日光女峰山



●概要

・単独
・西参道発着(西参道→行者堂→稚児ヶ墓→白樺金剛→黒岩→唐沢小屋→女峰山)
・日光女峰山(2483m)に登頂
・帝釈山(2455m)は断念
・公共交通機関のみを使用し、日帰り

●動機、日記、感想

日光女峰山登山の動機
日光女峰山登山の準備
日光女峰山登山の日記
日光女峰山登山の感想


日光女峰山登山の動機

日光女峰山とは、日本百名山には含まれないものの日光周辺の主要な山の一つである。しかも、東京から比較的アクセスしやすい。さらに西参道(東照宮、二荒山神社)からのルートは標高差が約1850mあり、その難易度は既に登頂済みの
男体山白根山とは一線を画す。そこで、2014年10月に情報収集を開始した。ところが、2015年8月から新たに始めたランニングに熱中するあまり、登山が疎かになってしまった。今回は8月に予定している富士登山(水ヶ塚公園発着、日帰り、標高差約2300m)の練習として、標高差のある日光女峰山が浮上してきた。

今回も、公共交通機関のみを利用しての日帰りという要素を組み込んだ。本来、日光女峰山に西参道から登る場合、唐沢避難小屋を利用しての一泊二日がセオリーとなる。霧降高原から登って西参道に下りる(あるいはその逆)ことで時間を短縮する方法もあるようだ。だが、西参道発着の標準コースタイムは約9時間30分であり、頑張れば日帰りも可能と思われた。交通機関を調査したとしころ、始発に乗車すれば余裕を持って終電までに帰宅できることが判明したため、実行に移すこととした。


日光女峰山登山の準備

標準コースタイムが約9時間30分なので、登りで30分詰めることを前提に、9時間で計画を立案した。より短時間の計画にしなかったのは、登山自体が昨年9月の富士山以来約10カ月ぶりであり、登山に必要な体力が低下していることが懸念されたためだ。今回も始発に乗車することで、ゆっくり歩いた場合でも日没までに余裕を持って下山できるようにした。さらに、唐沢小屋に予定通りに到着できなかった場合や、天候が急変した場合、そして膝に痛みを感じた場合には、女峰山を諦めて下山する予定とした。逆に、余裕がある場合には付近にある帝釈山(2455m)にも往復することとした。

装備・持ち物は、基本的に日光白根山日帰りと同じである。既に7月下旬であり、登山を阻むレベルの残雪があるとは考えられなかった。このため、雪山装備は一切持たなかった。

水や電解質も、当時と同程度とした。即ち、水2.5リットル、粉末POCARI、ウィダー類3個である。これに限らず、荷物を最小限とすることにも気を配った。下山時の膝へのダメージを可能な限り軽減するためだ。なお、従来は膝対策として右膝サポーターを着用していた。だが、今回はここ数年重点強化を継続してきた膝周りの筋肉がどの程度ついているかを判断するため、着用しなかった。

また、今回は中禅寺湖や奥日光まで行くわけではないため、まるごと日光 東武フリーパスは購入しなかった。

なお、当初は22日(金)に休暇を取得して登る予定だった。ところが、降水確率80%となっていた(実際、東京では雨が降った)ため1週間延期した。雨の中の藪漕ぎは白根山で懲りている。結果的に、この選択は正解だった。


2016.7.29(Fri)

日光女峰山登頂

●登山口到達まで

4時過ぎに自宅を出発し、始発に乗る。この始発を捕まえるため、普段とは違う駅を使った。朝飯は無事、途中のコンビニで調達した。今回もタイミング良く信号待ちが入ったため、その間にさくさくっと購入完了。最寄駅まで歩いている間は暑かった。だが、東武動物公園あたりから冷房がガンガン効いてきて、速乾性TシャツととむらうしTシャツだけでは普通に寒いし! 但し、
白根山敗退時のように夏山用のフリースを装備してしのぐほどではなかった。

東武日光までの約3時間に及ぶ電車の旅では、時間を有効に活用して、睡眠補給、朝刊読破(産経新聞のAndroid版)、朝食を済ませる。今回は自宅出発時にバナナと豆乳とプロテインを摂取したのに加えて、この朝食でおにぎり3個を平らげておいた。なお、飲み物は自宅にあった小さい紙パックのお茶を持ち込んだのだが、ストローが外れてザックの底に沈んだのに気付かず、飲むことができなかった。止むを得ず、登山中に飲む予定の水に手をつけることとなった。

