日付 | 概要 |
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2016.8.12(Sun) | 富士登山 〜須山口日帰り〜 |
富士登山の動機
筆者にとって、富士登山は七度目である。2008年には須走口、2009年には富士宮口、2012年と2015年には吉田口、2013年と2015年には御殿場口から登頂した。つまり主要な四ルートはすべて経験済みとなったため、それ以外のルートを選択することとした。
ところが、五合目から上には主要な四ルート以外存在しない。つまり、五合目から下のルートから選択することになる。今回選択したのは富士宮口に接続する須山口である。夏季に富士宮口から登る場合、マイカー規制のため水ヶ塚公園でシャトルバスに乗り換えることになる。実際、2009年にはこのシャトルバスで富士宮口新五合目に到達し、そこから徒歩で登頂した。一方、水ヶ塚公園を一合目とする須山口ルートの存在を知るにおよび、今回はこのルートを試してみようと思い立った。
実際には、須山口はさらに下方から通じている。だが、今回は東京を起点として公共交通機関のみ使用での日帰りを視野に入れていた。このため、御殿場駅からバスでアクセス可能な水ヶ塚公園を登山の拠点にするのがほぼ唯一の選択肢となった。
水ヶ塚公園の標高は約1450mであり、御殿場口の五合目とほぼ同じである。大多数の人はシャトルバスで富士宮口新五合目に向かうため、お盆休み中であっても混雑は軽微であり、自分のペースで快適な登山が楽しめると考えた。
また、公共交通機関のみ使用での日帰りを実行する前に、下調べが必要と判断した。理由は、以下3点である。
(1) 標準コースタイムが長い
標準コースタイムは登り8時間30分(一合目〜五合目が3時間30分、五合目〜山頂が5時間)、下り6時間30分(山頂〜五合目が3時間30分、五合目〜一合目が3時間)である。これに日本最高点往復1時間(写真撮影待ち行列含む)を加えると16時間となる。これは御殿場口を大きく上回る。
(2) 公共交通機関の時間制限が厳しい
公共交通機関のみ使用を前提とした日帰りを成功させるには、御殿場口と水ヶ塚公園を結ぶバスを利用するのが唯一の選択肢となる。始発に乗車した場合でも水ヶ塚公園出発が8:30となる。終バスは17:50発なので、9時間20分以内に戻ってこなくてはならない。即ち、御殿場口新五合目よりも30分少ない。その結果、標準コースタイムの6割を切る速度が必要となる。現在の筆者の実力では無理がある。
(3) 下山時の時間短縮が困難
御殿場口と違って、下山時に大砂走りは無い。従って高低差1000mを40分で下るなどという荒業は使えず、地道に一歩一歩下りてこなくてはならない。さらに、六合目から上の富士宮口では登山道と下山道が共通であるため、混雑が予想される。以上により、大幅な時間短縮は困難だ。
以上により、終バスに乗り遅れて野宿となるリスクが極めて大きいと判断した。そこで、まずは妻の実家を起点とし、水ヶ塚公園まで送迎してもらって予行練習をすることとした。
富士登山の準備
●日程
今回は帰省中に登ることとしたため、11日(祝)もしくは12日(金)の二択となった。このうち11日は今年新設された祝日「山の日」であり、山では大混雑が予想された。このため、12日を選択した。登山計画は昨年の御殿場口のものを参考に、須山口と富士宮口の標準コースタイムを調査しつつ決定した。●装備・持ち物
御殿場口日帰りと同様。同じ条件で、自分がどれだけ成長したか(あるいは退化したか)を確認したかった。例えば、前回挑戦時にあった方が良かったと思った「ストック」「スパッツ」は敢えて持参しなかった。
一方、水は2.5リットルに留めた。前回よりも0.3リットルだけ少ない。不足分は山小屋で買えば良いとはいえ、ややギリギリだったかもしれない。高山病対策や傷口洗浄用も踏まえて、ある程度の余裕を持つことは欠かせない。
また、昨年までは欠かさず使用していた右膝サポーターを、日光女峰山に続いて装備しなかった。膝周りの筋力強化の結果を確認したかったためだ。但し、下山時に膝を痛めた時の対策として、このサポーターはザック内に忍ばせておいた。
