丹沢山+鍋割山



●概要

・登り:大倉→塔ノ岳→丹沢山
・下り:丹沢山→塔ノ岳→鍋割山→金冷シ→大倉
・単独
・丹沢塔ノ岳(1491m)、丹沢山(1567m)に登頂
・蛭ヶ岳(1673m)は準備不足のため断念
・代わりに、鍋割山(1273m)に寄り道

●動機、準備、感想

丹沢山登山の動機
丹沢山登山の準備
丹沢塔ノ岳〜丹沢山
丹沢山登山の感想


丹沢山登山の動機

2017年に入り、シーズン初の登山として、昨年8月の
富士山以来なまりまくった肉体を覚醒させようと考えた。3月初あたりから、何となく行きたいなーと考えていた。直前になって登山欲が急激に高まり、13日に計画を立案して16日に実行した。

丹沢塔ノ岳には過去に10回登った。このうち大倉尾根の登山は9回、下山は8回経験している。丹沢山まで足を伸ばすのも(蛭ヶ岳を含め)4回目だ。従って、既にルートをある程度知っているという安心感は確かにあった。一方で、8カ月も登山をサボった状況だったため、無理をするつもりは全く無かった。塔ノ岳と丹沢山で天候や体調を勘案し、蛭ヶ岳に挑むか否か判断するつもりだった。

また、ゴールデンウィークはなるべく避けたかった。特に塔ノ岳までは混雑が予想されたためだ。今回は幸いなことに前々週に決行できた。天候は晴れ、下界の気温は26度まで上昇するとの予報も、決行に向けた後押しとなった。


丹沢山登山の準備

今シーズン初の本格的な登山であり、かつ体がなまりまくっているため、登り・下りともに余裕のある計画を立案した。塔ノ岳に予定通りに到着できなかった場合や、雨が降った場合には、丹沢山を諦めて下山する予定だった。一方、仮に予定を大幅に上回るペースで丹沢山に到達できた場合は、その先の蛭ヶ岳に特攻するつもりだった。

また、以前とは違う最寄り駅から始発に乗車することで、渋沢6:48発の始発バスに間に合わせ、ゆっくり歩いた場合でも日没までに余裕を持って下山できるようにした。

今回は真夏の暑さの中を登るわけではないため、水や電解質は抑え目にした。即ち、水2.5リットル、ウィダー類2個である。ウィダー類は3個持つつもりだったが、直前になって2個しか無いことに気付いた。これに限らず、荷物を最小限とすることにも気を配った。下山時の膝へのダメージを可能な限り軽減するためだ。また、ランニングタイツ上下を着用し、膝サポーターの代わりとした。


2017.4.16(Sun)

丹沢塔ノ岳〜丹沢山

●登山口到着まで

自宅最寄駅から始発に乗り、電車とバスを乗り継いで7:00には大倉バス停に到達した。この時間帯では、行程のほぼすべての区間で悠々座ることができた。例外は、渋沢からのバスだけだった。電車内の時間は基本的に睡眠に充て、無駄な消耗を防いだ。

●登り:予定と実績

予定前回実績高度場所備考
7:107:367:07300m大倉バス停発 
7:257:547:25 観音茶屋通過
7:408:077:38610m見晴茶屋通過
8:058:298:00900m駒止茶屋通過。少し上で休憩2分
8:208:448:16960m堀山の家通過
8:559:188:431300m花立山荘通過
9:109:308:531360m金冷シ通過
9:309:449:051491m塔ノ岳休憩3分。写真撮影など
--9:26 日高通過
10:2510:379:511567m丹沢山休憩4分。写真撮影など

※高度はビミョウに違うかも。以下同様
※前回とは、
2015.5.1の丹沢主脈縦走時のデータを指す。

●登り

バスの車窓から、今日は丹沢山開きという表示が見えた。つまりある程度の混雑は必至か。しかし始発のバスに乗車できたわけだから、前回よりはマシになるだろう。

腕や顔、首、耳の後ろ等に日焼け止めを塗り、軽く準備運動をして、さくさくっと出発する。今回はランニングタイツ上下を装備しており、露出部分が少ないため楽だ。目は雪山用サングラス(通常の眼鏡の上に装着するタイプ)、頭はほっかむりで防御する。