東武日光駅ではトイレを済ませておく。次にトイレに入るのは、恐らく下山後だ。この時点で山の方は雲に覆われていた。だが、真夏の直射日光を軽減できるため、むしろこの方がありがたい。

西参道方面のバスはガラ空きで、登山用の装備をした人は皆無だった。平日なのに加えて、そもそも女峰山の日帰りを狙うには遅すぎる(そして神社を参拝するには早すぎる)時間だからか。

●登り(予定と実績)

予定実績場所高度備考
7:527:55西参道バス停630m道迷い10分
8:108:17行者堂740m道迷い5分
9:009:11稚児ヶ墓1120m休憩3分
9:509:51白樺金剛1500m休憩3分
11:2010:45黒岩1900m通過。少し前に休憩7分
12:1511:49唐沢小屋2240m休憩9分
12:5512:31女峰山山頂2483m休憩5分、写真撮影等

●登り

西参道バス停から二荒山神社に行くところでいきなり道に迷う。「東照宮」「二荒山神社」「西参道」を示す標識は西参道バス停周辺に一切見出せなかったためだ。地図によれば、バスの進行方向右手に二荒山神社があるように見える。そこで、車道を渡った後、進行方向に歩いて右方向の道を探索する。だが、そのような道を見出せないまま5分ほど経過した。そして、車道が左方向に曲がっているのが見えた時点で、明らかにおかしいと気付く。運良く地元の人が居たため、道を聞くことができた。そこで初めて誤りが判明し、来た道を延々と戻る羽目になった。戻る途中に「東照宮」「輪王寺」「二荒山神社」の方向を示す標識をようやく見出した。土地勘の無い人間が1/25000地図だけを見ていると絶対に分からないと思う。

この看板発見までに10分経過女峰山を示す標識をやっと見つけた

気を取り直して二荒山神社に向かう。10分も無駄に歩いたため、改めて準備運動をする必要は無いだろう。二荒山神社の脇の坂を登っていくと、女峰山に向かう石段を見出した。そのまま登ること約10分、最初のチェックポイントである行者堂に到着した。

ここでとむらうしTシャツを装備解除し、アンダーTシャツ1枚になって日焼け止めを塗りまくる。曇天とはいえ、盛夏の紫外線は凄まじい。

さて、行者堂の先でも道に迷う。まず目に入ったのは、行者堂の右手を進む下りの道だった。だが、これは方向も傾斜も地図上の登山道とは明らかに違う。次に行者堂の左手にある山道を進んでみた。だが、2分ほど経過しても傾斜が上がらず、ずっと平坦なままだ。地図上にもこの道は存在するものの、とんでもない遠回りになる。そこで第三の選択肢として、行者堂の左脇から裏手に向かう道無き道を進む。この道も地図上に示されているように見える。だが、いきなり蜘蛛の巣の洗礼を浴びた。本当にこれで合っているのか? なお、正解ルートは行者堂の階段を登りきったところに左手に存在する。ところが、この道に気付いたのは下山時だった。

行者堂。この先の道が分かり辛い一応ここまで登ったのに正解ルートに気付かず 

行者堂の脇を強引に登っていくと、ピンク色のテープが結ばれた木を進行方向に見出した。8:31になってようやく女峰山への方向を示す標識を発見し、安堵する。8:40になって今度は車も通れそうな広い道に出た。合流してしばらく進むと、右手に女峰山への方向を示す標識があった。

この標識を見つけるまでに14分経過車も通れそうな広い道

その後は笹藪がひたすら続いた。しかも笹の背丈がどんどん上がる。当初は膝までしかなかったのに、やがて腰まである笹薮に変わった。稚児ヶ墓を過ぎると胸の高さに達した。登山道を完全に覆い隠している区間も数多く存在した。ほとんどの場合、前方に何らかの目印(ピンク色のテープ等)があった。だが、100mくらい進まないと目印を見出せない場所もあり、何度も疑心暗鬼になった。それでも、女峰山への方向を示す標識が要所に存在したため、幸いにも本格的に迷うことは無かった。

序盤から笹薮。この程度は序の口今度は泥濘の道。下山時に苦労した

白樺金剛を過ぎても胸の高さまである笹藪が登山道を塞いでおり、予想外に消耗した。一昨年7月の日光白根山よりも凄まじい。かれこれ二時間近く、断続的に藪漕ぎが続いたのにはほとほと閉口した。まだ朝露が残っていたため、靴はもちろんのこと、靴下もズボンもずぶ濡れになった。登山靴が水を吸って重くなり、歩くたびにグチャグチャと音を立てる。雨の降らない日を選択して本当に良かった。もっとも、これでペースが落ちたことで、かえって体力を温存できて良かったのかもしれないが。

何だ! この藪は!せっかくだから、俺はこの緑の道を選ぶぜ!

