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オンライン大会には、最大17言語で参加可能である。練習サイトであるTakiソフトウェアの順番に並べると、イタリア語、英語、ドイツ語、フランス語、オランダ語、スペイン語、トルコ語、ポルトガル語、ルーマニア語、日本語、フィンランド語、チェコ語、スロバキア語、ハンガリー語、ロシア語、ポーランド語、クロアチア語/セルビア語である。
各言語で初見の課題を10分間打ち、「総打鍵数−ミス数×50」を得点とする。この得点の合計値で競う。従って、速度を上げることも重要だが、それ以上に正確性を上げることが非常に重要である。但し、毎日パソコン入力コンクール(以下「毎パソ」)とはミスの定義が違う。例えば、1単語内の入れ替えミス(例:that→taht)や、1行すっ飛ばしは、1ミスとカウントされる。
言語 | 得点 | 速度(文字/分) | ミス数 | 順位 | 参加者数 |
---|---|---|---|---|---|
英語 | 5818(-12) | 591.8(+8.8) | 2(+2) | 3(-) | 440(+65) |
イタリア語 | 5693(-90) | 574.3(-4.0) | 1(+1) | 4(+1) | 217(+18) |
フランス語 | 5610(-268) | 571.0(-26.8) | 2(-) | 2(-) | 145(+14) |
スペイン語 | 5530(-108) | 568.0(-0.8) | 3(+2) | 3(-1) | 226(+57) |
オランダ語 | 5484(-74) | 548.4(-7.4) | 0(-) | 2(-) | 258(+58) |
ポルトガル語 | 5342(-145) | 544.2(-9.5) | 2(+1) | 2(-) | 127(+31) |
トルコ語 | 5251(-216) | 535.1(-11.6) | 2(+2) | 10(-4) | 301(+87) |
ルーマニア語 | 5185(-298) | 533.5(-14.8) | 3(+3) | 2(-) | 100(+22) |
ドイツ語 | 5040(-242) | 514.0(-14.2) | 2(+2) | 8(-6) | 290(-51) |
ポーランド語 | 4980(+99) | 508.0(+9.9) | 2(-) | 3(-1) | 159(+78) |
フィンランド語 | 4949(-15) | 504.9(-16.5) | 2(-3) | 1(-) | 186(+18) |
スロバキア語 | 4823(+139) | 492.3(+18.9) | 2(+1) | 1(+1) | 374(+47) |
チェコ語 | 4820(-123) | 487.0(-7.3) | 1(+1) | 7(-3) | 390(-11) |
ハンガリー語 | 4727(+217) | 477.7(+16.7) | 1(-1) | 2(-) | 129(+43) |
ロシア語 | 4574(-231) | 467.4(-18.1) | 2(+1) | 8(-2) | 45(+2) |
日本語 | 4394(-1154) | 489.4(-70.4) | 10(+9) | 13(-11) | 247(+57) |
クロアチア語/セルビア語 | 4345(-1147) | 454.5(-94.7) | 4(+4) | 13(-10) | 418(+110) |
合計 | 86565(-3668) | 41(+25) | 3(-1) | 1175(+58) |
※()内は昨年比。
※得点、速度、ミス数、参加者数は増えた時に+表示。順位は上がった時に+表示。
※オランダ語とフランス語にはベルギー方言、イタリア語にはスイス方言、クロアチア語/セルビア語はセルビア語(キリル)、ドイツ語・日本語には本家で参加した。
※順位は4/30 日本時間7:00時点のもの。また、方言(例:本家ドイツ語とスイスドイツ語)はまとめて集計した。
・ポーランド語で、本番で(練習含め)自己ベスト ・他にハンガリー語・スロバキア語で本番記録を更新 ・セルビア語で世界6人目、ロシア人以外では初の4000突破 |
言語 | 最高記録 | 平均得点 | 平均速度 | 平均ミス数 |
---|---|---|---|---|
英語 | 5978(+102) | 5611(-31) | 573.1(-1.7) | 2.41(+0.29) |
イタリア語 | 5813(+30) | 5509(+18) | 561.3(+0.8) | 2.09(-0.21) |
フランス語 | 5666(-259) | 5500(+6) | 560.9(+2.8) | 2.19(+0.43) |
スペイン語 | 5625(-182) | 5446(+9) | 555.7(+1.1) | 2.23(+0.03) |
オランダ語 | 5484(-74) | 5203(-101) | 533.9(-8.2) | 2.72(+0.39) |
ポルトガル語 | 5441(-46) | 5283(+7) | 541.6(+5.5) | 2.67(+0.97) |
トルコ語 | 5638(+171) | 5234(+6) | 533.3(+0.8) | 1.98(+0.06) |
ルーマニア語 | 5441(-42) | 5063(-35) | 518.5(-2.2) | 2.44(+0.26) |
ドイツ語 | 5409(+71) | 5096(+51) | 524.6(+4.7) | 3.00(-0.09) |
ポーランド語 | 4980(+22) | 4778(-70) | 491.5(-0.7) | 2.75(+1.25) |
フィンランド語 | 5088(-153) | 4936(+13) | 505.6(-1.0) | 2.40(-0.46) |
スロバキア語 | 4969(-28) | 4682(-79) | 486.0(+1.0) | 3.57(+1.77) |
チェコ語 | 4820(-123) | 4624(-63) | 478.8(-4.4) | 3.27(+0.38) |