なお、出発前に快晴の大倉バス停の写真を撮ろうとして、デジカメを忘れたことに気付く。つまり、写真を撮影する手段はスマホ1台のみ! 電池切れが怖いし、いちいちロックを解除する必要もあるため、写真はここぞという時にのみ撮影することとする。

ランニングタイツの効果か、それともここ1年8カ月継続してきたランニングの効果か、足取りは軽い。オーバーペースに陥らないように注意しつつ、軽快に登っていく。観音茶屋、見晴茶屋はいつものように通過した。駒止茶屋も通過し、少し上にあるベンチで最初の休憩を入れた。ここまで1時間を切っており、最初の休憩はもう少し先の堀山の家でも良かったかもしれない。とはいえ、堀山の家から先は急な登りが始まるため、準備運動の意味でその前に少し歩いておいた方が良いだろう。塔ノ岳まで休憩1回で登りきる場合、どこで休憩するかは試行錯誤の余地がある。

堀山の家までのタイムは1時間09分。前回よりも1分遅い。だが、今回はここからが違った。トレイルランナーに後ろにつかれたことが何度かあり、そのたびに少しずつ頑張ってみた。実際、いずれ先に行ってもらうとしても、安全を確保できる場所までは進む必要があるし。

ガレ場を突破し、階段を登りきり、視界が開けてきてもまだ足の動きは軽快だ。花立山荘に向かう「天まで続く」と形容される階段でも、決して楽な道のりではなかったものの、さほどペースを落とすことなく登りきった。

花立山荘でも休憩を入れず、さくっと通過した。ここまで1時間36分で登っており、塔ノ岳まで2時間を切るのは難しいとしても自己ベスト更新はほぼ確実だったためだ。その後も、平地に近いところで呼吸を整えつつ、階段やガレ場では乳酸が蓄積しない程度のペースを維持していく。その結果、最後まで軽快な足取りを保つことができ、塔ノ岳まで1時間58分で到達した。2014.11.22の記録を7分更新である。自己初の2時間切りを今年初の山行であっさり達成するとは、完全に想定外だった。

塔ノ岳に登頂。富士山が美しい

塔ノ岳までの登りで抜いた人数は64人。ゴールデンウィークを回避し、かつ始発バスに乗車したことで、混雑を回避できた。無理な抜き方(瞬間的な加速等)は一切しなかったが、これだけの人数を抜くとそれなりに消耗する。大抵の場合、最適なルートを通行できず、迂回したり急斜面を直登したりするからだ。なお、ここまでに水0.25リットル、ウィダー類0.5個を消費した。

塔ノ岳までは残雪もぬかるみも無く、大変歩きやすかった。天候も良いし、足の動きも好調を維持している。従って、3分休憩を入れただけでさくさくっと丹沢山に向かう。

……1分後、ぬかるみに遭遇した。尊仏だよりによると11日には雪が降ったとのこと。登山道に残雪は無かったものの、塔ノ岳でこれほどのぬかるみが存在するということは、この先の丹沢山に向かう道のりが懸念された。実際、ぬかるみで減速を余儀なくされた場所は幾つか存在した。ぬかるみを回避するならあと2〜3週間待った方が良いだろう。

とはいえ、丹沢山までの行程も基本的に快調そのもので、前回記録を17分上回る2時間44分で到達した。初の3時間切りである。ぬかるみでの減速が無ければもう少し速かったかもしれない。

丹沢山にもさくさくっと登頂みやま山荘周辺にはこんなに残雪が

目標である丹沢山とみやま山荘は塔ノ岳を出発した少し後からほぼ常に見えていたため、そして丹沢山に向かうのもこれで四度目であるため、どこがどれほど厳しいか、ルートの概要が分かっていたのがプラスに作用した。数箇所に存在するやや急な登りにも足を止めることなく、軽快に登りきった。

