※本稿は、たのんさんが主催するタイパー(タイピング部門) Advent Calendar 2024に登録しています。フリー部門はこちら。
※昨日の記事は、てつさんの結婚式でキーボードケーキを発注したりタイピング対戦をするとどうなるのかです。
※明日の記事は、はかたの味噌さんのタイピングにおけるノーパソとキーボードのメリット・デメリットです。
次に、ヘブライ語のキーボード配列に習熟する必要がある。ヘブライ語の一般的なキーボード配列は、Windows10/11の標準機能に含まれている。[設定]→[時刻と言語]→[言語]→[言語の追加]でヘブライ語を選択すれば良い。しかし筆者は独自の配列を作成した。他の言語への影響を抑えつつ、しかも短期間で、一般的な配列を習得するのが困難と判断したためだ。
ヘブライ語タイピングの技能を発揮する場として、TypeRacerやmonkeytypeがある。Interstenoではまだ採用されていない。英語をはじめとするラテン文字に慣れきっていると、ヘブライ文字およびヘブライ語キーボードの壁は高い。例えば、Interstenoの合格条件である「240文字/分以上、かつミス率0.50%以内」を突破するのが意外と難しい。また、約30秒という短期決戦であっても、外国人がTypeRacerやmonkeytypeで100wpmに到達するのは極めて困難である。
※通常版/語彙増加版/1k/5k/10k: 本稿ではmonkeytypeのhebrewを「通常版」、hebrew 1kを「1k」、hebrew 5kを「5k」、hebrew 10kを「10k」と呼称することがある。特にhebrew 1k攻略開始後はその傾向が強い。また、1k,5k,10kをまとめて、通常版と対比する意味で「語彙増加版」と呼称することがある。
※英字表記: 本稿で「英字表記」とは、筆者の独自配列でヘブライ文字を打鍵した時の文字列をQWERTY配列の英字に置換した文字列を指す。例えば[ביותר](ほとんど)の英字表記は[aeimf]となる。なおヘブライ文字は右から左に読む。英字表記とは逆になるので要注意。
※wpm: words per minute、即ちワード/分。打鍵速度を表現する一般的な指標の一つ。英字タイピングでは一般的に1ワードを5文字と数えるため、1wpm=5文字/分、100wpm=500文字/分となる。ヘブライ語も同様である。
但し、2018.7.4時点で、即ちTypeRacerでギリシャ語とベトナム語の100wpm達成がほぼ見えた段階で、次に取り組むべき言語の筆頭に挙がっていた。当時残っていた他の難関言語と比較すれば、主にヘブライ文字の図形認識という観点でまだとっつきやすいと考えた。また、ヘブライ文字を習得すれば、イディッシュ語への横展開も期待できる。
●用語の定義
※ヘブライ文字: ヘブライ語で使用されている固有の文字の名称。日本語の「ひらがな」「カタカナ」、英語等の「ラテン文字」に相当する。
●なぜヘブライ語か
筆者がヘブライ語に触れるのは今回が初めてだし、ヘブライ語を使用する文化圏についてもよく知らない。「旧約聖書に用いられた言語」という漠然としたイメージがあるだけだ。これとても遥か昔に世界史でさらっと勉強した程度であり、実物を見たわけではない。ちなみに先程Wikipediaを参照し、現在もイスラエルで日常的に話されていることを初めて知った。◆偉大な先駆者と有用な練習サイトの存在
2024年に入り、X(旧Twitter)上で、q_d_2さん(Intersteno2024オンライン大会の銀メダリスト)がmonkeytypeのヘブライ語とヘブライ語1kで100wpmの達成を報告されていた。そもそも筆者がヘブライ語でノーミス100wpmを目指す絶望的な練習を数カ月にわたり継続できたのは、q_d_2さんという偉大な先達がその可能性と道筋を示して下さったお陰であり、大変感謝している。
筆者は2024年にまずmonkeytypeで100wpm達成を目標とした。monkeytypeではランダムに並んだ単語を打つ。1回あたりの時間は細かく設定可能であり、筆者は初期値の30秒のままにしている。また、ヘブライ語(198語)の他に語彙増加版としてヘブライ語1k(1,000語)、ヘブライ語5k(5,000語)、ヘブライ語10k(10,000語)という難易度の高いバージョンが用意されている。筆者は全種目で順次100wpmを目指している。
一方で、TypeRacerでも100wpm達成を目標とした。TypeRacerでは文章を打つ。1回あたりの時間は概ね30秒〜1分である。monkeytypeとTypeRacerの両方に存在するというのは、練習効率の意味で大きい。
具体的には、100wpm到達までには表1に示す幾つかの段階がある。このうち「図形認識の成長」は、ラテン文字のタイピング習得過程にはほぼ無かった。英語のタイピングを始めたのが英語習得の後だったためだ。2015年のInterstenoの多言語対応においても、ロシア語を除けば一部の特殊文字(ドイツ語のß等)や文字装飾に対応するだけで済んだ。ロシア語のタイピング習得時にのみ、図形認識の壁が存在した。だが、気付いた時にはその壁を通り過ぎており、「配列の試行錯誤」の段階に入っていた。ギリシャ語や朝鮮語/韓国語、ヘブライ語タイピング習得の過程で「図形認識の成長」の段階を改めて実感できた。具体的には、配列作成の際に図形認識を活用した。但し[ח][ת][מ][ה]の区別は難しく、100wpmに接近してからも苦労した。
・図形認識の成長 ・文字装飾の区別 ・配列の試行錯誤 ・打鍵高速化過程のプラトー現象 ・最後に100wpmを目指して集中練習 |
もちろん難関言語にはさらなる難関要因が含まれる可能性もある。例えばアラビア語の場合、「右から左に読む」ことが難関要因となり得る。しかし上記の各段階の工数を概ね把握しておくことで、ある程度の見積もりが可能となる。
ヘブライ語も「右から左に読む」言語である。しかし、monkeytypeの通常版や1kで100wpmを目指す際にそれを難関と感じたことは無かった。最初からそういう言語だと割り切って訓練したためかもしれない。一方、5kでは、[סו]と[וס]を互いに逆に打つ癖に苦しめられた。これは図形認識配列の影響もある。英語のoi,ioと混同し、左から右に読むのが一因と考えられる。
……
以上、ロシア語と違って趣味に走った理由しかない。Interstenoではヘブライ語が2024年現在採用されていないし、今後採用されるか否かも分からない。ヘブライ語タイピングで競い合うライバルがいるわけでもない。要するに、ヘブライ語タイピングはあくまでも自己満足である。とはいえ、己が成長する実感を味わうのは類稀なる快感を伴うものである。
●monkeytypeのヘブライ語で100wpmを目指せ!(2024/7/8〜8/18)
◆図形認識配列の使用を決定
まずmonkeytypeの単語リストを入手し、出現する文字を分析する。結果は表2の通り。出現する文字は通常版で26種類、1k以降は[ץ]を加えた27種類だ。筆者にとって、[א](アレフ、数学の集合論に使われる)以外は未知の文字だ。ラテン文字やキリル文字との類似性も感じられない。【表2: ヘブライ語各種目の単語数と文字種類数】
種目 | 単語数 | 文字種類数 |
---|---|---|
hebrew | 198 | 26 |
hebrew 1k | 1000 | 27 |
hebrew 5k | 5000 | 27 |
hebrew 10k | 10000 | 27 |
次に、配列を検討する。一瞬で、USインターナショナル配列をベースとした図形認識配列の採用を決定した。理由はロシア語やギリシャ語の時と同様だ。第一に、標準的なヘブライ語配列の習得は、短期間では困難である。第二に、多言語を同時並行で打つため、他言語との混同を回避する必要がある。MSKLCでヘブライ語の配列を参照すると、記号の位置がUSインターナショナル配列と異なる。例えば[']がQWERTY配列の[w]に配置されている。これでは言語間の混同が発生する。そこで筆者が作成した配列は図1の通り。
図1:図形認識を利用したヘブライ語の独自配列
※通常版攻略時は26文字が対象だったため、QWERTY配列のa〜zの位置に配置した。この時点で右手小指範囲や最上段、デッドキーは使用していない。
※1k攻略開始後、[ץ]を[7]および[:→y]に配置した。
※概ね、似ていると直感したラテン文字に対応させている。
※但し、一部はキリル文字やギリシャ文字で培った知見も採用した。例えば[ר]はキリル文字の[г]の左右逆、[ג]はギリシャ文字の[λ]をイメージした。
※[י]は似ている文字が無かった。しかし頻度を考慮し、[e]に配置した。
※[ן]はラテン文字の[l]に似ている。しかし[l]には[ג]を配置済みであるため、余っていた[x]に配置した。
※[ב][מ][ה][ת]の区別は困難だ。直感に従って[a][b][h][m]に配置したが、これが最善とは限らない。
