Interstenoオンライン大会:取りまとめマニュアル 〜現状と課題〜

2025.12.14(Sun)
文責:dqmaniac

※本稿は、たのんさんが主催するタイパー(タイピング部門) Advent Calendar 2025に登録しています。フリー部門はこちら
※昨日の記事は、Ryudeさんの海外キーボードレイアウトコミュニティの紹介(英語新配列の最新動向)です。
※明日の記事は、たのんさんのSteamにあるタイピングゲームの紹介です。



この文書の目的
業務内容(時系列)
問題点


●この文書の目的

2020年までは、
全日本タイピスト連合(All Japan Typists)代表であったPocariさんがInterstenoオンライン大会の取りまとめを実施されていた。その後5年もの間、Pocariさんの不在に伴い、筆者が(自分が参加したいため)一時的に取りまとめをしている。その際には全日本タイピスト連合の代表を僭称し、事後承諾すら得ていない状況で勝手に名前を使用している。このような中途半端な状況が将来も継続される保証は無い。加えて、筆者自身も仕事や家庭事情、加齢等の要因で今後毎年参加できるとは限らなくなっている。何らかの理由で筆者が取りまとめをできなくなった場合に備えて、業務マニュアルを残しておく。

なお、隔年で実施されるオフライン大会については(多数の参加者が出現しない限り)取りまとめは不要である。Interstenoのサイトを参照して個人で申し込めば良い。筆者は、オフライン大会に多言語部門ができた場合にのみ参加を検討する。


●業務内容(時系列)

本番期間が3月中旬〜4月末とすると、以下のようになる。

時期業務
定期的に情報収集
2月日本語版のルールの改訂 / Interstenoサイトへの団体登録
3月告知
本番開始直前参加者の個人情報収集と管理 / Interstenoサイトでの参加者登録(ID発行) / ID連絡
3〜4月参加状況のモニタリング / Interstenoサイドとのやり取り
本番期間最終日締め切り
本番期間終了後費用支払い / 参加証受領、配布
その後その他


●情報収集

公式サイトを時々チェックする。また、X(旧Twitter)を使っているなら、Interstenoの公式アカウントをフォローしておくのも良いだろう。

情報は英語で記載されている。しかし、一昔前と違って各種翻訳手段が充実しているので、適宜使用する。必要な情報のみを素早く収集したい時とか、逆にルールを精読したい時に、日本語で読むことができれば時間短縮になる。


●日本語版のルールの改訂

まずは英語版のルールを熟読する。

https://www.intersteno.org/
→Competitions
 →Internet Contest
  →Internet Contest Rules
   →English Version

可能ならば前年のルールと比較し、相違点を洗い出す。また、必要に応じてE-Newsも参照すると良い。ここ数年の変化は以下の通り。

変化の内容
2021クロアチア語の代わりにセルビア語(ラテン)、セルビア語(キリル)が選択可能に
2021矢印キーやHome, Endキー等でカーソルの移動が可能に
2022日本語(transliterated)の導入
2022ルーマニア語の一部の課題文章のセディーユがコンマビローに変化
2024日本語(漢字かな交じり文)の係数が2.2607→2.95に変更
2025ルクセンブルク語の追加

ルールやE-Newsに明記されていなくても、「文章が太字に変化」(2023年)、「一部の特殊文字の得点が変化」(2023年3月)等の細かい変更が随時行われる。文章が太字になった時には日本語(漢字かな交じり文)の上下欄で改行位置が変わるというバグが発生したため、Interstenoサイドに報告して対応頂いた。

以上の情報を把握した上で、日本人向けのルールを改訂する。上記以外に、年齢区分のところで生年を変更する必要がある。今年改訂したところは赤字等で目立たせる。


●Interstenoサイトへの団体登録

https://www.intersteno.org/
→Competitions
 →Internet Contest
  →School Registration

言語を日本語に切り替えれば、その後は日本語で登録作業を進めることができる(英語のまま進めても構わない)。前年に登録した情報は残らないため、面倒でも毎年登録が必要だ。注意点として、住所入力時に例えば[Shinagawa-ku, Tokyo]とすると、ランキングの参加者全員のTown欄にそのまま反映される。短く済ませたいなら[Tokyo]だけにする。

登録すると、確認メール(英文)が送付されてくる(従って事前に連絡用メールアドレスを準備する必要がある)。その指示に従って、後述の通りteacherの登録、参加者の登録を順次実施する。