ハンガリー語 | 4727(+70) | 4449(+3) | 461.3(+1.7) | 3.29(+0.29) |
ロシア語 | 4779(-26) | 4497(+80) | 464.8(+8.9) | 3.03(+0.17) |
日本語 | 6010(+86) | 5049(-490) | 535.7(-33.9) | 6.17(+3.02) |
クロアチア語/セルビア語 | 5485(-7) | 5009(-29) | 512.5(-4.9) | 2.31(-0.41) |
合計/平均 | 91353(-378) | 85967(-706) | 528.6(-7.6) | 2.41(+0.27) |
※()内は昨年比。
※上記の数字には本番も含む。
※Takiソフトウェアのバグによるミスと、それによる減点も含む。
(1) 日本語には漢字かな交じり文で参戦し、6000を目指す。 (2) セルビア語(キリル)に初参戦し、4000突破を目指す。 (3) 風呂効果は原則として活用しない。 (4) 朝鮮語/韓国語の鍛錬を並行して実施し、TypeRacerで100wpmを目指す。 |
このうちIntersteno2024オンライン大会のスコアアップに結び付きそうなのは(1)のみである。他はすべて悪条件と言って良い。悪条件下でもスコアをまとめる経験を積むことで、来年以降の成長を引き出そうと考えた。
(1) に関して、日本語(漢字かな交じり文)の係数が2.2607→2.95と改善された。2015年の日本語導入以来初の変更である。即ち、昨年までと比較して約1.3倍のスコアアップを見込める。2022・2023年大会では日本語(transliterated)の方が有利であり、筆者のスコアも約1000改善された。2024年大会では、漢字含有度や変換の難易度にもよるものの、日本語(漢字かな交じり文)でもまともに闘えると想定される。そこで、transliteratedでも未達成の6000を目指す。
(2) に関して、2023年大会終了後にTakiソフトウェアで練習したところ、10分間練習で4000を突破し、最終的に4390まで伸ばした。そこで本番での再現を狙う。即ち、世界で5人目、ロシア人以外では初の本番4000突破を狙う。なお、2023年まではクロアチア語で参戦した。そのスコアと比較すると、今回のスコアは約1200低下すると見込まれる。
(3) に関して、昨年は風呂効果を存分に活用し、直前の練習と比較して3958点ものスコアアップを掴み取った。しかし、Interstenoオフライン大会で風呂は使えない。また、風呂効果無しでどこまで健闘できるのか、そもそも2022年に風呂効果を一部の言語のみ使用して出した記録(17言語で87089)を更新できるのか、興味があった。
(4) に関して、筆者は2023年5月に朝鮮語/韓国語タイピングを開始した。その難易度は高く、2024年3月時点で「monkeytypeで100wpm達成、TypeRacerでは未達成」という中途半端な状況だった。Intersteno期間中に朝鮮語/韓国語タイピングを中断するのもためらわれた。何しろ、1カ月を超えるサヴォリ期間があると、リハビリに多大な労力を必要とするためだ。タイピングをやっていて最も嫌なのは、長期にわたるサヴォリの後、退化しきった結果を数字で見せつけられる瞬間である。確かにリハビリを続ければいずれ元の実力を取り戻すことはできる。だが、モチベーションが続かずそのまま練習をやめることもある。そこで、Interstenoの17言語に悪影響が出る(具体的には、時間が割かれる)のを承知で、朝鮮語/韓国語の練習を継続することにした。
●戦略
昨年のレポートの来年に向けてに記載した通り、全17言語で積極的に攻めることによる速度アップを狙う。もちろん、正確性を保ったまま高速化するのが望ましい。だが、大前提として速度を上げないことにはスコアも頭打ちになる。これに関しては、基本的に、2016年大会である程度確立した戦略を踏襲した。同様のアプローチでもう少し伸ばす余地があると考えていたためだ。但し、必要に応じて修正を加えた。
ポルトガル語では、àの出現率が想定よりも低いことを考慮し、wに割り当てる特殊文字をàからóに変更した。その過程では、より出現頻度の高いáやéをwに割り当てる検証も実施した。しかし、áやéを含む単語の左殺しが凶悪化する例が多発し、かえって打ち辛くなった。そこで、スペイン語配列とも共通するóの割り当てに変更した。なお、àはUSインターナショナル配列に倣って半角/全角→aに配置した。しかしこれも打ち辛いため、Intersteno2024終了後に:→gに配置し直した。
セルビア語では、従来はデッドキー:に割り当てていたњљђの配置を^]zに変更し、それぞれ1打鍵化した。^]zに従来割り当てていたщьйが、セルビア語には原則として出現しないことに気付いたためだ。これにより、約2%弱の高速化を実現した。
言語 | 方針 |
---|---|
朝鮮語/韓国語 | 100wpmノーミス達成(語彙増加版含む) |
新規追加言語 | |
やり込み度の甘い言語 | 130wpm以上ノーミスを目指し再挑戦 |
ロシア語 | 継続 |
高速言語(英語等) |
朝鮮語/韓国語を打ったのはこちらに示す通り、個人的趣味によるものだ。将来Interstenoで朝鮮語/韓国語を打つ日が来る可能性はあると思う。だが、この先数年のことではないだろう。よって、Intersteno2024オンライン大会に向けた直接的な対策にはならない。
並行して、新規追加言語も打ってきた。当面の目標は100wpmノーミスだ。バージョン更新情報やGitHubを注視して、新規追加言語を見つけては打ち続けた。その結果、ラテン文字・キリル文字・ギリシャ文字・ひらがな/カタカナ・ハングルを使用する63言語で100wpmノーミスを達成した(昨年比+4言語)。
いざ100wpmノーミスを達成すると、やり込み度の甘い言語が気になり始めた。1〜数回打って終わりという言語も複数存在した。そこで、特殊文字の少ない言語を中心に、130wpm以上を目指して2周目を開始した。最終的に、37言語で130wpmノーミスを達成した(昨年比+6言語)。また、ポルトガル語、イタリア語、スペイン語、フランス語ではこの過程で150wpmを突破した。