単語の分析の目的は、単語の暗記だ。例えば、幾つかの苦戦した単語(主に長い単語)は、結局英字表記で覚えた。ヘブライ語に限らず、ある程度の暗記は必須だ。100wpmを達成するには、指の動き云々以前に、100wpmという速度にいかに脳を適応させるかが勝負だ。脳細胞がつながっていないうちはまず打てない。
大項目 | 中項目 | タイミング |
---|---|---|
文字の一覧 (26文字) | 出現回数/出現割合/打鍵数 | 初期 |
HTML表記 | 初期 | |
単語の一覧 (198単語) | 打鍵数/文字数 | 初期 |
意味(英語。Google翻訳レベル) | 後でまとめて |
速度が上がるにつれて、単語の練習は198単語通し練習という名のタイムアタックに変化した。7/18に5分を、7/29に4分を切り、最終的に2分51秒まで詰めた。1語あたり1秒切りを達成した後も順調に記録を縮めた。だが、8/18にヘブライ語で100wpmを達成してヘブライ語1kに移行したため、ヘブライ語の198語通し練習は一旦終了とした。
また、ミスタッチは最終的にほぼ根絶した。7/31に初めてノーミスで打ち抜けた。その後も何度かノーミス打ち切りを達成した。198語しかなく、1文字1打鍵対応であり、単語の暗記が比較的順調に進んだためと考えられる。
しかし、設定画面から[font family]→[Custom]→[Arial]として、Arialを使用することで解決した。Arialを選択したのは、Excelシートに通常版の198文字を打ち込んだ時にたまたま使用されていたフォントだったためだ。また、TypeRacerでもArialを選択可能である。他のフォントではArialとの相違点が多く、文字によっては別の図形に見える。このような理由でフォントを選択すると、朝鮮語/韓国語の時と同様、将来TypeRacerのテストでつまずく気もするが。
初期段階のミスタッチはすべて誤認識によるものだった。少し速度を上げると、[י]を[ו]と打つミスが目立つ。英語等でも[e][i]の混同が発生するのと同様の現象か。また、[ם]を[ב]と打つのはKoreanから引き継がれた認識ミスか(これはヘブライ文字に目が慣れるとなくなった)。さらに、脳が崩壊してくると[ח][ת][מ][ה]の区別がつかなくなる。
その後も他の言語と同様、将来のTypeRacerへの挑戦も視野に入れて、「30秒・ノーミス」という条件下で練習を重ねた。英語で160wpmを出せる筆者にとって、ヘブライ語で100wpmを目指す際に速度の比重は少ない。速度を求めてミス覚悟で限界まで追い込む必要が無いためだ。それよりも、ミスとそれによるロスを抑えることを重視した。そもそもノーミスが条件である以上、1ミスでもした場合には即Escである。終了間際のミス等により、誤って打ち切って出した記録は、集計時に対象外とする。初期段階や不調な日には、1回打ち切るのに苦労することもよくあった。また、速度が上がるにつれて、ノーミス打ち切りは難しくなる。しかし基本方針は変えなかった。
なお、ヘブライ語の制限時間は初期設定の30秒とした。TypeRacerやInterstenoを見据えるなら、60秒などより長い設定にした方が良い。しかし、特に初期段階で60秒ノーミスを保つのは至難である。練習効率を勘案し、30秒のままの方が良いと判断した。後で振り返れば、15秒などより短い設定を補助的に採用する手はあったと思う。
ヘブライ語を含む全体の練習は、1セットを約60分として、平日に1セット、休日に2〜3セット実行した。このうちヘブライ語には、各セットの最後の約25分を充てた。残りの35分は「指慣らし(主に英語ベースのプログラミング言語)」「新規言語(あれば)」「TypeRacerのロシア語」という構成だ。ロシア語以外は、すべてmonkeytypeの30秒もしくは60秒練習である。ヘブライ語を25分に限定したのは、朝鮮語/韓国語と同様、実質ランダム練習に脳が耐えられないと予測したためだ。この25分のうち、最初の5分はロード(読み込み)時間だ。次の15分で記録を狙う。これを終える頃には脳のリソースが慢性的に欠乏し、開幕の数語で確実にミスするようになる。この状態で練習を継続しても、己の肉体と精神を痛めつけて疲労を蓄積させるだけであり、戦略的に何の意味も無い。また、ヘブライ語に限らず他の言語を練習するのは、「Intersteno対策」「ベース速度の維持」「モチベーションの継続」という意味がある。
通常版では198語しかないため、脳と指が早期に単語を覚えていく。するとランダム練習が単語練習に変化し、脳のリソースが尽きる事態が激減する。このため、30分、40分と練習時間を延ばすこともあった。また、練習開始直後に脳が働かない場合でも、20分くらい打ち続けることで文字や単語を強引に思い出し、更新に結び付けたこともあった。
[קקטוס](サボテン), [דקדוק](文法)はラテン文字の[ppuio], [tptip]と似ていて認識しやすい。従って最初から加速単語であり、一瞬で暗記した。前者は速度が上がると右殺しに変化しそうだったが、その前に100wpmに到達した。次に認識しやすいのは[כוחות](力), [כוסות](カップ)だ。但し両方とも右殺しなので速度の上げすぎに要注意だ。[כללי](一般的な)も認識しやすい。こちらは左殺しだが。また、[אותו](彼), [אותם](彼ら), [אותה](彼女)はスペルも意味も似通っている。まとめて暗記した。但し[אולם](ホール)との混同に要注意だ。
[סוציולוגיה](社会学), [פסיכולוגיה](心理学)には初期段階では大苦戦した。長い単語というだけで、認識に時間を要するためだ。しかし語尾は同じだ。最初の4文字を覚えれば、残りの6文字は練習量が他の単語と比較してほぼ倍になる。最終的には両方とも加速単語に変化した。
単語 | 意味 | 英字表記 | 苦戦の原因 |
---|---|---|---|
באמצעות | を通して | akbzyim | 長い |
בעקבות | 続く/後 | aypaim | |
מחשבון | 電卓 | bnwaix | |
מיקרופון | マイクロフォン | bepfigix | |
אמריקאי | 米国人 | kbfepke | |
היסטוריה | 歴史 | heouifeh | |
תיאוריה | 理論 | mekifeh | |
כלומר | つまり | csibf | 認識困難+左殺し |
מטבח | 台所 | buan | 認識困難 |
מדהימה | 素晴らしい | bthebh |
[מחשבון](電卓)と[מחשב](コンピューター)は、語形も意味も似ているので本来なら覚えやすい。しかし、そのことに気付いたのは100wpmが近づいてからだった。
上記以外で最後までキツかったのが[מלחמה](戦争)と[מלחמת](戦争)だ。[ח][ת][מ][ה]の判別が難しいためだ。100wpmに到達する頃にはだいぶ改善されたが。また、[אל](に)と[לא](いいえ)は大変紛らわしく、先打ちによりミスを誘発しやすい。[אש](火)や[של](の)とも混同が発生する。
指標 | 具体例 |
---|---|
〇〇wpm以上を通算△△回出す |
8/8、85wpm以上を通算10回 8/11、90wpm以上を通算10回 8/15、85wpm以上を通算50回 8/17、95wpm以上を通算10回 |
〇〇wpm以上を1セットに複数回出す |
8/10、1セットに90wpm以上を5回 8/16、1セットに95wpm以上を3回 8/17、1セットに98wpm以上を2回 |
結果表示画面の「やや遅い単語」が100wpm突破 | 8/5に達成 |
結果表示画面の「遅い単語」が100wpm突破 | 8/11に達成 |
100wpmを維持できる時間を伸ばす | 8/11、21秒まで101wpm維持 8/13、25秒まで100wpm維持(ミス爆死) 8/17、28秒まで102wpm維持 |
Top10から〇〇wpm未満を駆逐する | 8/16、94wpm未満を駆逐 8/17、96wpm未満を駆逐 |
Top100から〇〇wpm未満を駆逐する | (そもそも85wpm以上を62回しか出していない) |
タイピング画面で3行打ち切る | 8/16に達成 |
結果表示画面で2行打ち切る | 8/18に達成 |
連続5単語以上で平均〇〇wpm以上の加速を決める | 8/11、連続5単語で158wpm 8/17、連続8単語で平均159wpm |
かつての苦手単語を加速単語に変える | 7/27、中盤[סוציולוגיה](社会学)を122wpm、 終盤[סוציולוגיה]を126wpm、[פסיכולוגיה](心理学)を104wpmで突破 |