このような藪漕ぎは想定していなかったため、相変わらず半袖Tシャツに綿のズボンという、およそ藪漕ぎにはふさわしくない装備で突進し続けた。藪をかき分けている間に蜂やら毒草やらマムシやらに襲われたら対処のしようもない(幸いにもそのようなことは無かったが)。加えて、足元が見えないため、段差や障害物があっても分からない。特に白樺金剛から先は傾斜がキツくなるため、下山時の転倒が懸念された。

白樺金剛の先も続く笹薮唐突に出現した岩場

10:22、唐突に岩場が現れた。しつこすぎる笹薮ともついにオサラバできるかなと期待しつつ、ガンガン登っていく。八風という標識の少し先でようやくまともに休憩できそうな場所を見つけたため、7分と長めの休憩を入れた。何しろ笹藪との格闘で体力的にも精神的にも著しく消耗していたためだ。靴下を絞るとものすごい勢いで水が出てきた。ついでに鼻水も排除しておく。

この作業の結果、足が一気に軽くなった。もちろん靴はまだ水浸しであり、歩くたびに靴下に水が染み出してくる。このため、定期的に靴下を絞って排除する必要がある。そして、ここまでの藪漕ぎで予想外に消耗したためか、それとも10カ月も登山をサボった報いか、登りの区間で足が上がらなくなってきた。写真撮影と称して、立ち止まって呼吸を整える場面も出てきた。

岩場は笹薮より遥かにありがたいこの辺で大休憩

さらに疲労を増幅したのは、次のチェックポイントである「黒岩」を完全に見落としたことだ。まず、黒岩を示す標識を少なくとも三つ見落とした。「遙拝石 黒岩」の標識は文字が薄れていたため、写真撮影までしたのにもかかわらず「←女峰山 日光→」の文字しか目に入らなかった。その先にある「←女峰山 黒岩→」の標識二つは、苦しい登りを足元と少し先のホールドしか見ずに進んでいたため、見落とした。これらの標識の存在に気付いたのは、下山時だった。さらに、ガスがかかっていたため、名前の由来になりそうな黒っぽい岩も見出せなかった。強いて言えば、このルートで唯一の鎖場にある大きな岩が黒っぽかったくらいか。

この標識を撮影したのに「黒岩」を見落とし怖さが伝わらないが、鎖無しでは厳しい

その結果、歩いても歩いても黒岩に到着しない。予定を10分過ぎ、20分過ぎても到着しないので撤退も考えた。急な登りがしばらく続いた後はひたすら巻き道を進んでいるように感じられた。実際には気付かないうちに2224mピークを通り過ぎていたのだが、この時点ではそこまで高度を上げているとは夢にも思わなかった。従って、黒岩を巻き道で回避して1900m〜2000mの等高線上をひたすら進み続けているのではないかと勘違いした。途中でガレた沢を2つ渡った時に地図を読んでも現在地を全く判別できなかった

普段は絶景なのだろうが、ガスで見えずガレた沢を横断する

それでも一本道を進んで来たので迷う要素は少ないと思い直し、進み続ける。すると11:49、唐突に小屋が見えた。何と、黒岩の次のチェックポイントである唐沢小屋だった。結果的に道が間違っていなかったことを知って大いに安堵する。しかも、予定よりも26分早い! 体力的にも精神的にも疲労困憊していたため、9分と長めの休憩を入れた。まずは二度目の靴下絞り。靴下は絞れても靴は絞れないため、靴下に新たに水が染み込んでいた。これを固く絞ると、明らかに足が軽くなった! なお、ここまでで遭った人は2人のみ。うち1人は、険しい登りでルートの選択に少し迷っている時に上から降りてきてくれたため助かった。

避難小屋の外観は白根山の避難小屋に遜色ない威容を誇っていた。女峰山や白根山では男体山と違って下山までに時間を要するため、本格的に宿泊できる設備を整えてあるということか。なお、雨天でもないため、中に入って休憩する必要は感じなかった。

唐沢小屋には予定より30分早く到着この倒木の下をくぐる

唐沢小屋から先は250mほどの高度を一気に上げる。当然ながら道の傾斜が上がり、険しさを増す。事前の地図読みでこのことは分かっていた。だが、唐沢小屋までで消耗しすぎたため、何度も立ち止まって呼吸を整える羽目になった。

岩場で一気に高度を稼ぐ男体山を彷彿とさせる岩の道

山頂付近で3人目に出会った。霧降高原から3時間かけて登ってきたとのこと。良いタイミングなので山頂でお互いに写真撮影する。但し残念なことに、一面ガスっていて眺望は楽しめなかった。また、山頂付近では推定数百匹にも及ぶ各種の虫がブンブン飛び回っていたため、ここで休憩や食事はあり得ないと思った。

山頂らしき標識が見えた!登頂!