ロシア語を継続するのは、キリル文字の打ち方を忘れないためだ。何しろ、Interstenoの17言語のうち筆者がラテン文字で参加するのは15〜16言語ある(日本語をtransliteratedで打った場合に16言語となる)のに対して、キリル文字で参加するのは原則としてロシア語のみだからだ。クロアチア語の代わりにセルビア語を選択しても、キリル文字は2言語のみだ。そして、この鍛錬には一定の成果があった。
高速言語(英語等)は別の意味で継続が必要だ。打ち方を忘れることはもはや無い。だが、鍛錬を怠ると高速打鍵が少しずつできなくなっていく。特に左手を酷使する単語が明らかに遅くなる。そこで、語彙増加版や英語ベースのcode(各種プログラミング言語)等を用いて鍛錬を継続した。
……
3月3日、Interstenoが近づいたところで、日本語を除く16言語に絞って60秒ノーミスタッチ練習を再開した。30秒では短すぎて、Interstenoに直結する実践的な練習にならないためだ。一方、120秒ノーミスタッチ練習はまだ筆者にとって荷が重い。英語で一度成功しただけだ。60秒経過以降は集中力を持続できず、速度も正確性も極端に低下する。よって、筆者の現在のレベルでは60秒が適切だと判断した。また、語彙増加版がある言語は10k〜50kを主に打つ。1k以下では簡単な単語しか出てこない。目安として100k以上になると、語彙がマニアックすぎて対策にならない(ランダム文字列を打つ練習と変わらない)。
期間 | 言語 |
---|---|
2/19-25 | ロシア語、ハンガリー語、トルコ語、英語 |
2/26-3/3 | チェコ語、スロバキア語、ポルトガル語、スペイン語 |
3/4-10 | クロアチア語、ルーマニア語、イタリア語、フランス語 |
3/11-17 | ポーランド語、フィンランド語、ドイツ語、オランダ語 |
2020年以来、新型コロナウィルスの影響で在宅勤務となったため、平日は業務終了後に即練習できる。このため、当初は1分間練習によるリハビリを実施しつつも、徐々に本番を想定した10分間練習に切り替えた。単に10分間打つというノルマをこなすだけの無益な練習を徹底して排除した。但しスペイン語、日本語、フィンランド語、スロバキア語、ポーランド語、ハンガリー語の1分間練習または10分間練習の課題数は限られており、文章を覚えてしまうリスクがあった。このため、並行してmonkeytypeの60秒ノーミス練習を効果的に実施した。2024年の日本語に関しては、漢字かな交じり文の練習として実タイも採用した。
2020年〜2024年大会に向けた練習量の比較は表7の通り。2024年の練習量は計527回で、ここ5年間で最高となった。但し、うち290回は先述の未打鍵課題潰しであるため、その分を差し引くと237回である。実質的な練習量は2022年以降ほぼ変わらない。とはいえ、大会期間が約6週間あったため、大半の言語で必要十分な調整を実施できた。
言語 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 |
---|---|---|---|---|---|
英語 | 51 | 17 | 33 | 16(-17) | 17(+1) |
イタリア語 | 10 | 13 | 8 | 20(+12) | 121(+101) |
フランス語 | 9 | 12 | 12 | 158(+146) | 16(-142) |
スペイン語 | 13 | 13 | 9 | 10(+1) | 13(+3) |
オランダ語 | 11 | 8 | 10 | 9(-1) | 18(+9) |
ポルトガル語 | 13 | 14 | 14 | 10(-4) | 12(+2) |
トルコ語 | 57 | 7 | 11 | 13(+2) | 92(+79) |
ルーマニア語 | 9 | 9 | 14 | 16(+2) | 45(+29) |
ドイツ語 | 9 | 8 | 14 | 11(-3) | 14(+3) |
ポーランド語 | 7 | 4 | 6 | 4(-2) | 8(+4) |
フィンランド語 | 5 | 4 | 5 | 7(+2) | 5(-2) |
スロバキア語 | 6 | 7 | 7 | 5(-2) | 7(+2) |
チェコ語 | 10 | 13 | 16 | 9(-7) | 11(+2) |
ハンガリー語 | 26 | 9 | 11 | 6(-5) | 7(+1) |
ロシア語 | 67 | 7 | 43 | 34(-9) | 36(+2) |
日本語 | 5 | 9 | 3 | 7(+4) | 6(-1) |
クロアチア語/セルビア語 | 15 | 9 | 10 | 14(+4) | 95(+81) |
合計 | 323 | 163 | 226 | 349(+123) | 527(+178) |
※上記の数字には本番、仕様調査、および未打鍵課題潰しを含む。
※各年の打鍵回数には、前年オンライン大会終了翌日から当年オンライン大会終了当日までのすべての10分間練習を含む。
……
各言語につき実施した主要な練習は表8の通り。
言語 | 5〜2月 | 直前1カ月 | 直前1週間 |
---|---|---|---|
ドイツ語 | monkeytype30秒 | Taki10分(CH) | Taki10分(DE) |
ロシア語 | monkeytype10k30秒, 25k30秒 | Taki10分 | Taki10分 |
ポーランド語 | - | Taki1分 | Taki10分、monkeytype40k60秒 |
オランダ語 | monkeytype30秒 | Taki10分(NL) | Taki10分(BE) |
フィンランド語 | - | Taki1分 | Taki10分、monkeytype10k60秒 |
英語 | monkeytype30秒 | Taki10分 | Taki10分 |
トルコ語 | monkeytype30秒、Taki未打鍵課題潰し | Taki10分 | Taki10分、monkeytype5k60秒 |
ハンガリー語 | - | Taki1分 | Taki10分、monkeytype2k60秒 |
チェコ語 | - | Taki1分/10分 | Taki10分、monkeytype10k60秒 |
