。【初期対応】
上記の予測により、戦略どころか参戦部門すら公開しなかった。参戦すること自体も隠蔽した。Twitter上ではe-typingのその週のワード(ことわざ)をかな入力とローマ字入力で1回ずつ流し打って出したスコアを公開した。かな入力が241(ミス15)、ローマ字入力が417(ミス9)というやる気のなさすぎるスコアだった。そして「もはや予選に時間を割くのすらもったいない」と記述することにより、参戦する気などハナから無いように装った(実際、当初は今一つやる気が無かった)。そして数日後、サミットに向けた派遣標準記録をTwitter上で公開し、その後はWTの練習に集中しているように見せかけた。いや実際にWTの練習はしていたわけだが、e-typingも同時に練習していたことは意図的に隠蔽した。【練習】
e-typingの練習は、サミット対策に影響しない範囲で継続した。無策で負けるのも悔しいし、参戦しないという選択肢も無い。仮に筆者が棄権した場合、筆者よりも低いスコアしか出せない人が予選を通過する可能性があるのも癪に障る。そこで、出題ワードである「健康ことわざ」を初期段階ではかな入力・ローマ字入力とも1日10回ずつ、8/7にかな入力に絞ってからは1日30回、Esc禁止という条件下で打ち込んだ。トータルの練習回数は、ローマ字入力が10×3=30回、かな入力が10×3+30×5=180回であった。だが、e-typingは元々苦手なのに加えて、長期にわたるサヴォリの影響は甚大だ。練習環境では400を超えることすら少なく(180回中26回)、8/7に偶然噛み合って出した431(ミス0)を最後まで上回れなかった。【本番】
オンライン予選の本番には5回挑戦できる。8/9にテストを兼ねて本番環境で打ってみた。ところが、練習環境との違いに戸惑った挙句、278(ミス22)という屈辱的惨敗を喫した。しかも、通常のe-typingと同様に15ワード打ち切ってから「登録しますか?」というダイアログが出ると勘違いしていた。15ワード打ち切った瞬間にスコアが登録されるという仕様は、この時に初めて知った。その後、実際にはEsc禁止ではなく、最後のワードを打ち切らない限りF5で何度でもやり直せる(ちなみにEscは無効)という情報を得た。つまりEsc禁止の練習は意味がなくなり、F5を連打しつつひたすら最高スコアを目指せばよくなった。
●オフライントーナメントについて
【事前の目論見】
上記の通り、予選を確実に通過できるとは全く考えていなかった。従って、WT3.2.1に関しては、むしろサミットで実施されるであろう団体戦やエキシビ、個人対戦を念頭に置いた。仮にRTCの予選を通過できなかったとしても、サミットの対策になるため損にはならない。【初期対応】
以上により、ワード1〜4を満遍なく打ち込んでかな入力の総合力を強化するのが結局は近道だと判断した。そして、ワード1〜4すべてでLevel10を目指す方針を定め、8/11に予選に見切りをつけた直後からWT3.2.1のリハビリを開始した。具体的には、まずワード1をLevel10までリハビリした後、ワード4(≒1,2,3の混合)→ワード2→ワード3の順にLevel10を目指す。ここ数年のサミットの傾向を考慮すると、エキシビや個人対戦ではワード1が最重要だ。だが団体戦では、それだけでは心許ない。それに、2006年のWT大規模オフではワード3が使用された実績もある。【練習第一段階:最適化・仕様調査・戦術考案】
まず、ワード2,3,4を含めた新たな最適化や、難関ワードの対策に取り組んだ。結果は表1の通り。8月中にワード2,4でLevel9.5に到達した。
日付 | ワード | 詳細 |
---|---|---|
2017.8.9 | - | リハビリ開始 |
2017.8.14 | 1 | Level10まで回復 |
2017.8.16 | 4 | Level9に到達 |
2017.8.17 | 1 | Level10.5まで回復 |
2017.8.19 | 2 | Level9.5に到達、2013年の記録を撃破 |
2017.8.24 | 1 | QWE850、JIS550を撃破 |
2017.8.29 | 4 | Level9.5に到達 |
2017.8.31 | 3 | 2013年の記録を撃破 |
並行して、WTの速度と正確性の算出方法を詳しく調査した。その結果、幾つかの経験則を理論的に裏付けることができた。この知識があるから勝てるとは限らない。だが、ミスが最終正確性に、ミスに伴うタイムロスが最終得点に、どの程度影響するかを知ることができたのは大きい。