●告知

本番期間開始日の約2週間前から、Xでの告知を開始する。同時期にタイピング関連の大きなイベント(RTC等)がある場合、告知時期をずらすのが賢明である。参加要項(日本語版ルールから必要事項を抜き出して作成)と個人情報収集用Googleフォームを用意できたら、受付を開始する旨の告知を出す。その後、1日に1回は何らかの情報をポストして、アップデートし続ける。ここ数年は、参加にあたっての注意事項、その年の主な変更点、各言語の攻略法等をポストしている。

可能であれば、Intersteno告知用に別のアカウントを持った方が良い(筆者は複数アカウントの管理が面倒なのでやっていない)。現状、告知内容が筆者の個人的なポストに埋もれて探し辛くなっていくという課題がある。


●参加者の個人情報収集と管理

ここ数年はGoogleフォームを使用している。1年に1回しか使わないため、仕様変更に要注意だ。例えば2025年には、フォームの公開方法が変更されたのを知らず、「公開したつもりがされていなかった」という事態が発生した。

【Googleフォームの設定方法】

こちらにアクセスする。
・ログインに失敗する場合(別アカウントしか表示されない場合)は、gmailから一旦ログアウトし、再ログインする。
・[最近使用したフォーム]から昨年使用したフォームを選択し、[コピーを作成]
・必要に応じて、フォームを編集する。文面の一部を変えたり、新たな質問を増やしたり、不要な質問を削除したりする。
・以下の文章を[設定]→[表示設定]→[確認メッセージ]に入力する。必要に応じて文面を変更する。
 「お申込みありがとうございました。本番用ID/パスワードが発行され次第、ご記入頂いた連絡先に送付いたします。1週間以上未着の場合はお手数ですが @XXXXXXXX (X), XXXXXXXX@XXXXX.XX.XX (E-mail)宛てに連絡をお願いいたします。」
・フォームを開いて右上のメニューから[回答者へのリンクをコピー]をクリック→[URLを短縮]にチェックを入れ、リンクをコピーする。これをXに貼り付けてポストする。
・上に並んでいるアイコンのうち一番右[共有]をクリックし、[一般的なアクセス]→[回答者ビュー]を[制限付き]から[リンクを知っている全員]に変更する。

個人情報は責任を持って管理し、終了後には削除する。と言っても、個人レベルでの管理なので、データセンターのような厳重な施策はいらない。OSやセキュリティソフトを最新の状態に保ち、パスワード類を漏れないように管理する程度で充分だ。また、そもそも必要な情報以外集めない。例えば以前は生年月日まで収集していたと思う。しかし生年だけあれば充分だ。

可能ならこの辺の単純作業は機械化/自動化したい。例えば以下のような仕組みを実装したい。

・収集した個人情報をcsv等に整理する(これはGoogleフォームの機能にある)
・必要な情報のみ、Interstenoの参加者登録に自動的に入力する
・発行されたID、パスワードをcsv等に整理する
・ID、パスワード連絡メールを自動的に作成し、送信する


●Interstenoサイトでの参加者登録(ID発行)

団体登録を済ませると、まずはteacher(先生)を登録するようにという案内が来る。そこで登録したteacherが、参加者を登録できる。現状、筆者がteacherとなり、自分を含むすべての参加者を登録している。

可能ならこのteacherは複数人体制にしたい。参加者が100人、1000人と増えた場合、一人ではとても管理しきれない。例えば、学校等からある程度まとまった申し込みを受けた場合、その学校の取りまとめの先生にteacherを依頼するのが良いと思う。

参加者登録は単純作業であり、自動化も可能だと思う。というか自動化したい。具体的には、収集した個人情報のうち「ローマ字氏名(名→姓)」「生年」「母語(日本語か日本語transliteratedか)」「使用キーボード(通常か特殊か)」をフォームに順次入力していく。登録を終えるとteacherの管理画面(参加者一覧)に追加され、各参加者の本番実施用のIDとパスワードが発行される。

なお、「参加部門(多言語か母語のみか)」を登録する欄は無い。従って、参加申し込み時に「母語のみ」を選択した人がその後「多言語」に切り替えることも、そしてその逆も、可能である。一方、「母語」は一度登録すると変更できないため、削除して再登録が必要だ。


●ID連絡

この辺から、Xなりe-mailなりを用いた個別連絡が必要だ。可能なら自動化したい。現状、以下のようなテンプレートを用意しておいてコピペを駆使している。

Subject: Intersteno Internet Contest 2025のご案内
To: 

