利尻山+礼文岳



●概要

・利尻山は沓形ルート往復、礼文岳は内路発着
・6人パーティ(ぽかたん、むな、どらぐ、れえる、ウェル、筆者)
・利尻山(1719m)、礼文岳(490m)に登頂
・それぞれ日帰りで敢行

●動機、準備、感想

利尻山登山の動機
利尻山登山の準備
稚内経由で利尻島入り
利尻山
礼文岳+スコトン岬
野寒布岬+宗谷岬
利尻山登山の感想


利尻山登山の動機

利尻山(1719m)とは、利尻島最高峰にして、日本百名山の最北端に位置する山である。従って、単独ではなくタイパー登山部で行きたかった。数年前から登ろうという計画はあり、今年に入ってから具体化し決行した。

利尻山は日本最北端に位置するため、夏山として登れる時期は7〜8月に限定される。また、複数人の予定を合わせるとなると、土日+αとせざるを得ない。さらに、登頂チャンスは最低2日確保したい。利尻山は独立峰であり、しかも登山道の崩壊が進んでいるため、風雨が強いと登頂を断念せざるを得ないこともあるらしい。今回は幸いなことに8/2(金)〜8/5(月)の3泊4日の日程を確保できたため、利尻山だけでなく礼文岳、そして周辺の観光も含めた贅沢な旅程を組むことができた。


利尻山登山の準備

北海道の山の難易度は、本州の山に標高を1000m追加して考えるとちょうど良いと聞いたことがある。利尻山に関しても、緯度が高く気温が低いこと、登山口からの標高差が沓形(くつがた)ルートで約1350m、鴛泊(おしどまり)ルートで約1500mあることから、本州で言えば3000m弱の山を想定した準備が必要と判断した。

但し、直前に天気予報を確認したところ、日中の気温は稚内周辺で25度ある。晴れれば標高1700mでも約15度だ。風速が10mあったとして体感気温は5度。雨に降られなければ、防寒対策は速乾性Tシャツ+ランニングタイツ上下+雨具で充分と考えた。即ち、富士山に登る時と違ってダウンやフリースまでは持参しない。

登山計画は、鴛泊ルートと沓形ルートの両方で立案した。これは、タイパー登山部の中でも体力差があり、パーティ分割の可能性があったためだ。中級者向けとされている鴛泊ルートを選択するのはまったり組であるため、標準コースタイムより長めで計画した。上級者向けとされている沓形ルートに挑むのはきびきび組であるため、ほぼ標準コースタイム通りで計画した。パーティを分割する場合は、沓形登山口で沓形組を下ろした後に鴛泊登山口まで車で移動し、下山後に沓形組を回収することとした。実際には別の選択肢をとることとなったのだが。

筆者は沓形組を選択した。計画では登り6時間30分、山頂1時間、下り3時間40分、合計11時間10分としていたため、水や電解質は多めにした。即ち、水2.5リットル、ウィダー類3個である。一方、荷物を最小限とすることにも気を配った。下山時の膝へのダメージを可能な限り軽減するためだ。また、ランニングタイツ下を着用し、膝サポーターの代わりとした。

費用は以下の通り。今回は利尻山登頂に加えて礼文岳登頂や稚内を含めた観光も組み込んだため、費用が膨らんだ。とはいえ、美食や登山口への移動を含めた費用対効果はトータルで見ればむしろかなり良かったと考えている。

費目費用備考
航空券24760海外の業者を通した分だけ高くなった。ANAの海外サイトで買えばさらに安い。
レンタカー12700利尻礼文2泊3日9000、稚内半日3700。ガソリン代含む
その他交通費8234フェリー、路線バス、電車
宿泊35760利尻マリンホテル2泊34560、キャンプ場ゆ〜に1泊1200
食事52552日昼〜5日昼。ホテルでの朝夕4回、3日昼(行動食)を除いて計5回
土産2095職場用、家庭用
その他4529携帯トイレ、行動食、水、温泉等
合計93333

※レンタカー、キャンプ場ゆ〜に、4日夕食は人数で均等割。
※4日昼食(うに丼)は荷物運びの報酬として無料に。


2019.8.2(Fri)

稚内経由で利尻島入り

飛行機は快適すぎる。アップルジュースと温かい日本茶を頂きつつ、不足気味の睡眠を充分に補うことができた。視界不良のため稚内空港に着陸できない場合は旭川空港か新千歳空港に着陸する旨のアナウンスもあったが、無事に到着した。仮に他の空港に着陸した場合は当日中の利尻島への移動が困難であり、登る山を変える必要があった。前方のモニターを見ていると、確かに低層には雲だらけだ。高度100mを切ったと思われるあたりでようやく下界が見えた。むしろこの状況で着陸できるのがすげえ

空港ではレンタカー確保に失敗した。ハイシーズンであり、予約は必須であるようだ。もはやタクシーしかないかと思ったが、タイミングよくフェリーターミナル行き・12:52発の路線バスに乗車できた。運賃は600円と良心的だ。それにしても、外気が涼しすぎる! 最高気温は25度であり、東京より10度も低い。Tシャツに短パンではむしろ肌寒いくらいだ。

フェリーターミナル到着後、速攻で二等席チャレンジ。即ち、席の確保を試みる。ここで確保できなければ本日中の利尻島への到達が絶望となる。窓口が閉まっていたため一瞬焦ったが、隣に自動券売機があり、幸いなことに乗船券を確保できた。

稚内空港にはロシア語の表示が!昼飯のエビ重。900円也

昼食は北市場でエビ重を。五色丼にもソソられたが、お値段も3000円くらいしたため見送り。まだまだ本気を出すタイミングではない。

最北端の線路(撮影:むな)このフェリーで利尻島へ渡ります

続いて稚内駅観光。最北端の駅、最北端の線路らしい。もっとも、電車というか汽車の本数は非常に少ない。既に札幌行きは残り一本となっていた。土産は宗谷の天然らしい塩、648円也。

野寒布岬に行くには時間が、というよりもパーティ全体のモチベーションがやや不足していた。また、フェリーの二等席を確保できるかという不安もあった。結局、フェリー乗り場で一時間ほど待ち。

フェリーではアバロンとナポレオン。両方とも、2015年7月のIntersteno2015ブダペスト大会以来だろうか。ルールを忘れかけていたため、思い出す程度に。

利尻山が近づいたところで展望デッキに出てみる。素晴らしい山だ!