ヘブライ語、101.59wpm! 100wpm突破!!!!!画像はこちら。14日の記録を1.61wpm更新し、66言語目の100wpm突破! タイピング画面4行目、結果表示画面3行目に突入した。10秒まで100wpmを維持し、18秒時点で105wpmまで上げた。20秒時点で101wpmに低下するも、24秒時点で104wpmまで上げ、28秒時点で103wpmを維持した。序盤[מסגרת כבוד]で103wpm, 118wpm, [בשנת ברית]で99wpm, 118wpm, [מלחמה דירה (改行)]の後者に偶然当てるも88wpm, 53wpm、中盤[נעליים]で117wpm, [מנהל]で98wpm, [דרך]で91wpm, [אמרתי]で77wpm, [שלום]で114wpm、終盤[גולן]で121wpm, [אגם עכשיו]で107wpm, 122wpm, [ענן אחרי]で99wpm, 111wpm, [עם]で89wpmと失速した。一方、序盤[לעתים קניון מים צופה יהודים קטן]で平均149wpm、1語置いて[על דיסק אחרים]で152wpm, 177wpm, 155wpm、中盤[שחור רוח סוף]で194wpm, 176wpm, 172wpm、1語置いて[סוציולוגיה היה חולים את הגנה]で平均144wpm、終盤[היסטוריה פיראט שלו שמש]で148wpm, 145wpm, 146wpm, 137wpmと加速を決めた。タイピング画面4行目冒頭[מאוד כדור]の[כ]まで打った。ここまで32分経過。粘りに粘って、まさに執念と怨念で結果を出した。 |
100wpm到達前に85wpm以上(ノーミス。以下同様)は62回、90wpm以上は40回、95wpm以上は12回出した。図形認識配列を採用したためか、朝鮮語/韓国語ほど苦戦せずに済んだ。とはいえ、ギリシャ語よりは苦戦した。
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※回数とは、そのトライアルまでの累計のノーミス達成回数。その日までの練習回数やノーミス達成回数とは必ずしも一致しない。
基本的には、通常版と同様のアプローチで臨んだ。しかしそれだけでは対応できないところも存在した。ここでは1kで新たに採用した、あるいは新たに判明した内容を記載する。
●monkeytypeのヘブライ語1kで100wpmを目指せ!(2024/8/19〜11/4)
通常版で100wpmを達成した直後に1kの練習を開始した。このため、1kでは最初から40wpm以上打つことができ、初日に50wpmに到達した。一方、通常版では単語慣れ(というよりも単語暗記)により攻略できた部分が多かった。このため、単語が増えると50wpm程度しか打てず、これが実力相応の結果だったという見方もできる。1kでは改めて単語慣れ(というよりも頻出文字/シーケンスへの慣れ)を進めるとともに、ヘブライ文字自体への慣れが不足していた部分を補うことにより、徐々に100wpmに近づいていった。◆出現文字および単語の分析
練習初日に、通常版に出現しない[ץ](ツァディー)が1kでは出現することに気付いた。配列に仕込んでいないため、まずはそこからだ。図形認識では[Y](ワイの大文字)だ。だが、Shiftを避けたいので[:→y]および[7]に仕込む。出現率は低いので、最上段に配置しても問題ないだろう。ちなみに、[ץ]は1kだけでなく5k,10kにも出現する。なお、デッドキー[:]を潰して配置する案も検討した。その時点で、デッドキーが必要な文字は出現していなかったためだ。だが、今度はTypeRacerで出現が予想される[']が[:→Space]で打てなくなるため断念した。
1kには1000語が出現する。この1000語が通常版の198語とどの程度重複するのか調査した。結果は109語。即ち、朝鮮語/韓国語と違って、1kで通常版の成果を使って少しだけ楽をすることができる。とはいえ、残りの891語はゼロから暗記する必要がある。この時点で、1〜2カ月で100wpmに到達するのは難しいという見通しを立てた。
なお、出現単語も文字も通常版より多いため、調査に時間を要した。例えば、全1000語の意味(英語)の調査を完了したのは9/10だった。残り200語程度になってからは、日記に出てきた単語にこだわらず、埋まっていない単語をまとめて調べるようにした。そうしないと1000語網羅するのは難しい。
初回挑戦では前半に10分44秒、後半に13分59秒を要した。後半の方が難しい。長い単語が多いのに加えて、通常版と重複する単語が激減するためだ。当初は[ח][ת][מ][ה]の区別が難しく、ミスや硬直が目立った。まずはこれらの文字に慣れることで、タイムが目に見えて改善された。
前半に関しては、8/28に10分を、9/5に9分を、9/18に8分を切った。最終的に7分02秒まで詰めた。後半に関しては、9/5に10分を、9/24に9分を、10/29に8分を切った。最終的に7分53秒まで詰めた。前半と後半の合計タイムは、10/30に記録した14分55秒が最短だった。また、1語あたりでは前半が0.844秒、後半が0.946秒であり、前半は通常版(1語あたり約0.864秒)より速くなった。
ミスの原因の大半は誤読だ。特に[י]を[ו]と打つパターンが目立った。次に多いのが、[ך]を[ן]と打つパターンだ。[מדינת](州)と[מדינה](州)を互いに逆に打つミスも出た。これは誤読というよりも、両方の単語が出現するが故の混同だ。他のパターンは分散した。[ל]を[ק]と打つ、通常版に無いパターンも出た。
ある程度練習が進んでからもミスが目立ったのは、表7に示す3単語だ。ほぼ毎回引っ掛かったため、途中から方針を変更した。即ち、セルをピンク色に着色し、事前に確認するようにした。30秒練習と違って正確性100%を狙うテストではないため、正確な打鍵を継続することで、ミスの癖を減らすことを目指した。
No. | 単語 | 意味 | ミスの内容 |
---|---|---|---|
328 | חיצוניים | 外部の | היצוניים |
672 | מוסדות | 機関 | מסודות |
855 | מאחר | 遅い | מאחד |
8/23、名詞の冒頭に[ה]を付けると、英語の[the]の意味になる単語が幾つかあることに気付いた。多くの場合、日本語では意味が変わらないのだが。Google翻訳で意味を調べるうちに、さらに幾つかの法則を見出した。特に、表8,9に示す通り、接頭辞と接尾辞を把握すれば暗記対象を絞り込めることが分かってきた。これにより、調査および暗記の工数が大幅に削減された。
接頭辞[ה]が付いて[the ...]の意味になる単語は1000語中183語あった。調査方法は、まず1文字目が[ה]となる単語を抽出し(この時点で239個)、次に意味が[the ]で始まる単語の数を調べるというものだ。このような方法を採用したのは、[הם](彼らは)のように、[ה]で始まっても[the ...]の意味にならない単語もあるためだ。なお、この方法だと[יום](日)→[היום](今日)のような例は見抜けない。個別に調査する必要がある。
接頭辞 | 意味 | 具体例 |
---|---|---|
ה | the | זמן(時間/time)→הזמן(時間/the time) |
ב | in/at | אזור(地域/area)→באזור(地域で/in the area) |
ו | and | הוא(彼は/he)→והוא(そして彼は/and he) |
מ | of/from | הן(彼らは/they)→מהן(彼らのうちの/of them) |
ל | for/to | מקום(場所/place)→למקום(場所へ/to the place) |
接尾辞 | 意味 | 具体例 |
---|---|---|
ים | (複数形) | תהיל(詩篇/psalm)→תהילים(詩篇/psalms) |
ות | (複数形) | נקודת(点/point)→נקודות(点/points) |
ו/ה | he/she | אותו(彼/him)、אותה(彼女/her) |
ה/ת | (同じ意味) | מלחמה(戦争/war)、מלחמת(戦争/war) |
当初は実質ランダム練習に近いため、25分程度で脳がヒートアップして認識能力が極端に低下した。25分どころか20分弱で脳が麻痺し、凡ミスが増加して練習効率が極端に低下することもあった。特に終盤10秒は何も読めなくなり、本能で当てるしかなくなる。そうなる前に効果的な練習を積み重ねる必要がある。これは朝鮮語/韓国語でも発生した現象だ。
練習開始後早々にその日の自己ベストが出るケースが目立った。通常版は粘れば記録が出ることもあった一方で、1kではなかなかそうはならない。実質ランダム練習では脳疲労の蓄積が習熟効果を上回るためだ。脳が死んだ状態で無理に練習を続けるとミスの癖がつくので有害でさえある。実際、[י]と[ו]、[א]と[ל]、[ש]と[ע]を互いに逆に打つ癖がつき、100wpm到達時まで、さらに5k攻略開始後も苦しめられた。このように、ランダム練習には明確な限界がある。その先に進むには、単語を、最低でも頻出文字列を覚えないとどうにもならない。