スロバキア語 | - | Taki1分 | Taki10分、monkeytype10k60秒 |
スペイン語 | monkeytype30秒 | Taki10分 | Taki10分、monkeytype10k60秒 |
ポルトガル語 | monkeytype30秒 | Taki10分 | Taki10分、monkeytype3k60秒 |
クロアチア語 | Taki未打鍵課題潰し | Taki10分 | Taki10分 |
ルーマニア語 | Taki未打鍵課題潰し | Taki10分 | Taki10分、monkeytype10k60秒 |
イタリア語 | monkeytype30秒、Taki未打鍵課題潰し | Taki10分 | Taki10分(CH)、monkeytype60k60秒 |
フランス語 | monkeytype30秒 | Taki10分 | Taki10分(BE) |
セルビア語(キリル) | Taki1分/10分、monkeytype30秒/60秒 | - | Taki10分、monkeytype60秒 |
日本語 | - | - | Taki10分、実タイ |
今回の大会実施期間は3/18〜4/26となり、40日間確保できた。本番の課題の実装が遅れた言語(ポーランド語、フィンランド語、スイスイタリア語、ベルギーフランス語)に柔軟に対応しつつ、準備不足の言語を翌週に回すという戦略を適用できた。結果的に、1週間に実質3言語のペースで本番を打ち進めた。
本番に向けたスケジュールは表9に示す通りである。
期間 | 低速言語 | 中速言語 | 高速言語 |
---|---|---|---|
3/18-20 | ロシア語 | ドイツ語 | |
3/18-24 | ポーランド語、ロシア語 | フィンランド語 | オランダ語 |
3/25-31 | ポーランド語、ハンガリー語、ロシア語 | フィンランド語、トルコ語 | 英語 |
4/1-7 | ハンガリー語、セルビア語 | ポルトガル語 | 英語 |
4/8-14 | チェコ語、スロバキア語、セルビア語 | スペイン語 | |
4/15-21 | セルビア語 | ルーマニア語 | フランス語、イタリア語 |
4/22-26 | セルビア語 | クロアチア語 |
※ハンガリー語とトルコ語の配列は親和性が高い(öüをwqに配置)。
※フランス語とイタリア語の配列は共通。また、経験値が高い。
※チェコ語とスロバキア語の配列は親和性が高い(特殊文字を34567に配置)。
※スペイン語とチェコ語、スロバキア語、ハンガリー語の配列は親和性が高い(áéíを@[]に配置)。
※ドイツ語とオランダ語は言語として親和性が高い(ゲルマン語派)。
※ドイツ語とフィンランド語の配列は共通。
基本的に、2016年以来のスケジュールを踏襲した。高速に打てる言語(英語、フランス語、イタリア語、日本語、スペイン語、オランダ語)と速度の出ない言語(セルビア語、ロシア語、ハンガリー語、チェコ語、スロバキア語、ポーランド語)を可能な限り分散させた。これは、高速に打つ感覚を維持するとともに、低速言語を底上げするためだ。
また、親和性の高い言語や、共通の配列を使う言語は、同じ週に打つのが効率的だ。逆に、混同する可能性の高い言語(例:フランス語とスペイン語、ハンガリー語とドイツ語、ポーランド語とチェコ語)を同じ週に打たないように注意した。なお、チェコ語とスロバキア語にも混同しやすい部分がある。だが、配列の親和性による相乗効果の方が上回ると判断し、同じ週に実行することとした。
さらに、セルビア語への対策として、3/20のロシア語の本番終了後も3/31までロシア語の10分間練習を継続した。キリル文字への習熟度を維持することが目的だ。本来ならセルビア語の課題文章で対策すべきだ。だが、文章の数が限られているため、このような変則的な対応が必要だった。
……
最終的な本番実施スケジュールは表10の通りである。平日は仕事があるため、本番実施は土日や祝日がメインとなる。なお、3/24(日)〜3/25(月)は家族旅行のため打鍵しなかった。最後のセルビア語は、4/21(日)時点では準備不足と判断し、敢えて平日である4/26(金)まで本番実施を延ばした。
日付・時間帯 | 言語 | 累計得点 | コメント |
---|---|---|---|
3/20(祝)夕方 | ドイツ語 | 5040 | 久々の本番には緊張感あり |
3/20(祝)夕方 | ロシア語 | 9614 | 昨年の大爆発スコアの壁は高かった |
3/23(土)夕方 | オランダ語 | 15098 | 同上。とはいえ昨年に続きノーミス |
3/30(土)夕方 | ポーランド語 | 20078 | monkeytypeの練習の効果を発揮し加速 |
3/31(土)午後一 | フィンランド語 | 25027 | 速度不充分。対策が甘い |
3/31(土)午後二 | トルコ語 | 30278 | 同上 |
4/6(土)夕方 | ハンガリー語 | 35005 | ミスを抑えて粘り、本番自己ベスト |
4/6(土)夕方 | 英語 | 40823 | デッドキー;を駆使して大文字の嵐を耐えきった |
4/7(日)夕方 | ポルトガル語 | 46165 | 速度不足。新配列の試行錯誤のため |
4/7(日)夕方 | 日本語 | 50509 | 変換難易度の高い文章になすすべなく屈辱的惨敗 |
4/13(土)夕方 | チェコ語 | 55329 | 昨年の大爆発スコアの壁は高かった |
4/14(日)午後二 | スロバキア語 | 60152 | 速度重視で臨み、本番自己ベスト |
4/14(日)夕方 | スペイン語 | 65682 | 前半びびり過ぎ。後半加速した途端3ミス |
4/20(土)夕方 | フランス語 | 71292 | 絶不調だったが時間切れ。2ミスに抑えて耐えた |
4/21(日)午後二 | イタリア語 | 76985 | 打ちやすい文章で粘るも昨年の記録は遠い |
4/21(日)夕方 | ルーマニア語 | 82170 | 前半ミス⇔BS地獄にハマって30秒ロス |
4/26(金)夕方 | セルビア語 | 86515 | 実力不足なりに粘った |