利尻山が見えた!鴛泊港から見たペシ岬。麓のマリンホテルに宿泊

利尻島に到着後、まずは手配しておいたレンタカーを借りる。営業所で、利尻山の詳細情報を今さらながら収集できた。背負子投げ(しょいこなげ)や親不知子不知(おやしらずこしらず)といった難所の存在はここで初めて知った。ま、あまり情報を収集しすぎても当日のワクワクドキドキ感が減ってつまらんしな。

宿付近には標高93mのペシ岬展望台がある。行くのは明日か明後日か。それよりも、利尻山の勇姿が素晴らしい。

セイコーマートで携帯トイレを2個購入しておく。800円也。但し、明日の朝食は買わなかった。ホテルの朝食の時間よりも出発時間の方が遥かに早いため、代わりに弁当を作ってもらえると踏んだためだ。予想通り、おにぎり+おかずを受領した。

ホテルでは3人部屋を二つ確保しておいた。部屋割りは特に意図しなかったが、結果的にまったり組(ぽかたん、むな、ウェル)ときびきび組(どらぐ、れえる、筆者)で分かれた。入室後、速攻で明日の登山向けパッキング。余分な物は部屋に置き、可能な限り軽量化を図る。

夕飯は豪華すぎ。ご飯二杯余裕! カーボローディングにはちょうど良い。

こここ…こりは〜〜〜!(みそさん風に)ここここ…こりは〜〜〜〜!

風呂はほぼ貸し切り。その後は明朝の早起きに備えて速攻で就寝した。


2019.8.3(Sat)

利尻山

●登山口到着まで

3:00起床。速攻でトイレを済ませた後、朝食のおにぎり+おかずを半分ほど食べておく。山で朝食に適した場所があるとは限らないし、荷物を軽量化する意味もある。その後いろいろと準備して、出発したのは結局4:00過ぎだった。フロントが開いているわけがないため、部屋の鍵は持っていく。このくらいの重量増加は何とかなるだろう。

宿付近から利尻山を望む見返台園地から利尻山を望む

行きの車内で、登りのパーティを分割するか否かで議論。結局、むなぽかの荷物を筆者とれえるとウェルが持つ代わりに、難関の沓形ルートを全員で登ることとなった。鴛泊ルートと沓形ルートに分かれた場合、分岐での待ち合わせが厄介だ。下手すると一時間以上の待ちになる。鴛泊組が遅れる可能性が高いため、分岐から鴛泊ルートを降りて迎えに行くという手段もある。だが、鴛泊組が山頂に向かっていてしかも連絡が取れない場合は行き違いになる。

●登り:予定と実績

予定実績高度場所備考
4:305:08415m沓形登山口発 
-6:01650m6合目休憩9分
6:106:36870m7合目避難小屋休憩7分
6:307:02875m礼文岩通過
-8:011160m8合目通過
-8:421380m8.5合目(携帯トイレ専用ブース)休憩6分
9:009:001461m三眺山休憩21分。写真撮影等
10:3010:481585m沓形分岐休憩8分。雨具上装備
11:0011:161719m利尻北峰休憩51分。写真撮影、昼食

※実績時間は腕時計で計測。デジカメのファイル作成時間も参考とした。
※高度は現地の標識によるもの。無い場合は国土地理院の地図の目視による概算。
※上記以外にも細かい休憩は随所にあり。

●登り

腕や顔、首、耳の後ろ等に日焼け止めを塗り、軽く準備運動をして、さくさくっと出発。天候は快晴なので、上は速乾性Tシャツ1枚のみである。下はランニングタイツ+短パンとした。その速乾性や伸縮性は
2カ月前に体感済みだ。また、目は雪山用サングラス(通常の眼鏡の上に装着するタイプ)、頭はランニングキャップで防御する。

出発前に(撮影:ぽかたん)

登りはぽかたんに先導してもらい、筆者は最後尾につく。後半はれえると最後尾を交代することもあった。筆者が先頭に立つとパーティ全体がほぼ確実にオーバーペースに陥るためだ。ぽかたんのペースは槍ヶ岳での実績が示す通り、終始安定していて心地良い。筆者にとってはランニングタイツの効果か、それともここ4年近く継続してきたランニングの効果か、足取りは軽い。また、単独行と比較して休憩も多いため、基本的に楽だ。要所で写真を撮影しつつ、まったりと登っていく。

沓形ルートの登山口は、駐車場のある見返台園地から少し下ったところにある。いきなり急登から始まるし、少し進むと泥濘がヤバすぎる。この時点で滑りまくり、下山時の苦闘が懸念された。また、水2.5Lに加えてぽかたんから預かった荷物もあり、普段より荷物が重い。バランスを崩すとザックに引っ張られて後方に転倒する懸念がある。もっとも、序盤でこの感覚に慣れておいたお陰で、終盤の難所でバランスを崩すことは無かったが。

序盤からなかなかの急登藪漕ぎ。この程度はまだ序の口

高度を上げて6合目を過ぎると、見晴らしが良いところが出てくる。沓形の集落や港、海の向こうには礼文島も見える。

沓形の集落と港が見える海の向こうには礼文島が!