さらに、本番向けに、かな入力に不利なワードを打たずに放置するという戦術を考案した。本番ではワード数でなく、獲得ポイントで勝敗が決定される。即ち、速度もしくは正確性を大きく落とすと、ワード数で勝っていても獲得ポイントで敗北するリスクがある。それ以前に、正確性が95%を割り込むとほぼ敗北確定である。例えば「うちゅうりょこうちゅう〜」「ちょうえき35ねん〜」「きょうとでであった〜」「じぇっとこーすたー〜」をかな入力で打つと、速度・正確性ともに大きく低下する。そもそも、これらのワードはローマ字入力にとって加速ワードなので、かな入力で取れる可能性は低い。これでは打つメリットが何一つ無い。最初から打たず、脳と腕の休養に充てた方が遥かにマシだ。
但し、最初の1文字を誤って打鍵しないように練習が必要である。ワードの途中で放置すると、速度が大きく低下するためだ。また、放置を繰り返すと結局1ワードも取れずに負けるリスクが残る。特に、相手もかな入力で、かつ格上の場合は、完封される確率が高い。
この戦術をさらに突き詰めると、1打鍵のみで勝つという奇策も理論上は可能だ。相手が10ワード(正確性94%)、こちらが0ワード(正確性100%)でもルール上は勝てる。実際、CPUのJIS850相手にこの戦術を試したところ、表2の通り、ワード数もポイントも0だが正確性100%という状況が発生した。もちろん実戦では1回しか使えない技だし、相手が正確性重視の打鍵を継続して95%以上を叩き出すとそもそも通用しないのだが。
プレイヤー | ワード数 | 速度 | 正確性 | ポイント |
---|---|---|---|---|
JIS850 | 10 | 823 | 97 | 39928 |
dqかな | 0 | 63 | 100 | 0 |
なお、本番まではCPU相手の練習に留め、対人戦を回避した。上記の戦術を隠蔽するためだ。
第一の理由は、一箇所でも詰まるとミス連鎖が発生して正確性が大きく落ち込むことだ。かな入力では、高速入力時にShift絡みのミス(特に[ゅぅ][ょぅ]ミス)を根絶するのが非常に難しい。しかも、ミスに気付いた時には既に5打鍵以上は先に進んでいる。10ワード先取ということは最大19ワードしか打てないため、ミス連鎖が一度でも発生すると挽回は難しい。二度発生すると正確性95%は絶望である。この観点から、苦手なワードのみならず、[ゅう][ょう]を含むワード全般を捨てる戦術も検討した。だが、ワード1の前半に限っても約1/10ものワードが[ゅう][ょう]のいずれかを含む。これだけ多数のワードを捨てるのはリスクが大きすぎる。むしろ、[ゅう][ょう]を含むワードを正確に打鍵して突破する練習を積み重ねた方が建設的かつ効果的だ。
第二の理由は、相手のペースに乗せられて崩壊することだ。相手の初速および速度が上がると、筆者も釣られてしまい、最も苦手な「初速+正確性」の勝負(つまりe-typingと同じタイプ)に引きずり込まれることが判明した。具体的には、CPUのQWE900、JIS600以上と対戦した時にこの傾向が顕著だった。相手のペースに乗らず、自分の打鍵結果だけを見ていれば、理論的には問題無いはずだ。ところが、QWE850、JIS550以下と対戦する時のような精神的余裕(「初速で勝てる」「初速で遅れても中盤以降逆転できる」等)が無くなるため、自分のペースを守るのが困難だった。そこで、QWE900、JIS600以上との対戦を繰り返し、格上を相手に自分のペースを守る練習を継続した。その結果、表3の通り、QWE900、JIS600にも少しずつ勝てるようになった。
日付 | ワード | 詳細 |
---|---|---|
2017.9.3 | 1 | JIS600に初勝利 |
2017.9.7 | 1 | Level11.0まで回復 |
2017.9.7 | 1 | QWE900に初勝利 |
2017.9.18 | 2 | Level10に到達 |
なお、30ワード先取でQWE850やJIS550が相手なら、序盤に正確性90%前後まで崩されても中盤以降で立て直せるようになった。ポイントは、敢えて相手にワードを取らせつつ、ノーミス打鍵を継続することだ。これにより勝負の決着は遅くなる。だが、正解打鍵数を稼ぐことで正確性算出式の分子を増やし、正確性95%まで回復することが可能となる。
但し、10ワード先取という条件ではこのような立て直しが間に合わない。従って、基本方針は表4のようになる。