そこで、高山病対策として、頭痛薬「バファリン」を持参した。筆者の過去の富士登山では、行動を続けている限り高山病の症状は頭痛だけで済んだ。吐き気や下痢、悪寒といった症状が追加されるのは、山小屋で横になった時だ。そこで、頭痛が出た時点で(目安として七合目)頭痛薬を投与して頭痛を封じ込める。その後体調を見ながら一気に日本最高点まで到達し、即下山すれば、高山病そのものを抑え込めるという見通しを立てていた。この対策が効かなかった場合は、言うまでもなく即下山するしかない。また、他に下山を決断する条件として、「天候が悪化した場合」「ペースが遅すぎる場合」を検討していた。
2016.8.12(Sun)富士登山 〜須山口日帰り〜
●登り:予定と実績
場所 | 高度 | 予定 | 実績 | コメント |
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水ヶ塚公園 | 1450m | 6:30 | 6:30 | |
一合五勺 | 1610m | 7:00 | 6:59 | 休憩2分 |
二合五勺 | 1980m | 7:40 | 7:40 | 通過 |
三合目 | 2170m | 8:15 | 8:01 | 休憩2分 |
新五合目分岐 | 2380m | 8:45 | 8:30 | 通過 |
富士宮口新五合目 | 2390m | 9:05 | - | カット |
富士宮口新六合目 | 2490m | 9:30 | 8:49 | 休憩5分、雨具上装備 |
新七合目 | 2780m | 10:20 | 9:30 | 休憩3分、雨具上装備解除 |
元祖七合目 | 3030m | 11:00 | 10:02 | 休憩4分 |
八合目 | 3250m | 11:30 | 10:33 | 通過。10:42に休憩2分 |
九合目 | 3410m | 12:25 | 11:02 | 通過。11:05に休憩4分 |
九合五勺 | 3550m | 13:00 | 11:25 | 通過 |
富士宮口山頂 | 3710m | 13:50 | 11:53 | 雨具上装備 |
日本最高点 | 3776m | 14:05 | 12:08 | 写真撮影待ち行列2分、休憩6分 |
※高度はビミョウに違うかも。以下同様
※時刻は腕時計で計測。デジカメのファイル作成時間も参考とした。
準備運動をしたり日焼け止めを塗ったりした後、6:30に登山口を出発した。高度は約1450mで、2012年に登った吉田口一合目(馬返し)、昨年登った御殿場口新五合目とほぼ同様だ。
水ヶ塚公園内。天気は霧雨 | 須山口一合目。まったりとした林道 |
登山開始から数分で予想通り暑くなり、最初の休憩でとむらうしTシャツをザックに放り込むこととなった。
須山口はよく整備されており、人もゴミも少なくなかなかお勧めだ。序盤は林道を歩く感じで、足に優しい。緑も豊富なので、目にも優しい。苔に覆われた岩や、時々見かける黄色い花、朝露に濡れる蜘蛛の巣にも風情がある。
朝露に濡れる大量の蜘蛛の巣 | 苔むした木々と岩の間を進む |
登山開始から30分後、最初のチェックポイントである一合五勺に到着した。標準コースタイム45分のところを30分と予定通りだ。決して急がず、むしろペースと心拍数を抑えているのにタイムは短縮されている。いい感じだ。
癒しの道! | 少しずつ険しくなってきた |
登山道はやがて浅い溝の底を歩くイメージに変わる。さらに進むと溝が深くなり、脇の道を歩くようになる。
二合目付近。視界が開けた | 再び林の中へ |
しばらく登るとやや開けた場所に出た。まだ森林限界というわけではない。だが、高度を上げるにつれて背の高い木が次第に少なくなっていった。
砂利登り。1歩登って1/3歩下がらないように | 三合目付近。色鮮やかな茸をよく見かけた |
三合目を過ぎると砂利の区間が増える。歩幅を小さくして、滑りによるロスを可能な限り抑えつつ登る。また、三合目周辺から、色鮮やかな茸を見かけるようになった。
三合五勺付近。そろそろ森林限界 | ガレた登り。1歩進んで1/3歩下がる |
登り始めた頃は曇天で、上に行くと(宝永山の火口あたり)霧だった。このため、直射日光による消耗を抑えることができて都合が良い。
山体観測装置の手前の砂利区間が結構辛い。一歩進んで1/3歩戻る場所もあった。歩幅を抑え、滑らないように注意しつつ慎重に進んでいった。
山体観測装置付近で、右手に宝永火口らしき雄大な大穴が見えた。霧のため最後まで全貌は把握できなかった。少なくとも、底まで下りる気にはなれないほどの深さだった。
宝永火口らしき大穴。ガスでよく見えず | 富士宮口新五合目をカットし新六合目へ直行 |