事前の計画では、余裕があれば帝釈山への往復を実行するつもりだった。実際、24分ほど余裕はあった。だが、肉体的にも精神的にも消耗が激しかったため、帝釈山へ向かうことはきれいさっぱり忘れていた。帰宅後に写真を見て、山頂直下に帝釈山を示す標識があったことに初めて気付いたくらいだ。それよりも、下山時にあのしつこすぎる笹薮をまた突破しなければならないのかという疲労感の方が先にあった。

山頂直下の標識。「帝釈山」は見落とした帝釈山方面はガスで見えず

●下り(予定と実績)

予定実績場所高度備考
13:0512:31女峰山山頂2483m休憩5分、写真撮影等
13:3013:03唐沢小屋2240m通過
14:1014:01黒岩1900m少し先で休憩9分
15:2014:50白樺金剛1500m休憩1分
16:1515:24稚児ヶ墓1120m通過。少し先で休憩3分
17:0016:12行者堂740m通過。少し先で休憩5分
17:1016:32西参道バス停630m 

●下り

長居は無用と判断し、すぐに下山に取り掛かる。まずは山頂付近の岩場を慎重に下る。登りでの消耗が激しいため、気を抜くと滑落に直結すると思われた。また、万一膝を痛めるとその先の下山が地獄になるため、両手も駆使して下っていく。もちろん速度は完全に殺す。それでも、なかなか完璧とはいかない。右足の親指の爪には少なくとも一回、猛烈な痛みが走った

どちらを向いてもガスばかりそれなりに高度感のある下り

唐沢小屋では休憩の必要が無かったため通過した。その後は、登りで見落とした黒岩が果たしてどこにあるのか確認しようと試みる。すると、「←唐沢小屋 黒岩→」という標識が少なくとも二つ見つかった。さらに進むと「遙拝石 黒岩」という標識を見出した。だが、視界が悪かったこともあり、どこが黒岩なのか全く分からなかった。休憩するような場所でもなかったため、2分ほど進んだ先の岩場で休憩を入れた。ここで靴下絞り三度目。但し、恐らくここでヤマビルらしき生物に飛び込まれた。帰宅後、シャワー時まで全く気付かなかった。

登りでは完全に見落とした標識これは黒岩ではないらしい

白樺金剛周辺では予想通り、笹薮に難儀した。登りの時と違って視界は利くし、一度通った道なので迷うリスクも少ない。但し問題なのは足元が見えないことだ。足元に岩や木の根があると躓くし、段差があるとバランスを崩す。滑ったり転倒しかかったりしたことは、一度や二度ではない。致命的なダメージを受けないよう、全身を使って転倒を防ぐ。幸いなことに、滑落に直結するような場所は無かったが。また、登りの時ほど笹が露で濡れていなかったのも幸いした。膝から下が少し濡れただけで済んだ。

笹薮ロードの再開どこが登山道だか分かりますか?

15:06、白樺金剛から少し下って何度目かの笹薮を突破すると、ようやく樹林帯を抜けて人里が見えた。そこから先は傾斜が緩くなり、笹薮は相変わらず存在したもののそれほど脅威ではなくなった。よって速度をやや上げた。

遥か遠方に人里が見えて一安心藪の合間にこういう爽快な道もある

それでも足に蓄積した疲労はいかんともしがたく、稚児ヶ墓から先では速度が上がらなかった。ここ数年の登山では常に装着していた右膝サポーターを今回は装着していなかったことも原因の一つかもしれない。膝への衝撃を最小限に和らげつつ、慎重に下っていった。泥濘ロードでは予想通り苦戦した。中央を通行しなければ、ほぼ確実に滑ってバランスを崩すためだ。そして疲れた足では確実に中央を通行できるわけもない。

藪の背は低くなったがそろそろ疲労が蓄積泥濘ロードでは予測通り苦戦した

「殺生禁断境石」と大書してある巨大な石碑まで到着し、行者堂まで約25分と予測した時点で、0.5パックだけ残してあったウィダーをすべて平らげた。これが最後の補給だ。

道なりに進むと行者堂の裏手に!この注意書きは登る前に読んでおきたかった

道なりに下山していくと行者堂の裏手に出た。なるほど、ここが登山道の入り口だったのか! 登山届を入れるポストや女峰山を示す標識もあった。女峰山入山注意も記されていた。これを登山前に読んでいれば!