この調子なら、蛭ヶ岳まで4時間切りも狙える。そのための余力は充分に残している。だが、今回は断念した。理由は以下の通り。

(1) 食糧不足
(2) 下山トレーニングの不足
(3) 残雪とぬかるみの懸念
(4) Intersteno2017への影響の最小化

(1)に関して、ウィダー類を3個持っていくつもりが、直前になって2個しかないことに気付いた。(2)もブランク期間が長かったために懸念された。ランニングは登りの訓練にはなっても下りの訓練にはならないためだ。従って、蛭ヶ岳までの登りはクリアできても、下山が難航することが予測できた。そして(3)が決定的な要因となった。登山道はほぼ除雪されているが、それ以外の場所には残雪がある。蛭ヶ岳に向かうとさらなる悪戦苦闘が予想された。ぬかるみがあると快適な山行ができず、特に下山時には消耗や転倒が予想される。代わりに、3週間ほど後に再挑戦というのはアリかもしれない。

●下り:予定と実績

予定前回実績高度場所備考
14:1013:169:551567m丹沢山出発
--10:18 日高通過
15:0013:59/9:3110:371491m塔ノ岳通過
-9:4910:531386m大丸休憩3分
--11:031340m小丸尾根分岐通過
-10:03-1341m小丸通過
-10:1811:231273m鍋割山昼食
--11:591273m鍋割山発 
--12:201340m小丸尾根分岐通過
--12:281386m大丸通過
15:2014:1512:341360m金冷シ休憩3分
15:3514:2712:461300m花立山荘通過
16:0514:5313:07960m堀山の家通過
16:3015:0913:21900m駒止茶屋通過。少し前で休憩2分
16:5015:2913:37610m見晴茶屋通過
17:1515:4713:48 観音茶屋通過
17:4016:0514:02300m大倉バス停 

※予定では蛭ヶ岳に行くことにしていたため、大幅に狂いが生じている。
※前回とは、2014.5.3の蛭ヶ岳挑戦時、および2014.11.22の鍋割山挑戦時のデータを指す。
※日没は18:15頃

●塔ノ岳経由、鍋割山へ

下山すると決めたら素早く行動する。ウィダー1個目を空にし、必要な休憩を済ませた後、即出発した。メンバーを待つ必要が無く、自分のペースで行動できるというのが、単独登山の最大の利点だ。塔ノ岳までは来た道を戻るだけであり、しかも高低差が逆になる。時々登り返す必要はあるが、基本的に楽勝だ。にもかかわらずこの区間で42分を要したのは、下山の訓練を全くしてこなかったためだろう。

その代わり、塔ノ岳に戻ってきた時点でまだまだ体力的には余裕があったし、昼食にはまだ早い。そこで、鍋割山に寄り道して鍋焼きうどんを食べることにする。尊仏山荘のカップラーメンも魅力的だが、これは次回の機会にしよう。従って小休憩すら入れず、さっさと鍋割山に向かう。素早く行動すれば鍋焼きうどんの待ち時間も減るはずだ。

金冷シから鍋割山方面に向かうと、人の気配が一気に減った。結局、鍋割山まで抜いたのは5人、抜かれたのは1人のみだった。休憩は大丸で3分取ったのみだった。

小丸を過ぎたあたりから、富士山の眺望がいい感じになってきた。さらに、目標とする鍋割山荘も見え始めた。アップダウンも多少あったが、丹沢山と比較すれば楽勝だった。

鍋割山へ。富士山は常に美しく見えていた鍋割山まであと5分

山頂の鍋割山荘で、待望の鍋焼きうどん! これを楽しみに、腹を空かせておいたのだ。下界でこれを食べるともはや暑いが、標高1273mの山頂で食べるのは至福すぎる。待ち時間は10分で済んだ。いつものように、スープを含め完食した。

鍋割山に到着お待ちかね、鍋焼きうどん!

なお、ここまでで水0.6リットル、ウィダー1個を消費した。残りは水1.9リットルとウィダー1個、それにブドウ糖飴少々。鍋焼きうどんでも補給したし、この先にガチな登りはもう無いので、何とかなるだろう。