利尻・礼文では低地でも高山植物を楽しめるらしい。名称は不明だが、確かに綺麗な花は随所に咲いていた。

何やら綺麗な高山植物何やら綺麗な高山植物2

中盤は痩せた尾根道をひたすら登り、高度を稼ぐ。樹林帯を抜けたため、直射日光がキツい。山座同定の話題が出たため、地図上に見える1161ピークはあれかな、などと推測しつつ歩いてみる。しかし、1200mを超えたと思われる場所から1161ピークらしい山を見ると明らかに向こうの方が高い。この時点では、印刷不鮮明のため1181の見誤りかと思った。だが、後で地図を見直すと1161ピークは1270m超の台地の背後に隠れていた。まだまだ地図読みが甘い。

1161ピークと誤認した1270台地この尾根を登り、三眺山を目指す

その後も容赦ない藪の洗礼が続く。沓形ルートの半分くらいは藪漕ぎだったように思う。とはいえ、まだまだ中盤戦だ。本当にヤバいのは終盤に入ってからだ。

さらに登っていくと二つ目の携帯トイレ専用ブースが設置されていた。内部には便座が設置されており、焦っていると通常のトイレと勘違いするかもしれない。

藪漕ぎが厳しくなってきた携帯トイレ専用ブース

痩せ尾根を登り詰めると、三眺山と呼ばれる小ピークにたどり着く。ここが9合目とのことだ。が、本当に大変なのはここからだ。実際、前方の山並みを眺めてみると、急峻な地形以外見当たらない。登山道があるか否かすらよく分からない。幸いなことに、山頂方向から下山してくる人が見えたため、登山道があることを確認できた。朝からこのルートを登り続けて、下山してくる人と遭遇したのはこれが初めてだ。登山者の95%が鴛泊ルートを選択するというのはどうやら本当らしい。

三眺山に到着(撮影:むな)まるで剱岳! どーやって登るんだ!?

振り返ればペシ岬展望台が豆粒のように小さく見えていた。三眺山の標高は1461mであり、既に丹沢塔ノ岳並みの高さにまで登ってきた。

ペシ岬展望台がこんなに小さく背負子投げの難所らしい

沓形ルートの終盤では、藪漕ぎが本格化した。お花畑は綺麗だったが、代償として常に藪漕ぎを強いられた。顔まで隠れる場所もあった。しかも急峻な地形のため、谷側に寄ると転落しそうだし! 背負子投げという難所もあったが、さほど怖くはない。むしろそれ以外の何でもないところで転倒、転落する方が遥かに恐ろしい。

お花畑は綺麗だが、両端は断崖絶壁藪漕ぎも終盤戦

お花畑! 見とれていると谷に落ちます藪漕ぎならぬ花漕ぎ

藪が無くなったと思ったら、今度は急峻な地形が現れる。両側が深く切れ落ちた谷、というよりも崖になっている場所もあり、細心の注意を払って進んでいった。

三眺山からだいぶ登ってきた滑ったら300m落ちます

難所その2、親不知子不知では、傾斜45度はありそうなガレ場を二度も横断する。一部にはロープも設置されている。雪があればアイゼン必須らしい。確かに、アイゼン無しでは300m滑落して即死だろう。雪が無くても落石には要注意だ。今回はたまたま天気が良く、視界も良かったため、落石の危険は感じなかった。一方、海側から雲の塊が頻繁にぶつかってくるようになった。山頂を見ると雲に覆われ始めている。山の天気は変わりやすいと言うが、あと少し持ちこたえて欲しい。

親不知子不知。雪があると難所親不知子不知2。一人ずつ慎重に

さらに階段を登っていくと、鴛泊ルートとの合流地点に出た。コルのような地形であり、風の通り道になるわけで、雲が接近してきたこともあって一気に寒くなる。すぐに雨具上を着用した。しかし雲の上に出るとまた暑くなる。速攻で装備解除した。

合流後は階段で一気に高度を稼ぐ雲に入ると寒い

山頂までは傾斜こそそれなりに急だったが、藪漕ぎや難所も無く、20分ほどで到達した。鴛泊ルートから来た場合は、この分岐から先が最後の難所となるのだろう。だが、沓形ルートから来た我々にとっては、分岐から先がむしろ楽な道と感じられた。

11:16に登頂し、写真撮影と昼食。なお、事前に得ていた情報の通り、最高点である南峰への道は閉鎖されていた。

6人全員で登頂!山頂の社にて(撮影:むな)

沓形ルートを上から見た図南峰(1721m)。登山道は閉鎖されている

南峰の右手には、南峰よりも明らかに困難そうなピークがあった。ピークの下部にたどり着くだけでも難しそうだ。クライミングの装備と技術は必須だろう。

南峰よりもヤバそうなピーク

●下り:予定と実績

予定実績高度場所備考
12:0012:071719m利尻北峰発 
12:3012:231585m沓形分岐通過
13:3012:591461m三眺山休憩2分
-13:101380m8.5合目(携帯トイレ専用ブース)休憩5分
-13:321160m8合目休憩3分
14:4013:58875m礼文岩 
14:5014:10870m7合目避難小屋 
-14:32650m6合目通過
15:4015:10415m沓形登山口 

※実績時間は腕時計で計測。デジカメのファイル作成時間も参考とした。
※高度は現地の標識によるもの。無い場合は国土地理院の地図の目視による概算。

●下り

下山は鴛泊組(ぽかたん、むな、ウェル)、沓形組(どらぐ、れえる、筆者)にパーティを分割する。楽な道を下りたいという希望と、車を沓形登山口に置いてあること、そしてサクサク下山すれば鴛泊組を迎えに行けることを考慮した結果だ。むなぽか荷物から昼食と水0.5Lくらいが減ったため、そして自分の昼食と水も減ったため、ザックの重量もだいぶ軽くなった

下山開始。絶景哉!親不知子不知もサクサク通過

下山開始後、しばらくの間は難所も無く、階段で順調に高度を下げていく。親不知子不知も、復路ではルートがよりはっきり見えたため問題無し。怖いのは藪漕ぎだ。足元が見えないところが多いため、谷側に寄り過ぎると転落の恐れがある。一方、眺望は下りの方が良い。常に下方が見渡せるため、登りでは見落としていた風景も見える。

藪漕ぎ。谷への転落が怖すぎ三眺山が見えた! 絶景哉!

