2002年2月14日、我々執筆陣はレベル1×3人というDQ5の低レベルクリアを達成しました。また2003年3月23日には『ひとしこのみ技』を用いることで、遂にレベル1×2人でエスタークを倒すことに成功しました。そして、これ以上の記録更新は恐らく不可能です。そこで、今までに執筆陣が行ってきたDQ5の低レベル攻略に関するノウハウをまとめました。
この攻略ガイドは、いかに低レベルでボスを倒すかという視点から執筆したものではありますが、同時にプレイの効率を突き詰め、世界を回る順序やより楽にボス倒す方法にもこだわっています。従って、ごく普通にDQ5をプレイしたり、最短時間攻略を狙ったりする際にもきっと参考になる部分があることでしょう。
低レベルで攻略するということは、経験値獲得を可能な限り制限してプレイを進めるということに他ならず、HPやMP等もかなり低い状態で冒険することになります。従って、その際に
といった疑問が生じるのは当然のことです。
雑魚敵との戦闘はすべて回避するのですが、いきなり逃げると全滅する可能性が高くなります。そこで祝福の杖などで回復を行いながら、妖精の剣で守備力を上げたり風神の盾で飛ばしたりして敵の攻撃力を減少させ、それから逃げるのが基本です。それでもすべての攻撃から逃れることは難しいので、装備を充実させることでなるべく守備力を上げておきます。打撃への守備力はもちろん、呪文やブレスへの防御力も重視しなければなりません。一方、ボスや固定キャラからはまず逃げられないので、基本的に誰か1人だけを残して倒し、経験値獲得を制限します。
……というのが基本方針だったのですが、今回はボス攻略レベルが下がりすぎた結果、ついに雑魚敵から無事に逃げ延びることすらままならないという事態が生じてしまいました。そこで、ボブルの塔以降ではメガンテの腕輪を駆使して突破しています。
こうして雑魚敵からはことごとく逃げ続け、首尾良くボスを倒すということを繰り返せば低レベルでの攻略が可能になります。加えてDQ5にはカジノという、雑魚敵と全く戦闘を行わなくてもGに不自由しない(さらに言えば、強力な武器や道具を入手可能な)システムがあります。これによって、レベル1でも十分な装備に身を固めた、下手な高レベルキャラよりもよほど強いキャラが誕生するのです。
DQ5の標準的なクリアレベルは40前後と言われています。実際、執筆陣の初回プレイも同程度のレベルでした。しかし、このレベルでもかなり苦戦したことを覚えています。なぜこのように苦戦したのでしょうか? それは装備や戦術に問題があったからです。
例えばありがちな状況として、レベル40前後の主人公と男の子、女の子でミルドラースと戦う場合を考えてみましょう。まず、装備は冒険の途中で迷うことなく入手できるもの(ドラゴンの杖、天空シリーズなど)と店で売っているものにしておきます。変身前はフバーハ、スクルト、バイキルトで何とか乗り切れるでしょうが、ミルドラースには自然回復があるので戦いは長引き、前哨戦だけでもMPが残り少なくなってしまうはずです。
そして変身後。相手の攻撃パターンが全くわからないので、常に最悪の事態に備えた戦いを強いられます。戦闘開始直後の灼熱炎によって、フバーハなしではパーティ全員が100以上のダメージを受けます。打撃でも100以上食らうことは必至で、この時点でかなり戦闘のペースを崩されてしまいます。たとえフバーハやスクルトを使ったとしても、イオナズンをはじめとする他の攻撃も強力なので、賢者の石による回復だけでは間に合わず、ベホマなどMPを消費する手段に頼ってしまいます。これでは相手にダメージを与えるどころか、態勢を立て直すことすら困難となります。
こうして戦いは常に相手のペースで進み、瞑想という回復手段によってHPが無限にあるように思われるという心理的効果も重なって、次第に押されていくのです。
低レベル攻略では、こうした点をすべて逆手に取ります。装備は、普通に冒険を進めていては入手が難しい希少品(カジノの景品など)を含め最強のものを揃えます。