Intersteno Internet Contest 2025 参加者各位

この度は参加申し込みを頂きありがとうございます。

■ルール
以下が日本語版のルールです。赤字でハイライトしている箇所が
昨年度からの変更点並びに注意点です。
(最新版のURLを記載)

原文(英語版)はこちらです。
https://www.intersteno.org/docs/2024/Rules_Internet_Contest_2025-EN.pdf

■受験期日
開始:2025年3月14日(金) 日本時間8時00分
終了:2025年4月28日(月) 日本時間23時59分

■練習サイト
以下のページより練習をすることができます。
Interstenoはこのソフトウェアの仕様への慣れがとても重要です。
練習を重ねた上で本番に挑戦してください。
http://www.intersteno.org/intersteno-internet-contests/training-with-taki-version/
https://internet.intersteno.it/page.php/id_primario-8/id_secondario-121/language-inglese/

■厳守事項
Interstenoの本番競技は、全て初見(事前に課題を公開しない手法)です。
受験を終えた後、他者に対し課題文に関連する一切の事項を公開することを
禁止します。

■本番受験方法
以下のContestのページより、後述するusernameとpasswordを入力し、
表示に従って本番の競技の受験を進めてください。
ログイン画面の左上より「日本語」を選択することで、説明を日本語表示に
することができます。
https://www.intersteno.org/intersteno-internet-contests/taki-login/

日本語表示の直リンクはこちら:
https://www.intersteno.it/members/login.php?language=giapponese

■ログイン情報
以下のUsernameとPasswordにてログインしてください。
username: 
password: 

宜しくお願いします。


●参加状況のモニタリング

各参加者がどの言語の本番を終了したか、特に母語要件として必要な日本語を打ったか否かという情報は、teacherの管理画面で把握できる。ちなみに、ルールに明記している通り、日本人は日本語を打たないと母語要件を満たせず失格扱いになる。

筆者が取りまとめを担当した最初の年には、受験期間の最終日が迫ってきた時点で催促メールを送付していた。だが、その後は面倒なのでやっていない。本人の意思で参加申し込みをしたのだから、その後打つか打たないかは自己責任だ。


●Interstenoサイドとのやり取り

参加者から質問が来た場合、分かる範囲で回答する。分からない場合や自分で対処できない場合(主に採点ミスが発生した場合)、Interstenoサイドに質問する。

必然的に英文メールが飛び交うことになる。昔と違ってChatGPT、Copilot等が英文添削なり翻訳なりをしてくれるので、面倒なら頼っても良いだろう。筆者は、自分で英文を読み書きした後、英文チェックをするために使っている。単語や文法のミス、誤解を招きやすい表現、日本人にしか通じない表現等をある程度検出できるので大変助かる。なお、Intersteno側の担当者は英語が母国語であるとは限らない。このため、可能な限りシンプルで分かりやすく、誤解を招かないような表現を用いるべきである。


●締め切り

申し込みだけして受験しない参加者は「大会終了後即座に」削除する。するとその分の参加費を支払う必要がなくなる。

しかし参加者登録やID連絡等の事務処理の手間は無駄に増える。この意味で、申し込みだけして受験しないというのはやめて頂きたい。やむを得ない事情があるなら、せめて事前に連絡頂きたい。


●費用支払い

大会が終了したら母語部門・多言語部門の参加者数を確定させ、総費用を計算する。次に、その情報をInterstenoサイドに連絡し、確認の意味でInvoice(請求書)をもらう。支払い方法は、Invoiceに記載されている欧州の銀行に口座を持ってない限りPaypalが良いと思う。少々分かりにくいが、
Intersteno Internet Contestsの[Participation fees]の項目にPaypalへのリンクがある。


●参加証受領、配布

支払いを終えると参加証が送付されてくるので、参加者に配布する。母語・多言語それぞれについて、年齢区分毎に全員分の参加証が一つのpdfファイルでまとめて送られてくるので、分割する必要がある。また、Xにはpdfを添付できないため、jpeg等への変換が必要だ。現時点では、以下のサイトが便利だ。

PDFファイルのためのオンラインツール
PDF分割
PDF JPEG 変換

【参加証のTips】

(1) 多言語部門の参加証には、合格した言語のみ掲載される。
(2) 多言語部門の参加証は、合格言語数が2以上の場合にのみ発行される。
(3) 母語部門(日本語)の参加証は、母語で合格した場合にのみ発行される。