(1) ミス連鎖が発生しない程度の速度に抑えて正確に打つ。正確性96〜97%が目標。 (2) 相手の正確性95%が絶望になった時点で、正確性99〜100%の打鍵に切り替える。 (3) 自分の正確性95%が絶望になった時点で、乱打戦に持ち込んで相手の正確性を崩す。 |
相手が「1打鍵の後に放置」してきた場合は、(1)の方針で打ち続ければ良い。但し、相手の速度も正確性も上の場合は、この方針は通用しない。(1)の方針ではジリ貧になる。(2)に期待して(1)を継続しても、相手が余程崩れない限りは負ける。(3)の方針も相手の速度が上なので無理がある。
・かな1位とローマ字1位は決勝まで当たらない ・かな2位(筆者)はローマ字1位と、ローマ字2位はかな1位と準決勝で当たる ・他の12名はランダム |
かな1位(mullerさん)とローマ字1位(miriさん)は実力が抜きん出ており、早い段階で激突すると興行的に面白くない。従って、決勝まで当たらないよう別ブロックに配置されるだろう。次に、かな2位(筆者)はかな1位と、ローマ字2位(paraphrohnさん)はローマ字1位と、準決勝までに当たる可能性は低い。これは、かなvsローマ字の対戦を多く組むためである。すると、準決勝はかな2位vsローマ字1位、かな1位vsローマ字2位という組み合わせになるだろう(各人が勝ち進んだ場合)。さらに、ローマ字の3位以下は団子状態なので、特に組み合わせを考慮せず、くじ等でランダムに決めると予測する。以上により、筆者は決勝までmullerさんと当たらない一方、準決勝まではローマ字入力の猛者たちを相手にする可能性が高い。勝ち進んだ場合、準決勝でmiriさんと当たると想定される。なお、筆者がかな3位と当たる可能性は低いと予測する。かな3位は2回戦までにローマ字1位or2位と当たって姿を消すと思われるからだ。
優勝候補と目されるmullerさん、miriさんは攻略対象外とした。対策しても勝ち目が無いためだ。勝てるとしたら相手が緊張しまくって自滅した場合、もしくは何らかの事故が発生した場合だけであり、その確率は非常に低い。一方、筆者にとって打ちやすいワードが頻出したとしても、強大な相手との対戦でミスを抑えつつ奪取し続ける確率は非常に低い。
そこで、筆者と実力が拮抗している、あるいは少し上のローマ字入力の人を、やり込み度を上げて倒すことを主眼とした。即ち、miriさんに当たるまでの2戦を勝ち抜くのが今回の現実的な目標となる。とはいえ、この2戦を突破するのも容易ではない。ローマ字入力の出場者は、あの打ち辛いe-typingで700前後を叩き出している。即ち、WT(ワード1)の実力はLevel10以上と想定される。ちなみに筆者はローマ字入力で、e-typingの健康ことわざで534までしか出せなかったが、WT(ワード1)ではLevel7.8まで出している。
……
上記とは別に、予選のe-typingのかな入力のスコアを1.5倍してローマ字入力のスコアと比較し、上位4名をシードする場合も検討した。これは、WTではかな入力時にスコアに1.5倍の係数が掛かることから、考えられる方式である。この場合、筆者の換算スコアは466×1.5=699となり、セレナーデ☆游騎さんと並んで9or10位となる。一方、シードされるのはmiri、muller、paraphrohn、テルの4名だ。上記の場合と違って筆者はシード対象外なので、2回戦までにこの4名の誰かと確実に当たる。この場合は、miriさん、mullerさんと同じブロックに入らないよう祈るのみである。
9/18の午後一にRTC2017のワードセットが到着した。9/16〜の3連休中に練習させないよう配慮したとしか思えないタイミングだ。まずはxmlからテキストに変換し、Excelに流し込んで解析を開始する。ワード数は前半128個、後半129個と少ない。そこで指慣らしを兼ねて全ワードを入力し、打鍵数の平均値を求める。結果は前半11.48、後半7.92で、ワード3よりも長い。新規ワードは約4割で、残りはワード1〜4から打ち辛いワード、長いワードを採用しているイメージだ。特にワード3の採用率が高い。よって当面はワード3を並行して練習することとした。もちろんサミット対策も同時に見据えている。
Shift文字の執拗さにも辟易した。解析の結果、何と全体の約半数のワードにShift文字が含まれていることが判明した。ワード1〜4ではShift文字含有率が全体の1/3程度であることを考慮すると、RTCワードの打ち辛さは想像を絶する。