※4/28(日)に日本語の得点が4344から4394に修正された。これに伴い、総合得点は86515から86565に微増した。
●戦術
(1) 練習課題文の収集と入力、再入力
InterstenoのTakiソフトウェアに出現する1分間練習および10分間練習の課題文を収集した。結果はこちら。目的は、文字の出現頻度の調査の他に、ミスの原因把握と傾向調査である。2015年大会に向けた練習ではここができていなかったため、打鍵終了後に表示される結果画面からミスの原因を推測するしかなかった。ミスした単語をGoogle翻訳やGoogle検索に入力すると、正解らしき単語を見出せることもある。だが、すべてのケースでうまくいくわけではない。これでは練習効率が悪すぎる。
そこで、1分間練習の課題文を計2024個、10分間練習の課題文を計632個収集した(昨年以降の追加分は10分間課題6個)。さらに、収集したすべての練習課題を実際に入力してExcelシートに整理し、ミスの原因を正確に把握できるようにした。具体的な方法は2018年と同様である。
さらに、難関言語に限らず全文再入力を実施した。1分間練習の課題文のうち1804個、10分間練習の課題文のうち632個、合計で約800万文字を再入力した(昨年以降の追加分は1分間課題9個、10分間課題13個、合計で約1.4万文字)。その結果を過去の入力結果とEXACT関数で比較し、計2500箇所以上のミスを検出した(昨年からの増加分は約100箇所)。この作業の結果、残存ミス率は約0.05%から0.001%未満に減少したと推測される。
ドイツ語には本家ドイツ語の他にスイス方言が存在する。2019年以降は前者を採用している。両者の主な違いは、後者には原則としてß(エスツェット)が存在せず、ssで置き換えられることである。つまり特殊文字が1種類減るため、短期間での攻略が容易になる。但し、長い目で見れば、ssという連打に耐え続けるよりもßの位置を覚えて打つ方が負担が少ない。いずれにせよ出現頻度は低いため、実際には大差無い。なお、2016年と2018年のスイスドイツ語の本番では、ßが複数回出現した。このような場合に備え、ßを含む配列を準備し、かつ位置を把握しておく必要はある。
フランス語には本家フランス語の他にスイス方言、ベルギー方言が存在する。2016年以降、バグが最も少ないベルギー方言を採用している。但し、本質的な違いは調査しても分からなかった。その後、Taki担当者とのやり取りの中で、本家フランス語やスイス方言では記号(;:!?)の直前にスペースが入る一方、ベルギー方言では入らないとの情報を頂いた。普段打ち慣れた仕様であるベルギー方言を選択して正解だった。
オランダ語には本家オランダ語の他にベルギー方言が存在する。本質的な違いは調査しても分からなかった。一字一句違わない課題文章を両者で使い回している事例も複数存在した。但し、一部の特殊文字は方言により得点が違うことがある。特にオランダ語ではベルギー方言の.が2点なので、スコアにして約1%有利になる。この仕様に気付いた2019年以降、ベルギー方言を採用している。
イタリア語には本家イタリア語の他にスイス方言が存在する。本質的な違いは無い。一部の特殊文字は方言により得点が違うものの、その出現頻度は非常に少ないため、影響は限定的だ。2024年の本番文章にはpiù(もっと)という単語が筆者の打った範囲内だけで9回も出現したため、他の特殊文字と合わせてスイス方言のスコアが約0.7%有利になった。しかしこれは例外だ。なお、2022年以降の本番ではスイス方言を選択している。たまたま練習でスイス方言の未打鍵課題潰しを実施していたためだ。
クロアチア語の代わりにセルビア語(ラテン)、セルビア語(キリル)を選択できる。セルビア語(ラテン)はクロアチア語とほぼ同じだ。セルビア語(キリル)はロシア語と同様キリル文字を使用する。しかしロシア語と違う特殊文字への対応が新たに必要で、難易度が高い。2024年には順位への影響が無いと判断し、敢えてセルビア語(キリル)を選択した。
日本語には日本語(漢字かな交じり文)の他に、ローマ字で記述された日本語(transliterated)が存在する。従来の漢字かな交じり文には事実上日本人しか参加できなかった。ひらがなやカタカナはともかく漢字は日本人以外にとって習得が非常に困難であるためだ。このデメリットを解消するためにtransliteratedが導入された。日本人にとっても、transliteratedの方が有利になる場合がある。理由は、変換の手間が無くなることだ。なお、2024年には漢字かな交じり文のスコア換算係数が2.2607→2.95と修正され、従来の不利は解消された。筆者は変換を苦手としないため、2024年には漢字かな交じり文を選択した。
All30g適用の実験を開始したのは2016/12/19だった。2003年時点の筆者はこのキーボードを使いこなせなかった。打鍵時に隣のキーに指が軽く触れただけで認識され、ミス判定となる「かすりミス」が目立ったためだ。だが、東プレRealforce89U(45g/30g)で10年以上も正確性重視の鍛錬を継続してきたため、All30gでも次第にミスを抑えて打てるようになった。それならば、速度を出せるAll30gの方が良い。折しも、45g/30gのキーボードのSpaceキーのレスポンスが長年の酷使の影響で悪化し、高速打鍵に悪影響を及ぼすようになってきたため、All30gを久々に採用した。
但し、2019年は日本語のみ45g/30gに戻した。All30gが長年の酷使の末、5/3に至ってついに故障したためだ。
2019年10月、消費税増税前に新たに東プレRealforce(R2TLSA-JP3-IV)を調達した。All30g、かつテンキー無しという基準で選択した。このキーボードはタイプウェル国語Rの更新に役立った一方で、カスリが激増するというデメリットがあった。従ってIntersteno向けには使えないのではないかという危惧を抱いた。だが、APC設定を「よく使うキー2.2mm、使わないキー3.0mm」としたことで、カスリを防ぎ、Interstenoの実戦に投入する目途が立った。
(3) 方言の選択
ドイツ語、フランス語、オランダ語等の方言選択にも、上記の練習課題の収集結果資料が役立った。具体的には、バグや特殊文字の少ない方言を選択することで、練習の効率アップと本番の得点アップを狙った。(4) キーボードの選択