100wpmを狙う段階では、1セット内のヘブライ語に割く時間を25分から30分、35分と増やすこともあった。但し脳が疲弊していない時に限る。
10/11より仕事が多忙になり、500語通し練習×2を実施する余裕がなくなる日が増えた。10/23以降はさらに状況が悪化し、平日には短縮メニュー(指慣らし→ヘブライ語1k)のみしか実施できなくなった。ヘブライ語1kへの影響は最小限に抑えたつもりだ。しかし、失敗の原因や対策、成長の方法を深く考察する時間を確保できなくなり、退化防止練習のみを惰性で継続した感は否めない。
それでも、この退化防止練習により徐々に成長していった。練習の質の低下を量で補った。ここで量とは、1日あたりの練習時間ではなく、数週間の練習の蓄積を指す。惰性の練習でもほぼ毎日継続することで徐々に脳と目が慣れ、単語の暗記が進んだと考えられる。
指標 | 具体例 |
---|---|
〇〇wpm以上を通算△△回出す | 10/18、85wpm以上を通算50回 10/28、90wpm以上を通算20回 11/1、95wpm以上を通算5回 11/4、97wpm以上を通算3回 |
〇〇wpm以上を1セットに複数回出す |
9/29、1セットに85wpm以上を2回 10/7、1セットに85wpm以上を3回 10/22、1セットに90wpm以上を2回 11/4、1セットに95wpm以上を2回 |
結果表示画面の「やや遅い単語」が100wpm突破 | 9/28に達成 |
結果表示画面の「遅い単語」が100wpm突破 | 11/1に達成 |
100wpmを維持できる時間を伸ばす | 10/27、16秒まで100wpm維持 10/31、20秒まで100wpm維持 11/3、27秒まで100wpm維持 |
Top10から〇〇wpm未満を駆逐する |
10/7、85wpm未満を駆逐 10/25、90wpm未満を駆逐 11/4、94wpm未満を駆逐 |
Top100から〇〇wpm未満を駆逐する | 10/31、85wpm未満を駆逐 11/4、86wpm未満を駆逐 |
タイピング画面で3行打ち切る | 達成できず |
結果表示画面で2行打ち切る | 達成できず |
連続5単語以上で平均〇〇wpm以上の加速を決める | |
かつての苦手単語を加速単語に変える |
ヘブライ語1k、100.79wpm(100%)! 100wpm突破!!!!!画像はこちら。昨日の記録を2.80wpm更新し、練習開始後78日目にして100wpmを突破した。タイピング画面で3行打ち切り(結果表示画面では約2行打ち切り)を目標に、終盤も加速し続けた。3行打ち切りには1語届かなかったが、無駄な緊張から解放されたのが大きかった!最遅単語群は[<100]。19秒まで98wpmと伸び悩んだ。そこから加速し、23秒時点で101wpmまで上げた。26秒時点で99wpmと一旦緩むも、最後再び加速した。序盤[ההגנה אז]で106wpm, 93wpm, [השעה]で101wpm, [המועצות]で90wpm, [אף יצא איש]で100wpm, 85wpm, 106wpm, [ערך (改行)]で85wpm、中盤[הסרט]で80wpm, [במידה]で107wpm、終盤[אוכל (改行)]で100wpm, [הדין שלך]で95wpm, 101wpm, [גבי]で113wpm、最後[באמת]で85wpmと失速するも、執念で叩き込んだ。あと1語、[נהגה]を打てば3行目打ち切りだった。 一方、開幕[ברחוב יחד אותי]で183wpm, 121wpm, 124wpm, [הדין ואני שנים]で121wpm, 137wpm, 135wpm、中盤[(改行)חוסר דיוויזיות ועד יודע מתחת]で平均134wpm、1語置いて[נגד מספר אכן לראות]で120wpm, 144wpm, 118wpm, 137wpm、1語置いて[גדולים חיצוניים גדול חיל]で161wpm, 116wpm, 178wpm, 133wpm、終盤[באמצעות מסוימים האחרים ברוב סביב פעולות]で平均143wpmと加速を決めた。 |
100wpm到達前に85wpm以上(ノーミス。以下同様)は122回、90wpm以上は46回、95wpm以上は8回出した。通常版より苦戦したものの、最後は外れ値を出して一気に100wpmを突破するという運に恵まれた。その分、5k以降に苦労が持ち越されるかもしれない。
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基本的には、通常版や1kと同様のアプローチで臨んだ。しかしそれだけでは対応できないところも存在した。ここでは5kで新たに採用した、あるいは新たに判明した内容を記載する。
各単語の意味の調査は、日々の練習記録として日記を執筆する際に地道に進めていった。この作業が終わったのは、5/8のことだった。
各単語の意味の調査に関して、Google翻訳レベルでは心許なくなってきた。イスラエルやユダヤ教の固有名詞や固有の概念と思われる単語が増えてきたためだ。そこで、[(単語) 意味]でGoogle検索するようになった。ヘブライ語の習得を本格的に目指すなら、そろそろ辞書を買うべきなのだろう。だが、今回はそれが目的ではない。
最終的に、8セット中5セットで1単語あたり1秒を切った。最も簡単なNo.1001-1500は、5/21に7分44秒まで詰めた。最も難しいNo.4101-4500でも、5/19に8分58秒まで詰めた。一方、ノーミスで打ち切ることは稀だった。2025/4/22になって、No.1501-2000で達成したのが最初で最後だった。
12/11、同じ意味を持つ接尾辞に気付いた。Wikipediaのヘブライ文字の項によると、語末形というものらしい。具体的には表12の通り。これは接尾辞[ה][ת]とは異なる現象だ。例えば複数形にする際に語末形から通常形に戻る。HTMLコードにすると語末形の方が1ずつ小さい数字になる点が興味深い。
●monkeytypeのヘブライ語5kで100wpmを目指せ!(2024/11/5〜2025/5/27)(2025/9/13追記)
1kで100wpmを達成した直後に5kの練習を開始した。1kに頻出したシーケンスがそこそこ出現したため、習熟を活かすことができた。最初から75wpm以上打つことができ、11日目に80wpmを超えた。一方、1kでは単語慣れ(というよりも単語暗記)により攻略できた部分が多かった。このため、単語が増えると80wpm程度しか打てず、これが実力相応の結果だったという見方もできる。5kでは改めて単語慣れ(というよりも頻出文字/シーケンスへの慣れ)を進めるとともに、ヘブライ文字自体への慣れが不足していた部分を補うことにより、徐々に100wpmに近づいていった。◆出現単語の分析
5kには5000語が出現する。この5000語が通常版の198語、1kの1000語とどの程度重複するのか調査した。結果は、通常版との重複は148語、1kとの重複は全1000語。なお、通常版・1k・5kすべてに出現する単語は148語だった。即ち、5k攻略時には1kの成果を使ってある程度楽ができる。とはいえ、残りの4000語は新規の単語である。しかもこれだけ数が多いと、単語暗記に頼る攻略法は通用しない。結果的に、最初の1カ月ほどはランダム文字列への対応力を鍛え続ける状況に陥った。◆5000語通し練習は事実上不可能
通常版や1kと比較しても単語数が桁違いに多いため、通し練習は事実上不可能だった。代わりに、5kで新規に出現する4000語を500語ずつ8分割して実施した。即ち、1周するのに8日必要となる。この対策は、単語慣れに直結した。朝鮮語/韓国語でこの対策が有効と分かっていたため、11/25から開始した。結果として、その後の成長に寄与した可能性が高い。◆出現単語の暗記
当初は、5000語も暗記するのは非現実的と考えていた。従って、実質ランダム練習との死闘を覚悟していた。しかし、結局5000語の大半を暗記した。意味までは覚えきれなくても、単語の冒頭2文字と長さを見た瞬間に即入力できるようになった。また、主なミスの原因を把握し、事前に察知できるようになった。こうなるとランダム練習が単語練習に変わり、速度が明らかに増していく。【表12: 同じ意味を持つ接尾辞】
通常(字母) | HTMLコード | 語末形 | HTMLコード | 具体例 |
---|---|---|---|---|
כ | כ | ך | ך | מלכ(王/king)→מלך(王/king) |
מ | מ | ם | ם | לוחמים(戦士達/warriors)→ לוחם(ファイター/fighter) |