なお、富士宮口新五合目はカットし、六合目で合流することとした。地図上でも遠回りになるし、新五合目〜六合目の混雑に巻き込まれるし、ろくなことがないと判断したためだ。この判断は正解だった。須山口四合五勺と記された分岐から、富士宮口新六合目までトラバースする。高度は大して変わらないため、楽な道のりだ。結局、六合目まで2時間19分で到着した。疲労も少なく、いい感じだ。
富士宮口に合流。傾斜が一気に増す | 一気に増える岩 |
世界遺産登録の影響か、例年よりも中国人が増加しているように感じられた。彼(女)らは下りであっても登りの人に道を譲ることがほとんどなく、かつ中国語らしき言語を大声で話しているため、すぐに分かる。
珍しく登山道と下山道が分かれている | 混雑は悪化する一方。中国人も多い |
新七合目、元祖七合目と予定よりもだいぶ早い時間でクリアしていく。御殿場口と違って、次の山小屋がすぐに見えるので(吉田口ほどではないにしても)精神的に楽だ。新七合目では雲の上に出ていて再び暑くなったため、雨具上を装備解除した。
当日の天気は概ね標高1500m以下:曇り、3000m以上:快晴、その間:霧または小雨。低層に雨雲が集まっていると、雲海がとても雄大だ。
次の山小屋がすぐ見える | 雲海がいい感じに! |
雲の上に到達し、日差しが出てきてしばらくしたところでほっかむり装備した。その結果、顔に関してはその下の部分だけ日焼けした。他には首の後ろ、シャツのVネック内部、両腕が凄まじく焼けたため、下山後に苦しむこととなった。いずれも日焼け止めを塗ったはずなのに! 雨と汗で流れてしまったか。また、レインウェア上を装備した後に解除したため、この時にはがれた可能性もある。いずれにせよ、雨具上を解除した時点で塗り直すべきだった。
ますます岩が増える | 八合目直前。なかなか進まないので写真撮影休憩 |
当初計画では、八合目でラーメンを喰って水分と塩分を補給するはずだった。だが、想定外の混雑のため、山小屋に入る気にもなれなかった。結局ウィダーと水だけで補給しながら登り続けた。そして、昼飯を喰うタイミングを逸したまま日本最高点に到達し、そのまま下山することとなった。山小屋には一円たりとも落とさずに。
八合目から眺める雲海 | 九合目手前。雲海はますます雄大に! |
八合目から上では渋滞でなかなか進めないことがあった。基本的にこの辺では余力ありまくりで、抜きっぱなしだ。だが、長期にわたり道を譲ってくれない人もたまにいる。30秒程度ならこちらも体力を回復できるのでかえって助かる。だが、2分も3分も続くとあまりのスローペースにウンザリしてくる。大抵の場合はつづら折れの折り返し時に多少無理をしてでもインコースや急登コースを取って抜き去った。だが、前方に5人くらい居て一番前の人が遅い場合はいかんともしがたい。当人が疲れ果てて休憩に入るタイミングを辛抱強く待つしかない。
はいはい渋滞渋滞 | そろそろ山頂らしきものも見える |
八合目からしばらく先では団体で詰まったため、休憩を入れた。このように途中で休憩するため、山小屋でいちいち休む必要が無くなった。
8月中旬なのにまだ雪渓が! | 山頂付近は渋滞の連発 |
これだけ渋滞に悩まされながらも、体力的には余裕ありまくりだったため、正午前には余裕を持って山頂に到達した。
山頂の鳥居が見えているのにまた渋滞 | 山頂! |
今回の登山で最も苦労したのは馬の背だ。昨年にも増して滑りやすく、左端の建造物につかまりながら登るしかなかった。砂が減ったのだろうか。それとも、既に8年半使っている登山靴の底が摩耗したためだろうか。
ラスボス、馬の背 | ギアガの大穴w |
日本最高点手前の写真撮影行列は運良く2分待ちで済んだ。そして12:08、1年ぶり四度目となる日本最高点に到達した。ここまで5時間38分。まぁこんなものだろう。
馬の背の滑り具合は年々増している | 1年ぶり四度目の日本最高点 |
場所 | 高度 | 予定 | 実績 | コメント |
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日本最高点発 | 3776m | 14:10 | 12:14 | |
富士宮口山頂 | 3710m | 14:20 | 12:24 | 休憩2分 |
九合五勺 | 3550m | - | 12:50 | 休憩1分 |
九合目 | 3410m | 14:50 | 13:10 | 通過 |