並行して、全ワードの加速箇所を確認しつつ、最適化を検討した。その結果、頻出する[げー]は小薬小、[ぼー]は薬小小、[こう]は人中で切り抜ける等、幾つかの基本方針を見出した。また、[しゅーてぃんぐ][りゃくしてWC][しょんまっち]等、Shift押しっ放しで突破できるワードも確認した。また、ローマ字入力でも全ワードを打鍵し、打ち辛いワードを抽出した。仮にかな入力で打ち辛くても、ローマ字入力でさらに打ち辛いなら勝機がある。最適化ガチ勢には通用しないかもしれないが。逆に、ローマ字入力が有利なワードもこの時点で抽出した。このようなワードでは無理に勝負する必要は無い。正確性最重視で、正解打鍵数稼ぎに徹すれば良い。もちろん相手が崩れればそのまま打ち切る。
上記の解析と並行して、WT3.2.1による実践も18日中に開始した。早い段階で、[2度目の夏]の読みが[2の]と表示される現象を確認した。xmlファイルで読みが[2度目の夏]になっているのが原因だ。他にも[ゲーマーの祭典]の読みも漢字で記述されていた。事務局に修正を依頼しつつ、回答が届く前にxmlファイルを自力で修正した。
初期段階では、Esc禁止で安定感を上げる練習をした。可能な限り正確性95%以上を保ちつつ、徐々に速度を上げていく。伸び悩んだら、ワード1やワード3の練習も織り交ぜて速度重視で打つ。当面はこの繰り返しだ。というよりも、練習期間は6日しかないため、この方法を継続するのが最も合理的と考えた。なお、練習期間中の最高スコアは90578(622-97%)で、Level9が出たのはこの1回だけだった。
最後にQWE750〜850を相手にCPUとの対戦を実施し、取るべきワード、放置すべきワードを見極めた。その結果、QWE800にはほぼ勝てるようになった。だが、QWE850には滅多に勝てず、本番に向けて不安を残した。
だが、ぽかたんとぁゅが11:00からトークショーを実施するとの情報を得たのに加えて、現場での試し打ちも必要と判断した。このため、行列1時間を考慮して11:30に到着するように出発した。電車に遅延が発生していたり、海浜幕張駅でウンザリするようなカオスな人混みが発生していたりと多少のハプニングはあったが、幸いなことに肝心の入場行列は既に消えていたため、10:45には現場に到着できた。
まず気付いたのは、会場内が意外と寒いことだ。この日の予想最高気温は25度であり、屋外を歩く分には半袖+短パンで問題無い。だが、会場内には冷房が効いており、じっとしていると寒い! よって、速攻でトイレに行き、持参したランニングタイツ下を装備する。なお、後でランニングタイツ上も装備した。手袋までは不要だったが。
次、トークショーの前後の空き時間を利用してRealforceの各製品を片っ端から試し打つ。ところが、全く想定していなかった重大な問題点が明らかになった。
筆者はWeatherTypingの打鍵中、ミス音を頼りにミスに気付き、軌道修正する。もちろん運指が狂った時には音が無くてもすぐに気付く。だが、かな入力で多発する[ゅぅ][ょぅ]ミスには、音が無いと気付かない。画面上の打鍵済み文字列の表示が進まなくなって初めて気付くため、音がある場合と比較して1秒以上も反応が遅れる。これは致命的だ。この時点で、上位進出は諦めざるを得なかった。
……
事前に調達しておいた昼飯を済ませ、一旦外に出て集合場所に出向く。トーナメント表の概要はこの時に明らかになった。筆者の予想は悪い方向に外れた。予選のe-typingのスコア(かな入力は1.5倍)でソート後、1位と16位、2位と15位、……のように組み合わせる。つまり、2回戦でmiriさんかmullerさんと当たることが、この時点で当確となった。少し後にトーナメント表の全貌が明らかに。仮に勝ち進んだとして、筆者が当たるのは「1回戦:やだ、2回戦:muller、準決勝:paraphrohn、決勝:miri」となる。やださんに対しては正確性95%をキープしつつ速度で押していけば何とかなるかもしれない。だが、mullerさんは速度・正確性とも格上であり、多少の小細工も通用しないだろう。
事前の練習は4人ずつ実施される。miriさんが正確性97%前後を維持しつつ速度1000超を当たり前のように出しているかと思えば、テルも速度900超。CPUのQWE850にも滅多に勝てない程度の実力では、どうしようもない。一方、ぱらさんの速度が800前後というのは意外だった。体調が悪いらしいとは聞いていたが、実際には実力を隠すためにてきとーに打っている可能性もある。なお、mullerさんややださんの練習は拝見できなかった。筆者と同じタイミングで練習していたためだ。筆者は、音の聞こえない環境でミスを抑えることを意識して練習した。だが、10ワード練習を十数回実施して、正確性95%以上を出せたのはわずか2回だけだった。相当速度を抑えてもこのザマでは、試合が始まる前に敗北が確定したようなものだった。