そして、変身前後とも攻撃パターンを完全に読んでいるので、回復に無駄がありませんし、受けるダメージも最小限に抑えています。通常プレイでは全員が100以上食らった灼熱炎も、炎に強いピエールだけ馬車の外に出し、なおかつ防御させることで30ダメージ程度に抑えます。これはもう雲泥の差ですね。そして相手が凍てつく波動や瞑想をする時、つまりこちらにダメージが来ない隙を見計らって集中的に攻撃を行います。このように、常にこちらのペースで戦いを進め、瞑想を上回るダメージを少しずつ確実に、そして効率的に与えていきます。
以上が低レベル攻略の基本ですが、このくらいならある程度やり込んでいるゲーマーであれば誰でも思いつくことでしょう。この攻略が単なる低レベル攻略と違うところは、圧倒的な質と量を誇る研究成果の活用です。
敵の攻撃を読むだけでなく、受けるダメージを事前に計算し、それに対応する装備を調え戦術を構築します。装備についても、既存の文献に載っている「炎によるダメージを軽減する」といったような曖昧な記述には納得せず、具体的にどのくらい軽減するのか、そもそも炎や吹雪ではどのくらいのダメージを受けるのか、といったことをすべて調べ上げています。受けるダメージが事前に分かっていれば、レベル1でHP一桁のキャラが3人並んでいても平然としていられるのです。
仲間モンスターについても、主人公がレベル7で仲間にできるモンスターはどのくらいいるのか、そしてそれぞれのモンスターの特性はどうなっているのか、といったことを熟知した上でボス戦に投入しています。危ないように見えても計算し尽くされた戦術のおかげで、結局最後には勝ってしまう。しかも偶然の要素をなるべく排し、必然がDQ5の戦闘を支配する。……それはまるでパズルを解いているかのような感覚であり、そこにはある種の美しさすら感じられるのです。
従来の低レベル攻略では、登場するすべてのキャラのレベルを可能な限り低く保って進むのが主流でした。経験値の集め方によって『最高レベル低数値型』『平均レベル低数値型』という差があり、状況に応じてある程度高レベルのキャラをボス戦で用いることもありました。しかし、これでは低レベル攻略の醍醐味であるギリギリの戦闘を楽しむことはできません。そこで、dqmaniacは冒険全体を通してパーティの平均レベルを極力抑えるべく、冒険後半の中ボス戦では初期レベルの仲間モンスターに経験値を集めては追放するという手段を採用しました。この方法により、ボス戦においても移動中でもレベル1キャラを中心としたパーティで臨むことが可能となります。
これに対し、MS-06によるDQ7低レベル攻略から始まった低レベルボス撃破というやり込みでは、低レベルキャラ―特にレベル1キャラだけを用いてボスを倒すことに主眼を置いています。極端な話、レベル99の主人公を馬車の中に待機させておいて、レベル1の仲間モンスターだけを馬車の外に出してボスを倒しても構わないのです。『低レベルボス撃破』を実現するための基本戦略として考案されたのがボス攻略とゲーム進行の分離です。一旦低レベルで中ボスに勝利した後リセットし、別の(=高レベルの)仲間でそのボスを倒し直すということを繰り返して、低レベルのキャラを常にキープしつつ冒険を進めるのです。また、種や木の実で強化したレベル1キャラを冒険終了まで温存することもできます。戦闘と経験値配分を完全に分離することで、従来の方法よりも速く、そして確実に攻略を進行することができるのです。
モンスターを倒して種や木の実を大量に獲得すれば、レベル1でHPが999もあり、力や素早さも255あるキャラを作ってクリアすることが可能となってしまいます。しかし、これでは興がなさすぎるというものです。そこで、今回の攻略ではステータスの上昇手段について次の制限を設けています。