נ | נ | ן | ן | הקטנים(小さな物達/the little ones)→ הקטן(小さな子/the little one) |
פ | פ | ף | ף | גופים(遺体/bodies)→גוף(体/body) |
צ | צ | ץ | ץ | עצי(ウッディ/woody)→עץ(木/tree) |
また、カーソルが邪魔で単語の最後の文字が見えなくなる事故が頻発していた。12/8に業を煮やして設定を調査し、[caret]→[caret style]→[off]でカーソルが消えることに気付いた。この設定に慣れるまでは、特に他の高速言語において、現在位置を見失う事故が発生した。だが、結局慣れてしまった。
まず、練習開始後の約10分間はノーミスを30秒維持できない。30秒どころか10秒持たないことが大半である。このため、各単語のロードに充てるしかなかった。各単語(最低でも苦手単語の大半)の打ち方を思い出して初めて、30秒間ノーミスタッチで打ち切れる可能性が出てくる。この問題に関しては、先述した500単語通し練習も直接的な対策にはならなかった。あくまでもmonkeytypeの画面でのロードが必要だった。
各単語のロードが終了してからも、ノーミスを30秒維持できることは稀だ。30秒も脳を高レベルで働かせ続けることは不可能だ。どんなに簡単な単語でも、脳が働かなければミス爆死だ。例えば表13に示すケースで頭が真っ白になり、稚拙極まりないミスタッチを繰り返す。要するに、焦ったりびびったり脳を酷使したりして、集中力が途切れた場合や脳のリソースが尽きた場合に、「先読みが途切れる」「指が勝手に動く、あるいは止まる」といった事象が発生する。このため、大半のケースではミスが出るし、仮にノーミスで突破できても次の単語でまた硬直する。
・開幕 ・改行直後(30秒練習で100wpmを目指すなら最低2回、ごく稀に3回) ・難関単語を突破した直後。特に難関単語が2個以上続いた場合 ・加速単語で加速した直後 ・順調に打ち続けていることにふと気付いた瞬間 ・新記録が出そうだと意識した瞬間 ・タイピング画面3行目。特に、最後の最後 |
この事象に対処するには、根本的には出現単語や出現文字への習熟度を地道に向上させるしかない。難関と思っていた単語をより少ない脳の負担で打ち抜けることで、脳のリソースが尽きる事態が減少する。ほぼ無意識のうちに指が勝手に単語を打ち抜けられるまでに鍛え上げれば、多少の焦りにも対応できる。しかしそのようなレベルにまで鍛え上げるのは、速度が上がるにつれて難しくなる。筆者は100wpmを達成するまでに表14に示すプロセスを辛抱強く繰り返した。それでも結局半年以上を要した。
・500単語通し練習でベース速度を上げる。 ・難関単語を少しずつ克服する。即ち、少し速度を落として自然に突破できるようにする。 ・加速単語も少しずつ克服する。即ち、力まず自然に加速できるようにする。 ・開幕は大量のEscと運で強引に突破する。難関単語がある場合は、事前に指の動きをイメージしておく。 ・開幕ダッシュに続けて1行目を速く打つ練習をする。最終的に、1行目を9秒以内に打てるようにする。 ・2行目にX秒、3行目にY秒残っている状況に慣れる。X,Yの値は速度により変わる(最終的にX=21, Y=10)。 ・改行を突破できた場合は、2行目、3行目で再加速する練習をする(しかし大抵失敗する)。 ・最後の最後については場数を踏むしかない(しかし場数を踏んでもミス爆死は多い)。 |
この事象がいくら発生しても良いだけの速度を獲得するというアプローチも考えた。例えば100wpmを目指すなら、前半を120wpmで打つ。これにより、2行目に22秒、3行目に12秒残す。そして、3行目で数単語打つ度に0.5秒停止する余裕を持つ。実際には、120wpmを維持できるのは高々5秒だった。とはいえ、最終的には20秒まで110wpm弱を維持できるようになり、30秒練習における100wpm達成の確率が高まった。
2月初、またしても長期風邪で2週間近く停滞した。特に貴重な休日を丸々潰されるのは激痛だ。この時は少しだけでも練習するようにしたため、退化を最小限に抑えることができた。筆者に残された健康寿命(というよりもタイピング寿命)と残りの難関言語(アラビア語、ヒンディー語、タイ語、中国語、……)の数を考慮すると、ヘブライ語にこれ以上注力するよりも次の言語に進むべきかもしれないとまで考えた。一方で、当面はヘブライ語5kを継続することにした。このヘブライ語5kに苦戦するようでは、今後の難関言語には手も足も出ないと考えたためだ。
トドメとなったのが、2/17から開始したIntersteno2025への対策だ。必然的に、ヘブライ語5kに割けるリソースが激減した。4/27のIntersteno2025終了まで、ヘブライ語5kに関しては退化防止を目的とした練習を細々と継続するだけとなった。当然ながら、この10週間では伸びがほぼ完全に止まった。
TypeRacerは固定文章であり、しかも文章の数が限られている。とはいえ、メリットも多い。練習時間が単純に増えるし、monkeytypeと共通する単語も多いため、相乗効果も期待できる。一方で、monkeytypeに無い単語も出現するし、句読点や英数字を含む文章もあるため、別の角度から練習できる。そして、TypeRacerで成果を出せばモチベーションにつながる。
実際、後述の通り2週間も経過しないうちにTypeRacerでは100wpmを達成した。500語通し練習や、monkeytype 5kの30秒練習でも、以前と比較して実力が一段階上がった感触があった。
指標 | 具体例 |
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〇〇wpm以上を通算△△回出す | 1/25、90wpm以上を通算5回 4/13、95wpm以上を通算6回 4/28、95wpm以上を通算8回 |
結果表示画面の「遅い単語」が100wpm突破 | 2/18、96wpmに 2/19、99wpmに 4/17に100wpm達成 4/29に103wpmに到達 |
100wpmを維持できる時間を伸ばす | 3/20、12秒まで100wpm維持 3/29、19秒まで102wpm維持 5/11、21秒まで100wpm維持 5/12、27秒まで100wpm維持 5/17、29秒まで100wpm維持 |
Top10から〇〇wpm未満を駆逐する | 12/13、85wpm未満を駆逐 2/10、90wpm未満を駆逐 5/12、95wpm未満を駆逐 5/25、96wpm未満を駆逐 |
Top100から〇〇wpm未満を駆逐する | 2/1、85wpm未満を駆逐 4/17、90wpm未満を駆逐 5/10、91wpm未満を駆逐 5/23、92wpm未満を駆逐 |
タイピング画面で3行打ち切る | 5/18に達成 |
結果表示画面で2行打ち切る | 5/27に達成 |
連続5単語以上で平均〇〇wpm以上の加速を決める | |
かつての苦手単語を加速単語に変える |
ヘブライ語5k、100.23wpm(100%)! 100wpm突破!!!!!画像はこちら。タイピング画面3行目打ち切り! 結果表示画面でも初の2行目打ち切り! 練習開始後26分粘った。9秒まで109wpm、12秒まで103wpmを維持した。21秒時点で99wpmまで低下するも、29秒時点で101wpmと立て直した。序盤[הזבובים]で109wpm, [בצבע]で109wpm、中盤[המתארים להפסקת מנסה]で91wpm, 107wpm, 105wpm、1語置いて[מחר מחסומים הדרכים]で102wpm, 115wpm, 97wpm, [החרב]で78wpm、終盤[האמינו אליהם]で92wpm, 112wpm, [הביאו]で98wpm、最後[בבסיס תחילה]で117wpm, 96wpmと失速した。一方、序盤[לחקור למשחק מכונה קיימים למוות בציבור חשובות]で平均143wpm、中盤[רחוב חמים בדיקות]で174wpm, 140wpm, 124wpm、1語置いて[חוקה לספר קראה]で142wpm, 162wpm, 130wpm、2語置いて終盤[אזרחים איש רשימה הוד מיוחדים הים]で平均145wpm、1語置いて[ביצירתו יקרה כזה לנשים קומה]で平均140wpmと加速を決めた。 |
100wpm到達前に85wpm以上(ノーミス。以下同様)は475回、90wpm以上は209回、95wpm以上は29回出した。98wpm以上は1回しか出なかった。かつてここまで苦戦した言語は無い。半年以上の長期戦になるとは想定外すぎた。振り返れば、年末年始と2月初に長期風邪による断絶があった。3〜4月にはIntersteno2025の陰で退化防止練習のみを継続したため、伸び悩んだ。その後5/11に99.20wpmを出すまでは良かったが、それを更新するのにまた16日を要した。実力は95wpm前後であり、10kでも苦戦は続くと考えられる。