配布時にもテンプレートを用意し、コピペを駆使している。毎年怖いのは、誤送信である。添付ファイルを添付し忘れたというなら再送信すれば良い。だが、間違えて他の人の参加証を送付した場合は、後処理が大変面倒だ。可能であれば自動化・機械化し、ミスをシステム的に根絶したい。

Subject: Intersteno Internet Contest 2025の結果ご連絡
To: 

Intersteno Internet Contest 2025 参加者各位

この度は参加頂きありがとうございます。
お陰様で大会が無事終了し、順位が確定しました。
Interstenoより参加証が発行されましたので、送付いたします。
参加証の見方は以下の通りです。

●多言語部門(DIP2025_Japan_Multi_*.pdf / jpg)

Language: 受験した言語
Strokes per minute: 1分間あたりの入力文字数(※)
% Errors: ミス率(ミス数÷入力文字数。10分間の値)
Points: 得点(入力文字数−50×ミス数。10分間の値)
Total points: 受験した言語の得点の合計
Place: 年齢区分の中での順位(多言語部門での順位)
Category: 年齢区分。Seniors(21歳以上) / Juniors(17-20歳) / Pupils(13-16歳)

※一部言語の大文字や特殊文字は1文字2点以上のため、他のタイピングソフト等の
 cpm(characters per minute)より若干良い値が出ます。
 また、日本語(漢字かな交じり文)のみ、係数2.95が掛かっています。


●母語部門(DIP2025_Japan_Mo_*.pdf / jpg)

Language: 受験した言語(日本語)
Strokes per minute, % Errors, Points, Category: 同上
Place: 年齢区分の中での順位(母語部門での順位)

宜しくお願いします。


●その他

◆各種統計情報の作成

筆者の趣味で作成し、「日本の速記」に提供したり、
筆者の参加レポートに添付したりしている。詳細は以下を参照。ソースコードは現時点で非公開だが、必要であれば引き継ぐ。

Interstenoの各言語ランキングと統計資料
Interstenoランキング:仕様書

◆「日本の速記」への掲載

日本速記協会機関誌である。Interstenoはもともと速記の技能を競う場であったことから、日本速記協会とも関係がある。そのご縁で、2023年よりこの機関誌にInterstenoの結果報告の記事を掲載頂いている。

具体的な作業は以下の通り。

・参加者氏名(漢字)と成績の一覧を提供(漢字氏名については、同意を得られた人のみ)
・必要に応じて、各種統計情報を提供
・原稿が上がってきたら、内容を確認(特に人名)

現時点ではWeb上で当該記事を閲覧できない。目次の情報は閲覧できるため、2025年6月号(通巻1018号)、2024年6月号(通巻1008号)、2023年6月号(通巻998号)に記載されていることは分かる。見たければ上記サイトから購入するか、「寄贈公共図書館一覧」にある図書館に行く。高校や大学に速記部があるなら、そちらに問い合わせても良いだろう。

◆Interstenoサイドへの要望

2022〜2023年に日本語の係数を2.2607から2.95に変更する際に要した手続きの概要を記載する。もともと個人的に要望を挙げていた。だが、日本の組織から提案した方が採用されやすいとの助言を頂いたため、以下の手続きを踏んだ。今後新たな言語を採用する際にも、以下に類する手続きが必要になると考えられる。

・日本側の組織(Intersteno Japan。全日本タイピスト連合とは別組織)からの提案
・Intersteno側のScience Committeeでの説明と承認
・Intersteno側のBoardでの説明と承認
・Intersteno側の各種作業(練習/本番ソフトへの反映、公式サイト等での周知)

余談だが、一部の言語においてTAKIソフトウェアに格納されている課題文章の数が極端に少ないという問題がある。これについては「過去に本番で採用された文章を練習用文章として追加」という有効な解決策があり、個人的には既にInterstenoサイドに要望を挙げている。しかし2025年時点で採用されていない(2023年頃に練習用文章が全面的に改訂されたトルコ語を除く)。上記の手続きに従うなら、各国の組織から同様の提案を挙げてもらうことになるのか。面倒な割にリターンが少ないため、まだ行動に移していないし、今後もするつもりはない。


●問題点

◆問題点1:告知(告知時)