最後に、行者堂から二荒山神社少し前までの石段が無茶苦茶キツかった。そういえば男体山でも最後の石段が異様にキツかった記憶がある。

最終関門の石段。疲れた足にはキツい

●帰宅まで

夕食として元祖ゆば丼なるものを平らげる。程よく塩分が効いており、登山の直後にはちょうど良い。

夕食の元祖ゆば丼

17:39に東武日光発。これに乗ると、21時過ぎには帰宅できる。1本でも乗り遅れると、接続が悪いため、当初予定通りの22時過ぎの帰宅となる。忘れないうちにスマホに登山日記をひたすら入力しておいた。FLICK OF THE DEADで鍛えたフリック入力が、極めて役に立った。

……

帰宅後にシャワーを浴びている時に、右足の下部外側に静脈から出血して固まったような跡があるのに気付いた。太さ5mm、長さ4cm程度で、皮膚から盛り上がっている。しかし痛みは無いし、ここまで深い怪我をした自覚も無い。よってシャワーで少しずつ洗い流していくと、突然全体が剥がれ落ちた。後に残ったのは直径5mm程度のごく浅い傷のみ。これが噂に聞くヤマビルという生物か。しばらくの間は少しずつ出血が続いていたものの、幸いなことに5分程度で止まった。恐らく下山中の三度目の靴下絞りの際に飛び込まれたのだろう。それから約7時間も吸血を続けた挙句、満足したのだろうか。


日光女峰山登山の感想

●今回の収穫

当初想定よりも短時間で、登って下りてきた。標準コースタイム9時間30分のところを9時間という計画を立てたのに、実際には登り4時間36分、下り4時間01分、計8時間37分だ(休憩時間、迷った時間を含む)。登り下りとも藪漕ぎで消耗するという悪条件の中、健闘したと言えるだろう。4:13自宅発、20:56帰宅ということで、公共交通機関のみを使用して日帰りを完遂した。

膝へのダメージは軽微だった。ここ数年継続した膝周囲の筋トレの成果であろうか。膝サポーターを装備しなくても大きなダメージは受けなかった。但し、靴下がやや薄かったためか、そして藪漕ぎの影響で濡れたためか、両足のくるぶし付近に軽度の靴ずれが発生した。他には両足親指に水ぶくれ、右足の親指の爪の内出血くらいか。筋肉痛は太ももとふくらはぎに来たが、幸いなことにいずれも軽症だった。1日後から現れ始め、2日後がピークだった。今回は翌朝と翌々朝に軽くジョギングを実施して刺激を入れたため、軽症で済んだと思われる。

費用は、合計約5500円に抑え込んだ。交通費は電車・バス含め約4000円。今回は西参道から先に行かなかったため、「まるごと日光 東武フリーパス」(北千住発着で4520円)を使用するよりも安い。他には、朝食と昼食がコンビニおにぎり4個で約500円、夕食が西参道付近の外食で約900円。飲み物は、過去に調達した0.5リットルの水と、2リットル64円の「熊野古道の水」を利用した。後者はザックの中に入れておき、前者を飲み切ったら随時移し替えていた。

●今回の反省

まずは登りで黒岩を見落としたこと。それ以前に、西参道バス停から二荒山神社の区間で迷うとか、行者堂から先に進む道を選択する際に消去法を実施するといった失態もやらかした。地図読みと目標物発見の能力にはまだまだ難がある。今後も、今回のように日本百名山以外で訓練を継続すべきだと痛感した。

また、登山を10カ月もサボった点も反省すべきだ。この間はランニング(平地、約5km×週3回)を継続していたためか、登りの体力はさほど落ちていなかった。また、膝周りの筋肉を鍛え続けたためか、膝へのダメージはほとんど無かった。だが、下りは結構キツかった。下山に必要な筋肉はとことん退化していたと思う。

●総括と今後

白樺金剛周辺の登りと下りは藪漕ぎ、山頂付近はガスで、あまり楽しい山行ではなかった。だが、来月挑戦予定の日帰り富士登山に向けて、良い訓練になった。天候に恵まれれば、何とかなるだろうと考えている。天候が悪ければ、今回の反省を踏まえて真価が問われることになるだろう。

次に女峰山に登ることがあれば、今回断念した帝釈山(2455m)に登りたい。笹薮が育っていない時期(かつ、雪の無い時期)に登れば、手頃な訓練になるだろう。


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