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一般に、語彙が増加するほど難易度が上がる。単語がより長く複雑になるためだ。10kでの100wpm達成までにはまだまだ壁が立ちはだかると想定していた。このため、100wpm達成を焦ることは無かった。終盤の安定性を維持しつつ隙を見て加速をする点に課題があると分析していたため、それに対応する練習を繰り返して実力を地道に高めた。
基本的には、通常版や1k、5kと同様のアプローチで臨んだ。しかしそれだけでは対応できないところも存在した。ここでは10kで新たに採用した、あるいは新たに判明した内容を記載する。
各単語の意味の調査は、日々の練習記録として日記を執筆する際に地道に進めていった。9/9の100wpm達成時点で、意味は約9割しか埋まらなかった。将来、例えば110wpm、120wpmを目指す際にこれらの調査を再開することはあるだろうか。
最終的に、1単語あたり1秒を切ることはできなかった。最も平均文字数の低いNo.9501-10000でも、8/4に8分48秒まで詰めたのが最高だった。5kまでに出現しないパターンが多かったためと考えられる。最も難しいNo.8501-9000では、8/25に9分36秒まで詰めたのが最高だった。また、ノーミスで打ち切ることは稀だった。6/30にNo.6001-6500で、8/21にNo.7501-8000で1回ずつ達成したのみだ。
●monkeytypeのヘブライ語10kで100wpmを目指せ!(2025/5/28〜9/9)(2025/9/14追記)
5kで100wpmを達成した直後に10kの練習を開始した。5kに頻出したシーケンスがそこそこ出現したため、習熟を活かすことができた。最初から85wpm以上打つことができ、初日に90wpmを超えた。5kでの半年を超える鍛錬は無駄ではなかったようだ。しかしその後は伸び悩んだ。5kまでに出てこないパターンを一つ一つ高速化し、ミス誘発箇所を一つ一つ潰していく作業が再び必要となったためだ。95wpmを突破したのは28日目のことだった。99wpmを突破するのにさらに2カ月を要した。そして最後の壁である100wpmを突破するのにまた1カ月を要した。◆出現単語の分析
10kには10000語が出現する。この10000語が通常版の198語、1kの1000語、5kの5000語とどの程度重複するのか調査した。結果は、通常版との重複は159語、1kとの重複は全1000語、5kとの重複は全5000語。なお、通常版・1k・5k・10kすべてに出現する単語は159語だった。即ち、10k攻略時には5kの成果を使ってある程度楽ができる。とはいえ、残りの5000語は新規の単語である。しかもこれだけ数が多いと、単語暗記に頼る攻略法は通用しない。結果的に、最初の2カ月ほどはランダム文字列への対応力を鍛え続ける状況に陥った。100wpmに近付いてからも、初見かそれに近い単語が出現して崩される事態が多かった。◆10000語通し練習は事実上不可能
5kと同様、通し練習は事実上不可能だった。代わりに、10kで新規に出現する5000語を500語ずつ10分割して実施した。即ち、1周するのに10日必要となる。この対策は、単語慣れに直結した。数が多いため簡単に慣れることはできなかったものの、その後の成長に寄与した可能性が高い。◆TypeRacer、Klavogonkiとの並行練習
TypeRacerのヘブライ語の鍛錬は継続していた。後述の通り、9/6に120wpmを突破するまで続けた。また、6/1-8/31にはKlavogonkiを用いた多言語大会であるMEGAlingua 2025に参戦した。ヘブライ語も期間中に63回打ち込み、最終的に506cpm(ミス0)まで伸ばした。
monkeytype 10kで100wpmを目指す過程では成長の実感が薄く、モチベーションの維持が難しかった。TypeRacerやKlavogonkiで文章を打つことで、より実践的な練習を経験できる。TypeRacerでは出現する文章が限られているため、主に暗記済み短文での瞬発力を鍛えた。Klavogonkiでは出現する文章が875個と多いため、主に初見長文での安定感を培うことを念頭に置いた。
実際、TypeRacerで120wpm、Klavogonkiで100wpmを達成する頃には、monkeytype 10kの500語通し練習や30秒練習でも、実力が一段階上がった感触があった。
指標 | 具体例 |
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〇〇wpm以上を通算△△回出す | |
〇〇wpm以上を1セットに複数回出す | 7/9、95wpm以上を2回 8/25、96wpm以上を3回 |
結果表示画面の「やや遅い単語」が100wpm突破 | 6/3に達成 8/28に104wpmに到達 |
結果表示画面の「遅い単語」が100wpm突破 | 5/28に達成 8/9に115wpmに到達 |
100wpmを維持できる時間を伸ばす | 6/3、7秒まで101wpm維持 |
Top10から〇〇wpm未満を駆逐する | 5/31、85wpm未満を駆逐 6/6、90wpm未満を駆逐 7/20、95wpm未満を駆逐 8/28、97wpm未満を駆逐 |
Top100から〇〇wpm未満を駆逐する | 6/29、85wpm未満を駆逐 7/26、90wpm未満を駆逐 9/5、93wpm未満を駆逐 |
タイピング画面で3行打ち切る | 8/9に達成 |
結果表示画面で2行打ち切る | 8/9に達成 |
連続5単語以上で平均〇〇wpm以上の加速を決める | |
かつての苦手単語を加速単語に変える |
そこで、新たにイディッシュ語を開始して脳の活性化を図りつつ、従来25分程度だったからヘブライ語10kの1セットあたりの練習時間を約35分程度に増やした。この頃には打ち切れるのが10分に1回程度という状況だったため、単純に打ち切り回数を増やす効果があった。また、脳に過負荷を与えることで、タイピング画面3行目でのびびりによる墜落をある程度克服した。
30分以上打ち続けると、脳の疲労は極限に達する。この状態で100wpmを狙うような訓練を継続すると、翌日にフレッシュな状態で打った時には速度も安定感も向上する。その結果、前半15秒に限れば105wpm以上で突破できることが少しずつ増えてきた。すると終盤に崩れても95wpm以上で踏みとどまることが増える。ミスさえしなければ、100wpmに届くという感触が出てきた。
ろくな結果が出ず絶望的な練習を29分続けた後、ついに!!
ヘブライ語10k、101.16wpm(100%)! 100wpm突破!!!!!画像はこちら。タイピング画面3行、結果表示画面2行、いずれも打ち切れず。しかし最遅単語群が[<102]、即ち終盤まで100wpmを切ることがほとんど無いという安定感が効いた。12秒まで105wpm、14秒まで103wpm、15秒以降100〜102wpmを維持した。24秒時点で100wpmまで低下するも、29秒時点で102wpmまで立て直した。序盤[מכוונת]で106wpm、中盤[מופיעים (改行)לרגל התשובה]の第二者でミスを警戒し104wpm, 96wpm, 111wpm, [למרכז רשמי]の前者でミスを警戒し87wpm, 102wpm, [הניתנת]に偶然当てて89wpm, [נקי]で109wpm, [המון]で92wpm、終盤[ששכן (改行)אבל]で85wpm, 106wpm, [נתיב]で108wpm, [בנקודה]で109wpm, [למרד]で106wpm、最後[פתי(חת)]で80wpmと失速した。一方、開幕[מלבד בברית פרט הגופים שהציע]で平均136wpm、1語置いて序盤[שהן מוסדות מובנת רימון חפים לתעשייה האישי]で平均134wpm、終盤[לשמוע לחמוק דין החוקי לעצמאות פעל]で平均131wpmと加速を決めた。これだ。この単語運が必要なのだ。 |
100wpm到達前に85wpm以上(ノーミス。以下同様)は277回、90wpm以上は210回、95wpm以上は54回、98wpm以上は6回出した。少しずつだが確実に成長し続けた様子がグラフから読み取れる。
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monkeytype 1kで100wpmを達成した11/4には、5戦して76.52wpm(99.3%)が最高だった。また、5戦目にTypeMasterに昇格した。ランダム文字列ではなく単語として認識できるようになったのが非常に大きい。読める! 読めるぞ!