個人的に最も課題と感じている。

現状、Xでの告知に頼っている。しかし、筆者の知名度は、一部のタイパー/タイピストの中でならともかく、一般的な意味では低い。このため、参加者の裾野を広げるのが難しい。

裾野を広げると言っても単純にはいかない。Interstenoのルール上、例えばSenior(21歳以上)では「240文字/分、ミス0.5%以内」という制限がある。この制限に届かなければ失格扱い(具体的には0点)になるわけで、タイピング初心者にとっては敷居が高い。せっかく参加したのに全言語で失格となり、結果として参加証も発行されないというのでは、モチベーションを保つのが難しいだろう。

しかしこの問題をクリアしておかないと、将来にわたって後進を育成し続けるのが難しい。現状ではある程度打てるタイパー/タイピストの自由参加に頼っており、育成という観点が無い。すると、例えばトルコやチェコのように、組織的に選手を育成し、国内の大会を開催し、結果的に世界で通用する強者を生み出すというレベルにはなれない。

◆問題点2:参加費(ルール改訂時)

本来、母語部門は1人5ユーロ、多言語部門は7ユーロかかる。2025年12月時点のレートでは日本円にして約900円、1260円だ。集金の手間を勘案し、ここ数年は時々寄付を募りつつも主に筆者が負担している。

集金は面倒である。口座番号等を伝え、期限を設定し、誰が払って誰が払っていないか管理し、入金が遅れた場合には催促する。参加者が10人や20人ならまだしも、100人、1000人となった場合に手作業で管理しきれるとは到底思えない。

よって、日本語版ルールには以下の記述を加えている。

「学校等からの団体参加の場合は、人数に応じてご負担頂く予定です。」

将来参加者が増えた時にはまたやり方を変えるかもしれない。この辺は次の世代の人が考えて欲しい。

◆問題点3:漢字の出題範囲(ルール改訂時)

昔の日本語版ルールには「漢字は常用漢字(2136文字)しか使用しない」との記載があった。だが、2021年頃に「原則として」という表現を追加した。要するに、常用漢字に無い漢字がたまにあるかもしれないということだ。これは、課題文章をチェックする人員を確保できないためだ。現在の課題文章は、かつてPocariさんがライターに有料で依頼して作成してもらったものと聞いている。それをIntersteno Japan(全日本タイピスト連合とは別組織)が管理し、transliteratedへの変換も実施している。漢字のチェックは作成当時にされているはずだが、少数の人(実質1人?)の手に頼っており、どうしても抜けや漏れが発生する。

筆者は当面はInterstenoに選手として参加したい。このため、課題文章を事前に見ることはできず、課題文章の作成やチェックに携わるわけにはいかない。同様に、選手として参加する可能性がある人に依頼することはできない。また、時間とスキルと費用があれば、機械的にチェックする仕組みを実装することも考えられる。だが、悲しいかな、現在はいずれも存在しない。

例えば、原始的には以下のような仕組みが考えられる。だが、常用漢字表が更新された場合に誰が対応するのか。また、「何らかの処理」をどう要件定義し、実装するのか。昨今流行りのAIに作業を任せるとしても、結果の信頼性を誰が保証するのか。

・常用漢字(に加えてひらがな、カタカナ、記号)の情報をテーブルに保持しておく。
・課題文章を1文字ずつ切り出して配列に格納する。
・forループ内で1文字ずつ突き合わせて、常用漢字か否か確認する。
・常用漢字以外が発見された場合、何らかの処理をする(ひらがなに変える、常用漢字に変える、別の表現に置き換える、等)。

◆問題点4:個人情報の誤り(個人情報収集時)

Googleフォームには「姓→名」の順に入力してください、と記載しているのに、逆になっているケースがある。また、生年を記載してください、と記載しているのに、生年月日まで記載されているケースもある。こうした情報は収集した段階で必要に応じて修正する。疑問点があれば問い合わせも必要だ。

◆問題点5:悪意ある相手への対応(個人情報収集時)

イタズラだか何だか知らないが、参加予定の全く無い他人の情報を入力してきた奴が過去にいた。そのせいで個別対応が必要となり、Interstenoの練習をすべき貴重な時間が失われていった。「参加予定の全く無い他人」にとってもさぞ迷惑だったことだろう。