●金冷シ経由、下山

まずは金冷シまで登り返す。食事直後ということもあり、あまり心拍数を上げないように心掛けた。

金冷シからはバカ尾根をひたすら下る。ランニングタイツの効果が発揮されたのはここから先だった。それなりに疲労が蓄積しているはずなのに、脚の動きは快調そのものだ。

花立山荘までは階段が急なので、速度を落として膝への負担を抑えた。その結果、前回と同様12分を要した。が、その先は各区間で前回の記録を更新した。脚の疲労が少ないため、休憩する必要が無い。結局、金冷シで3分、駒止茶屋手前で2分休憩しただけだった。他には大倉バス停手前で甘酒を振舞っていたためしばし休憩したくらいか。金冷シから大倉まで1時間28分というのは、2013.4.19の記録を12分も更新だ。文句なしの自己ベストである。ちなみにトレイルランニングはしていない。それなりに荷物もあったし、山を走る(特に下りを走る)脚はできていないためだ。

金冷シ〜大倉の区間で抜いたのは52人、抜かれたのは9人。まだまだ下山は苦手であるようだ。それでも、今回は「塔ノ岳〜金冷シ」+「金冷シ〜大倉」(鍋割山への寄り道を除く)の合わせ技参考記録ながら、1時間38分というこれまた自己ベストを記録している。従来の記録は2013.4.19の1時間51分だから、13分もの大幅更新である。

●帰宅まで

丹沢の山開きということで、大倉バス停周辺でイベントが開催されていた。この影響もあってか、30分に1本しか無いバスに長蛇の列ができており、30分近く待たされた。

全区間でスケジュールのタイムを上回った結果、予定より3時間も早いバスに乗ることができた。夕食は渋沢駅付近でまた焼肉でも喰おうかなと考えていたが、14時台で夕食はあり得ない。結局、予定より3時間早く帰宅し、自宅で夕食を貪り喰った。


丹沢塔ノ岳登山の感想

最後に今回の収穫と反省をまとめて記しておく。

●今回の収穫

大倉から塔ノ岳まで、登山を始めてから8年間、ずっと2時間を切れなかった。なぜ今回はあっさりと切れたのか。決して楽な道のりではなかったが、特に花立山荘までの「天まで続く階段」と、塔ノ岳への最後の登りという本来一番苦しいところで脚への疲労が極めて少なかった。

要因は幾つか考えられる。

(1)最寄り駅を変更して(つまりその駅の始発に間に合わせるため25分歩く)渋沢駅6:48発の始発バスに間に合わせた。その結果、登山道が日曜にしてはあり得ないほど空いていた。

(2)1年8カ月地道に積み重ねたランニングの効果も間違いなくあるだろう。

(3)トレイルランナーに何度か後ろにつかれた。彼(女)らは、平地では速いが、岩場や階段ではそこまで速くない。よって少しだけ頑張ってみた。いや先に行ってもらうにしても、安全を確保できる場所までは進まないとならないし。

(4)休憩の極小化。2時間を切るペースで行くなら、休憩は1回で充分だ。今回は駒止茶屋の少し先の休憩所で2分休憩したのみだった。慣れてきたらもう少し先の堀山の家までノンストップで行っても良いかもしれない。

……だが、これだけでは下山も速かった理由の説明がつかない。そこで考えらえるのが

(5)ランニングタイツ上下を装備していたこと。膝を中心とする脚全体への無理な動きを抑制し、怪我や故障を防ぎつつ効率良く登山・下山を進める機能は間違いなくあると思う。同時に、膝サポーターが不要になった。夏の暑い時期には別途考慮が必要だが。

(6)メシ(補給)が良かったこと! カップラーメンよりも鍋焼きうどんの方が良いに決まっている!

日焼け止め+ほっかむり+サングラスで日焼けによる消耗も抑えた。

丹沢は財布に優しいという点も良い。交通費は2080円(電車、バス含む)、昼食は鍋焼きうどん1000円、行動食はウィダー類2個で約300円。ペットボトル入りの水は、以前から冷蔵庫に入っていたものを利用した。費用は合計3500円弱に抑え込んだ。

●今回の反省

デジカメを忘れた! 携帯だといちいち暗証番号を入れてロックを外さないとならないし、電池残量もすぐ低下するため、ここぞという時にしか撮影できない。

食糧を充分に持参せず(ウィダー3個持つつもりが2個だった)、蛭ヶ岳を断念する一因になったのも間抜けすぎる。慣れとは恐ろしいものだ。

●総括と今後

丹沢は東京からアクセスしやすいため、今後もたびたび登ることだろう。今回登れなかった蛭ヶ岳にもいずれは登りたい


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