青年時代は、基本的にレベル1の仲間のみで攻略を進めます。ボス戦では、主人公などレベル2以上のキャラは事前に戦闘不能にしておくか馬車の中で待機させ、戦闘には一切使用しないようにします。但し、生きている主人公がいないと戦闘が始まらない場合(偽太后、ジャミ、ブオーン、ラマダ戦)に限り、無装備の主人公をパーティに加えます。移動中は攻略時間短縮のために主人公や男の子、女の子を使用しますが、当然ながら初期レベルに抑えます。さらに、ボロンゴやサンチョなどの高レベルキャラは仲間に加えないようにします。
この『改訂第5版』を制作するにあたり、まずは『低レベル攻略』の記録更新を目指しました。『改訂第4版』と大きく変わった点は、低レベルキャラのみで全編通して攻略することにこだわったことです。従来の記録においては攻略レベルが甘い部分も数多くありました。特にゲマ戦以降はレベル5の男の子が中心になっていますし、ラストバトルに至っては男の子とアーサーをレベル8まで上げてしまっていたのです。実際、変身後のミルドラースには余裕で勝利しました。相手が弱いということもありますが、一歩間違えば全滅に直結するような、敵の攻撃でHPが一桁になるような息詰まる緊張感を味わうところまではいかなかったのです。
一方、やり込み界では2001年5月に設立されたULTIMAGARDENを中心にネット上での競争が激化し、DQ5についてもいつ記録を破られるか分からない状況になってきました。『低レベル攻略ガイド』を名乗るからには、記録はそう簡単に破られるものであってはならないと改めて感じたのです。この意思が「DQ5の低レベル攻略では誰にも譲らない」という意地と執念に昇華するに及び、記録更新への再挑戦を決断しました。
今回は親分ゴースト戦ですら20時間以上に及ぶ事前準備を行い、レベル3で攻略しています。また、青年時代の中ボス攻略の際には極力レベル1の仲間のみ使用しました。経験値を請け負わせる目的でブラウニーやスライムナイトを仲間にしましたが、レベルが上がった時点で別れています。
そして『改訂第4版』との最大の相違点は、究極呪文メガンテの使用です。強制雑魚のほとんどを経験値0で排除できるようになったばかりか、溶岩原人や変身前ミルドラースの記録更新にもつながっています。また、けい坊さんの研究により、青年時代後半の強敵であるゲマの攻略レベルも大幅に更新されています。さらに、MS-06の参戦によってミルドラースの攻略レベルが大幅に更新されているのも見所の一つです。
ボス名 | 攻略レベル |
---|---|
動く石像 | 主人公1 ビアンカ1 |
お化けキャンドル×4 | 主人公1 ビアンカ1 |
親分ゴースト | 主人公3 ビアンカ3 |
ザイル | ベラ7 ボロンゴ2 主人公5 |
雪の女王 | ベラ7 ボロンゴ2 主人公5 |
偽太后 | ピエール1 |
溶岩原人×3 | ピエール1 コドラン1 ニトロ1 |
カンダタ | ピエール1 |
オークLv20 | アーサー1 |
キメーラLv35 | ピエール1 |
ジャミ(バリア解除後) | アーサー1 |
ジャミ(バリア解除前) | ─ |
ブオーン | ピエール1 ブラウン1 |
ゴンズ | ボコボコ1 スラリン1(死) |
ゲマ | ピエール1 ちゅん1 |
ラマダ | タイチ1 |
イブール | イエッタ1 |
ヘルバトラー×2 | ピピン1 ちゅん1 ニトロ1 |
ミルドラース(変身前) | ピエール1 クックル1 ニトロ1 |
ミルドラース(変身後・弱) | ピエール1 クックル1 ニトロ1 |
ミルドラース(変身後・中) | ピエール1 クックル1 ニトロ1 |
ミルドラース(変身後・強) | ピエール1 クックル1 ニトロ1 アーサー1 ちゅん1 フローラ1 |
エスターク | ジュエル7 リッチー7 |
ランク | ボス戦の勝率 | ボス名 |
---|---|---|
S | 1%程度 | 親分ゴースト |
A | 〜10%程度 | お化けキャンドル×4、溶岩原人×3、ゲマ |