八合目 | 3250m | 15:05 | 13:29 | 休憩6分。雨具上装備解除 |
元祖七合目 | 3030m | - | 14:02 | 通過 |
新七合目 | 2780m | 15:40 | 14:22 | 通過 |
富士宮口新六合目 | 2490m | 16:10 | 14:49 | 休憩7分 |
富士宮口新五合目 | 2390m | 16:20 | - | カット |
新五合目分岐 | 2380m | 16:35 | ? | 通過 |
三合目 | 2170m | 16:55 | 15:26 | 休憩2分。15:35さらに休憩4分、ザックカバー装備 |
二合五勺 | 1980m | 17:10 | 15:49 | 通過 |
一合五勺 | 1610m | 17:35 | 16:23 | |
水ヶ塚公園 | 1450m | 17:50 | 16:51 | 靴の中の砂利排除 |
※お鉢巡りは実行せず、日本最高点から即戻った。
※高度はビミョウに違うかも。以下同様
※時刻は腕時計で計測。デジカメのファイル作成時間も参考とした。
日本最高点から見下ろす火口 | 下山では予想外に滑りまくり |
下山の最初の難関が馬の背だ。もはやジグザグに下っても転倒は免れないと判断し、右側の構造物につかまりながら少しずつ下山する。傾斜がやや緩くなってからはジグザグに滑りながら下った。
富士宮口山頂から新六合目までは、登山道と一緒の道を下山していく。特に八合目から上では登りの人への道譲りが頻繁に発生し、時間がかかった。お陰で、膝には優しい下山となった。膝への負担を最小限に抑えつつ、歩幅をなるべく小さくして下っていく。下山は心肺機能への負担こそ少ないが、足への衝撃を小さくするために制動をかける必要がある。このためすぐに暑くなる。雨具上は八合目で装備解除することとなった。
また、下山中に少なくとも5回は転倒した。靴底が減っているためか、筆者の苦手とするガレ場だからか、滑りまくったためだ。いずれも尻餅で済んだため大事には至らなかったが、その度に体力的にも精神的にも消耗した。
雲海が近づいてきた | 雲の中に入ると涼しい! |
新六合目までは短い間隔で山小屋があるため、気分的に楽だ。軽快に下山していく。但し、下山時にも各山小屋が激しく混雑していたため、中に入って食事を摂る気になれなかった。大休憩が無かったためか、高山病による頭痛も発生せず、頭痛薬を飲む必要すら無かった。
こういう道でよく滑る | 下り階段には癒される。最初のうちは。 |
新六合目から須山口方面へトラバース | 完全に雲の中に入り、視界が利かない |
霧の中の下山では、標識を見落とすと迷う恐れがある。実際、視界の利かない状況が続く。但し、今回は登りと同じルートを下山したため、そして富士山では初心者向けに至れり尽くせりの標識が整備されているため、迷うことは無かった。
岩走り区間終盤。既にヘロヘロ | ようやく岩が減り、癒し区間に |
新五合目分岐の先では岩走り区間だ。御殿場口の砂走りと違って、尖った岩がごろごろしているため転倒も加速も厳禁だ。この区間では著しく消耗した。また、今回も懲りもせずスパッツ類を準備していなかったため、靴の中には一歩ごとに確実に砂利が蓄積されていった。
小雨の中を慎重に下る | 三合目から下でよく見かけた黄色い花 |
三合目から下では完全な小雨となった。ザックカバーを装備するためにしゃがんで休憩したのが最後の休憩となった。岩走り区間で靴の中に入り込んだ砂利が足の裏に当たりまくって痛かった。だが、小雨の中で濡れた地面に座り込んで靴を脱ぐ気には全くなれなかった。下山完了まで、気合と根性で足を運び続けた。
さらに、ラスト30分は便意との闘いだった。使用料100円をケチって混雑がうざったいので山小屋のトイレを一切利用しなかった報いが、ここでまとめて来た。霧と小雨で冷えたという要因もあった。
二合目付近。相変わらず小雨 | 癒し区間。だが休憩する気にはなれず |
最後の最後、「あと15分」の看板が見えてからが異様に長かった。ここだけは標準コースタイムの記述が間違っているのではないか。歩いても歩いても車道が見えないため、道を間違えたのではないかと何度も疑心暗鬼になった。車の音はかすかに聞こえるため、車道と平行に歩いていて別の場所に向かっている感覚に陥った。ようやくゴールの車道が見えた時には快哉の声を上げた。
富士宮口新六合目から須山口一合目まで2時間02分、日本最高点からだと4時間43分で下山完了!