Intersteno2025が終了した2025/4/28、満を持して本格的な練習を開始した。背景として、monkeytype 5kで100wpmになかなか到達できず伸び悩んでいた。そこで、5kや10kで100wpmを達成するのを待たず、TypeRacerの100wpm到達も同時並行で目指すことにした。あわよくば、両者で相乗効果が出るのを期待した。
4/28中に83wpmまで伸びた。4/30には95wpmを突破し、100wpm到達も時間の問題と思われた。そこで短期決戦での攻略を目指した。
また、TypeRacerではmonkeytypeと違って、数十個の固定文章がランダムに出題される。このため、短期間で100wpmを達成するだけなら、最も短い幾つかの文章のみを狙って英字表記を集中練習するという攻略法も考えられる。しかし、筆者はその手法を採用しなかった。理由は二つある。第一に、100wpmを達成しても直後のチート対策テストに合格できる可能性が低いと考えた。仮にチート対策テストに出題される文章が限られているとしても、そこで別途練習が必要となる。第二に、将来他のサイト(Interstenoを含む)でヘブライ語を打つ可能性を見越して、汎用的なタイピング能力を身につけたかった。以上により、最後の100wpm狙いの期間を除いて、苦手な文章を含めすべての文章を可能な限り均等に練習した。
(1) フォント、文字サイズを最適値に設定する。 (2) マウスポインタを事前に排除する。 (3) BSの仕様を把握する。 (4) カーソルの仕様を把握する。 (5) ['](アポストロフィ)の仕様を把握する。 (6) 数字と記号の仕様を把握する。 |
(1)に関して、フォントはmonkeytypeと同様、Arialを選択した。但し練習開始時点では、テストでフォントが変わるか否かが不明で、不安もあった。さらに、Chromeのズームを100%→110%に変更した。意外なことに、ズーム110%の方が改行の回数が減るので大変助かる。筆者の環境では、文章が画面の横幅いっぱいに広がるためだ。しかしズーム125%以上にすると改行の回数が再び増え始めるので逆効果だ。同様の理由で、文字サイズを無闇に拡大すべきではない。
(2)に関して、文章の範囲内にマウスポインタが残っていると、そこまで打ち進んだ際に文字の一部が隠されて見えなくなる。また、車が走るエリアにマウスポインタがあると、そこまで車が進んだ時に当該レーサーのProfileウィンドウが表示され、文章が広い範囲で隠される。いずれもマウスポインタを動かして対処するしかなく、記録を狙う際には致命的なタイムロスになる。
(3)に関して、ミスタッチの数が少なければ基本的に「ミスタッチ数と同じ数だけBS(※)→正しい文字を打ち直す」で良い。但し、BSでどこまで消えるか、そしてどこから打ち直すか、観察が必要である。脳の処理速度が追いつかなければ、散々迷った挙句、単語ごと消して打ち直す羽目になる。
※TypeRacerではmonkeytypeと違って、ノーミスを毎回狙うのは非効率だ。成功率が低い(筆者の例では136回中50回)のに加えて、文章の後半部分を練習する機会が減るためだ。そこで、BSによる修正をある程度まで許容する(ミスタッチが多すぎる場合にはEscだが)。確かに、この修正によるロスは速度に影響する。一方、ノーミスを狙うと速度面で委縮することがある。従って、正確性99%台を狙いつつ、加速できそうな場所では積極的に加速していた。
(4)に関して、カーソルの位置は現在の打鍵位置よりも1文字進んでいる。これが邪魔になり、現在位置を見失うケースが非常に多い。また、ミスした時にどこまで戻るか大変分かりにくい。上の画面だけ見ても分からず、下の画面も見ないと判別できない。迷った挙句、単語ごと消して打ち直す羽目になり、ロスが非常に大きい。従って、単語を打つ前に完璧に読み切り、かつその単語を打ち終えるまで記憶して正確に再現する必要がある。また、ミスした場合も指先の感覚だけで即座に修正できないと、大幅ロス確定だ。
(5)に関して、['](アポストロフィ)と[י]の区別が難しい。高さが微妙に違うようだが、瞬時に見分けるのは不可能だ。従って、該当文章と該当位置を暗記する必要がある。
(6)に関して、数字と記号も厄介だ。ヘブライ語は通常右から左に読むのに対し、数字は例外で、左から右に読む。また、行末のピリオドは行頭に来る。従って、例えば[19-.]という表示に対しては[-19.]と打つ必要がある。とんでもねえ初見殺しだ。また、[יחסי ... ב-1980s.](1980年代…相対的)は[enoe ... a-1980S.]と打つ必要がある。慣れていないとほぼ確実に[senoe]と打つだろう。ここまで来ると暗記必須だ。
88wpm以上を記録した計60回のトライアルの正確性と速度の分布を図11に示す。正確性と速度の相関係数は0.211で、相関性はほぼ無いと言える。とはいえ、逆相関も無いから、ミスが多ければ速度が伸びるわけでもない。
60回のトライアル中、正確性100%は29回記録した。また、100wpmを超えたトライアルの正確性は100%だった。しかし、正確性が100%でなくても88wpm以上は31回出している。
一方、正確性99%未満で88wpm以上を出したことは3回しかない。そこまでミスタッチが頻発するトライアルは、ほぼすべて棄権している。大抵の場合、1ミスを起点にミスが連鎖し、立て直せない状況に陥るためだ。さらに、正確性99%未満で92wpm以上を出したことは一度も無い。即ち、筆者の現在の実力で92wpm以上を狙う場合、正確性99%以上がほぼ必須だ。また、98wpm以上を出したトライアル5回中3回は正確性100%であった。以上により、正確性99%以上を確保しつつ、可能な限り100%を狙う必要があると結論できる。
88wpm未満のトライアルも含めるとまた違う結果が出るかもしれない。しかし筆者の目標は100wpmであるから、その計算に意味は無い。一方、将来110wpm、120wpmを狙う際には、また違った結果が出るかもしれない。例えば朝鮮語/韓国語では、ノーミスを狙うよりも、1ミスを許容してヤケクソ加速する形での記録狙いを積極的に採用した。
ヘブライ語、100.43wpm(100.0%)! 100wpm突破!!!!!画像はこちら。52言語中45言語目の100wpm突破を果たした。2.1行の比較的打ちやすい文章をノーミスで打ち抜けた。ラップ4で89.64wpmと落ち込んだが、これとラップ7を除いて100cpm超で打ち抜けた。
直後のテストは2回目の挑戦で撃破。77.0wpm(98%)で、速度はギリギリだった(100.43*0.75≒75.32cpmが下限)。テスト文章のフォントはArialかそれに近いと思う。少なくともKoreanのテストの時のような絶望感は無かった。1回目に82.2wpm(83%)と惨敗した反省を踏まえて正確性を最重視し、「ミスするくらいなら止まれ!」を合言葉に臨んだ。 |
100wpm到達前に85wpm以上は81回、90wpm以上は45回、95wpm以上は13回、98wpm以上は4回出した。ギリシャ語や朝鮮語/韓国語と比較すると圧倒的に少ない試行回数で到達できた。monkeytype通常版や1k,5kで練習を積み重ねたこと、TypeRacerで出現する語彙が限られている(monkeytype 5kより少ない)ことが要因として挙げられる。
monkeytypeの1kで100wpmを達成した時点の実力ではTypeRacerに歯が立たなかった。だが、5kで100wpmを達成しなくてもTypeRacerの一部の文章では100wpmに到達できた。しかも、実質2週間という短期間でだ。この意味で、ヘブライ語の難易度に関しては「monkeytype 1k<TypeRacer<monkeytype 5k」と言えるだろう。
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※回数は、記録を出した時点での総練習回数。その日までの総練習回数とは必ずしも一致しない。
※上記データはTypeRacer Dataから取得した。
ヘブライ語を6戦して4戦目に!
ヘブライ語、110.20wpm(98.9%)! 110wpm突破!!!!!画像はこちら。だが、2ミスした挙句、正確性98%台を叩いたので気に入らねえ。終盤[שיכול](できる)を[י]とミスし、119wpm→114wpmと急落した。さらに[לעצמך](自分のために)を[למ]とミスし、116wpm→111wpmと急落してトドメ。せめてノーミスでこの記録を超えるまではやる。また、次のテストも出現させたい。
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110wpm到達前に95wpm以上は118回、100wpm以上は43回、105wpm以上は7回出した。
monkeytypeの10kで100wpmを達成しなくても、TypeRacerの一部の文章では110wpmに到達できた。しかも、実質4週間という短期間でだ。この意味で、ヘブライ語の難易度に関しては「TypeRacer<monkeytype 10k」と言えるだろう。
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※回数は、記録を出した時点での総練習回数。その日までの総練習回数とは必ずしも一致しない。
※上記データはTypeRacer Dataから取得した。
●TypeRacerのヘブライ語で120wpmを目指せ!(2025/6/7〜9/6)(2025/9/19追記)
110wpm達成後も、100wpm達成時と同じ理由で、TypeRacerでの並行鍛錬を継続した。monkeytype 10kの100wpmを目指す過程で苦戦しており、引き続き並行鍛錬が必要と考えた。◆Megaracerで出現する文章の特定
攻略すべき文章を知らないと、対策も立てられない。まずはMegaracer(※)で出現する文章が約40個と推定した。Megaracerが安定したのは4/30である。その後の各レースの結果をベースに、自作Excelシート(各種資料参照)で各文章がMegaracerで出現すべき文章であるか否かを判定した。その結果、Megaracerと判定した文章の集合と、最後に打った日付が5/14以降の文章の集合が一致した。その要素の数が40個だった。
※直近10戦の平均速度が80wpmを超えた時に得られる称号。Megaracerかそうでないかで、出現する文章が一部異なる。