お花畑では花漕ぎを再び。雨に降られなくて本当に良かった。仮に雨に降られたら、登頂断念もあり得ただろう。しかし幸いなことに天候は良かったため、どらぐとれえるに先導されて快調に下っていく。三眺山まで52分で下ってきた。

花漕ぎ!どーやって下るんだ(下りません)

三眺山まで52分で下ってきた引き続き尾根道を下る

三眺山から先も快調に下山を続ける。藪漕ぎも難所も無くなったため、ペースを落とす要因が無い。一方、高度を下げたことと藪の背丈が下がったことで、日差しが暑くなってきた。早く森林限界より下に行きたいということで、さらにペースアップ。1270台地が格好の指標となった。

いつの間にか1270台地より下に狛犬の坂らしい。結構暑い

なお、下りでは常に小便意があり、しかも次第に強くなってきた。だが、登山口にあるトイレまで何とかもちそうだったため、携帯トイレは使わなかった。2個余らせても無意味なのだが、出したブツは登山口までその重量そのまま持ち帰る必要があり、面倒すぎた。液体なので万一漏れてきても困るし。

休憩も最小限に抑え、約2時間で7合目避難小屋まで戻ってきた。避難小屋には「登山口までここから50分」と記されている。だが、登りで懸念していた通り、本当の難関はここからだった。

終盤の泥濘では予想通り滑りまくり、大幅にペースダウンした。後で靴底を見てみると、溝には泥が詰まりまくり、ほぼまっ平らになっていた。これでは滑りまくるし、滑っても歯止めが利かない。膝を中心に、脚全体がみるみるうちに疲弊していった。

7合目避難小屋。ここから50分は難しいこういう苔で容赦なく滑ります

悪戦苦闘は6合目を過ぎてからも続いた。脚全体の痛みはますます激しくなった。転倒して致命傷を負わないように、速度を完全に殺しつつ、気合と根性で脚を動かし続けるのがやっとだった。ようやく車道が見えた時には安堵の絶叫が上がった。

15:10、下山完了!闘争勝利! 疲労困憊!

沓形組は山頂から3時間03分で下山完了した。一方、鴛泊組はあと90分ほどかかるらしい。

水は0.5Lほど残った。ウィダーは3個完食した。10時間に及ぶ行動であり、もう少し持参しても良かったかもしれない。

●下山後

まずは小便を済ませ、手・腕・顔を洗っておく。そして、どらぐの運転でサッポロドラッグストアへ。明日のための水2Lとアクエリアス、ウィダーを購入しておく。

振り返れば利尻山頂はあんなに遠く鴛泊コース序盤。何この超楽勝登山道wwwww

引き続きどらぐの運転で鴛泊組を迎えに行く。れえる、どらぐはポケモンのイベントがあったため、駐車場で待ち。筆者は体力が回復していたのと、名水に興味があったのとで、空の500mlペットボトルだけ持って500mほど歩き、さくさくっと水場へ。なんだこの超初心者向け登山道は! 舗装されていて傾斜も緩い。沓形ルート序盤とのあまりの違いに驚き呆れる。

甘露泉水まで5分で到着うめえええええ!!!!!(byむな)

甘露泉水までは5分ほどで到着した。ちょうど良いタイミングで鴛泊組が下山してきた。そして水がうますぎる! 鴛泊組は手持ちの水をほぼ飲み尽くした状態で喉の乾きに耐えながら下山を続けていたため、甘露泉水のうまさに感嘆の声が上がっていた。

鴛泊ルートの登山口付近には靴洗い場まで用意されていた。至れり尽くせりだな。筆者も沓形ルートの低層部の泥濘地帯で付着しまくった泥を洗い落としておいた。

全員無事に下山完了!(撮影:ぽかたん)ホテル前、利尻山をバックに(撮影:ぽかたん)

……

宿に帰還後、速攻で風呂! 最高! 日焼け止めを貫通して焼けた手の甲から腕にかけて痛いけど! 風呂の後、どらぐとれえるはポケモンイベントへ直行した。鴛泊組は力尽きて爆睡モードに入っていたため、筆者は明日向けのパッキング第一段階。明朝はチェックアウトするため、ホテルに荷物を置いていけない。よって、登山に不要な荷物をポリ袋に入れて車に置いていく。ドラッグストアのポリ袋が早速役立った。洗濯すべき衣類、充電器、レシート類、そして余分な水などなどを投入する。

そして夕飯! うにをはじめとする海産物がうますぎる! ご飯二杯余裕! まともに動く携帯かPCを持っていれば、「こここ……こりは〜〜〜!!!」祭りが数十枚は繰り広げられたことだろう。実際には、6年前の携帯+Wi-Fiで飯テロを1枚実施しようとした時点で、回線速度の不足からその後のツイートがすべてスタックしやがった。なお、食前酒のハスカップワインは口当たりが大変良く、酒類全般をマズいとしか感じない筆者でも楽しめる味だった。

こここ……こりは〜〜〜!!!