B | 〜20%程度 | ミルドラース(変身後・強) |
C | 〜50%程度 | ラマダ、ヘルバトラー×2 |
D | 〜80%程度 | 雪の女王、ブオーン、ミルドラース(変身前)、エスターク |
E | 80%以上 | その他 |
2002年5月24日、遠藤慎悟さんにより革命的な発見がなされました。以下、遠藤さんのサイト(http://www.yk.rim.or.jp/~s-endo/)中の『モンスターが必ず仲間になる裏技』より引用します。
まずは、主人公に以下のアイテムを持たせてください。 |
要するに、上記の6アイテムを主人公に持たせるとあらゆるモンスターが確実に仲間になり、かつ打撃が必ず会心の一撃になります。この技を使用することで、DQ5のやり込みのみならず、通常のプレイでも単純作業の手間を大幅に軽減できます。以下、上記6アイテムの頭文字を並べて『ひとしこのみ技』と命名します。
『ひとしこのみ技』を用いると、はぐれメタルすら簡単に仲間になります。そこで、長年の夢であったはぐれメタルを用いた低レベル攻略を実行に移すことにしました。この攻略では主人公のレベルこそ最低20まで上がってしまいますが(はぐれメタルを仲間にするためには主人公のレベルが20以上必要)、各ボスの撃破レベルは劇的に下がります。特にミルドラース(変身後パターン1)、ミルドラース(変身後パターン2)、エスタークという3大ボスをレベル1のはぐれメタルのみで倒しているのがポイントです。また、従来の低レベル攻略ではもちろん、通常の攻略でも撃破することがかなわなかった『ジャミ(バリア解除前)』に関しても、極限最低レベルで叩きのめしています。
なお、【プレイその1】ではモンスターを仲間にする時にのみ使用しましたが、【プレイその2】ではボス戦での会心連発も含めたすべての特性を利用しています。
ボス名 | 攻略レベル |
---|---|
※溶岩原人×3まで | プレイその1に同じ |
カンダタ | はぐりん1 |
オークLv20 | スタスタ1 |
キメーラLv35 | ゆうぼう1 |
ジャミ(バリア解除後) | はぐメタ1 |
ジャミ(バリア解除前) | はぐメタ1 主人公20 |
ブオーン | はぐメタ1 |
ゴンズ | はぐメタ1 |
ゲマ | はぐメタ1 |
ラマダ | はぐメタ1 |
イブール | イエッタ1 |
ヘルバトラー×2 | はぐりん1 |
ミルドラース(変身前) | はぐりん1 |
ミルドラース(変身後・弱) | はぐりん1 スタスタ1 |
ミルドラース(変身後・中) | はぐりん1 スタスタ1 |
ミルドラース(変身後・強) | はぐメタ1 スタスタ1 |
エスターク | はぐりん1 スタスタ1 |
ランク | ボス戦の勝率 | ボス名 |
---|---|---|
S | 1%程度 | ─ |
A | 〜10%程度 | ─ |
B | 〜20%程度 | ─ |
C | 〜50%程度 | エスターク |
D | 〜80%程度 | ブオーン |
E | 80%以上 | その他 |
期間 | クリアレベル | 出版関連/その他 |
---|---|---|
1996.07.13〜07.29 | 主19男15ピ18など | 低レベル攻略初挑戦 |
1996.09.16〜09.24 | 主15男14ピ15など | 『攻略ガイド初版』発行(1997年夏コミで頒布) ゲーム研究会会誌第2号、第3号Remixに一部掲載 |
1997.07.24〜09.12 | 主13男12ピ14など | 『攻略ガイド改訂第2版』発行(1997年冬コミで頒布) ゲーム研究会会誌第5号に一部掲載 青年時代後半のボス戦のみ録画してファミ通に送付 |
1998.09.05〜09.15 | 主7男12ピ14など | 『攻略ガイド改訂第3版』発行(1998年冬コミで頒布) |
1998.10.20〜11.02 | 主7男12ピ9など | 全貌を録画してファミ通に送付→1999.6.11号に掲載 低レベル冒険記をホームページで公開 |