しかし、この40個に含まれない文章がまだある気がしていた。筆者はTypeRacer DataのText analysis for dq (dqmaniac)を参照し、Best WPMが低い4個の文章を「四天王」と呼称して底上げを目指した。ところが、四天王以外にもやたらと難しい文章がある。例えば、[נוכל](詐欺師)で始まる2.2行の文章(ID: 1210398)を一度も打ち切っていないことが6/10になって判明した。四天王の上に君臨する、ラスボスか。当時も難関[מיתולוגיה,](神話)を[ת]→[מיא]とミス連鎖し、万事休す。6/13に再挑戦し、ようやく打ち切り。85wpmにも満たなかったが。
さらに、[כאשר](いつ)で始まり[25]を含む文章(ID: 1210400)を打ち切っていないことに6/14になって気付いた。こちらが真のラスボス、いや裏ボスか。6/16にようやく打ち切った。
その後も観察を続けた結果、Megaracerで出現する文章は42個であることが6/29になって判明した。TypeRacer DataのText analysis for dq (dqmaniac)をスコア順にソートしてRaces欄とLast race欄を見ると、42位以上と43位以下の集合が明らかに違う。
(1) 90wpm未達成の2文章(いずれも難関)を90wpm以上に上げる (2) 95wpm未達成の11文章を95wpm以上に上げる (3) 42文章の打ち切り回数(Races欄の数字)を二桁にする (4) 100wpm達成済み文章(22個)を30個に増やす |
幾つかの限られた高速文章で記録を狙うだけでは、モチベーションが続かない。他の多くの文章で記録が伸び悩むためだ。高速文章と同様の速度重視の打ち方をすると、ほぼ確実にミスや硬直で止められ、棄権することになる。実際、高速文章では30回以上打ち切っているのに、幾つかの難関文章では5回も打ち切っていないという事態が生じていた。こうなると、「打てない→棄権する→練習量が不足する→打てない→…」という悪循環にハマる。そこで、高速文章以外でもテーマを決めて練習し、全体の底上げを目指すことにした。これはテストの初見文章対策も兼ねる。
その後は90wpm達成文章、100wpm達成文章をどんどん増やしていった。その状況を図14に示す。5/10の100wpm達成直後には、最高記録が90wpm以下の文章が過半数を占めていた。6/29の目標立案時には、100wpm達成文章が過半数となっていた。最終的に、全42文章で95wpm以上を達成した。100wpm未達成文章が7個まで減る一方、110wpm達成文章が7個に増えた。
日付 | レース速度 | 認証ボーダー | 認証結果 | テスト失敗回数 |
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5/10 | 100.43wpm | 75.3wpm(93%) | 77.0wpm(98%) | 1 |
5/14 | 102.83wpm | 76.1wpm(93%) | 85.4wpm(97%) | 2 |
7/6 | 115.29wpm | 86.5wpm(93%) | 89.8wpm(95%) | 3 |
9/6 | 120.44wpm | 90.3wpm(93%) | 99.4wpm(97%) | 4 |
※認証ボーダーのうち、速度はレース速度×3/4以上、正確性は93%以上。
547回のトライアル中、正確性100%は318回、それ以外は229回であり、必ずしもノーミスを狙う必要は無いように思われる。一方、正確性99%未満で90wpm以上を出したことは9回、正確性99%未満で100wpm以上を出したことは5回しかない。そこまでミスタッチが頻発するトライアルは、ほぼすべて棄権している。大抵の場合、1ミスを起点にミスが連鎖し、立て直せない状況に陥るためだ。また、110wpm以上を出したトライアル(大抵は高速文章)20回中18回は正確性100%であった。以上により、正確性99%以上を確保しつつ、高速文章では可能な限り100%を狙う必要があると結論できる。
ヘブライ語、120.44wpm(100.0%)! 120wpm突破!!!!!画像はこちら。52言語中13言語目の600cpm突破を果たした。いつもの高速文章を猛然と打ち抜けた。672回目の練習だった。ラップ3で110wpmを割り込むも、他では118wpm以上を維持した。特に直後のラップ4〜5で加速した。ラップ3の[מנקודת](ある点から)で硬直し、119wpm→116wpmと低下したものの、その後の加速で立て直した。
直後に、2025/7/6以来となるテストが出現した。当時の認証速度である89.8wpmの4/3を初めて超えたためだ。相変わらず非常に見辛い。Klavogonkiと違って正確性93%以上で合格だが、6回失敗すると上記の記録が幻と消える。今回も正確性で3回、速度で1回、計4回失敗して追い込まれた。だが、5回目で99.4wpm(97%)を出して撃破! 次のテスト出現は、99.4×4/3≒132.6wpm以上の記録を出した時か。 |
120wpm到達前に105wpm以上は91回、110wpm以上は18回、115wpm以上は4回出した。
monkeytype 10kで100wpmを達成しなくても、TypeRacerの一部の文章では120wpmに到達できた。一方、三日後の9/9にはmonkeytype 10kで100wpmを達成した。相乗効果がどの程度あったかは分からない。だが、「TypeRacerで120wpm」と「monkeytype 10kで100wpm」という二つの指標は、ほぼ同じ難易度の目標として機能したと言えるだろう。
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※回数は、記録を出した時点での総練習回数。その日までの総練習回数とは必ずしも一致しない。
※上記データはTypeRacer Dataから取得した。
●参考文献
・ヘブライ語 (Wikipedia)
・ヘブライ文字 (Wikipedia)
→ヘブライ語およびヘブライ文字に関する一般的な知識を得るため、最初に参照しました。
・Unicode and HTML for the Hebrew alphabet (Wikipedia)
→ヘブライ文字のHTML表記を調査する際に参照しました。
・Home - instant tools
→出現文字別の分類と集計に文字出現頻度分析ツールを使用しました。このツールは、ヘブライ語のみならず多言語の解析に、以前から大変役立っています。
●各種資料
・monkeytype:出現文字・単語の分析資料
→monkeytypeのhebrew, hebrew 1k, hebrew 5k, hebrew 10kに出現する単語の各種情報を調査・分析した資料。(2025/9/19現在、10kは未完)
・monkeytype:練習実績とグラフ
→monkeytypeのhebrew, hebrew 1k, hebrew 5k, hebrew 10kの練習実績を集計し、グラフを描画した資料。
・TypeRacer:練習実績とグラフ
→TypeRacerの練習実績を集計し、グラフを描画した資料。
・日本側の組織(Intersteno Japan。全日本タイピスト連合とは別組織)からの提案 ・Intersteno側のScience Committeeでの説明と承認 ・Intersteno側のBoardでの説明と承認 ・Intersteno側の各種作業(練習/本番ソフトへの反映、公式サイト等での周知) |
以上、ヘブライ語をほんの少しかじりかけた程度の外国人が代行するのは無理がある。まずはイスラエル人の協力者を見出すことから始める必要がある。
・多言語タイピングにおける朝鮮語/韓国語の強化(2023.12.17)
・多言語タイピングにおけるギリシャ語の強化(2022.12.18)
・多言語部門におけるロシア語の強化(2021.12.12)
・老化とタイピング(2020.12.6)
・更新したければ走れ! 2019年版(2019.12.15)
●おまけ2:過去のタイパー Advent Calendar向け記事へのリンク
筆者が執筆した文章が数年分蓄積してきたため、備忘録を兼ねて以下にまとめておく。その後の状況も記載する。
→朝鮮語/韓国語の強化は、最難関種目である5kでの100wpm達成、およびTypeRacerでの100wpm(英語換算値)達成をもって一旦終了した。将来さらなる境地を目指す意思はある。また、Interstenoで採用されるなら本格的な練習を再開する。
→ギリシャ語の強化は、最難関種目である25kでの100wpm達成をもって一旦終了した。将来TypeRacerでさらなる境地を目指す意思はある。また、Interstenoで採用されるなら本格的な練習を再開する。
→ロシア語の強化は継続している。但し2022〜2023年はmonkeytypeが中心だった。通常版や1kでは語彙が少なくIntersteno対策には力不足であるため、2022年には10kでの練習を中心とした。2023年にはさらに踏み込んで、25kや50kでの練習を採り入れた。375kでは語彙がマニアックすぎてランダム練習に近くなり、かえって対策にならないと判断した。2024年には、TypeRacerやTakiを用いて文章を打つ訓練に戻り、継続している。
→老化は恐ろしいことに着々と進行している。特に平日の在宅勤務終了後には、眠すぎてタイピングをやる気にすらなれない日が多くなった。しかし特にスピード練習は継続的に実施しないと速度がどんどん衰えていく。Interstenoで言えば英語や日本語(QWERTY)等、速度を要求される言語を打つ練習を採用していく。
・更新したければ走れ!(2018.12.16)
→ランニングは継続している。2024年の年間走行距離は2023年に続いて1000kmを超えそうだ。但し速度は明らかに低下した。2020年4月の在宅勤務開始に伴い、日々の通勤の高速ウォーキングが丸々なくなったのが地味に響いている。また、老化に伴い、スピード練習をやらないとすぐに落ちるし、そもそもスピード練習の負荷に耐えるのが困難になりつつある。
→タイプウェル国語Rは2022年1月30日、タイプウェル英単語は2019年3月3日を最後に打っていない。約30秒で800文字/分(160wpm)かそれ以上を目指す(≒800文字/分を約30秒維持する)打鍵は、monkeytypeの高速言語の攻略とある意味似ている。スピード練習として効果的であることは間違いないため、いずれ再開する予定はある。
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