2017〜2019年大会では、東プレRealforce106(All30g)を主に使用した。日本語かな入力を除いて、All30gでもミスを抑えつつ高速化できるという確信を得たためだ。実際、2016〜2019年の総ミス数の推移は47→28→35→34、1言語あたりの平均値は2.76→1.65→2.06→2.00であり、2016年と比較して有意に減少している。(5) その他環境整備
2018年とほぼ同様。本番準備・実施手順書を作成し、遵守することで、人為ミスをシステム的に根絶することを目指した。但し2019年以降、Windows10機で打鍵中にフォーカスが勝手に外れる事故に悩まされている。2019年のフィンランド語と日本語、2021年のルーマニア語の本番でも発生した。当初は左Alt、右Alt、左Ctrlへの誤爆による何らかのショートカット発動が原因と考えていた。最大の要因である左Altのキートップを外す、あるいはソフトウェアで一時的に無効化するといった対策がまず考えられる。さらに、「セキュリティソフトの割込み」「プリンタドライバの割込み」等、他にも原因がありそうだ。原因究明のためMy Window Loggerを導入したが、まだ原因を見出せず、対策もできていない。
2020/4/7、自宅の電気契約を30Aから40Aに上げた。打鍵中にブレーカーが落ちてもPCはバッテリーで動くため問題無い。だが、ルータの電源も落ちるためネット接続が一時的に遮断される。これが危険すぎる。
フィンランド語、ポーランド語、スロバキア語等、10分間課題の少ない言語はTypeRacerやmonkeytypeを併用してこの欠点を補った。確かに、TypeRacerには「30秒ほどで終了する短文が多い」「フォントが見辛く、.,やlIやijの判別が至難」といった難点はある。だが、従来圧倒的に不足していた初見文章への対策にはある程度なったと思う。
一方、フランス語、イタリア語、トルコ語で大きく崩れなかったのは、練習用課題が豊富にあり、多くの単語に習熟できたためと考えられる。ドイツ語、オランダ語、チェコ語に関してもこの状態に持っていくため、TypeRacerやmonkeytypeで鍛えるのは有効と考える。
また、1セット(約1時間)あたりの本番実施数は1言語、1日あたりの本番実施数は2言語に抑えたい。但し、充分な練習を積んだ状態で、体調が良く、指の調子も好調を持続している場合に限り、1セットに2言語、1日に3言語の本番を実施することも過去にはあった。
さらに、本番の直前に10分間練習を実施する。これは、本番で使用する配列に確実にセットすると同時に、他の言語との混同を避けるためだ。また、言語ごとに頻出する文字や単語、シーケンスが異なるため、本番の直前に目と指を充分に慣らしておく必要がある。但し英語や日本語など、ガチで10分間打つと疲労する高速言語についてはほどほどにしておく。疲労を防ぐため本気モードで打たないことが極めて重要だ。前半に速度が出すぎたと感じた場合には、後半にさらに力を抜く。そして気合を入れ直して本番に臨む。このようにして、本番にピークを持っていく。
●各言語の対策(主要なもののみ)
※2018年・2019年・2022年・2023年とほぼ同様。
(1) 日本語には漢字かな交じり文で参戦し、6000を目指す。 (2) セルビア語(キリル)に初参戦し、4000突破を目指す。 (3) 風呂効果は原則として活用しない。 (4) 朝鮮語/韓国語の鍛錬を並行して実施し、TypeRacerで100wpmを目指す。 |
(1) に関して、日本語(漢字かな交じり文)では4394(ミス10)という想定外の屈辱的惨敗を喫した。敗因は、突き詰めれば「初見の漢字かな交じり文の練習不足」だ。直前の10分間練習では、3回打って5571(ミス7)、6010(ミス4)、5783(ミス6)だった。多少崩れても5500は余裕であり、あわよくば6000突破も狙えるという目論見だった。また、4/7中に日本語の本番を終えれば残り3週間で7言語となり、余裕を持って翌日以降の練習に臨めるという打算もあった。一方、ここ2年は日本語(transliterated)を選択したため、漢字かな交じり文のミスを防ぐ技術を忘れていた。
本番の文章の難易度は高めだった。もはや言い訳にしかならないが。序盤から大苦戦した。10ミス中6ミスが序盤に集中した。変換が一発で決まらない単語が多すぎる。特に「鑑賞」が罠だ。「観賞」「干渉」と誤変換され、計4ミス。本文中には「観賞」も出現するため、初見で見切るのは難しい。ミスタッチも多発し、ミス⇔BSによるロスは推定で計1分に達した。焦れば焦るほどミスタッチが増加する悪循環から、最後まで抜け出せなかった。後半には開き直ってミス無視で加速したものの、前半の大失速を挽回するには至らなかった。
(2) に関して、結果は4345(ミス4)だった。目論見通り、世界で6人目、ロシア人以外では初となる本番での4000突破を達成した。一方で、本番実施3日前に配列の改善案を思いつくなど、直前まで試行錯誤を重ねた。本番では、頻出するканцеларија(オフィス)でлをдと誤読するミスを3回もやらかしたのが激痛だった。あと1週間準備すれば、4500に届いたかもしれない。しかしこれは結果論でしかない。
(3) に関して、風呂効果による増分は消滅した。直前の練習からの増分は、日本語の初見文章での失敗による大量失点で完全に打ち消された。次に風呂効果を積極的に利用するのは、例えば10万点を目指すなど、実力を遥かに超えた挑戦をする時になるだろう。一方で、直前の練習の得点は昨年よりも向上し(計86275→87558)、地力はまだ上がっていることを確認できた。また、本番記録は計86565となり、2022年に風呂効果を一部の言語のみ使用して出した記録(計87089)には届かなかった。とはいえ、日本語の失敗にもかかわらずそれに近い値まで伸ばした点は評価できる。