悪質な場合には、法的措置を含め相応の対応を取らせていただく。

◆問題点6:管理者と選手を兼ねる問題

不正行為の誘惑には毎年苦しめられている。管理者(teacher)と選手を兼ねると不正行為がやりたい放題だ。例えば、ダミーの参加者を登録して事前に課題文章を確認し、練習を重ねてから本番を打つことも可能となる。特に日本語では、この作業を実行すれば1000点は違ってくる。また、初期段階で惨敗した場合は、一旦登録を削除して再登録する手もある。さらに研究者視点でも、全言語の本番課題を収集し、解析したいという誘惑がある。これに関しては、来年以降の管理体制を改善する(例えば第三者チェック体制等が考えられる)とともに、個人としては前年を上回るスコアを出し続けて実力を証明していくしかない。というかそろそろ真面目に管理者を募集したい。成長を続けていられる限りは、純粋に選手として参加したい。

◆問題点7:管理負担が集中する問題

現状、筆者がすべての作業を担っている。参加者が20名前後だからできるのであって、100名、1000名と増えていくと現状の業務が機能するとは到底思えない。

最も簡単で効果的な対策は、teacherを複数人体制にして、権限を委譲することだ。今後の参加者の増加、もしくは筆者の時間的制約によっては、早急に体制を改善したい。

次に改善すべきは、単純作業の自動化だ。昨今流行りのAIも採用しつつ、徐々に仕組みを整えていく必要がある。


●おまけ:過去のタイパー Advent Calendar向け記事へのリンク

筆者が執筆した文章が数年分蓄積してきたため、備忘録を兼ねて以下にまとめておく。その後の状況も記載する。

多言語タイピングにおけるヘブライ語の強化(2024.12.15)
→ヘブライ語の強化は、最難関種目であるmonkeytype 10kでの100wpm達成、およびTypeRacerでの120wpm達成をもって一旦終了した。Klavogonkiでも500cpm達成済みだ(テストは未合格)。将来さらなる境地を目指す意思はある。また、Interstenoで採用されるなら本格的な練習を再開する。なお、同じヘブライ文字を用いるイディッシュ語も2025年に練習し、100wpmを達成した。

多言語タイピングにおける朝鮮語/韓国語の強化(2023.12.17)
→朝鮮語/韓国語の強化は、最難関種目であるmonkeytype 5kでの100wpm達成、およびTypeRacerでの100wpm(英語換算値)達成をもって一旦終了した。将来さらなる境地を目指す意思はある。また、Interstenoで採用されるなら本格的な練習を再開する。

多言語タイピングにおけるギリシャ語の強化(2022.12.18)
→ギリシャ語の強化は、最難関種目であるmonkeytype 25kでの100wpm達成をもって一旦終了した。将来TypeRacerでさらなる境地を目指す意思はある。また、Interstenoで採用されるなら本格的な練習を再開する。

多言語部門におけるロシア語の強化(2021.12.12)
→ロシア語の強化は継続している。但し2022〜2023年はmonkeytypeが中心だった。通常版や1kでは語彙が少なくIntersteno対策には力不足であるため、2022年には10kでの練習を中心とした。2023年にはさらに踏み込んで、25kや50kでの練習を採り入れた。375kでは語彙がマニアックすぎてランダム練習に近くなり、かえって対策にならないと判断した。2024年には、TypeRacerやTakiを用いて文章を打つ訓練に戻り、継続している。なお、2025年9月に入り、[й][п]の位置を入れ替えるというインパクトの大きい配列変更に踏み切った。さらなる高速化と安定化が目的だ。

老化とタイピング(2020.12.6)
→老化は恐ろしいことに着々と進行している。特に平日の在宅勤務終了後には、眠すぎてタイピングをやる気にすらなれない日が多くなった。しかし特にスピード練習は継続的に実施しないと速度がどんどん衰えていく。Interstenoで言えば英語や日本語(QWERTY)等、速度を要求される言語を打つ練習を採用していく。

更新したければ走れ! 2019年版(2019.12.15)
更新したければ走れ!(2018.12.16)
→ランニングは継続している。しかし2025年8月に左ハムを痛めて以来、速度も距離も大幅に衰えた。整形外科を受診したが、原因は不明であり、抜本的な解決に至っていない。
→タイプウェル国語Rは2022年1月30日、タイプウェル英単語は2019年3月3日を最後に打っていない。約30秒で800文字/分(160wpm)かそれ以上を目指す(≒800文字/分を約30秒維持する)打鍵は、monkeytypeの高速言語の攻略とある意味似ている。スピード練習として効果的であることは間違いないため、いずれ再開する予定はある。


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