1999.05.08〜07.11 | 主7男8ピ1など | 『攻略ガイド改訂第4版』発行(1999年夏コミで頒布) |
2001.04.18〜04.24 | レベル1×6人 | ミルドラース戦に絞った攻略 |
2001.04.26〜04.30 | レベル1×5人 | ミルドラース戦に絞った攻略 |
2001.05.10〜05.12 | レベル1×4人 | ミルドラース戦に絞った攻略 |
2002.02.14 | レベル1×3人 | ミルドラース戦に絞った攻略 |
2002.06.02〜06.11 | レベル1×2人 | イカサマ低レベルボス撃破 |
2001.09.05〜2003.03.05 | レベル1×3人 | レベル1キャラによる各ボス攻略 『攻略ガイド改訂第5版』発行(2003年夏コミで頒布) |
執筆陣の低レベル攻略初挑戦は1996年夏、dqmaniacにより行われました。少し前に東京大学ゲーム研究会のShinさんが達成したレベル28クリアと、7月頃ネットニュースを賑わしたFF5最低レベルクリアに影響されてのことです。当時はDQ5低レベル攻略のノウハウなど全くなかったため、経験値配分計画は行き当たりばったりでしたし、ボス攻略法も攻撃パターンの解明から始めて文字通り一から構築していました。その結果、クリアレベルは19とかなり高くなってしまいましたが、以後数回の低レベル攻略の基本となる戦略や戦術を確立できました。そして、攻略レベルはさらに下がると確信したので、このプレイで得た知識をもとに戦略を構築して再挑戦を行い、レベル15でクリアしました。
低レベル攻略3回目は、その後1年近く構想を練り、1997年夏に実行しました。平均レベルを下げるためフローラと結婚し、青年時代のボス戦では常に1人だけ生存させて無駄な経験値獲得を防ぎ、クリアレベルを下げました。また、クリア後にレベル13のままミルドラース(変身後)の全パターンを攻略し、さらにレベル20ゴレムスによるエスターク攻略を行いました。
低レベル攻略4回目は、レベル7で大神殿に到達していた前回挑戦時のデータから始め、そのレベルのままクリアしました。この時期になって、ファミ通の『やり込み大賞』に掲載されたいという気持ちが強まりました。そこで、短時間攻略のノウハウを生かして約27.5時間で低レベル攻略を達成したのが5回目の挑戦です。このプレイでは、ブオーンの経験値をレベル1のスラリンに請け負わせてピエールをレベル9に抑え、低レベル攻略の記録を更新しています。
そして『改訂第4版』における【プレイその2】が低レベル攻略6回目になります。この時点では全員レベル一桁でのクリアとレベル16以下でのエスターク攻略を達成しました。今度こそDQ5の低レベル攻略は完成したと考えていたのですが……。
しかし2000年12月に一部のボスの記録更新案を思いつき、その後少しずつ各ボスの戦術を更新していきました。PONさんから『溶岩原人にメガンテが効く』というヒントを得たのもこの頃です。そして2001年4月に入ってから、nmaさんのレベル1×6人攻略に衝撃を受け、ミルドラース戦に絞ってレベル1キャラのみでの攻略を開始しました。その後約1ヶ月でレベル1×4人での攻略に成功したのですが、その過程で戦略的な発見も少なからずあったため、2001年9月に至ってついに全体を通してプレイし直すことになります。
2002年にはレベル1×3人での攻略がMS-06によって達成されました。この更新は、DQ5の低レベル攻略を『低レベルボス撃破』に変貌させてしまったという重要な意味を持ちます。さらに、それまでのレベル1×4人攻略法では、人数の都合上、変身後・中や変身後・強の低レベル7人撃破が成立しません。その後の記録更新はすべてこの低レベル7人撃破が土台になっているわけですから、レベル1×3人攻略法が存在しなければ変身後・中や変身後・強の記録更新は不可能だったと言えます。