(4) に関して、朝鮮語/韓国語の練習を継続した。確かに、Interstenoの17言語に割く時間は減った。だが、日本語を除く16言語への悪影響はほとんど無かった。一方、朝鮮語/韓国語の成長ペースは明らかに劣化した。Intersteno2024の期間中の更新は運による1回のみで、Megaracerの安定すら困難だった。途中からは退化防止練習と割り切って、現状維持のみを細々と続けていた。これでは記録が伸びるわけがない。とはいえ、この期間中丸々サヴォリを入れた場合と比較すれば、たとえ現状維持しかできなかったとしても、その差はあまりにも大きい。5月中のTypeRacerでの100wpm達成に向けて、だいぶ視界が開けてきた。
(1) 日本語の鍛え直し (2) 本番に向けたピーク合わせ (3) 老化に伴う英文打鍵力の低下 (4) ミスの抑制 |
一方、漢字かな交じり文では変換係数の見直しに伴い、2023年以前と比較して約1.3倍の得点を期待できる。2016年には旧係数2.2607で4752まで伸ばしているため、単純に1.3倍すれば約6200となる。即ち、transliteratedでは望み得ない高得点が期待できる。
しかしそのような高得点を実現するには、ローマ字入力と変換能力の両面で、鍛え直しが必要だ。Takiの10分間練習では既に課題文章をある程度覚えてしまっており、初見で実施される本番への対策にはならない。従って、毎パソや社説等の初見文章を継続的に練習し、鍛え直す必要がある。
表11に示す通り、2022年にはチェコ語とドイツ語で本番直前の練習にピークが合うという致命的な失敗を犯した。直前の練習と比較して、本番ではそれぞれ292点、372点も落ち込んだ。速度や正確性を必死に上げても、本番に向けた調整を失敗するだけで簡単にそれ以上の大失点を食らう。この問題を解決しないことには、未来が無さすぎる。
言語 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 |
---|---|---|---|---|
フランス語 | +192 | +239 | +343 | +340 |
ハンガリー語 | +129 | +358 | +217 | +203 |
ポーランド語 | +266 | -29 | -21 | +158 |
イタリア語 | +157 | +113 | +385 | +138 |
フィンランド語 | +230 | -253 | +112 | +120 |
オランダ語 | -253 | -300 | +206 | +80 |
チェコ語 | -40 | -292 | +456 | +66 |
ロシア語 | - | +115 | +281 | +53 |
ルーマニア語 | -194 | +114 | +291 | +35 |
スペイン語 | -279 | +204 | -169 | -37 |
クロアチア語/セルビア語 | -43 | +75 | +591 | -41 |
ポルトガル語 | +322 | +141 | +63 | -99 |
トルコ語 | +241 | +40 | +333 | -145 |
スロバキア語 | -127 | +116 | +169 | -146 |
英語 | -247 | +277 | +187 | -160 |
ドイツ語 | -604 | -372 | +400 | -165 |
日本語 | -235 | +113 | +114 | -1389 |
合計 | -485 | +659 | +3958 | -993 |
2024年は、日本語を除けば16言語で直前練習比+396だった。2023年には風呂という特殊なブースト要因を使用しているため、比較の対象として適切ではない。一方、2021年や2022年と比較すれば、2024年は本番に向けたピーク合わせが概ね成功したと言える。また日本語については、事前練習と本番との単純比較はもはや適切ではない。難所への対応方法や変換回数まである程度覚えている事前練習と比較すれば、初見文章で実施される本番では得点が大幅に低下する。このリスクを念頭に、本番の得点の見積もり方法を見直す必要がある。
まず認識能力が低下した。当然ながら、読めなければ打てない。次に打鍵能力も低下した。認識できても指が思い通りに動かない。特に英語の左手範囲を駆使する単語で顕著だった。挙句の果てには判断能力も低下した。認識あるいは打鍵のプロセスでミスをしても気付かない。2023年以降は風呂効果やmonkeytypeノーミスタッチ練習でこれらの問題の一部を一時的に解決できたかに見える。しかしベース速度は頭打ちであり、根本的な対策にはなっていない。
英文打鍵力の低下がドイツ語、オランダ語、スペイン語に悪影響を及ぼしたのは2021年以降共通だ。一方、フランス語とイタリア語にはあまり影響しなかった。前記の未打鍵課題潰しにより、退化を最小限に食い止めたためと考えられる。このように、老化は練習の質と量によってある程度は補える。
2024年大会の総ミス数は16→41と大幅に増加した。日本語のミス数が1→10と激増したのが最大の要因だ。クロアチア語/セルビア語も0→4と増加した。一方、他の15言語も15→27となり、1言語平均で1.0→1.8と増加した。風呂効果不使用、速度重視、昨年が神すぎたなど、幾つか要因が考えられる。
平均ミス率は0.047%で、昨年比+0.029%。5言語以上受験者の中では僅差で2位となった。昨年の結果が良すぎただけか。2022年は0.049%で2位、2021年は0.058%で1位だった。この水準で満足せず、ミスの抑制(もしくは速度の向上)を目指す必要がある。
本番でノーミスを達成したのはオランダ語だけだった。昨年は8言語でノーミスを達成したのに、一気に1言語にまで減少した。一方、練習時には、フランス語での42回を筆頭に、12言語で計69回出した。但し、うち50回は前記の未打鍵課題潰しの際に出したものである。この分を除けば、11言語で計19回となる。
また、全527回の10分間練習(本番含む)中、1ミスは121回、2ミスは117回、3ミスは87回、4ミスは65回だった。昨年と比較すると、4ミス以内の確率が約87.7%から約87.3%に、2ミス以内は約67.9%から約58.4%に、ノーミスは約20.6%から約13.3%に減少した。
ジュニアさん:最難関のロシア語を含む全17言語への参戦を目指し、最も早い段階で練習に着手していました。その過程では、各言語の専用配列を習得し、特殊文字や記号の入力方法を一から調査・導入されるなど、先行者として並々ならぬ苦労があったことと推察します。