本番開始。筆者の出番の直前に実施されたmuller vs ヨッシー戦では、mullerさんが正確性の壁に苦戦し、速度も500台前半まで落ちていた。これなら勝機がある。だが、その前にQWE猛者の一角であるやださんを倒さなくてはならない。なるようになれという感じで本番が始まった。
Round | やだ(QWERTY) | dqmaniac(JISかな) |
---|---|---|
1 | 17996(811-95%, 7words) | 26239(541-97%, 10words) |
2 | 22686(745-90%, 10words) | 14485(470-88%, 7words) |
3 | 24440(788-93%, 10words) | 21485(524-91%, 9words) |
本番打鍵直前に指の運動と称してキーボードを乱打したら、何と入力方法がJISかなから次々と入れ替わり、最終的にDvorakになりやがった! Dvorakを練習したのは15年前であり、ほぼ完全に忘れている。最初のワードがローマ字で表示された時点でアピールし、仕切り直しとなった。
ROUND1では速度を落として正確性を維持する。やださんも正確性を維持したままワードを取って追いかけてきたため、後半では速度も意識せざるを得なかった。非常に幸いなことにミス連鎖も発生しなかった。まずは一本取れたことに一安心する。だが、これで安心していられる状況では全くなかった。悪運などというものは長続きするはずもない。
ROUND2,3では序盤に大規模なミス連鎖が発生し、早々に正確性95%回復が絶望となった。やださんの正確性が低下したのも分かったため、以後はミス爆死覚悟で速度を上げ、全力でワードを取りに行く。ところが、今度は詰まった場所が分からず指が止まった。そして、焦ってさらに崩れるという悪循環にハマった。
ROUND3はやださんにリーチをかけられてから執念深く粘り続けた。やださんにも焦りがあったのだと思う。結局、最後のワード[かくげー]の最後のハイフンの差で敗北という、見世物的には熱い闘いとなった。だが、それより前に何とかできるワードが幾つもあったはずだ。小さな勝機を逃し続けたことにより、敗れるべくして敗れた。
(1) 音消し練習
音の有無の違いは今回完全に盲点だった。実際、帰宅後にPCの音を消してRTC2017ワードを打鍵したところ、打鍵速度が平均50程度低下した。これでは練習時の打鍵を本番で再現できるわけがない。来年に向けて、ミス音に頼らず指先の感覚と画面凝視だけで素早くミスを発見し、修正する能力を身につける必要がある。音消し練習は最初のうちはものすごくストレスが溜まりそうだが、どこかで乗り越えるしかない。
Interstenoでは無音なので、基本的な能力はあるはずだ。但し、Interstenoではそもそもミスしたらすぐ気付くように速度を抑えて打つ。そこで、まずはIntersteno英語での速度アップから始めて、WeatherTyping、e-typing、タイプウェル等の全力打鍵の種目でも音に頼らない練習を採り入れる。
(2) 予選のスコアの改善
オフライントーナメントで1〜2回戦勝利を狙うのが目的なら、予選のスコアを全力で上げておくべきだ。さもないと、今回のように2回戦で優勝候補と当たるブロックに配置され、絶望的な状況に追い込まれる。あわよくば予選で6位以上のスコアを確保し、2回戦までに1位や2位と当たらないようにしたい。もっとも、来年のトーナメント表の決め方が今年と同じになるとは限らないが。
それ以前に、来年も予選を突破できるとも限らない。実際、来年のかな入力のボーダーは一気に上昇しそうだ。500超えも充分にあり得るだろう。筆者のe-typing腕試しの自己ベストは485のまま低迷しており、まずこの壁を突破しないことには始まらない。
●感想(というよりも反省)
やださんに敗北したのも悔しいが、対策に穴があったという戦略的な失敗はその100倍悔しい。来年以降も機会があるならば、今回の悔しさは必ず晴らしたい。数多い敗因の中で、確実に改善できるところが少なくとも二箇所ある。
トップページに戻る
タイピングページに戻る