終盤戦。行けども行けども辿り着かない | やっと見えた一合目! |
夕飯は回転寿司! 往復10時間超の登山、しかもウィダーと水以外に何も補給していないという消耗しきった状況では、何を喰ってもうまい!
一方で、東京を起点とした公共交通機関のみ使用での日帰りは、残念ながら今の実力では不可能だ。今回のペースでは終バスに間に合わないためだ。9時間20分で戻るには、今回のタイムからさらに1時間以上短縮する必要がある。日本最高点を諦めれば約30分縮まるが、富士山に登るなら日本最高点は外せない。となると、下山では六合目まで御殿場口を使用するなど、別の抜本的な手段が必要となるのではないか。
……という結論に達してから再び調査したところ、須山口には下山歩道もあるらしい。こちらは、山頂から御殿場口を次郎坊まで下ってから開始されるため、今回よりは下山の時間を大幅に短縮できそうだ。このルートならば、公共交通機関のみ使用での日帰りも見えてくるのではないか。
参考までに、昨年8月の御殿場口からの日帰りでは山頂まで5時間21分(ラーメン休憩24分含む)、日本最高点まで5時間56分(写真待ち行列19分含む)、下山に2時間41分だった。次郎坊から先のルートが異なるため単純に比較はできないとしても、天気・体調に恵まれれば合計9時間20分で戻ることは可能かもしれない。
……
登りに関しては、前回までの成功と失敗を踏まえて理想的な展開に持ち込めたと思う。即ち、登山開始直前におにぎり3個を補給しておくとともに、消耗しない登り方を徹底した。これにより、シャリバテを完璧に防いだ。山小屋でラーメンを補給することなく、下山完了までしのぎきった。これに関しては、日光女峰山に引き続き導入したウィダーゴールドの効果もあったかもしれない。
高山病対策もほぼ完璧に機能した。そもそも微頭痛すら感じなかったし、昼食休憩も無かったため、バファリンを投与する機会を逸した。だが、素早く日本最高点に到達して即下山したことで、高山病そのものを封じ込めた。むしろ、下山後に頭痛が出た。こちらは熱中症の一種だろうか。
膝の痛みに関しては、今回もほとんど出なかった。登りでも下りでも、違和感を覚えることすら無かった。右膝サポーターを装備せずにこの結果を得られたのは大きい。毎日の膝トレーニングの効果が出ていると言えるだろう。
装備・持ち物は特に問題なし。大砂走りではスパッツがほぼ必須という情報を事前に得ていたが、実際には無くても何とかなった。但し岩走り区間で砂利が靴の中に入り、下山完了まで排除できず痛みを抱えながら歩いたのはいただけない。
今回は標高3000mから下では常に霧もしくは小雨だったため、消耗が少なかった。このため、持参した水2.5リットルのうち1.0リットルが余った。しかしこれは結果論だ。
また、日焼け止めがはがれてしまったため、首周りや顔、両腕が凄まじく焼けた。雨や汗で流れることもあるし、雨具上や夏山用フリース等を装備したことではがれることもある。必要に応じて塗り直す必要がある。
富士登山の感想
●今回の収穫
水ヶ塚公園からの日帰りで日本最高点まで到達した。山頂まで5時間23分、日本最高点まで5時間38分(写真待ち行列2分含む)だった。下山には4時間43分を要し、合計で10時間21分だった。標準コースタイムとの比較では、登りが66.3%、下りが72.6%だった。下山の時間短縮が難しいコースで日帰りというのは充分な成果だと評価する。●今回の反省
下山中に約10回も転倒したのはいただけない。いずれも尻餅で済んだため、ノーダメージだった。だが、これが奥穂高岳〜西穂独標の区間だったら、滑落に直結することもあり得る。転倒を予測して未然に防ぐような歩き方を、継続的に会得していく必要があるだろう。●総括と今後
登山開始から9年弱が経過し、今後の登山の方向性を再考する段階に来ている。日帰りのための速度を追求するなら、トレイルランニングも視野に入れたさらなるトレーニングが必要だ。高山や難山に挑戦するなら、岩山や雪山の技術を高める必要がある。あるいは、日本百名山の残りをちまちまと潰していくのか。それとも、日本百名山以外を敢えて選択して地図読みや目標物発見の能力を高めるのか。この辺の戦略が決定されていないため、次の目標を設定し辛い。もっとも、登りたい時に登りたいと感じた山に行くのが本来の姿という考え方もある。
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