かり〜さん:2015年から多言語タイピングWikiで積極的に情報発信し、筆者を含む多くの初心者に多言語参戦への道筋を示して下さいました。さらに2017年大会に向けた新たな取組みとして、初心者向け多言語対戦会や10FastFingers大会を開催されています。
たのんさん:2017〜2020年大会に向けて、TypeRacer多言語対戦会の開催および毎週参戦により、積極的に引っ張って下さいました。2017年10月以降のパワーアップには大いに刺激を受けました。
paraphrohnさん:2016年大会に向けて、早い段階で「総合8万点で世界一」という高い目標を掲げ、それを有言実行することで日本人参加者全体を引っ張って下さいました。また、インテルステノ用paraph配列集の作成・配布に加えて、TypeRacer多言語対戦会を毎週開催して頂いたお陰で、筆者を含め参加者のレベルは前年とは比較にならないほど向上したと言えるでしょう。
やださん:Takiソフトウェアで出現した "This page and application is only for use on computers, not available for mobile devices." というエラーに対して、画面サイズを拡大するか文字サイズを小さくすることで解決できるという情報を頂きました。
どりすとさん:上記の問題につき、www.intersteno.itで打てば問題無いという情報を頂きました。筆者は2016年大会以降、練習も本番もこちらのサイトのみで打っています。
司@dvorakさん:文章内の文字の出現頻度調査に役立つ文字出現頻度分析ツールをご紹介いただきました。ロシア語をはじめとする多言語の解析に、大変役立っています。
三食小籠包さん:2023年にTypeRacer多言語対戦会を3年ぶりに復活させ、積極的に引っ張って下さいました。
愛する家族:3〜4月の土日という、本来は育児・家事・家族サービスに充てるべき貴重な時間の大半をInterstenoの多言語参戦に投入できたのは、間違いなく家族のおかげです。ありがとう! ……というよりも、我ながらろくでもない夫・父親だと思う。来年以降もオンライン大会に参加するなら、ゴールデンウィークの全部または一部を毎年潰すことになるというジレンマがある。
・Intersteno拡張dq配列(基本17言語)
注1:言語によっては慣れるまでに相応の時間が必要であり、短期決戦には不向きです。
・Intersteno拡張dq配列:仕様書
・Interstenoの各言語ランキングと統計資料
・Interstenoランキング:仕様書
・Intersteno課題文の解析資料
注:入力時の正確性は99%以上あると自負しています。また、2024年に追加された新課題を除き、再入力によりミスを検出して正確性を高めています。しかし、筆者も人間である以上100%でないことはご了承下さい。
・Intersteno練習の各種統計
・Intersteno練習記録
・本番準備・実施手順書
・各言語の各文字の得点一覧表
●参考文献・謝辞
Pocariさん:Interstenoオンライン大会への日本語部門追加を先頭に立って推進し、実現にこぎつけたのみならず、2015年の日本人参加者120名もの参加費までご負担頂きました。2016年以降の日本語部門継続にあたっても紆余曲折があり、各国代表との交渉に奔走されたと聞いております。この方の尽力なくしては、筆者はInterstenoの存在すら知らず、まして参戦など考えもしなかったことでしょう。ありがとうございました。2020年5月以降音信不通となり、その後2021年10月に一度ご連絡を頂いたものの再び音信不通となり、大変心配です。
●各種資料
Intersteno2024関連の資料を以下に公開します。必要に応じ、自己責任でご利用下さい。また、著作権等で問題が発生した場合は即削除します。
・Intersteno拡張dq配列(拡張43言語)
→Intersteno, TypeRacer, monkeytypeで使用した配列。インストーラとともにMSKLC用のファイルもあります。基本16言語はIntersteno攻略用(日本語除く/セルビア語含む17言語)、拡張43言語はそれに加えてTypeRacer, monkeytype攻略用です。
注2:このMSKLCファイルはWindows10/11環境でBuildできないことがあります(エラー対処を実施していないため)。必要ならばBuildできる環境を見つけてBuildし、結果ファイルをコピーして下さい。
→上記配列の仕様書。
→eighさんの統計資料を参考にしつつ、自分用にVBAで作成していた資料です。本レポートにはこのデータを一部使用しています。ソースコードは非公開。
→上記資料の仕様書。
→各言語の練習課題(1分間課題計2024個、10分間課題計632個)を自力で収集・入力した資料です。配列作成の際に、特殊文字や記号、qvwxyz等の文字の出現頻度を解析するために使用しました。また、InterstenoのTaki担当者への問題点の報告は、この資料をベースに実施しています。練習時の最高記録も掲載してあります。
→Intersteno対策として実施した10分間練習(2015〜24年に計3420回。本番含む)の各種統計として、「言語毎の最高記録、平均得点、平均速度、平均ミス数」「本番の記録との比較」「練習回数」「ミス数別の試行回数」をまとめたものです。
→Intersteno対策として実施した10分間練習の詳細をデータベース化したものです。上記の統計資料はすべてこのデータから作成しています。
→「トルコ語配列のまま英語を打つ」「省電力モードが発動して画面が暗くなる」等の間抜けな事故を防ぐために作成した手順書です。
→ほぼすべての言語で、大半の小文字は1文字1点、大文字は2点です。一方、2打鍵以上を必要とする特殊文字にはそれ以上の点数を割り当てている例があります。2023年の大会直前にこのテーブルの一部が変更されたようです。その結果、ポーランド語、スペイン語、ポルトガル語では総得点が増加し、フィンランド語では減少しました。
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