夜はナポレオン。このゲーム苦手すぎ。配牌が悪いと何もできないし、配牌が良くても振る舞い方が今一つ分かっていない。そして忘れた頃にやってくる裏Jの奇襲攻撃で轟沈する。必然的に、安定の最下位に落ち着いた。5戦こなした時点で22時。一気に眠くなったため撤退した。パッキングの残りを済ませて就寝。

なお、明日礼文岳に登るのはれえると筆者のみとなった。ぽかたん、むな、どらぐはもともと観光を予定していたため、ウェルは脚の痛みのため、観光組となった。


2019.8.4(Sun)

礼文岳+スコトン岬

●朝ラン

4:30に起床し、トイレと洗顔、準備運動、筋トレを済ませる。

そして朝ラン。約6.5kmを15分15秒+15分20秒。気温19度、曇り、湿度83%、風速1m。鴛泊の宿泊先である「利尻マリンホテル」から海岸線の周回道路を姫沼方面へ。デジカメをポケットに入れていたが、揺れが気になるため途中からは手に持って走った。すると今度はバランスが気になるため、左手、右手と持ち替えながら。

3km走ってペシ岬を振り返った図今日の到達点。展望台はこの上らしい

姫沼方面には展望台があるらしいのだが、15分走ってもそれらしき場所も案内も見えない。仕方なく、姫沼方面への分岐に到達した時点で終了。写真撮影後、来た道を戻った。展望台は、この分岐からやや登ったところにあるらしい。

往路も復路もキロ4分40秒程度で、速度は出なかった。昨日の登山による脚へのダメージによるものか。復路がやや遅いのは、途中で写真を撮ったため。涼しいし景色は良いし、超気持ちいい!

海岸沿いの平坦な道を気持ち良くラン鴛泊まであと1.5kmくらい

その後、宿泊先の裏手にあるペシ岬展望台(標高93m)へ。ランニングシューズでも何とか登れたが、登山靴の方が良いかもしれない。岩でできている階段は平らではなく、足場が悪いためだ。そして、展望台から眺める利尻山や海もまた絶景だ。

ホテルのすぐ近くに展望台入口が結構ゴツゴツしてます

ペシ岬展望台より。絶景哉!遥か遠くには礼文島らしき島影も

帰還したら6:00頃。朝風呂、そしてロビーに用意されている利尻の名水が最高すぎる!

朝飯もうますぎる。ご飯三杯! 牛乳二杯! 残念ながら絞りたてではなかったが。

充実の朝食

●登山口到着まで

フェリー乗り場へは、朝ランで見つけておいたショートカットから。カーナビに表示される道路を通らなくても、さらに海側(港側)に道がある。

礼文島への往復乗船券を購入し、フェリーに乗り込む。船内ではひたすらワードウルフ。6人の場合、5:1か4:2に分かれて敵味方を判別するとともに、相手陣営のお題を推測する。気の利いた質問を考え、かつ相手の質問に対して開示すべき情報を見極める必要がある。敢えて嘘を言うのも一つの方法だ。但し、味方に敵と誤認されるリスクもある。

ワードウルフの図(撮影:むな)

礼文島到着後、まずは礼文岳の登山口である内路へ。昨日買っておいた水2Lは、結局車に置いていくことにした。高尾山レベルなら、アクエリアス500mlと水500mlで何とかなるだろう。荷物を軽量化し、スピードアップを図る方を優先した。

礼文島に上陸。利尻山が見える内路より、いざ礼文岳へ

また、当初は標準コースタイム通り、登り2時間、下り1時間20分で計画していた。だが、大して難所もなさそうだし、れえると筆者のペースなら明らかに時間短縮できるはずだ。加えて、早めに下りてきて昼飯(うに丼!)を喰いたいという気分もあり、観光組との待ち合わせ時間を13:00に設定した。200分を150分に縮めるくらいなら、何とかなるだろう。

●登り:予定と実績

予定実績高度場所備考
10:3010:393m内路登山口発 
-10:58-1km地点通過
-11:10-2km地点休憩4分
12:3011:51490m山頂休憩16分

※実績時間は腕時計で計測。デジカメのファイル作成時間も参考とした。
※高度は現地の標識によるもの。無い場合は国土地理院の地図の目視による概算。

●登り

行きはれえるに先導してもらい、オーバーペースに陥らずに済んだ。最初の1km弱はそこそこ急な登りだ。昨日の利尻山と違って序盤から直射日光に焼かれる区間が多く、消耗する。だが、そこを抜けると平地に近いハイキングコースとなる。森林により日光も遮られるため、自然と速度が上がる。れえると会話しながらでも平地並みの速度が出ていた。

開幕はそこそこの急登。日差しも暑い少し進むとハイキングコースに

但し、減速時と休憩時にブヨだか蚊だかにランニングタイツを貫通して刺されまくる。被害はなぜかふくらはぎに集中した。翌朝に見てみたら40箇所以上も刺されており、旅行から帰還後にかゆさに苦しむこととなった。虫除けは必須だ。

2km地点に31分で到着410台地から山頂を望む

後半に入ると、314ピークや410台地から山頂が見え、テンションが上がる。たまに藪漕ぎもあったが、昨日の利尻山とは比較にならないほど楽勝だ。

ラスト10分はそこそこ急な登りとなる。だが、山頂がすぐそこに見えているため、速度が落ちることもない。

山頂はすぐそこに72分で登頂

山頂には11:51に到着した。出発時の9分遅れを帳消しにし、かつ予定より39分早い。これなら13:00までの下山も何とかなりそうだ。

利尻山をバックに記念撮影西方の海を望む

山頂には男性が一人先着していた。札幌在住の韓国人とのこと。英語+片言の韓国語で会話を試みたところ、日本語で返された。何と、英語より日本語の方が得意らしい。良いタイミングなので、お互いに写真を撮影しておく。