そして今回の【プレイその1】が低レベル攻略7回目になり、全員レベル1(※幼年時代やクリア後を除く)での各ボス攻略を達成しました。今回はファミ通の『やり込み大賞』に応募するという目的は全くなく、外部評価機関ではむしろULTIMAGARDEN CUPへの応募を念頭に置いていました。その理由は、『やり込み大賞』への応募に際して(データ改ざん防止のため)やり込みのすべてを録画するという条件があることです。この条件は低レベル攻略の応募における最大の難関です。今回のように極限最低レベルでプレイした場合、録画時間は150時間を超えます。これでは録画する気にもなれません。たとえ掲載されて数千ガバスを獲得したとしても、費やした時間と労力を考えると全然割に合わないのです。
今回の過程では、けい坊さんによりゲマとゴンズの記録が相次いで更新されました。特に、ゲマについてはミルドラースをもしのぐ事実上の最強ボスであり、低レベル攻略も困難を極めていました。そういった状況を打破し、『魔神の鎧技』などを駆使して安定感の高い戦術を編み出された点には敬意を表します。
2002年6月、『ひとしこのみ技』発見の直後に【イカサマ低レベルボス撃破】がdqmaniacによって達成されました。はぐれメタル使い放題、ボス戦では怒涛の会心連打ということで、従来の低レベル攻略とは一線を画す内容となっていますが、エスタークをレベル1、HP6×2人で撃破という結果にはそれなりのインパクトがあるため、この攻略ガイドにもおまけとして掲載することにしました。
DQ5が発売されてから既に約11年が経過しました。この間に執筆陣は計20回以上に及ぶプレイを行いました。全種類のモンスターを仲間にし、レベルを最高まで上げ、各種データ収集や調査研究に明け暮れる毎日でした。
そんな我々でさえ、初回プレイではクリアレベルが40台でした。最終ボスのミルドラースにはこのレベルでも何度も全滅させられたものです。これはボスの特性や攻略法をつかんでいなかったためある意味当然のことでした。しかし一旦攻略法をつかんでしまうと、あれほど苦戦したボスたちが実は隙だらけであることに改めて気付き、高レベル&高ステータスで戦うとむしろつまらなさを感じるようになりました。そこで、考えつく限りの制限を課し、一歩間違えば死を招くような緊張感に富む戦闘、敵の攻撃でHPが一桁になるようなぎりぎりの戦闘を行うことにより、改めて感動と興奮を体験しようと思い立ったのです。
その際に最も有力な制限の一つとして考えられるのが低レベルです。DQシリーズを含め大部分のRPGは、レベルの上昇に伴い最大HPを中心とするパラメータが上昇するという性質を持っています。従って、レベルを抑えることによりステータスが低くなり、それに伴う戦闘の緊張感を比較的容易に得ることが可能なのです。但し、低レベルであってもステータスが高ければ意味がありません。そこで今回は『1.1 序』で述べたように、不自然な手段によってステータスを上げることをも制限しています。
DQシリーズには比較的低レベルで攻略できる作品が多い(執筆陣はDQ6をレベル3、DQ7及びSFC版DQ3をレベル1で攻略している)のですが、DQ5も例外ではありません。3人パーティ向けに調整された比較的緩いゲームバランスにつけ込みつつ、強力な道具、強力な仲間モンスターといった好条件を最大限に活用し、不屈の闘志、強靭な忍耐力、柔軟かつ論理的な研究など様々な要素を加味してこのような結果を生み出すのです。
低レベル攻略の醍醐味は、ゲーム中与えられる最低限の条件を過不足なく使って美しく攻略することです。普通にプレイしていれば影の薄い仲間や、一見何の役にも立たないアイテムも、低レベル攻略では重要な役割を果たすことがよくあります。そういうものを一つ発見する度にゲームそのものが持つ‘美’を感じ、普通にクリアした時やレベルを最高まで上げた時とはまた違った感動を体験する、これこそが低レベル攻略の意義であると思います。