●下り:予定と実績

予定実績高度場所備考
12:4012:08490m山頂発 
-12:34-2km地点休憩1分
-12:44-1km地点通過
14:0013:003m内路登山口 

※実績時間は腕時計で計測。デジカメのファイル作成時間も参考とした。
※高度は現地の標識によるもの。無い場合は国土地理院の地図の目視による概算。

●下り

山頂からむなに電話し、予定通り13:00に迎えに来てもらうことにする。

下りは筆者が先導し、ややオーバーペース気味で。13:00までの下山という目標に加えて、5分ほど先に下山していった韓国人男性にあわよくば追いついてやろうという邪念まで発生した。しかし予想に反してなかなか追いつけない。見た目が軽装だったため、実はトレランをしているのではないかという疑惑もあった。

下山開始。サクサク進む410台地まで下ってきた。この先は楽勝

休憩もろくに取らずに下っていくと、残り2kmを切ったあたりでようやく彼の姿が見えた。だが、少し差を詰めると相手は走り始めるためなかなか追いつけない。それでも終盤には追いつき、そこからは一緒に下山した。ちなみに、彼は登山口まで自転車でアクセスしていた。なるほど、単独行ならその手があったか!

ゴール! 海抜3mらしい自転車という手段もあったのか!

内路登山口には、予定していた13:00ジャストに戻ってきた。標準コースタイム3時間20分のところを、山頂での時間を含め2時間21分。悪くない。

水は余裕で残った。2Lペットボトルを車に残しておいて正解だった。ウィダーも2個丸々残った。アクエリアスは登りでほぼ飲み尽くした。下りではアクエリアスの残りと水を少しだったかな。れえるは1.5Lも飲んだとのこと!

●下山後

車の後部トランクのドアが開かないという問題が発生した。登山前にれえると筆者のザックを出す時に、どらぐのザックの紐がドアロック部分に挟まったのが原因らしい。その場では駐車場の傾斜の問題もあって解決できず。

昼飯は「香深漁協直営 うに・海鮮処 かふか」にて生うにといくらの二色丼! 3200円! しかも昨日稼いだうに丼の権利を行使し、なんと無料に! ごちそうさまです! お値段もなかなかだが、味も絶品だ。特にうには東京で食べるよりも北海道で食べた方が圧倒的にうまい。他には寿司や天ぷらにもソソられたが、腹が満ちたためここまで。昨日に比べれば運動量が不足だし、夕飯という楽しみもある。

生うに+いくらの二色丼!こちらはうに丼!

観光組は島の南部を回ってきたとのこと。「北のカナリア」パーク、桃岩といった見所があるらしい。

ぽかたんの運転でスコトン岬へ。礼文島最北端だ。但し宗谷岬と競っているらしく、日本最北限という紛らわしい表現になっている。なお、ここから岬をもう一つ挟んでいるのにもかかわらず、利尻山がはっきりと見えた。

スコトン岬(撮影:むな)振り返れば遥か遠くに利尻山

●利尻島へ戻る

まずはトランクのドア問題を解決すべく、レンタカーの営業所に向かう。ところが、18時前だというのに閉まっていた。だが、ちょうど駐車場の傾斜が先程と逆になっていた、つまり前が上になっていたため、駄目元で試したら扉が開いた! どらぐのザックの紐の先端部の部品が壊れただけで済んだのは、むしろ幸運だった。

今日の宿泊地である「キャンプ場ゆ〜に」に荷物を置く。バンガローには二段ベッドが3台設置されていた。見た瞬間、筆者は上段に行きたいと思った。ところが、何と他5人は全員下段を希望していた。昨日の利尻山での疲労が残る状況で、荷物を担ぎ上げるのが面倒という理由でだ。これにより、場所決めのためのババ抜き大会が勃発した。この時点では、上段に行きたいという希望を敢えて隠してプレイする。その結果、何とババが一度も回ってくることなく、あっさりと一抜け。無欲の勝利というやつか。筆者が上段を選択すると、感嘆の声が上がっていた。結局、上段に沓形組、下段に鴛泊組となり、体力的にもちょうど良い配置に。

ベッド下段獲得を賭けて(撮影:ぽかたん)利尻富士温泉(撮影:ぽかたん)

すぐ近くの利尻富士温泉へ。500円也。登山後の温泉は最高すぎる! 露天風呂も存分に楽しんだ。

夕食は「和洋創咲いろは」で。他の店は満席だったり閉まっていたりしたためだ。注文は海産物メインで。特にエビマヨと、タコの唐揚げ、ホタテのバター焼きが絶品! 入店時には「突然客数が増えたので食事提供が遅くなる」と言われたが、待ち時間でワードウルフをやりまくっていたため問題なし。負けた人が次のお題を考えるという趣向を新たに採り入れた。筆者は「利尻/礼文」とか「登山/ランニング」とか。他には「たにごん/トランプ大統領」なんてのもあった。関連するお題だと推測される確率が高くなる一方で、異なるお題だと誰も推測できなくなり、バランスが難しい。

こここ…こりは〜〜〜!!!ここここ…こりは〜〜〜〜!!!!

22:30頃に出発。セイコーマートの閉店が23時であることを思い出したためだ。そして明日の朝食を調達する。バンガローに冷蔵庫は無かった気がするため、おにぎりやサンドイッチを買う気にはなれず。れえるがカップラーメンを選択しているのを見て、選択したのが「昆布だしカップうどん」105円也。バンガローに電気ポットらしきものが設置されていたのを何となく覚えていた。仮にこれが記憶違いだったら、礼文岳で消費しなかったウィダーで代用すれば良い。

バンガローに戻る。トイレが100mほど離れたところにあり、手軽には行けない。特に雨が降ると厄介だ。寝る前に歯磨きと排尿を済ませておき、かつ水分摂取を最小限に抑える。

夜はカードゲームを少し。TAGIRONという数的推測ゲームをどらぐ、れえると一緒に。初めてなのでむなに説明してもらいながらプレイする。だが、勘違いが三カ所ほどあり、残念ながら不正解に。三度目のトライでようやく正解にたどり着いた。これは悔しすぎる!

TAGIRONに興じる(撮影:ぽかたん)

なお、太もも前側の筋肉痛が一気に来た。恐らく昨日の利尻山の分、それも下山時のダメージだ。今朝のランでやや酷使した分も少しはあるだろうか。


2019.8.5(Mon)

野寒布岬+宗谷岬

●朝ラン

寝るだけのバンガローのはずが、あまり寝られず。夜はカードゲームが続き、朝は4時過ぎにカラスの鳴き声で起こされる。ちなみに暑さをしのぐため、網戸のある窓は全開にしてあった。そのすぐ外で鳴かれるので、そりゃー起きてしまう。

さくさくっとトイレを済ませる。付近のテントサイトでは、5時過ぎで既に起きている人が多かった。利尻山に鴛泊ルートで登るなら、むしろ遅い時間だし。

そして朝ラン。気温21度、曇り後霧雨、湿度91%、風速5m。キャンプ場ゆ〜にの入口から甘露泉水まで約3kmを往復し、6km。のつもりが、実際には5.4kmだった。片道2.7kmで標高差200m程度あるコースを走ったのは初めてだ。

不足気味の水分を補給した後、キャンプ場入り口まで腕を回しながら軽く散歩して準備運動の代わりとする。筋トレは、適切な場所が無いため中止した。

準備運動が不足だったのに加えて、登りはやはりキツい。車道区間では準備を兼ねて、キロ6分超のジョグペースでゆっくりと行く。止まったのは写真撮影の一度だけだったかな。なお、左手にデジカメ、右手にどらぐ携帯を持っていた。ポケモン育成の距離をランでも稼げるかの実験のためだ。両方ともポケットに入れておくつもりだったが、揺れが気になったため結局手に持って走った。

登り坂がひたすら続きます甘露泉水うめえええええ!!!!!

登山道に入ってからは容赦ない傾斜に耐えきれず、歩いたりジョグしたり。キロ8分超まで落ちた。ラスト500mだけで5分近く要した。

あわよくば富士登山競争に出てみたいなー、などと愚考していたが、とんでもない思い上がりだった。標高差200m程度の登りでこんなにペースが落ちるとは。しかもへばりまくって心肺も脚も悲鳴を上げている。この程度の実力で、標高差3000mなんて登れる気がしない。

そして甘露泉水がうますぎる! 昨日と違ってペットボトルも何も持っていなかったため、両手ですくってごくごくごくっとな。

2分休憩後、下り開始。登りの苦しさは無いが、膝および周辺の筋肉が徐々に崩壊していく。また、滑ったり、速度が出すぎて制動が効かなくなったりする懸念もあり、速度を抑えながらのランとなる。登山口まで3分25秒で戻ってきた。

下りでは筋肉が崩壊していく車道に出てからは勝手にペースアップ

車道区間は基本的に楽勝だ。速度は勝手に上がっていく。但し膝や周辺の筋肉が崩壊していくのがはっきりと分かったため、速度は抑える。それでも登りと同じ時間を要するはずもない。キロ4分26秒まで上がり、トータル13分で戻ってきた。

どらぐのポケモンには5km加算されたらしい。下りはそこそこペースを上げたため、カウントされなかったのだろうか。と思ったが、後でキョリ測で実測したところ5.4kmだったのでそうでもないらしい。つまり、キロ4分26秒程度の速度ならポケモン育成にはある程度有効ということだ。徒歩より速く自転車より遅い、微妙なラインか。(後日記:時速10km、つまりキロ6分以上かけて走らないと距離に加算されないという制限があるらしい。制限を超えると、その後しばらくの間は歩いても距離に加算されなくなるペナルティもあるとか)

●稚内への移動

朝飯は昨日買っておいた昆布だしカップうどん。室内にあった電気ポットが役に立った。水も300mlほど減らして軽くなった。

朝食の昆布だしカップうどん宿泊先のバンガロー「シネプ1」

昨日の礼文岳でブヨだか蚊だかに刺された跡が意外と重症だ。ウェルにムヒをもらって塗る。二年前のMt. Ugo(フィリピン)での虫刺されのような事態にならなければ良いが。当時はウナクールやムヒでは1カ月しても回復せず、結局病院で処方してもらったスチブロンという軟膏でようやく回復した。(後日記:右足にスチブロン、左足にムヒを塗って様子を見たところ、2日でかゆさは和らいで回復に向かった。9日後に再びかゆくなったため投与再開)

レンタカー返却の際に問題発生。まず、鴛泊エリアに2箇所あるガソリンスタンドが両方とも営業していない。少なくとも、フェリー出航の8:30より前には開いていないらしい。次、レンタカー営業所も開いていないし、電話しても誰も出ない。どういうことよ。結局、隣の別のレンタカー屋に事情を説明して車を預け、ガソリン代は別途精算することとする。他にどうしろというのか。

フェリーで稚内へ移動する。並ぶ時間が遅かった(出航20分前)ため、既に長蛇の列が生成されており、推定100人に先を越された。その結果、今まで毎回確保していた「寝転がれる部屋」を確保できなかったため、デッキ席へ。10mほど離れたところにある喫煙所から漂ってくる悪臭に耐えきれず、半分以上の時間を上部の展望デッキで過ごした。出航してしばらくすると利尻山の全景を見ることができ、実に美しい。稚内へ接近していく時にも、野寒布岬が徐々に大きく見えてくる。

フェリーから眺める利尻山と海鳥フェリーから眺めるペシ岬

稚内でレンタカーを借りる。本州では滅多にお目にかかれない「旭川 250km」という200km超えの表示を久々に見た。なお、後で宗谷岬に向かう途中には300km超えの表示もあったようだ。撮影に成功したのは宗谷岬に行ってからで、こちらは「網走 295km」!

旭川 250km!(from 稚内)網走 295km!(from 宗谷岬)

●野寒布岬+宗谷岬

まず野寒布岬へ。もともと2日の午後に隙を見て走って行こうとしていた場所だ。稚内駅から約5kmと近く、車だと10分かからない。土産物の店も充実していたが、稚内空港でも買えるだろうと見切って後回し。

野寒布(ノシャップ)岬(撮影:むな)宗谷岬にて。いい商売してます

次、宗谷岬付近で昼飯。隣の店「ぶっかけ丼の店」の看板(うに丼等)にもソソられたが、検索の結果「食堂最北端」に。ホタテラーメン塩味。うますぎる! むなが注文していたもずくラーメンもうますぎる! ラーメンの中でこれだけ価格が4桁になっていたのも納得できる。そして、隣でれえるが食べていたカツカレーもうまそうだったため、追加注文してむなとシェアした。うますぎる! カツは揚げたてサクサク、カレーも程好く甘い。ホタテっぽい海産物も入っていたような。

こここ…こりは〜〜〜!!!こここ…こりは〜〜〜!!!

宗谷岬を見てから流氷館へ。-11.5度の室内に流氷が保存されている。準備運動してから入室するも、寒すぎる! 少なくとも、半袖・短パンで長時間居られる場所ではない。かつて1年間過ごした米国ミシガン州の厳冬に匹敵する寒さだ。

日本最北端の宗谷岬(撮影:むな)-11.5度、氷上のエクストリームタイピング

稚内空港へ。帰りの便は出発が25分遅れて16:00発になっていた。職場用に個別包装のクッキー、自宅用にハスカップジャム。これは、利尻マリンホテルの夕飯の食前酒のハスカップワインが旨かったためだ。


利尻山登山の感想

最後に今回の収穫と反省をまとめて記しておく。

●今回の収穫

主目的の利尻山と礼文岳に無事登頂し、下山した。両方とも、今後登るチャンスはなかなかないと思う。今回一発で登頂できて本当に良かった。

また、利尻山の登りは当初想定通り、それ以外は想定よりも短時間で、登って下りてきた。利尻山に関しては、沓形ルートの標準コースタイムが登り6時間、下り3時間35分のところ、実際には登り6時間06分、山頂44分、下り3時間03分、計9時間53分だった(休憩時間含む)。登りでは、登山が久々というメンバーもいる状況で、ほぼ標準コースタイム通りに行動できた。下りはパーティ分割の結果、難易度の高い沓形ルートにきびきび組が揃ったため、標準コースタイムを上回った。礼文岳に関しては、標準コースタイムが登り2時間、下り1時間20分のところ、実際には登り1時間12分、山頂16分、下り53分、計2時間21分だった(休憩時間含む)。こちらも、前日の疲労が抜けきっていない中で、健闘したと言えるだろう。2カ月前の大倉〜蛭ヶ岳日帰りでの訓練が役立った。

背景として、登山中の天候と気温が比較的良かったことが挙げられる。極端に暑くも寒くもなく、雨も降らなかった。山頂付近では景色も大変良かった。

タイパー登山部として活動を再開できた意義も大きい。前回(2015年7月、ケーケシュ山)は新メンバーで行ったため、旧メンバーを含めた活動は2012年11月の剣山+石鎚山以来である。これを機に、年1〜2回は旅行を兼ねて計画するのも良いだろう。

個人的には、ランニング鍛錬とランニングタイツ下のお陰で登りには余裕があった。古傷の右膝の痛みも再発しなかったし、爪の内出血も無かった。

水分と電解質の補給に関しては、ほぼ目論見通りだった。水2.0リットル、ウィダー類3個を消費した。結果的に、水0.5リットルを残しての下山だった。終盤でれえるに水を分ける余裕もあった。

●今回の反省

筋肉痛は主に太ももに来た。しかも、超回復する前に朝ランや礼文岳登山で痛めつけたため、2日後がピークで、5日後まで続いた。そもそも、下りは山でしか訓練できないのに、それを怠っていた。利尻山の終盤の泥濘ロードも、下山トレーニングを継続していればもう少し楽になったかもしれない。

日焼け対策は、富士山やキリマンジャロで使った日焼け止めの残りを使用した。「SPF 50+ PA+++」と書いてあるものだ。また、ランニングキャップとサングラスで顔と目を防御した。その結果、顔面や耳の裏、肘周辺はほぼノーダメージだった。だが、塗り漏れた場所(首の裏側の一部)や、汗や雨具装備で剥げ落ちた場所(手の甲、手首周辺)は凄まじく焼けた。この教訓は、次回に活かす。

●総括と今後

タイパー登山部としては、日本百名山最東端の羅臼岳および、付近の斜里岳に登りたい。知床岬や日本最東端を絡めれば旅行としても充実するだろう。一方、未踏峰の多い東北や山陰という案もある。個人としては将来のより困難な山行に向けた訓練を継続する。ついでに、関東近辺の百名山を潰しておくのも良いだろう。


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